タカラトミーは、3月15日に東京・大手町のパレスホテル東京で「人生ゲーム50周年事業発表会」を開催した。ここでは、本発表会の模様をお届けする。
目次
まずはじめにタカラトミー代表取締役社長の小島一洋氏が登壇。開会の挨拶が行われた。今年で発売開始から50年になるアナログボードゲームの「人生ゲーム」。昨年50周年を迎えた「リカちゃん」と来年60周年を迎える「プラレール」、そして再来年50周年を迎える「トミカ」と並んで、同社を代表するロングセラー商品となっている。
元々「人生ゲーム」は、1968年に当時タカラの創業者だった佐藤安太社長が、米国で流行っていたゲームを日本に導入したものだ。当時の日本では、子供たちがお金について考えるようなことを、はしたないと思う文化があった。
だが米国では、子供たちがお手伝いやアルバイトでお金を稼ぎ、大学には自分でお金を稼いでいくといような、経済的・精神的に独立していた。これらの文化を言葉で日本に持ってくるのは難しい。だが、「人生ゲーム」を通じてなら、その思いが伝わるのではないかと思ったのだという。
累計1500万個以上売れたのは、勝ち負けだけではなくプレイをする中で、親子間や世代を超えたコミュニケーションを愛してもらった結果であると語った。
オリジナル版開発者からのビデオメッセージ
先ほども述べたとおり「人生ゲーム」は海外のゲームを元にしたものだが、そのオリジナルである「The Game of Life」の開発者ルーベン・クレイマー氏より届いたビデオメッセージが会場内に流された。
ルーベン・クレイマー氏のメッセージ
こんにちわ!今日は、「人生ゲーム」の50周年という特別な式典にこうしてビデオで参加できることを光栄に思います。
1967年の後年、日本にそのゲームが上陸して翌年「人生ゲーム」として発売されました。「人生ゲーム」は瞬く間にヒットし、今では日本でのNO.1であり続けています。
ご存じのように、現在「The Game of Life」はハズブロ社から59の国と地域で販売されています。そして英語から26の言語に翻訳され、ハズブロ社では合計7000万個を販売し、日本ではタカラトミーが累計1500万個を販売しました。
あらゆる画期的な出来事に対して私は光栄であり、恐れ多くさえ感じます。このゲームに対する高い評価を誇りに思っています。日本における高評価は、さらに特別なものです。
日本の親子の世代が一緒になって「人生ゲーム」をプレイしながら、教育、成功、家族作りなど、人生におけるさまざまな疑似体験を楽しんでいるのです。
私のゲームを買うことで、美しい文化の一部を作ってくれた日本の親御さんたち、親愛なるタカラトミーの仲間へ、長年にわたる賞賛すべき努力と私への友情に、心から感謝します。
そして、ゆるぎない人間関係とパートナーシップを心に刻みます。あなた方は間違いなくイチバンです!さよなら!
最新版「人生ゲームタイムスリップ」では過去と未来の100年間をタイムスリップ!
次に、タカラトミー ゲーム事業部 トイゲーム課人生ゲーム ブランドプロデューサーの池田源氏が登壇。「人生ゲーム50周年」の事業計画が発表された。
まずは新商品の「人生ゲームタイムスリップ」だ。こちらの商品は、50周年記念ということで、50年前の日本にタイムスリップし、そこから現代向かって旅をするというコンセプトで作られている。
50年間というとさまざまな出来事が起きたが、大きなものから小さいものまで盤面を見ているだけでも楽しめるようなものとなっている。本作には建物も登場するが、実際の建造物が取り上げられている。たとえば、ゴールには現在建設中の新国立競技場が、完成した形で登場する。
付属しているカードは、年代によって価値が変わるようなシステムになっている。そのため、どのタイミングで売ったり買ったりするかといったことも重要となるのだ。
盤面のメインステージはこれまでの50年になっているが、追加のサブステージは未来50年分になっており、合わせて100年分遊ぶことができる。ちなみに未来ステージは、実際に起こることが決定しているものと、想像上の未来が交ざっている。
発売は3月31日で価格は3980円(税抜)だ。
連載中の作品とレジェンド作品が登場する「週刊少年ジャンプ人生ゲーム」が7月に発売
続いて発表されたのが、創刊50周年を迎える「週刊少年ジャンプ」との特別コラボ企画「週刊少年ジャンプ人生ゲーム」だ。これは、現在連載中の作品に加えてレジェンド作品約50作をゲームの中に詰め込んだものとなる。
盤面にも、歴代の有名なシーンやセリフなどがふんだんに盛り込まれており、まるで漫画を読んでいるような気分にさせてくれるのだ。
「人生ゲーム」のコマといえば車だが、今回はジャンプとのコラボということでキャラクターがコマに選ばれている。カードもジャンプのキャラクターが相登場し、賑やかな内容となっている。
ここで週刊少年ジャンプの編集長である中野博之氏が登壇。トークショー形式でセッションが行われた。
――週刊少年ジャンプと人生ゲームが同じ50周年ということで、タカラトミーから「週刊少年ジャンプ人生ゲーム」が発売されます。実は、20年前の30周年記念のときもコラボレーションがありましたよね?
