任天堂の名作パズルゲーム「ドクターマリオ」をベースにした新作スマートフォンゲーム「ドクターマリオ ワールド」をレビュー。初代から大きくアレンジされたゲームシステムの魅力に迫る。

目次
  1. もはや「落ちモノ」ではない?スマホに合わせた大胆過ぎるアレンジ
  2. 自然な操作性を実現!アレンジが優れている理由
  3. 本作ならではの仕様が生み出す本作ならではのテクニック!
  4. 迫りくる「時間」がアツくさせる!対戦プレイと時間制限ステージ
  5. それでこそ任天堂!本作のアレンジは断然アリ

7月10日に任天堂から配信された「ドクターマリオ ワールド」は、任天堂のパズルゲーム「ドクターマリオ」をベースとした新作スマートフォン向けパズルゲーム。「ドクターマリオ」といえば、「テトリス」や「コラムス」、「ぷよぷよ」といった落ちモノパズルゲームの名作に名を連ねる面白さを持った作品。そんな作品がスマホ向けゲームとしてどのような作品となったか?この記事で詳しくお届けしたい。

もはや「落ちモノ」ではない?スマホに合わせた大胆過ぎるアレンジ

本作「ドクターマリオ ワールド」について触れる前に、そもそもの「ドクターマリオ」がどんなゲームだったのか、改めて振り返っておこう。「ドクターマリオ」の目的は、赤、青、黄色のウイルスを退治すること。ウイルスを退治するためには、同じ色のカプセルと組み合わせて、タテ・ヨコに3つ以上揃えなければならない。いわゆるマッチ3パズルといわれるルールだ。カプセルは、画面上から投入し、下へと落ちていく。このため、「落ちモノパズル」と呼ばれている。

だが本作では、なんとカプセルが落ちない!落ちるどころか、上へ上へ上っていく。つまり本作は、「ドクターマリオ」の前提である「落ちモノパズル」というゲームジャンルに変更が加わっているのだ。言うまでもなく、これは大胆過ぎるアレンジ。往年のファンの中にはこのアレンジだけで「えっ…」と拒否感を持つ人もいるかもしれない。だが待って欲しい。このアレンジは、「スマホ」というデバイスの特性を最大限活かしきる、スグレモノのアレンジなのだ。

自然な操作性を実現!アレンジが優れている理由

何がそんなに優れているのかというと、まずは基本となる「操作性」の部分だ。縦持ちでスマホを操作する場合、たいていの人が画面下部を持つことになる。そして、指を下方向から上方向へと動かす。つまり、スマホというデバイスの使い方として、そもそも下から上へ動かす方が自然なのだ。直感的に理解できるし、指を操作もしやすい。

とはいえ、下から上に移動するなんて重力に反している。自然どころか不自然だろ!なんて思う人もいるかもしれない。この点も本作はぬかりない。ビジュアル演出によってしっかりカバーされている。ウイルスの存在するステージは液体で満たされており、カプセルはその中を浮力によって上がっていくのだ。なので、まったく不自然さは感じない。それどころか、いかにも薬剤を扱っているような科学的な雰囲気なので、むしろ「ドクターマリオ」という世界観を強めているように思った。

本作ならではの仕様が生み出す本作ならではのテクニック!

カプセルの進む方向を下から上へアレンジしたことで、自然な操作性を実現した本作。でも、それだけじゃない。重要なのは、このアレンジが、ゲームの楽しさ、パズル性の部分まで大きく影響を与えていることだ。

ステージに投入されたカプセルは、上下左右への移動、回転ができる。ここまでは「ドクターマリオ」と同じだけど、動かせるカプセルが一個だけじゃないというところが本作ならではの特徴だ。

本作では、ステージへ一度に複数のカプセルを投入することができる。カプセルはプカプカとゆっくり動くため、後から投入したカプセルをスピーディーに動かせば、先に投入したカプセルを追い抜くことも可能。

さらに、動かせるのは通常のカプセルだけじゃない。「ドクターマリオ」のカプセルは、投入時はウイルス2個分が1セットとなっており、消し方によってはウイルス1個分…つまり、カプセルの半分だけ消すことができる。この時、「ドクターマリオ」では、残った半分のカプセルを動かすことはできなかった。しかし、本作では残った半分のカプセルを自由に動かせるのだ。

こうした本作ならではの新仕様が生み出しているものが、本作ならではの新テクニックだ。たとえば、先に投入したカプセルは一旦放置し、後から投入したカプセルを操作。カプセルの半分を使ってウイルスを消して、残った半分のカプセルを先に投入したカプセルと組み合わせて別のウイルスを消す…なんてアクロバティックなテクニックが可能になる。もちろん、こうしたテクニックを使って連鎖的にウイルスを消すことも可能だ。

考えてみれば、初代「ドクターマリオ」がリリースされた時代は、「テトリス」を皮切りに、様々な「落ちモノパズル」の新作がリリースされた時代だった。当時の我々は、各タイトルごとに攻略法を探り、テクニックを研究することが楽しかったように思う。しかし、時代は流れ、「落ちモノパズル」や「マッチ3パズル」がひとつのゲームジャンルとして成立した今、多くのタイトルで攻略法やテクニックが共通するようになってきている。

