5pb.より2019年1月31日に発売となったPS4/Nintendo Switch用ソフト「ROBOTICS;NOTES DaSH」(ロボティクス・ノーツ ダッシュ)。本作をいち早くエンディングまでプレイしてみてのインプレッションをお届けします。
「CHAOS;HEAD NOAH」「STEINS;GATE」に続く科学アドベンチャーシリーズ第三弾として、2012年6月にPS3/Xbox 360で発売された拡張科学アドベンチャー「ROBOTICS;NOTES」。2012年10月からはTVアニメ「ロボティクス・ノーツ」も放送、2014年6月にはアニメ素材による演出強化、主人公の内面をより深く描き出すシナリオの部分修正と3Dモデルのクオリティアップなどが図られたPS Vita版「ROBOTICS;NOTES ELITE」もリリースされました。
そして今回、いよいよリリースされることになったのが、本作「ROBOTICS;NOTES DaSH」。発売前から「STEINS;GATE」の人気キャラクターである、ダルこと橋田至(CV:関智一)が登場することをはじめ、科学アドベンチャーシリーズ同士のつながりを感じさせるタイトルになっていて、シリーズファンにとっても注目のタイトルです。
何より、青春群像劇としての側面も含め、個人的にはシリーズの中でも一番好きな作品だったこともあり、続編「ROBOTICS;NOTES DaSH」が発表された時の喜びといったら! 再び海翔やあき穂たちに会えるということで、ぜひとものその魅力をお伝えしたいと事前にプレイさせていただきました。
気がつけばエンディングまで進めてしまったこともあって発売後にはなってしまいますが、これから楽しまれる方、興味を持っている方に向けて、ネタバレにならない範疇でインプレッションをお届けしていきます。

ダル視点で客観的に海翔たちの悩みと成長を見守る
今作は、前作「ROBOTICS;NOTES」のエンディングから半年後の種子島が舞台となります。序盤の共通ルート「FESTIVAL PHASE」では、スペースアメ社のバックアップのもとで行われる「種子島“わざいか”鉄砲祭り」の様子を中心に描いていきます。その祭りの最中、君島コウ(CV:森川智之)が再び姿を見せたことで、祭りでにぎわう島が混乱に包まれていきます。