中野氏:そうです。実はコラボは初めてではなく、20年間にも行っています。「こちら葛飾区亀有公園前派出所」と、当時連載が始まったばかりの「ワンピース」と「世紀末リーダー伝たけし!」の3作品でコラボした人生ゲームを作り、読者プレゼントをしています。
――読者プレゼント用で作られたのですね!
池田氏:そうです。これは販売したものではなくて、懸賞に当たった人しかもらえませんでした。
――ただ、お互い50周年の今回は……。
池田氏:よりパワーアップして(笑)。今回は販売しますので。
中野氏:欲しい人は必ず手に入るという形になっています。
――今回の「週刊少年ジャンプ人生ゲーム」を作るにあたり、一番最初にどんなゲームにしたいと思いましたか?
中野氏:どちらも歴史が長くファンが多いものだと思いますし、どちらも両方好きというお客さんもいっぱいいると思います。せっかくのタッグですので、「人生ゲーム」が好きな人も、このゲームをプレイしたら、「週刊少年ジャンプ」のキャラクターの魅力が初めて分かるような……逆に、少年ジャンプのファンの人たちも、「人生ゲーム」を楽しむとゲームの面白さがわかるようなコラボレーションになるといいなと思いました。
――両方のファンが楽しめるような感じですね。
中野氏:まだまだ改良を加えていますが、そんなゲームになってきていると思います(笑)。
――そんな熱い想いを受け取ってゲームを作っていると思いますが、結構大変でしたか?
池田氏:尋常じゃない数のキャラクターなので(笑)。開発担当者はコミックスを全部読んで、どのシーンを使おうか本当に悩んでいました。人によって好きなシーンがあるので。
――編集長は小さい頃に「人生ゲーム」で遊ばれたことはありますか?
中野氏:もちろんあります。多分私の家にあったのは3代目のものだと思いますが、田舎の大家族だったのでお正月にみんなで集まって遊んでいました。だいたい借金まみれになってしまいましたが(笑)。
――池田さんから見て今回のオススメポイントはどこですか?
池田氏:「人生ゲーム」というと、お金をいかに稼いでいくかというゲーム内容ですが、「週刊少年ジャンプ人生ゲーム」ではお金の代わりに「Jメダル」というのが登場します。この「Jメダル」をいかにたくさん集めるかで優勝が決まるのですが、そのためには仲間をたくさん集める必要があります。そこがすごく楽しいですね。
中野氏:ジャンプの漫画は「友情・努力・勝利」というのがありますので、友情で仲間を集めて勝利をするというゲームになっています。
――仲間は漫画の垣根を越えて集められるのですか?
中野氏:そうですね。連載中のものからレジェンド級のものまで入っていますので、50年ならではのコラボレーションになっています。
――現在試作中ということですが、ゲームが形になっていくのはどんな感じですか?
中野氏:すでにかなり面白そうです。コマも改良中ですが、すごく出来がいいです。一番担当編集がうるさいところですが、かなり出来はいいですね。
――ありがとうございます。
この「週刊少年ジャンプ人生ゲーム」は今年の7月発売予定で、価格は4500円(税抜)だ。
「ラスベガスでかけをして」リアル億万長者になれるキャンペーンも実施!?
ビッグなコラボ以外にも、「人生ゲーム」らしいキャンペーンとイベントが開催される。ひとつ目は「リアル億万長者キャンペーン」だ。こちらはウェブで応募して当たると、ラスベガスツアーに参加できるだけではなく、その場でギャンブル資金である2000ドル(約21万円)がもらえるというもの。応募開始は3月31日からだ。
夏に予定しているのが、「50th人生ゲームフェスタ人生ゲーム日本一決定戦」だ。歴代の「人生ゲーム」が展示されるほか、さまざまなアトラクションが用意されている。また、全国日本一大会を実施し、優勝者は同じくラスベガスツアーに参加することができる。
なぜこんなにラスベガスにこだわっているのかというと、実は初代「人生ゲーム」に「ラスベガスでかけをして$50,000をもうける」というコマがあるからというのが理由だそうだ。
「人生ゲーム」と同じ1968年生まれの荻野目洋子が登場!
