アグルの「SPEED WITCH BATTLE 白の魔女と五つの希望」は、細かい部分に課題を抱えつつも、斬新なルールによってアツい対戦が楽しめるカードバトルゲーム。その魅力を紹介したい。
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「SPEED WITCH BATTLE 白の魔女と五つの希望」は、AGULから12月にリリースされたカードバトルゲーム。カードをスピーディーに組み合わせて役を作るという、王道トランプゲームのようなゲームルールを持つ本作。カードゲームといえば、「ハースストーン」や「シャドウバース」のようなTCG系のゲームが多い中、非常にチャレンジングなゲームルールだ。
ただ、チャレンジングがゆえに細かいところでは「これはちょっと…」と感じる部分も存在している。とはいえ、本作は他のゲームでは味わえない本作ならではの魅力もまた、持ち併せているのだ。そこで本レビューで本作の内容を詳しくご紹介したい!
ベースはトランプゲームの「スピード」!?スピーディーな役作りを目指せ
まずは本作のゲームルールを紹介しよう。ゲームの目的は、敵のHPをゼロにすること。敵を攻撃するためには、画面中央に出現する数字を引き寄せ、役を揃える必要がある。役は「同じ色の数字を3つ揃える」「同じ数字を3つ揃える」「1、2、3のよに数字を連番で揃える」の3通り。もちろん「同じ色」で「同じ数字」、「同じ色」で「連番」という形で役を作ることも可能。その場合、攻撃力がアップする。
数字や色を揃えるという意味では、トランプの「ポーカー」のように思えるかもしれないが、実際にプレイしてみると、同じトランプゲームでも「スピード」を連想するだろう。「ポーカー」のようにカードが配られて交換するようなルールではなく、数字をリアルタイムにガンガン手元へ引き寄せ、いち早く役を完成させることが求められるからだ。
トランプの「スピード」は、手札から場へカードを出していくゲームで、手札をすべてなくしたら勝利というルール。場に置かれた山札の一番上のカードと連番になるカードか、マークが一致するカードであれば場に出すことができる。「スピード」は山札の数が2つだが、本作では5つ。パーティに編成したキャラクターカードが山札となる格好だ。
なお、出現する数字には時折「ATKダウン」「ATKアップ」などの効果が書かれていることがある。こうした数字は「特殊札」と呼ばれ、役作りに組み込むと、役が完成した時に書かれた効果を発動することができる。積極的に「特殊札」を役作りに組み込むことで、ゲームを有利に展開すること可能だ。
また、スマホカードゲームでおなじみの「スキル」も、もちろん用意されている。スキルの種類は3種類。自動的に効果が発動する「パッシブスキル」、リーダーに組み込むことで自動的に効果が発動する「リーダースキル」、指定の役を作ることで発動する「アクティブスキル」だ。
この中でちょっと残念なのが「アクティブスキル」だ。効果そのものは非常に有効なのだが、発動条件が、かなり厳しいのだ。たとえばスキル「棘回転突」の発動条件は、赤の111を揃えること。色と数字の両方を指定されているため、非常に発動しづらい。そもそも1ゲーム内に赤の1が3回出るかどうかは運任せ。なのでスキルの発動自体が運任せになってしまう。赤い数字をゾロ目で揃えたらゲージが貯まり、ゲージ満タンになったら発動…くらいに緩和されれば狙って発動できるのだろうが、少なくとも現時点では、戦略的に活用するのは現実的じゃない。
ただ、ゲームルールに関して残念に感じたのは「アクティブスキル」くらい。「アクティブスキル」にこだわらなければ、リアルタイムに役作りを行うスリリングなゲームが楽しめる。特に本作は対戦メイン。相手より先に役を作ってやれ!という気持ちが煽られ、否が応にもアツくなってしまう!
ソロで楽しむクエストも用意!ストーリーよりもキャラ育成メイン
メインは対戦だと書いたが、本作にはソロで楽しめるクエストも用意されている。クエストは、リストの中からプレイしたいステージを選び、ストーリーとバトルを楽しむスマホRPGおなじみのモードだ。
ただ、メインが対戦であるためか、ストーリーの魅力が強いとは言い難い。対戦相手となるキャラクターが登場し、それぞれの状況を語って対戦…という程度のシナリオなので、ストーリーと言っても対戦格闘ゲームの試合開始演出に近いのだ。クエストに関してはストーリー性を楽しむモードというより、対戦用のカードを育成するためのモードと捉えた方がいいだろう。
なお、「育成」と書いた通り、本作のカードにはレベルがある。もちろん、レベルによってHPや攻撃力といったパラーメータが変化。バトルでスピーディーに役作りしていく部分はプレイヤースキルに依存するが、HPの最大量や敵に与えるダメージなどはカードのレベルによって決まるため、勝利するために強力なカードは必須。なので、カードが弱い内は、対戦よりも「クエスト」を優先的にプレイした方がいいだろう。
久々に登場した斬新なルールを持つ作品!対戦のアツさを中心に味わうのがオススメ
「パズル&ドラゴンズ」リリースから6年が経った今、スマホゲームといえばこういうものというスタンダードがある程度確立してきたため、最近では「ルールそのものが新しい」というチャレンジングな作品は減ったように思う。そんな中本作は非常にチャレンジングなゲームルールを持っている。だからこそ、新しいタイプのゲームがプレイしたい、変わったルールのゲームを遊んでみたいという人は是非本作を手に取ってほしい。
チャレンジングなだけに「アクティブスキル」のような現時点では引っかかるところもあるだろう。ただ、「斬新さ」と「完成度」というのは水と油のように、同時に成立させることは難しいものだ。なので、細かい部分については今後のアップデートを期待して暖かく見守りつつ、本作の魅力の根幹である対戦のアツさを中心に味わうことをオススメしたい。