コーエーテクモゲームスより発売中のPS4/PS Vita/Nintendo Switch用ソフト「リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~」。本作の反響や発売後のDLC展開などについて、総合プロデューサーの細井順三氏、開発プロデューサーの菊地啓介氏にインタビューを実施した。

――発売から1ヶ月が過ぎましたが(※インタビューの実施は1月下旬)、ユーザーからの反響はいかがでしょうか?

菊地啓介氏

菊地氏:絵画の世界の楽しさや調合・バトルで取り入れた要素を通じて、こういう感情を味わってほしいと考えていたところに関しては一定の評価はいただけたかなと思っています。機種ごとのグラフィック面など、まだ技術的なところでは意見をいただいている部分もありますので、そのあたりは今後何らかのかたちで対応していきたいです。ただ、今回のタイトルで一番こだわっていたゲームサイクルをテンポよく進められたところは手応えを感じています。

細井氏:ゲームのテンポや内容は比較的好評だったという印象があります。そして、絵画世界というテーマに関しても概ね好評に受け取っていただけたかなという認識を持っています。

菊地氏:今回は「不思議」シリーズの集大成と謳っていたので、シリーズを通じてのお話が回収できているかというところは細井がプロジェクト立ち上げ当時からこだわっていました。そこに関しては満足いただけたのはないかと感じています。

――今作のキーワードでもある絵画の世界の表現について、改めてこだわった点、実際に画面に落とし込めた点をお聞きできますでしょうか?

菊地氏:RPGのマップは地続きだったりそうでなかったりとさまざまですが、本作では今いる日常とは違う絵の世界があって、その世界ごとに異なるお話が繰り広げられます。長編の中でさまざまな短編が用意されているような、違う世界を適度に行き来してお話を進めていく、新鮮な感覚を保てたのではないかなと思います。

日常と絵の世界の違いを表すために絵作りや音作りをやったり、絵の中でしか出来ないことやレアなアイテムを用意したりしましたが、そうした細かな違いはプレイしながら感じていただけたのではないかなと思っています。

細かいところも積み上げていくというのは一番初めにゲームを作る上で大切にしていた部分です。派手でわかりやすいところだけではなくて、それぞれの絵の世界に世界観を生み出す、下支えになるような根っこの部分を作っていきたいと考えていました。

――発売前に東京ゲームショウ(TGS)への出展、ユーザーを招いての体験会、そして発売直前の体験版の配信と段階的にプレイする機会を作っていましたが、それぞれ触ってもらった上で反映したり参考にした部分はあるのでしょうか?

菊地氏:今回、完成度に関してはある程度行けるだろうと考えてはいて、安定して動くところやそれぞれ細かいところまで作っているということをユーザーのみなさんに伝えたいと思って、TGSでの試遊出展や体験会を実施しました。そこで品質と絵の世界という方向性、そしてキャラクターに関しては評価していただけたと思っていて、その上でプレイの様子を見てわかりにくかったところやゲームの進め方については、細かい部分の調整として反映させていただきました。

体験版については発売直前だったこともあり、体験からフィードバックさせていただくというところは難しかったのですが、そこでいただいたご意見は今後の開発に反映していきたいと思います。

――今回はPS4、PS Vita、Switchという3つのハードでの展開でしたが、遊んでいる方のバランスはどのぐらいの感触でしょうか?

菊地氏:全体の半分ぐらいの方がPS4で遊んでいただいていて、残り半分ずつの方がPS VitaとSwitchでそれぞれ遊んでいただいている感じです。Switchに関しては年末にかけてソフトが品切れになってしまい、ダウンロード版を買われている方も多かったです。

――調合システムは実際に遊んでみると、活性化アイテムの意味の大きさを感じました。手に入る材料のバランスも含めて、段階的に楽しめるようにする配慮が感じられましたが、いかがでしょうか?

菊地氏:細井と私で共通していたのが、「アトリエ」シリーズ20周年で、かつSwitchで初めてのタイトルだったので、わかりやすさが重要だということでした。ひとつひとつの要素を理解するステップを踏んでいくことは気持ちいいことだと考えていて、その点は細井のディレクションによってゲームデザインとして組み込まれていきました。

細井氏:「フィリスのアトリエ」では一気に世界が広がった分、とっつきにくい部分があり、ユーザーさんからご指摘もいただいていました。そこで今作では、少しずつシステムが解放されることを意識していました。菊地が一番言っていたのは、新システムの公開が遅くなったとしても、何よりもわかりやすさを優先するということでした。逆に既存のユーザーさんにとって序盤のほうで新鮮味が感じられなかった部分があったのかなというのは反省点でもあります。

菊地氏:結果的にユーザーさんからそういったご意見はいただきましたが、初めて遊ぶ方にとってはキャラクターやお話、システムと覚えることが多くて大変なんじゃないかと感じていたので、そういうご意見はあるかもしれないと思いつつも、あえて段階的に解放するようにしました。

――コンビネーションバトルは前衛と後衛の組み合わせが決まってくる印象を受けたのですが、これは意図してなのでしょうか?

