Netmarbleがリリースした「デスティニーナイツ」は、ディフォルメキャラや飛空艇といったモチーフが古き良きRPGを連想させるアクションRPG。レトロRPGなら思わずグッとくる本作の魅力に迫りたい。
「デスティニーナイツ」は、 Netmarbleが8月にリリースしたアクションRPG。まず見てほしいのがグラフィック! スーパーファミコンからプレステ1にかけての時代をホーフツとさせる3頭身のキュートなディフォルメキャラ。そして飛空艇! これだけでも胸がグッとアツくなる人は少なくないんじゃないだろうか。
筆者もスーファミやプレステでRPGをプレイしまくった世代。もちろん、プレイ前から興奮せずにはいられなかった。この興奮がプレイ後にはどう変化したか? プレイレビューとしてお届けしたい。
ブレイクとストライカー!2つのシステムで効率的に戦うバトル
キャラを操作して敵の攻撃を避けつつ、敵を倒していく…本作のバトルはパッと見、アクションRPGとして極めてスタンダードなものに見える。
ただ、プレイしてみるとスマホに合わせて思い切ったカスタマイズがなされていることに気づくだろう。まず、移動も通常攻撃も基本はオート。なので、見ているだけでも攻略を進めることが可能だ。「え?それじゃあアクションRPGじゃなくてフツーのスマホRPGじゃない?」そう思った人がいてもおかしくはない。しかし、アクション性はしっかり保たれている。
というのも、敵が強力な攻撃をしかけてくることがあり、その回避はプレイヤー自らキャラを動かさなければならない。さらに、「ブレイク」システムもアクション性を高めるのに貢献している。敵がスキル攻撃を放つ際、赤いカウントダウン表示が出現。この時に「ブレイク」系のスキルを放つと敵が「ブレイク」状態となり、通常より多くのダメージを与えることができるようになる。
さらに「ブレイク」システムの先には「ストライカー」システムが用意されている。これは、バトル中ストライクポイントが満タンまで貯まると、「ストライカー」と呼ばれるパーティーメンバーの4人目を召喚し、スキルを使用できるというもの。ストライクポイントは敵にダメージを与えることで効率的に貯まっていくため、与ダメージ量をアップできる「ブレイク」と組み合わせれば、より効果的にダメージを与えられるわけだ。
こうしたシステムによって、プレイ中は「回避」と「ブレイク」のタイミングに神経を集中することになる。「ブレイク」させたらさせたで、「ストライカー」を召喚するかどうかという判断が発生。なので、移動と通常攻撃がオートといったところで、アクションゲームのようなプレイ感が楽しめるのだ。
ちなみに、周回プレイ用のオプションとして倍速機能とスキル使用まで完全に自動化する機能も用意されている。ただこれらは本当に周回プレイ用のオプションだ。レアキャラの入手具合や育成状況にもよるが、現在進行中のステージで完全オートプレイすると、基本的に苦戦してしまうバランス。アクションゲームとしての手触りに注意して作られた作品と考えていいだろう。
育て上げる楽しさが堪能できる進化システム!
キャラの入手は「召喚」と呼ばれる、いわゆるガチャで行う。キャラの育成は、経験値入手によるレベルアップという王道システム。経験値はステージクリアによっても獲得できるが、保有しているキャラを合成することでも可能。さらに、素材を使用した「覚醒」と、レア度をアップさせる「進化」が行える。
特筆すべきは「進化」。「進化」システムでよく見られる形式は、同キャラ同志を合成してレア度をアップさせるという形式だが、本作ではレア度が同じキャラを、指定された数用意すればよい…というもの。ガチャで同キャラを引き当てる形式だとかなり運頼みになってしまい、なかなか進化させることができないが、本作のシステムなら比較的簡単にレア度アップが可能だ。…もちろん、本作であっても★5以上のキャラはなかなか獲得しづらいのだけど…。
とはいえ、★の少ないキャラを入手しても★4くらいまでだったらスムーズに育てることができる。なので、好みのキャラを育て上げていく…というRPGのだいご味をタップリ味わえるのだ。
細やかに作り込まれた世界観!完成度の高い作品
最後に本作のストーリーについて触れたい。かつて1つの大陸だったネルソールがバラバラになり、6つの大陸にほどの「大災害」から世界を守ったの6人の使徒「デスティニー6」。その「デスティニー6」を探し求めて旅を続けるのが本作の主人公一行だ。ここに、神器確保のため暗躍するトラガー連盟が絡んでくる。剣をはじめとする中世ファンタジー的武器をメインにする主人公一行に対し、トラガー連盟側は銃や機械といった近代兵器を使用している。「FF」シリーズを思わせるこういう対比も、本作の魅力と言っていいだろう。
また、注目したい表現が、新機能アンロック時の演出。10連ガチャや素材獲得クエストである「クレールパッサ」などの新機能は、ゲーム進行に伴い解放されていく。この点は他のスマホゲームでも一般的な仕様なのだが、本作ではこうした新機能が解放される際にも、ストーリー的な演出がなされるのだ。
ただ単に「新機能が解放されました。使い方はこうです」という解説が行われるのではなく、新機能がこの作品世界においてどのような意味を持つものなのか、ストーリーに絡めて紹介される。世界観を大切にしていることが感じられ、好感触だ。
古き良きRPGをベースとしながらも、本作は操作性、ビジュアル、世界観、演出など現代のスマホに合わせて丁寧にカスタマイズしている。なので、懐かしさを感じさせながらも、プレイ感そのものは新しい。スーファミやプレステのころのRPGにハマっていた人は、一度はプレイしてほしい作品だ。「古き良き時代のゲームの感覚を持った新作」としてプレイできるだろう。じゃあレトロRPGをプレイしたことがないという人は楽しめないのか…といえば、もちろんそんなことはない。何せ、プレイ感そのものは新しい上、隅々まで気の配られ作り込まれている。ひとつのファンタジーRPGの新作として十分楽しめる完成度の高い作品だ。