2018年4月3日、グランサイバーカフェ バグース新宿店にて、「VIRTUAL GATE」のメディア体験会が実施された。ここでは、「Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト」のインプレッションをお届けしていく。
「Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト」がネットカフェでプレイ可能に!
「VIRTUAL GATE」は、全国のネットカフェで手軽にVRコンテンツを体験できるサービス。全国約600の対応店舗に直に足を運び、通常の利用料金に+300円を支払うだけで、時間制限なくVRデバイスを自身のブース内で利用できるという画期的な内容だ。
「VIRTUAL GATE」イメージキャラクターを務める、バーチャルYouTuber「キズナアイ」による紹介ムービー
「Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト」は、人気スマートフォンゲーム「Fate/Grand Order」(以下、FGO)を題材としたVRドラマ。これまではプレイステーションVR(PS VR)専用のタイトルとしてプレイステーションストアにて配信されていたが、2018年4月5日からは「VIRTUAL GATE」向けへの配信もスタートしている。
既にPS VR版をプレイしたという読者も多いかと思うが、改めてその概要から解説していくと、本作はその名前の通り、「FGO」のヒロインである「マシュ・キリエライト」に焦点を当てた「Fate VRドラマ」だ。プレイヤー(マスター)の拠点である「カルデア」内で、マシュと交流しながらトレーニングを行っていく……というのが主なVRドラマの流れ。「VIRTUAL GATE」版の操作はゲームパッドで行うが、VRドラマの進行に必要になるのは決定ボタンのみ。他のボタンを押すことで、自分自身以外の角度の視点にカメラを変えて、違った方向からマシュを眺めることもできる(シーンによって見える角度や数は異なる)。
VRドラマはカルデア内の一室からスタート。部屋の中にはいろいろな小物や、「FGO」ゲーム内でもお馴染みの聖晶石などが配置されており、自分の周囲をよく見回すだけでも様々な発見があり面白い。マシュと会話している途中、レオナルド・ダ・ヴィンチから通信が入る場面では、ゲーム中にも登場する通信時のウインドウがどのように表示されているのかなども知ることができ、「FGO」の世界の中に入り込んだような気分を味わえる。
マシュが制服から戦闘用のトレーニングウェアへの着替えを始めるシーンでは、思わず気恥ずかしさから目をそらしてしまった。頭の中ではこれはVRドラマだと理解していても、いざ自分の目の前の等身大の女の子の姿を見ると、本当に存在しているかのように錯覚し、注視するのは何か悪いことをしているような気分になってしまう。例えお色気シーンであっても、ゲーム内のキャラクターを見るのに罪悪感を覚えるというのは、これまでのゲームプレイではあまり感じたことのない、VRならではの体験だった。
その後は体育館へと移動し、ゲームでもお馴染みの「クイック」「アーツ」「バスター」の3種類のコマンドカードの中から一つを選ぶと、それぞれに応じたトレーニングをマシュが行う。バランスボールやダンスなど、本当に戦闘の訓練になるのか疑念を抱きたくなるようなツッコミどころもあるが、様々な角度からマシュの姿を堪能できるのが嬉しい。
一つの訓練が終了するとEXカードが出現し、これを選ぶと今度はマシュがイメージした攻撃モーションを披露してくれるのだが、勢い余ってアクシデントが起こってしまう。
感動したのは、この際に気を失っていたプレイヤーの意識を確認するため、マシュが目の前で手を振るシーン。マシュの手が文字通り目と鼻の先にあり、手を伸ばせば触れられるのではないかと思ってしまうほどリアルな存在感がある。いつの日か、視覚だけでなく触覚も擬似的に再現できるようになれば、本当に現実に帰って来られなくなるのでは……と思わず妄想してしまう。
一方、「マシュ・キリエライト VRドラマ」(以下、マシュ編)を進めることでメニュー画面に現れる、もう1つの物語として話題となった「アルトリア・ペンドラゴン VRドラマ」(以下、アルトリア編)は、「VIRTUAL GATE」版でも健在。アルトリア編はマシュ編とシチュエーションが大きく異なり、別荘のような場所でアルトリアとの休暇を満喫することができる。
マシュ編と同様に、「アーツ」「クイック」「バスター」の3枚のコマンドカードによってアルトリアとの異なる過ごし方を楽しめるが、中でも印象に残ったのは、ガンシューティングゲームのようにアルトリアと水鉄砲での打ち合いが楽しめるアーツを選んだ時。水が命中して衣装が濡れる様もセクシーなのだが、何よりも何度水を当てられても敗北を認めず、逆にこちらに一発命中させた途端に勝ちを宣言する負けず嫌いな一面が実に可愛らしい。