前作当時で3年生だった八汐海翔(CV:木村良平)、瀬乃宮あき穂(CV:南條愛乃)、大徳淳和(CV:徳井青空)の3人はすでに高校を卒業し、中央種子島高校ロボット研究部(以下、チュウタネロボ部)には後輩である日高昴(CV:細谷佳正)、神代フラウ(CV:名塚佳織)の2人が在籍しているという状況です。こうした環境の変化はそのまま彼らの心情にもいろいろな変化を及ぼしています。
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海翔は宇宙飛行士を目指すべく、鹿児島市内で寮生活をしつつ、大学に合格するため予備校に通う日々を過ごしています。一方のあき穂は種子島に残り、アルバイトに勤しんでいますが、二人の関係性は未だに曖昧なままで、海翔が種子島に帰省した物語のその冒頭から、互いに微妙な距離感が漂います。
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そうした関係性を客観的に見せているのが、前作での彼らを直接的には知らないダルの存在です。今作では海翔とダル、2人の視点が切り替わりつつストーリーが進行していくのですが、特にダルの視点ではキャラクター同士の関係性を推察しつつ、時には直接質問を投げかける場面があります。プレイヤーとしては、それに対する言動から、前作を経た彼らの現在地点が感じられるのです。
ダルの語りは「STEINS;GATE」に触れている方であればお分かりの通りかなり独特ですが、実際に地の文で彼の思考に触れられるというのは面白かったですし、29歳になって変わった部分を意識するのも、本筋からは離れているものの楽しめる要素だと思います。時折出てくる妻子の話も微笑ましかったです。
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海翔とダルのコンビで島を探索!
前作に引き続き、今作でもキャラクターたちは3Dで表現されています。ころころと変わる表情や、豊かな動きのバリエーションによって、キャラクターが生き生きとしているのが楽しいのですが、加えて今作は夏祭りならではの装いや、さらには夢のようなシチュエーションも…!? もちろんフルボイスで用意されているキャラクターボイスと相まって、さまざまなシチュエーションを堪能できます。
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だからというわけではないとは思いますが、序盤で繰り広げられる君島とのやり取りは決して緊迫したものではなく、どこかお祭りのアトラクションめいたゆるさもところどころで見られます。解決に当たるのは海翔とダルのコンビだというのもあって、二人のやり取りも好対照で面白いです。仲間内では比較的落ち着いていて、大人びた雰囲気を見せる海翔の新鮮な反応が見られたのが印象的です。
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ベースとなるゲームシステムは、いわゆる選択式のアドベンチャーゲームですが、作中に登場する携帯端末であるポケコンを用いた、いわゆる「ポケコントリガー」は前作同様に健在です。今回は新たに「DELUOODE MAP SYSTEM」と呼ばれるマップアプリを用いて移動することになり、その行動に応じてその後のルート分岐に影響していきます。順番に攻略する上では、共通ルートの間に誰と会ったかに注目すると良いでしょう。
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ARアプリ「居る夫。」を用いた仕掛けも用意されています。 |
個別ルートではキャラクターたちのその後が垣間見える
実は君島が起こした事件自体は共通ルートで一つの解決を見るため、そこから分岐するのは、メインキャラクターにフォーカスしたエピソードとなります。つまり、共通ルートではそこまで踏み込まれてはいない、各キャラクターの内面が語られていくのです。そのエピソードのあらすじなどを紹介すること自体がネタバレになるのでここでは避けますが、実際にプレイしてみると、まさに彼らの等身大の悩みやあり方がしっかりと描かれていました。
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その中でも個人的に印象的だったのが、行舟愛理(CV:釘宮理恵)と天王寺綯(CV:山本彩乃)のエピソードです。愛理は前作での境遇も含め、今作においては一番変化の見える立ち位置ですし、JAXA職員である綯は、海翔たちにとってはまだまだ見えていない部分もあるキャラクターです。それぞれの背景がしっかりと感じとれる内容となっているので、クリアした後にはその印象も変わるのではないでしょうか。
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ちなみに、先ほどに触れた海翔とダルの視点変更に加え、各ルートでは対象となるキャラクターの視点も時折混ざっていきます。そうした多面的な視点を楽しむことで、「ROBOTICS;NOTES DaSH」が描く青春群像劇の側面がより色濃く感じられるのではないかと思いました。もちろん、ストーリーを通じて海翔とあき穂の恋愛模様にも進展があるので、そちらもぜひ楽しみにしてもらえればと思います。

そしてその先には「STEINS;GATE」とのつながりが…
冒頭で触れた「FESTIVAL PHASE」に始まり、その後各キャラクターのルートを経て、物語はいよいよ核心へと迫っていきます。そこでは種子島の人々だけでなく、全世界を脅かすような出来事も待ち受けており、一気に緊迫感を増していきます。一体何が起こるのか、そしてどのような結末が待ち受けるのかについてはぜひ自身の目で確かめてみてください。
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とはいえ、それだけで話を終わらせてしまうと遊んだ意味がないので、プロモーションムービーなどで触れられていた、「STEINS;GATE」との関係性について少しだけ紹介しておこうと思います。
「STEINS;GATE」の時からはちょうど10年後にあたるのが本作ですが、「STEINS;GATE」で登場したラボメンの面々はそれぞれの道を歩んでおり、今作では“DaSH(ダル・ザ・スーパーハッカー)”として活躍するダルが登場することになります。ダル自身が種子島に足を運んだ目的は作中で語られていくのですが、チュウタネロボ部の面々との関係性を深めていくことで、「STEINS;GATE」と「ROBOTICS;NOTES」の2作品が繋がっていく流れを楽しめると思います。また、「ROBOTICS;NOTES」が世界線変動率「1.048596」の世界で展開するという点にも注目です。
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「ROBOTICS;NOTES DaSH」はそのタイトル名の通り、「ROBOTICS;NOTES」に連なる物語であると同時に、“DaSH”、つまりはダルの目線で語られる作品でもあります。ぜひ2つの目線で物語を存分に味わってもらえればと思います。