もちろん、それはそれでおもしろい。何かのタイトルで身につけたテクニックが、別タイトルでも通じるというのは、自分のプレイヤースキルを実感できるからだ。しかしその一方、攻略法やテクニックを発掘する楽しさは少ない。そういう意味で本作は、初代「ドクターマリオ」から大きくアレンジされてはいるが、初代のころの攻略法やテクニックを発掘する楽しさを再現した作品だと思う。

迫りくる「時間」がアツくさせる!対戦プレイと時間制限ステージ

攻略法やテクニックを発掘する楽しさに目を向けた時、見逃せない存在が時間制限ステージと対戦プレイだ。いずれも、身につけたテクニックを十二分に発揮することが求められるテクニカルなモードになっている。

時間制限ステージは、その名の通り時間制限要素が加わったステージ。たいていのステージでは、定められた種類のウイルスを、定められた数消すことが目的で、そのために用意された数のカプセルを使い果たすとゲームオーバーになる。時間制限ステージの場合、ここに時間制限が追加。時間がゼロになると、その時点でゲームオーバーだ。なかなか制限時間がなかなかシビアに設定されているため、テクニックを駆使しなければ攻略は難しい。

このため時間制限ステージは、マップのメインルート上ではなく、サブルート上に配置されている。つまり、必ずしもプレイしなくてもいいという位置づけだ。その分、自分が発掘したテクニックを思う存分試せる手強い楽しさを持っている。また、テキパキとスピーディーに操作しなければならないので、アドレナリンがドバドバ。否応なく集中力が発揮される感覚がある。どうしてもステージを攻略したければ、サポートアイテムを使って難易度を下げることもできるが、個人的にはと何度リトライを重ねようと自力でクリアしたい。そんな「挑戦し甲斐」に魅力を感じた。

「テクニックを駆使」「スピーディーな操作」という点で時間制限ステージを凌いでいる対戦プレイ。リアルタイムに他プレイヤーと対戦するモードだ。ウイルスを消し、相手プレイヤーにウイルスを送り込む…という形で攻撃を行う。相手プレイヤーよりも効率よくウイルスを消すことが求められるので、相手を凌ぐテクニックとスピードが求められる。なので、もちろんアドレナリンはドバドバ。さらに対戦相手が人間なので、興奮度は非常に高い!対戦ゲーム好きな筆者としては、仮に本作がこのモードだけで構成されていたとしても満足だ。

それでこそ任天堂!本作のアレンジは断然アリ

本作のような名作タイトルの続編を作る場合、、過去作が持っていた要素をどれだけ引き継ぐかがポイントになる。ファンの中には、過去作をそのまま、一切変更せずにスマホ化してほしいという人もいるだろう。残念ながら本作は、こうしたファンの期待に応える作品ではない。本作は、「ドクターマリオ」という作品のゲームルールをスマホというデバイスに合わせて見直し、さらにゲームシステムまで進化させた、最新の「ドクターマリオ」なのだ。なので、プレイする側にも、新たな気持ちで楽しむことが求められる。

だが、ファミコンのころから任天堂作品をプレイしてきた筆者としては、「それでこそ任天堂作品」じゃないかと思う。ファミコンで十字キーとAボタン、Bボタンというゲームの基本形を生み出して後、スーパーファミコンの拡大・縮小・回転機能、ニンテンドー64のアナログスティック、DSのタッチパネル、Wiiのリモコン&ヌンチャク、SwicthのJoyコン…と、任天堂作品は常にハードウェア=デバイスの機能・操作を元にしてゲーム性が改善されてきた。

であれば、スマートフォンというデバイスで作品を出す以上、スマートフォンというデバイスの良さを活かしたアレンジが作品側に加えられて当然。いやむしろ、それでこそ任天堂作品といえるのではないだろうか。筆者はそう思うので、今回の「ドクターマリオワールド」のアレンジ、断然アリだ。

なお、本記事ではゲームの基本部分に焦点を当てて話をしてきたが、実は本作の細かなゲームギミックも任天堂的魅力が詰まっている。たとえば、同じ色のカプセルとマッチングさせることで横方向に発射され、ウイルスや障害物を一網打尽にしてくれる「ノコノコのこうら」。あるいは、周辺でマッチングすると中からコインが出てくる「ブロック」などなど。

これまで一度でもスーパーマリオシリーズをプレイしたことがあれば、思わずニヤリとしてしまうゲームギミックが本作にはタップリ。ステージを進めるごとに次から次へとこうしたギミックが登場するので、フツーにメインルートを攻略していくだけでも十二分に楽しい作品だ。スーパーマリオシリーズのファンは、スーパーマリオファミリーに加わる新たな作品のひとつとして、是非本作に触れてみてほしい。

ドクターマリオ ワールド

任天堂

iOSアプリiOS

  • 配信日:2019年7月10日
  • 価格:基本無料

    ドクターマリオ ワールド

    任天堂

    AndroidアプリAndroid

    • 配信日:2019年7月10日
    • 価格:基本無料

      ※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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