東京・新宿西口ビックカメラにて本日2月21日に開催された「逆転裁判123 成歩堂セレクション」発売記念イベント。本イベントにあわせて、「逆転裁判」シリーズ生みの親である巧舟ディレクターと、江城元秀プロデューサーのインタビューが行われた。ここでは、インタビューの模様と、たくさんのファンが詰めかけたサイン会の模様をお届けしよう。
――「逆転裁判123 成歩堂セレクション」で初めてプレイされる方とシリーズのファン、それぞれにメッセージをいただけたらと思います。
江城氏:アニメを見て今回買ってくださる方もいると思うのですが、通常のアドベンチャーとは違う、逆転する爽快感を楽しんでいただけたらと思います。それでいてシンプルな操作で、難しいこともなく物語をどんどん読み進んでいけますし、「逆転裁判」らしいアクションを味わっていただけたらと。
これまでシリーズを遊んできたファンの方には、今回リファインによって今まで小さい画面ではわからなかった部分なども綺麗に見えるようになっていますし、もう一度「逆転裁判123 成歩堂セレクション」を触って、物語を思い出していただけたらと思います。
巧氏:「逆転裁判」を作った当初は、「逆転裁判」という漢字四文字で難しそうなタイトルに思えるかなと思ったんですが、これだけ時間も経って皆さんに知っていただけるタイトルになりましたので、安心して遊んでいただけると思います。今まで遊んできた方たちにはお馴染みのやつですが、僕も改めて見て驚いたくらいに綺麗になっていて、新作を遊んでいる感覚になれたので、ぜひ遊んでみてください。
――綺麗になって特に驚いたキャラクターや場面はありますか?
江城氏:スタッフのこだわりは真宵ちゃんで、かなり何度もやりなおしました。あとは御剣の驚いた時の眼球が泳ぐところとか、キャラクターの瞳の色が実はこういう色だったとか、大きくなって綺麗になることでわかる部分がたくさんあるので、きっと新たな発見があると思いますよ。
証拠品とかも結構、当時はつぶれて見えなかった部分が見えるようになったので、プレイされたことがある方は意外な発見があるかと思います。そのへんもぜひくまなく見てほしいですね。
巧氏:キャラクターもそうなんですが、背景や当時小さくて全然読めなかった文字なども、結構クリアに見えるので、「こんなこと書いてあったんだ」と自分で驚いたりもしましたね。
――音声が初代のGBAの巧さんのボイスがずっと入っていると思うんですが、改めてご自身の声を聴かれていかがでしたか?
巧氏:たまにイベントで「やってください」と頼まれてやるんですが、もうあの当時のハイトーンボイスは出ないんですよね。あの頃ならではの声を楽しんでください(笑)。あの頃は全員チームのメンバーでやっていましたが、今カプコンにいるのはもう僕だけなので、まさか彼らも20年近くこうやって使われることになるとは思っていなかったと思います(笑)。
「この人はこんな声も出せたんだ」、とか、ゲームの中でしか聞けない声だなぁと思いますね。今でも音楽担当の杉森くんとか一緒に飲んだりしますけど、当時の思い出は酒の肴になります(笑)。
――「逆転裁判」は個性的なキャラクターが多いですが、シリーズを通して出ている成歩堂、御剣、真宵ちゃんを抜いた中で特におすすめのキャラクターは誰ですか?
巧氏:ゴドーです。アニメでも今ちょうど彼が出ていますけれど、声がとてもイメージにぴったりの方にやっていただいていて。やはり今、ホットなのはゴドーさんですね。
江城氏:「3」のキャラクターは今アニメでちょうどやっていることもあって熱いですよね。好きなキャラはみんななんですけれど、これからどんどんアニメで展開が盛り上がってくる美柳ちなみとかも注目ですよ。
巧氏:あとは狩魔冥ちゃんとかね。思い出深いですね。
江城氏:そこらへんのキャラクターたちもとても綺麗にリファインされています。
巧氏:アニメは毎週20分の中に押し込めないといけないので、かなりそぎ落としている部分も多いんです。もしアニメから来てくださった方は、知っている話でも実はゲームでは全然展開が違ったりするので、ぜひやってみてほしいです。アニメで語り切れていないことも多いので。
――今回据え置き機で発売ということでシェア機能などで簡単にスクリーンショットが撮れたりしますが、ネタバレの制限はありますか?
江城氏:ネタバレの制限はないです。そこらへんはユーザーさんの良心にお任せするというか。みんなで楽しんでもらいたいので。おすすめのシーンなどがあれば、ネタバレをある程度気にしつつ、楽しんでいただけたらと思いますね。
巧氏:お気に入りのセリフとかアップしてもらえると嬉しいですよね。
江城氏:ゴドーさんとか有名なセリフも多いから、そういうのはぜひアップしてほしいです。
――お二人のお気に入りのセリフはありますか?