その後には、突如として周囲の雰囲気が代わり、巨大なドラゴンが出現。すぐにアルトリアも戦闘時の姿に変身して応戦することになり、サーヴァントの戦いを見守るマスターの視点そのものを疑似体験できる。最後には宝具「約束された勝利の剣」を発動する一幕もあり、「Fate/stay night」の直撃世代でもある筆者としては、10年以上の時を経て自分が衛宮士郎(stay nightの主人公)になれたようで喜びも一塩だった。
VRの入門用にオススメの一作
ここまでおおまかな内容を紹介してきたが、既にPS VR版をプレイされた方はお気づきの通り、基本的な内容はPS VR版と変わっていない。(コントローラーが違うなど、操作性に細かい変更はある)ただ「VIRTUAL GATE」版では、PS VR版ではマシュ編のクリアが必要だったアルトリア編を最初から選択可能になっているという違いがある。既にマシュ編をプレイしたことがあったり、先にアルトリア編からプレイしたいというニーズにも答えた仕様となっている。
注意するべきは、「VIRTUAL GATE」版ではメガネを着用しながらのプレイができなくなっている点だ。これは「VIRTUAL GATE」に採用されているVRヘッドマウントディスプレイ「FOVE」が、プレイヤーの目線を認識しゲーム内に反映させる「アイトラッキング」の機能を前提として設計されており、認識を阻害してしまうとメガネやコンタクトレンズの着用が推奨されないため。
幸いなことに、本作に関してはプレイ中に表示されるメッセージが大きめなのと、マシュ達を操作して敵を倒すといった要素はないので、少々視界が悪化しようともプレイに支障が出ることはない。ただ、部屋の中に隠された小ネタなど、あますことなく「FGO」の世界を堪能するには、よく見える方が良いのは言うまでもないだろう。本作にはアイトラッキングを活用した機能はないので、視力が悪く、コンタクトレンズを持っているならそちらの着用を勧めておきたい。(メガネも形状によっては着用したままプレイできるが、故障時などの保証はできないとのこと)
今回の体験会では、スタッフの面々に見守られながらの衆人環視の中でのプレイだったため、なかなか気恥ずかしい部分もあったのだが、実際の店舗では自身のブース内での利用になるため、周囲の視線を気にする必要はない。PS VR版と同様に、思う存分にマシュやアルトリアとイチャつく(?)ことができるので、安心して欲しい。
また本作は激しく視点が動いたり、カメラがプレイヤーの意図しない動きをすることがないので、VRの課題の一つである3D酔いが極めて起こりにくいのも特徴。複雑な操作を要求されることもないので、VR初心者が最初にチョイスするのに最適の作品となっている。
これまで、「前から気になっていたけど、そのためだけに高価なデバイスを購入するのは……」と尻込みしていた「FGO」プレイヤーはおそらく少なくないだろう。そんな人にこそ、気軽にネットカフェに足を運び、利用料金に+300円を支払うだけで本作をプレイできる「VIRTUAL GATE」のサービスを体験していただきたい。
「VIRTUAL GATE」には、無料コンテンツ以外に有料のタイトルも利用できるようになっているが、「Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト」に関しては、無料で全てのコンテンツをプレイ可能だ。また一通りプレイするだけなら、比較的短時間で遊ぶことができるこという点も、「VIRTUAL GATE」との相性がいいと言える。これをきっかけにVRの楽しさに目覚めたら、PS VRなどの家庭用のVRデバイスの購入に踏み切るという選択肢もアリだろう。
そんな様々な相乗効果により、これまでハードルが高いとされてきたVRの敷居を下げる役割を果たしてくれるのではと期待させてくれる「VIRTUAL GATE」と「Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト」。既に全国の約600店舗のネットカフェにて配信がスタートしているので、事前に公式サイトで導入店舗を確認し、そのサービスを体験してみて欲しい。
製品概要
タイトル名:「Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト」
対応機種:FOVE
制作:TYPE-MOON / FGO PROJECT
配信:VIRTUAL GATE
配信開始日:4月5日(木)15:00~
価格:無料(インターネットカフェの利用料金は別途必要)