プロ野球OB、球団マスコットも駆けつけた！「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ2018」開幕戦の模様を紹介

「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ」は、PS4版「実況パワフルプロ野球2018」を競技タイトルとして使用した、e-Sportsの新しい取り組みだ。セントラル・リーグ6球団、パシフィック・リーグ6球団のプロ野球全12球団それぞれにe-Sports選手を登録。ゲームを使ってペナントレースを行い、優勝を争う。

スケジュールは11月10日の開幕戦を皮切りに、12月までの約1ヶ月間で第5節まで戦う各リーグの順位を決める。その後上位3チームずつで、現実のプロ野球でいうクライマックスシリーズに相当する「eリーグ代表決定戦」を実施。2019年1月12日にはe日本シリーズと、長期間に渡るリーグ戦となっている。

開幕戦のカードは、セ・リーグが巨人対阪神、中日対ヤクルト、広島対DeNA。パ・リーグは日本ハム対ソフトバンク、楽天対西武、オリックス対ロッテという組み合わせ。これもまた現実のプロ野球と同じく、3連戦という形で試合が進んだ。

一方でe-Sportsならではのルールも多数ある。試合が6回で終了、延長は9回までというのはその最たる例だろう。このルールのおかげで1試合が30分程度で終わるだけでなく、早いイニングから中継ぎピッチャーを投入するなど、面白い采配が頻繁に生まれていた。

会場には球団マスコットとパワプロくんも登場。いたるところで観客とのコミュニケーションを楽しんでいた。
実況席で応援するスラィリーとDB.スターマン。広島が負け、うなだれるスラィリー。
ジャビットとパワプロくんは仲良くグータッチ。
クラッチはなぜかDeNAのグッズを背負って写真撮影。
ちなみに各チームに所属するe-Sports選手は、事前に行われたドラフト会議で決まっている。 公式大会「パワプロチャンピオンシップス」で好成績を収めた選手が揃っている。

実況や解説に普段のスポーツ中継でおなじみの面々が揃った点も、イベントの盛り上がりに一役買った。今回の解説には、プロ野球OBでもある真中満さんや谷繁元信さん、多村仁志さん、黒木知宏さん、ギャオス内藤さんが登場。各々が個性豊かなトークで会場に華を添えた。

例えば真中さんは中日対ヤクルトの試合を解説する際、戦前に予想を聞かれると「ヤクルトなんで乱打戦になるんじゃないですかね（笑）」と、ユーモアあふれる受け答えを見せる。またヤクルトの主砲・バレンティン選手がスタメンから外されたときには「守備を重視したんですかね。その気持ちすごく分かります」と、監督時代を思い出したのか、しみじみと話していた。

ちなみにこの試合、ヤクルトは代打で好成績を残す特殊能力を活かすため、畠山選手をあえてベンチに置き、1回裏でいきなり代打で出すという采配を見せた。この采配が見事に的中して畠山選手は代打ホームラン。しかしその後投手陣が崩れ、7-3で敗れる結果になった。

広島対DeNAを担当した黒木さんは、そんなゲーム内の選手が持つ特殊能力にスポットを当てた解説で観客を楽しませた。「横浜スタジアムは風が強いですよね。だから『プルヒッター』や『流し打ち』が重要になるかもしれません」といった具合に、「パワプロ」の知識も相当に蓄えてきたことがうかがい知れた。

セ・リーグの残るカードは巨人対阪神の“伝統の一戦”。歴史のあるチーム同士の3連戦は1勝1敗1分というまったくの互角という結果に終わった。2戦目で解説を担当した谷繁さんは、現実と同じく坂本選手の華麗な守備に舌を巻いている様子。しかし試合は阪神が序盤からリードを奪い、終盤に追い上げられるものの、なんとか逃げ切ってみせる展開だった。

試合後には勝利チームのヒーローインタビューもあり、阪神を操作したびび選手が「実際のペナントレースでは最下位でしたが、パワプロ・プロリーグでは優勝に導けるようがんばります」と力強く宣言。そんな中、谷繁さんは、「追い上げられたとき、ちょっと焦ってませんでした？」と指摘。というのも、びび選手はボール球を中心にした慎重な組み立てが特徴なのだが、ピンチになったときだけはストライク先行になっていたのだ。ストライクとボールの割合だけで選手の焦りを見抜く、谷繁さんの眼力が集約されたトークだった。

開幕戦ということで、どれだけ盛り上がるかは分からなかった「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ」だが、蓋を開けてみれば多くの観戦者が訪れ、充分すぎる出足と言ってよさそうだ。観戦者の多くはユニフォームを着て、グッズを身に付けた生粋の野球ファンが多かった印象。プロ野球とe-Sportsの架け橋になれる可能性を感じた1日だった。