江城氏:セリフというか……アドベンチャーって何もないところを調べると「何もないようだ」みたいな定型文を返されることが多いんですが、「逆転裁判」は結構ハズレ文章にもこだわりがあるので、全部調べてみてほしいですね。あえて間違った証拠品をつきつけて、そういった時のセリフや反応を色々見てみるのも楽しいと思います。
巧氏:アニメのシナリオを手伝うときに自分のシナリオを全部読み直したんですけれど、やっぱり面白いですよね。
江城氏:自分で言う(笑)。
巧氏:いやー、改めておもしろいなぁと(笑)。あちこち調べてみて色んなセリフを見てみてほしいですね。梯子と脚立問題もありますし(笑)。
※ゲーム内でとある場所を調べると、成歩堂と真宵の2人が「これは脚立なのか梯子なのか」と争う場面がある。
江城氏:意外と成歩堂くんの口調も「1」から「3」で変わっているんですよね。「1」のころは意外と毒舌だったり。
巧氏:そうですね、僕の人間的な成長が感じられるかと思います(笑)。
江城氏:今回はセーブファイルも10個作れますので、お気に入りのシーンをセーブしておくとかできますよ。
巧氏:オリジナル版はセーブファイル1つしか作れなかったので、家族で遊ぶこととかなかなかできなかったんですよね。今回は10人家族まで遊べます(笑)。ぜひ家族みなさんで遊んでください。
――ありがとうございました。
このマスクは先月行われた舞台「逆転裁判 -逆転のGOLD MEDAL-」の時にゴドーがつけていたもの……と、ほぼ同じレプリカを作成してもらい、江城氏、巧氏、キャラクターデザインの岩元辰郎氏にプレゼントされたものだという。
舞台上のゴドーがつけていたものはマグネットで装着するもので簡単に顔から外せるようになっているとのことだが、江城氏のものはゴムで装着するタイプのため、今回のサイン会ではずっとこれを被ったままで臨むと語った。
江城氏、巧氏は、緊張した面持ちでサイン会の始まりを待っており、その緊張を紛らわすかのように、我々取材陣と雑談をしたり、「異議あり」のポーズを取ってみせたり、サイン会に使用されるデスクを法廷に見立ててミニパフォーマンスを行っていた。
だが、いざサイン会が始まると、これまでの緊張もどこ吹く風といった様子で、慣れた様子でファンと楽しくおしゃべりをしながらサインと写真撮影に臨む二人。ファンから手渡された手紙に、思わず顔をほころばせる巧氏と江城氏の姿なども見られた。
なお、写真撮影会ではファンもゴドーになれる(?)目隠しマスクが用意されるというサービスも。実際にこれを使って撮影させていただいたのは、親子で「逆転裁判」のファンだという方たち。
なんとこの親子で参加されたファンは、抽選会で岩元辰郎氏直筆のサイン色紙をゲット! 一番最初の色紙当選者ということで、成歩堂、御剣、ゴドーの三人の中から悩みながらも、ゴドーの色紙を選んでいた。このお二人に、少しだけお話を伺うことが出来た。
娘さんがまず「逆転裁判」のファンになり、ゲームをプレイ。とても簡単な操作で遊ぶことが出来て、「これならお母さんもプレイできるのでは」と思い、読書好きのお母さんにもお勧めしたのだそう。
実際にお母さんも娘さんが学校に行っている間などに進めるなどで交互にプレイしていたが、とても楽しんで最後まで遊ぶことが出来、それ以来すっかりハマってしまったお二人は、親子で舞台版「逆転裁判」にも通ったりしているそうだ。娘さんが学校の行事などでイベントに参加できない時はお母さんが代わりに参加したり、今回のように二人で参加したりと、親子で「逆転裁判」ファンを楽しんでいるという。
まさにゲームがあまり得意ではない人や年齢を問わずに楽しめるゲームであることを証明したかのような「逆転裁判」ファンという様子で、我々取材陣もうなずきながらお二人の語るお話を聞かせていただいた。
なお、今回のサイン会はサインしてもらう物は自由だったため、実に様々なレアアイテムを持ち込んだファンが多く印象的だった。今回で3回目のサイン会参加という男性ファンはファミリーコンピュータバージョンのGBA本体にサインをしてもらっていたり、「逆転裁判123 成歩堂セレクション」発売告知用ポスターにサインをもらうファンなどが見受けられた。
整理券1番をゲットしたファンは、朝も早くから訪れていたという。長い間愛されている「逆転裁判」シリーズだが、意外と「アニメから」、というファンも多かったことに驚いた。
人を選ばずプレイできるのが魅力の「逆転裁判」シリーズなだけに、ぜひシリーズのファンはもちろんのこと、アニメで知ったというファンも「逆転裁判123 成歩堂セレクション」で、その本流に触れてみてほしい。