千葉・幕張メッセで、9月20日から9月23日まで開催されたゲームイベント東京ゲームショウ2018。そのセガブースで9月22日に行われた「チームソニックレーシング」のステージイベントをレポートする。
今回のステージイベントでは、はじめに「ソニック」シリーズプロデューサー飯塚隆氏とリードコンポーザー瀬上純氏によるトークショーとして、最新作「チームソニックレーシング」の音楽にまつわるトークセッションが行われた。
一般公開日の初日であるこの日の午前中、セガのブースを見たという飯塚氏。「チームソニックレーシング」の試遊でユーザーがチャオやブレイズといったキャラクターを選んでいる人が多かったのは意外だったという。なんでも、海外ではソニックやシャドウが選ばれることが多いのだそうだ。
自身が手がけたタイトルが、東京ゲームショウに出展されるのは久しぶりだという瀬上氏。これまで「ソニック」シリーズは、何らかの形で関わっていたそうだが、今回のようにゲーム全体を通して楽曲を担当することはなく、いい機会だったと答えていた。
「Crush 40」が音楽を担当したことが海外で大きな反響に
ここで、E3で公開された「チームソニックレーシング」のトレーラー映像が会場に流された。
この「チームソニックレーシング」は、タイトルに「チーム」と付けられているように、レーシングゲーム史上初ともいえるチームで戦う作品である。E3のトレーラーで使われていたメインテーマは瀬上氏が作曲をしており、演奏はジョニー・ジョエリと瀬上氏のバンド「Crush 40」が担当している。
ゲームの開発はイギリスのSumo Digitalという「ソニック&セガ オールスターズ レーシング」シリーズを作っている会社が担当している。飯塚氏は、レーシングゲームは音楽が重要でカッコイイものでなければ盛り上がらないということで、直接瀬上氏にオファーをしたそうだ。
ちなみに瀬上氏が担当している音楽は、「ソニック」「レース」「スポーツ」の3つのジャンルが多いという。そのため、「僕以外はいないよ」と飯塚氏に答えたそうだ。また、「Crush 40」が音楽を担当することになったのも、飯塚氏のリクエストで実現したものなのだとか。
瀬上氏によると、シンガーのジョニーが毎年のように「今年は何かないの? 次は何? いつやるの?」といってくるところをなだめすかしていたそうで、今回の話が来て喜んでいたそうだ。
先ほどのE3のトレーラーの最後に、「Music by Crush 40」と入れたところ、海外のファンから多くの反響があった。YouTubeにアップされた後書かれたコメントの数も、期待値以上であったという。
楽曲面でも「チーム」がテーマに
基本的に曲作りは瀬上氏にまかされていたそうだが、飯塚氏からは「これは好きじゃない」「ここのメロディは下がって欲しくない」といったこだわりのポイントがあったようだ。それについて飯塚氏は、曲単体でいい場合でもゲームに合わせたときの聞こえ方によって、そうした注文を出していたのだとか。
楽曲はコースの数に加えて、導入部やレース中、ファイナルラップなどひとつのコースでもバリエーションがある。そのため、曲を作るのはなかなか大変だったと瀬上氏。飯塚氏から、チームメンバー全員が使用できる強力なブースト「アルティメット・ブースト」の曲のリクエストが来たときに、1曲だと思っていたところキャラクターの数分だけ作ることになったというエピソードも披露していた。
各キャラクターにはテーマ曲があるため、飯塚氏に「そのまま使っていいよと」言われた瀬上氏。その言葉を受けてそのまま提出したところ、「これは遅いからもっと早くして」といわれ、結局作り直しになったという例がいっぱいあったそうだ。結果的にそれが、ゲームを遊んでくれるユーザーが喜んでくれることにもつながるため、瀬上氏は納得していると語っていた。
本作のキーワードは「チーム」だが、それは曲作りの面でも取り入れられている。これまでならば、「○○さん曲をお願いします」と全部振ってしまっていた。しかし今回は、お願いするときに「一緒にやろう」と、いい方を変えていたと瀬上氏。
たとえば「アイスマウンテン」というステージでは、「ソニックマニア」のトレーラーの楽曲を担当していたHyper Potionsというアーティストが採用されている。彼らはこれまでトレーラーの曲を担当していたのだが、ゲーム中の曲はやったことがなかった。瀬上氏は彼らから「ゲームの中の曲をやりたい」とずっと言われていたそうだが、「今回一緒にやろうよ」と持ちかけてそれが実現した形となった。こうした「チーム」という楽曲の繋がりは、ほぼすべての曲に用意されているという。
本作は新しいタイトルであるため新しいこともやりたい。しかし、「ソニック」と名の付いたタイトルでもあるので、耳なじみのフレーズも活かしたいという思いが瀬上氏の中にはあった。
たとえば「ウィスプサーキット」というステージは、「ソニック カラーズ」に登場するステージの「プラネットウィスプ」がモチーフになっている。そのステージに使われている曲のイントロが印象的だと思っていた瀬上氏は、イントロをそのままイントロで使うのではなくサビの方に同じフレーズを持っていくなど、作り替えを行ったそうだ。そのため、気付けば「ニヤリ」とするような構成になっているという。
出来上がった楽曲について、「かっこいい」と飯塚氏。何度も作り直してもらったことには申し訳ないと謝っていたが、出来上がった楽曲については満足のいくものになったそうだ。中でもメインテーマについては、イントロを聴くだけで「ぞわっとする」という。
瀬上氏は、今回の楽曲制作で「シンプルに格好良くドライブするサウンド」を目指したという。そのため、使用する楽器もシンプルなものに戻し、曲の構成もシンプルにしている。不要なものをそぎ落として、わかりやすくしているのだ。
ここでトークセッションは終了となり、瀬上氏のミニライブが開演。バックにはゲームの映像が流されていたが、見事にマッチしていた。ライブの終盤には、なんとソニックたちもステージに登場!
ミニライブ最後には、「ソニック ワールドアドベンチャー」の楽曲「Rooftop Run」が演奏され、会場も大いに盛り上がっていた。