角川ゲームスが2019年4月18日に発売するPS4/Nintendo Switch用ソフト「ラングリッサーI&II」のプレイレポートをお届けする。
今回紹介する「ラングリッサーI&II」は、1991年にメガドライブで発売され、以降多くのハードで展開してきた「ラングリッサー」と、その続編である「ラングリッサーII」をリメイクした作品だ。ナンバリングシリーズとしては5作品が世に送り出されているが、「ラングリッサーV」が発売されたのは1998年のこと。コンシューマータイトルとしてもニンテンドー3DSの「ラングリッサー リインカーネーション -転生-」以来約4年ぶりとなる。ファンにとっては待望のタイトルと言えるだろう。
本稿では、このシリーズがどんなゲームシステムをしているのかを中心に紹介していきたい。また往年のファンはもちろん、シリーズを知らない人でも楽しめるのか、といったところにもフォーカスを当てていきたいと思う。
本作に収録される2作品は、世界観を共有している。伝説の秘剣「ラングリッサ―」を守るバルディア王国と、それを狙うダルシス帝国の戦いを描いたのが「ラングリッサーI」。そして「ラングリッサーII」は前作から数百年後、秘剣「ラングリッサ―」が伝説と成り果てた時代の中で、旅の若者エルウィンとレイガルド帝国の戦いを描く。
オリジナル版からは約30年の時間が経過しているということで、フィールドはもちろんキャラクターデザイン、サウンドも一新され、当時を知らない若い世代にとっても遊びやすく作り直されているのは大きな特徴だ。ちなみに、新たなキャラクターデザインを担当したのは凪良氏。「アルトネリコ」シリーズや、最近では「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」リメイク版にも携わった人物であり、ゲームファンにも馴染み深い人物であろう。
これもまた余談だが、本商品の初回生産特典と、ダウンロード版の早期購入特典として「クラシックモード」が付属する。これを適用するとゲーム内のイラストやマップ画面、サウンドを、かつての「ラングリッサー」のデザインに変更してプレイできる。オリジナル版のキャラクターデザインを担当したのはうるし原智志氏。当時を知る人は懐かしさに浸ることもできるし、知らない人も当時のデザインを垣間見ることができる。いずれにせよ貴重なモードであることは間違いない。
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「クラシックモード」はキャラクターデザインだけ、マップだけなど細かく設定することが可能。 またサウンドは「Ver.1991-94」(メガドライブ版)の音源が用意されている。 |
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メニュー画面もこのように変化が見える。通常モードとクラシックモードは、ゲーム開始後もいつでも変更可能だ。 |
ここからがゲームの進行に沿った形でシステム面を紹介していく。まず冒頭では光の女神ルシリスが現れ、プレイヤーに対していくつかの質問を投げかける。答えた内容によって、主人公の能力が決定する仕組みだ。
さらにこのタイミングで、資金とアイテム、CPを受け取って始められるイージースタート選択も行える。資金やアイテムは言うまでもなく、CPは主人公を始めとするメインキャラクター「指揮官」を上位クラスへ成長させるために必要なポイントといずれも重要。特に序盤の難易度はかなり下がるため慎重に選択してほしいが、シリーズ未経験の人には嬉しい措置になるだろう。
その後は各章のメニュー画面で装備を整え、ときにはクラスチェンジを行いながら戦闘に身を投じていく。ショップに並ぶ装備品は章を進めるごとに増えていくので、逐一チェックしておくことをおすすめしたい。
さらに戦闘開始前には指揮官ごとに傭兵を雇うことになる。傭兵の種類は指揮官のクラスによって異なり、能力も少しずつ変わってくる。具体的には、バランスが良く槍兵に強い歩兵、防御力に優れ騎兵に強い槍兵、攻撃と移動力が高く、歩兵に強い騎兵といった具合だ。これに加えて水上での戦いを得意とする水兵、空を飛べる飛兵、遠距離攻撃ができる弓兵も存在する。
当然多くの傭兵を雇ったほうが戦闘は楽になるが、その分金額もかさむので財布との相談、ということになる。上述のイージースタートを選択すれば悩む機会は激減するが、反面”悩む楽しさ”も損なわれてしまうので悩ましいところだ。
さて、傭兵を雇うが終わるパートが終わると、次はいよいよ実戦だ。戦闘のシステムはターン制のシミュレーションRPGとなっており、味方ユニットを全員動かすと、続いて敵ユニットのターンへ移る。また間にNPCのターンが挟まるケースも多々ある。
戦闘の目的は、敵兵の殲滅や目的地への到達、特定のNPCを守るなど章ごとにさまざま。目的に合わせた最適な動きをじっくりと考えることが必要になる。特にNPCを守る場合は、NPCがどこへ移動するのか、事前に予測した上で行動するように心がけたい。
ユニットの動かし方には独特の要素があり、指揮官と傭兵は別々に動かせるものの、傭兵は指揮官の周りにいると戦闘力がアップする。また指揮官と傭兵が隣り合った状態でターンを迎えるターンを終えると傭兵のヒットポイントを回復できる効果がある。本作は一回の戦闘が長くなりがちで、そうなると当然ヒットポイントは常に確保しておきたい。安全策で集団行動をとるか、手早くクリアするために別行動するかは、プレイヤーごとの判断力が試される。
そんなユニットを動かして、敵と隣り合うと戦闘が始まる。ここでは攻撃を仕掛けた側が一方的に攻めるわけではなく、相手からも反撃を受けてしまう。そのため体力が少ないユニットだと、こちらのターンなのに返り討ちに遭いピンチを招くことも。事前に双方がどれくらいのダメージを受けるか、予想を見ることも可能なので、どう動くかだけでなく、攻撃するか、しないかの判断も大切だ。
さらに指揮官はクラスに応じてスキルや魔法を習得することもできる。スキルには指揮官の能力を底上げするものが多く、出撃前に装備しておけばそのステージの攻略が楽になる。また魔法は遠距離から一方的に攻撃できてとても便利。まずは魔法で攻撃して、弱ったところを傭兵でとどめを刺すなど、使い方次第ではゲームの難易度を大幅に左右する。
「I」「II」どちらのシナリオも分岐があり、戦闘の結果や内容によって変化が生まれる。この変化を可視化しているのがシナリオツリーだ。これを見ると、どの章で分岐が発生するかひと目で分かる。特に「II」は序盤から多くの分かれ道があり、繰り返しプレイする際には重宝するだろう。
最近のシミュレーションゲームはリアルタイムで進行するシステムが多くなり、「ラングリッサー」のようなターン制を採用する作品は少なくなってきた。そんな時代だからこそクラシカルな本作がリリースされるのは貴重だし、意義のあることだと思う。1ターンごとに戦況が変わる緊張感に身を置くのも、たまには悪くない。