自治体や各種企業・団体とのコラボレーションの紹介が行われたあと、本日のスペシャルゲストである荻野目洋子さんが登壇。池田氏を交えて、荻野目さんと「人生ゲーム」の歴史を振り返るトークショーが実施された。
おなじみのヒット曲「ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)」とともに現れた荻野目さん。本日は歌の披露は無かったが、曲が流れていたので「踊った方がいいですか?」とおどけていた。
――荻野目洋子さんも「人生ゲーム」と同じ1968年のお生まれですね?
荻野目さん:そうなんですよ。でもまだ50歳になっていません(笑)。今年の暮れには同じく50歳になります。
――50年前の1968年にタイムスリップしたいと思います。この年には、大学紛争やメキシコオリンピック開催、三億円事件などがありました。
荻野目さん:まさに、私三億円事件の日に生まれたんですよ。1968年の12月10日。だから、記憶にはまぁないんですけど、その後もずっとその日だったんだなという思いがありました。
――そんな時代に生まれたのが日本版の「人生ゲーム」です。当時はどんなゲームでしたか?
池田氏:元々は「The Game of Life」というアメリカで生まれたゲームでした。日本はすごろく文化が根付いており、サイコロを振って最初に上がった人が勝ちというルールでしたが、この「The Game of Life」はルーレットを回してドル紙幣をたくさん稼いだ人が勝ちという、センセーショナルな内容でした。
荻野目さん:本当に勉強になりました(笑)。ゲームの中で札束に触れる優越感みたいなものも覚えていますね。
――荻野目さんは小学生時代に「人生ゲーム」を遊ばれたことはありますか?
荻野目さん:時間のある限り力説したいのですが、私が生まれたときにはもう家に「人生ゲーム」がありました。初代の。そのパッケージが目に焼き付いていまして、ボロボロになるまで毎年年末になると家族で遊んでいました。物心ついたら、ルーレット回していたという感じで(笑)。
お金が束になった感じがわくわくしますし、子供が生まれたらお祝いがもらえるんだとか、幼い頃なのに疑似体験ができました。なおかつ大人と一緒に争え、負けず嫌いだったのでもう1回やりたいとか言っていました。これをやらなければ年を越せないといった感じです。
――「人生ゲーム」は1968年の発売から10年ぐらい、大きなモデルチェンジはありませんでした。
池田氏:ここまではなかったのですが、1980年にアメリカ版がリニューアルされたのに合わせて日本版もリニューアルしています。その3年後に衝撃的な「人生ゲーム」が発売されています。これまでアメリカ版の直訳だったのが、初めて日本オリジナルの「人生ゲーム」になりました。
――ゲームの中で職業カードを使えるようになったのも、3代目からですよね。
池田氏:そうですね。これまでも職業はありましたが、職業カードはここから始まりました。
――バブル時代の「人生ゲーム」はどのようなものだったのでしょうか?
池田氏:「人生ゲーム」もバブル版が出まして、「人生ゲームロイヤル」という高級版が発売されました。コルクボードっぽい感じに、金色の山とカジノのルーレットのようなものが付いています。
その後、昭和から平成に時代が変わり、その時に初めての大人向け版「人生ゲーム平成版」が発売されています。
――一方、荻野目さんも歌手としてはもちろん、女優やタレント活躍され、2001年にご結婚されています。2002年、2004年、2006年に女の子を出産されて、現在5人家族ですね。
荻野目さん:まさに「人生ゲーム」の車にピンが足されていったみたいで。ピンクが多めの。
――2000年代から現代まで、特にヒットした「人生ゲーム」を教えてください。
池田氏:この時代になると、バブルがすっかりはじけてしまいまして。これに反応して「人生ゲームB&B(ブラック&ビター)」という辛口のものが発売されています。その後、「人生ゲームM&A」が発売されています。海外の企業買収などが話題になり、日本でも初めて「M&A」という言葉が入ってきました。そこで反応して、企業買収の「人生ゲーム」を発売しています。
――最後にひとつ質問があります。最新版「人生ゲームタイムスリップ」が発売されるのですが、過去・未来にタイムスリップするなら、どんな時代に生きたいですか?
荻野目さん:私は日本の古い時代に行ってみたいですね。江戸時代とか。自分の住んでいる場所の歴史や、日本人が元々持っている良さみたいなものをのぞいてみたいなと思うことは、よくあります。
――本日はありがとうございました!