「非人類学園 Extraordinary Ones」は、学園ものと中国神話を世界観としたアニメ風MOBA。キャッチーな世界観とキャラを持つ本作がどんなMOBAに仕上がっているか、本記事で紹介したい。
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「非人類学園 Extraordinary Ones」は、X.D. Globalが2019年1月に配信開始したアニメ風MOBA。MOBAといえば、アメリカンコミック的な厚塗り系グラフィックのものが多い中、本作はアニメ風のグラフィックを採用。アニメ風グラフィックの出来は非常によく、パッと見の印象は、日本のゲームメーカーが日本向けに作ったように思えるほどだ。しかも、世界観まで日本でおなじみの学園ものと来ている。
MOBAというゲームジャンルは、eスポーツのメイン種目のひとつであり、海外ではとても人気のあるゲームジャンル。しかし、日本ではまだまだ馴染みが薄かった。しかし本作のグラフィックや世界観は、MOBAに興味がないという人に対しても「プレイしてみようかな」と思わせる魅力を持っている。そんな本作、肝心のゲーム内容はどうか?この記事で紹介したい。
ミニオンとともにレーンを攻め上がり拠点破壊を目指せ!正統派MOBA
アニメ調グラフィックで学園もの…と、他MOBAタイトルとの違いが目立つ本作だが、ゲームシステムは正統派中の正統派。ゲームの目的は、マップ最深部にある敵の拠点を破壊すること。1ゲームに参加するプレイヤー数は総勢10人。味方チーム5人、敵チーム5人で競う形だ。
舞台となるマップは「レーン」と呼ばれる道が3つあり、レーンの途中には「にゃんにゃんガード」と呼ばれる迎撃設備が配置されている。敵拠点に攻め込むためにはまず「にゃんにゃんガード」を破壊しなければならないわけだ。逆に言えば、敵の進行を防ぐためには味方の「にゃんにゃんガード」を守らなければならない。なので、「にゃんにゃんガード」を巡って攻防が繰り広げられることになる。
何がこの攻防を分けるのかと言うと、もちろんプレイヤーの操作が強く影響することは間違いないのだが、レベルもまた、強く攻防に影響する要素だ。キャラクター達は敵やマップ上に登場するモンスターを倒すと経験値が貯まり、レベルがアップする。レベルアップによって能力値の上昇に加えて、強力なスキルを習得可能だ。自分よりはるかにレベルの高いキャラクターと戦った場合、操作でレベル差を覆すのは難しい。
操作はアクションRPGライク!けどオラオラプレイは厳禁
本作の操作は、バーチャルパッドで行う形式だ。画面左に配置されたパッドを使って主人公の移動を行い、画面右に配置されたボタンをタップして攻撃やスキルの使用を行う。スマホのアクションRPGでよく見られる形式なので、アクションRPGのプレイ経験があれば、同じ感覚でプレイできるだろう。
しかし、本作はアクションRPGではなくMOBAだ。完全にアクションRPGと同じ感覚でプレイしてしまうと、なかなか勝利することはできない。アクションRPGの敵は「プレイヤーが倒せる」という前提でバランス調整されているが、MOBAは対戦ゲームなので自分と敵プレイヤーの強さは同等。アクションRPG感覚で攻撃中心のオラオラプレイをしていたら、複数の敵プレイヤーに囲まれて袋叩きにされるのがオチだ。
本作は正統派MOBAとして作られているので、攻略方法も他のMOBAで使われているものがそのまま使える。なので、敵陣へ攻め込む際にはミニオンと呼ばれる味方のNPCと共に攻め込み、ミニオンが全滅したり、敵の方が人数的に有利な状態になったりしたら深追いせず引き返す。序盤はレーンとレーンを分ける「ジャングル」に出現するモンスターを倒しレベルアップに励む…といったMOBA定石ともいえる立ち回りが有効だ。
1バトル12分!短い時間で楽しめるバトル設計
ゲームシステム部分はMOBAとして極めてオーソドックスに設計された本作だが、ゲームのプレイ時間についてはスマホでプレイしやすいよう、短時間でプレイ可能になっている。といってもプレイ時間が制限されているというわけではない。
倒すことで強力な味方として従えることが可能なモンスターが出現したり、レベル12になると終結スキルと呼ばれる強力なスキルが出せたり…と、決着に要する時間を短縮できるゲーム内ギミックが多数用意されているため、自然と短い時間で決着するのだ。通勤時間のヒマを潰すためにプレイ開始したのに、駅についてもまだ全然決着がつかない…といった状況にはならないため、気軽に楽しめる。スマホ向けゲームとして嬉しい仕様だ。
中国の神話キャラが多数登場!
続いては本作の世界観に目を向けたい。本作の世界観は、学園ものだと書いた。なので本作のマップは学園そのものであり、登場するモンスターも、教師や図書館司書といった役職が設定されている。もちろんプレイヤーが操作するキャラも、生徒や教師といった立場のキャラだ。ただ、本作の世界観がフィーチャーしているのは学園ものというジャンルだけではない。
本作が学園ものに加えてフィーチャーしているのは、中国神話だ。本作は「西遊記」や「封神演義」といった中国神話をフィーチャーしており、紅孩児や金閣、牛魔王や雷震子といったキャラ達が登場する。「西遊記」も「封神演義」も日本でよく知られた神話なので、こうした神話が好きな人なら、お気に入りのキャラが出ているのではないだろうか。
キャラはもちろん、ファイター、メイジ、サポート、マークスマン、アサシンという形でMOBAの役割に基づくものになっており、これまでMOBAをプレイしてきた人であれば、違和感なく使いこなせるはずだ。
わかりにくさはあるが丁寧な導入!MOBA初心者にもオススメできるタイトル
キャッチーな世界観とキャラ、正統派で完成度の高いゲームシステム…と、本作はMOBAの一作としてオススメできるタイトルだ。ただ、問題点もないわけじゃない。もっとも目につく問題点は、「言葉」の問題。日本語への翻訳がぎこちなく、意味は分かるのだけど不自然に感じてしまう部分があるのだ。
とはいえ、ゲームシステムの説明など、プレイに必要不可欠な情報に困ることはない。ただ、キャラ同士の掛け合いなどは、本来笑いどころのはずが、冷めた目で見てしまう…ということがあった。もちろん、MOBAはバトルを楽しむゲームであって、ストーリーを楽しむゲームではない。なので、これは細かい問題と言えるだろう。
言葉の問題について書いたが、初心者が本作を理解する上でつまづく部分はほとんどないだろう。というのも本作、チュートリアルがメチャクチャ丁寧なのだ。本作のチュートリアルはMOBAをプレイしたことがない人、MOBAは知っているがプレイ経験が浅い人、MOBAのベテランプレイヤーといった3パターンに分けて用意されている。
このため、初心者の人がルールを理解できず困るということもないし、ベテランプレイヤーが余計なチュートリアルに悩まされるということもない。経験に差のあるプレイヤーたちがいずれも快適にプレイできるという意味で評価できるチュートリアルだ。このチュートリアルによって本作は、これまでMOBAを一切プレイしたことがないという人でもまったく問題なくプレイできるので、本作のキャラや世界観に興味を持ったという人は、是非一度プレイしてみてほしい。