細井順三氏

細井氏:前・後衛で相性の良いキャラクターは確実に存在していてそれは意図したものではあります。ただ、ゲームの難度からすると効率的に遊ぶのであれば相性の良さは重要になってきますが、相性の良いキャラクターでしかクリアできないというバランスにはしていないので、好きなキャラクターでチームを組んで遊んでいただくのが正統派のプレイではないかと思います。

これから追加されるダウンロードコンテンツで強いキャラクターも出てきますので、そこに関しては相性の良いキャラクターの前衛・後衛の組み合わせを意識するとより倒しやすくなるというのが、我々が考えているゲームバランスです。

――実際にプレイしてみると、フィリスはアイテムなどの属性攻撃からの発動でかつ回数が制限されているなど、キャラクターによって発動するフォロースキルの系統が分かれている印象を受けました。

細井氏:今回のバトルシステムは、MMORPGにおけるロールを意識している部分もありますが、結果的に効率的か否かというところに集約されてきてしまうので、あえて押し出す部分ではなかったです。

――あくまでもプレイしてみて、そういう遊び方を楽しみたい人に向けてということですね。

細井氏:そうなります。例えばマティアスのように身を削って敵を倒すみたいなスキルも入っているので、遊ぶユーザーさんごとに戦い方も変わってくると思います。

――各フィールドの探索ではエリアごとの全体マップが見られても良いのかなと思ったのですが、その点はいかがでしょうか?

菊地氏:探索している感じを出すために全てを把握できないようにしたのですが、実際に遊んでいる方からも同様の意見はいただきましたね。

細井氏:見えすぎるとゲームが効率的になりすぎてしまうという点から、そこは担当者のこだわりでもありましたが、縮小マップの縮尺度はわかりにくいところはあったかと思います。加えて、マップによって採取ポイントが見つけにくく、近づないと採取できるかどうかが分かりにくかったことも、ストレスを与えてしまった部分ではあると思います。

――マップを冒険してもらう上で意識した点はありますでしょうか?

菊地氏:探索にかかる部分はそこまで変えてはいないのですが、フィリスでは広大なマップになっていて、採取できる場所や系統が多かったので、とにかくテンポよく採取できるようにすることは意識しました。それぞれの絵の世界ごとに採取の密度を変えて、メリハリがつくようにしています。

――前作ではマップでのアイテムの使い方やアクションが少し大雑把に感じていたのですが、今作ではより丁寧になっている印象もありました。

菊地氏:最初に掲げたのが全体の完成度やユーザーさんの満足度、ゲームの密度を上げたいということだったので、そういったところはしっかりと作っていきたいと思い、アニメーションを入れたり、連続で採取できるようにしたりといったものは加えていきました。機能的には同じなんですけど、リディーとスールでアニメーションや曲が違ったりと、両方試してみようと思えるような遊びの部分を充実させたいというのはありました。

――エリアごとの広さやマップの数は過去2作のちょうど中間ぐらいのボリュームかなという印象でした。

菊地氏:マップの数自体は「ソフィーのアトリエ」よりは少なく「フィリスのアトリエ」よりは多い、1つのエリアの広さに関しては「フィリスのアトリエ」よりは小さいけれども「ソフィーのアトリエ」よりは大きいという感じになっています。今回は絵画世界を表現するということもあり、1つ1つが遊びやすいサイズになっていることが重要だと思っていて、その中で過去2作のいいところを上手く混ぜ合わせようという意図でした。

――絵画の世界と現実世界を通じて日常と非日常を行き来していくというのがゲームの流れですが、そうして描かれるストーリーの中でどういったことを表現していこうと考えていたのでしょうか?

細井氏:ストーリーについては姉妹愛や家族愛というテーマで作っていて、かつ「不思議」シリーズの終わりというところも意識しています。基本的にはリディー&スールの物語であるというのはいろいろな場所で申し上げていて、そこに家族としてどういう関わりがあるのかというのは1話の伏線から皆さんだいたいおわかりになっていると思いますが、最終的にこの家族にはどういう物語があるのか、というのが解き明かされていくストーリーラインにしたかったというのはあります。

そして、ゲームを通じて日常と非日常を繰り返していくことになりますが、最終的にどちらも日常になっていくというところもポイントとしてあります。仲間との出会いも含めて2人の一部となっていって、絵画の世界に行くことも新鮮味はありつつも、日常の延長線上になっていくというところも含めてのストーリーの作り方になります。

――今回はキャラクターとのイベントも普段の生活の中で発生していて、そのあたりにも日常感を感じるとともに「ソフィーのアトリエ」の感覚に近いところもありました。

細井氏:メインストーリーだけでなく、キャライベントや日常イベントでもキャラクター造形をきちんと描くというのは意識していました。それによってキャラクターに対しての愛着や印象など、メインストーリーだけで描けないようなことを上手く補完できたことは大きなポイントとしてあると思います。

――今後はアップデートやDLCの展開が順次行われていきますが、内容に関するポイントなどありましたらお聞かせください。

菊地氏:絵画世界というところがひとつのテーマとしてあったので、別の絵画世界を用意するということをベースにして、それ以外にもキャラクターを追加することでコンビネーションバトルにおける遊び方を変えるようなものを用意したいというところが軸としてありました。

細井氏:菊地が話した通り、ぜんぜん違うマップにキャラクターを置いてみたいというのはありました。「BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣(以下、BLUE REFLECTION)」のような、日本人がよく知るような学校風景に「リディー&スールのアトリエ」のキャラクターたちがいたらどれだけ違和感があるのかというのは、私自身も楽しみにしつつ作っています。そのほかに関しては順当なDLCになるように意識して進めていきました。

――「よるのないくに2 ~新月の花嫁~(以下、よるのないくに2)」、「BLUE REFLECTION」というガストブランドタイトルとのコラボレーション実施は、当初から考えていたのでしょうか?

菊地氏:コラボレーション自体は最初から考えていたわけではなかったのですが、発売後も全然違う世界に行けるものを絵画マップとして楽しめるように提供していけたらいいなとは思っていました。それ以降、どういう世界観がいいだろうという話を重ねていく過程で、2つのタイトルがはまっていったという感じです。細井のほうでは全て達観して最初から考えていたかもしれませんが。

細井氏:いや、私も最初は考えていませんでした(笑)。

――具体的にどのような内容になっているのでしょうか?

細井氏:基本的には追加採取地みたいな位置づけにはなっています。エピソードも用意していますが、「リディー&スールのアトリエ」のアフターストーリーみたいな位置づけではなく、キャラクターを補完していくような感じになると思います。

「BLUE REFLECTION」のマップは原種と戦えること、「よるのないくに2」のマップは「リディー&スールのアトリエ」のキャラクターたちを置いても違和感なく楽しめることがポイントかなと思います。

――今回は追加キャラクターとしてルーシャとイルメリアもバトルに参加できるようになりますが、キャラクターのチョイスやバトルスタイルについてもお聞かせください。

細井氏:いろいろな方の反応も見て最終的に追加キャラクターを決めようと思い、この2人になりました。ルーシャに関してはタイムカードを駆使して味方をサポートするキャラクターをイメージしていただければと思います。イルメリアに関しては完全なる攻撃型で、戦闘力の高いキャラクターをイメージして作っているという状況です。

――また、今回はシーズンパスの形式も用意しているなどお値段もそれなりになっていますが、全体のボリュームについてはいかがでしょうか?

菊地氏:買っていただく方には楽しんでもらえるようなボリュームは用意していますが、無料のコンテンツも用意していますし、気になるコンテンツのみを単品で買っていただくかたちでも良いので、遊び方に合わせて自由に選択していただければと思います。もちろん、購入いただいた方には損をさせないようにというところは常に考えています。

また今回のDLCが喜んでいただけるようでしたら、いろんな絵を用意していきたいという気持ちはありますが、ほかにも作らないといけないものがいっぱいあるので、そこは私の個人的な考えではあります。

――まだDLCを残してはいるものの、「不思議」シリーズの集大成というかたちで本作が発売を迎え、20周年も盛り上がった「アトリエ」シリーズの今後の展望などがもしありましたらお聞かせください。

菊地氏:「リディー&スールのアトリエ」は「不思議」シリーズの最後として謳っているので、また次の「アトリエ」は何かというところは当然あるかと思います。そのほかにも、20周年のイベントやグッズ展開などで「マリーのアトリエ」から始まる歴代のキャラクターたちに触れていただく機会があり、反響もいただいたので、もう一度ユーザーのみなさんに還元できるようなものを準備したいと思っています。

「アトリエ」シリーズはどんどんお話やシリーズが変わっていき、過去のキャラクターがなかなかお目見えする機会がないので、そういったキャラクターたちと会えたらいいなという思いはあります。20周年を発表してから「リディー&スールのアトリエ」までで折り返し地点だと思っているので、そういったみなさんの声を反映できるようなものを今後何らかのかたちで用意していきたいと思います。

細井氏:今お話できることはまだないのですが、順調に開発が進んでいけば、DLCなどを遊んで満足していただいた頃には、何かしらの発表ができるかもしれませんので、続報にご期待下さい。

――ありがとうございました。

「リディー&スールのアトリエ」特集ページ

リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~

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リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~

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リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~

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