毎日新聞社とサードウェーブは、一般社団法人 全国高等学校eスポーツ連盟(以下JHSEF、読み:ジェセフ)を11月1日設立。その記者会見を11月7日にTKPガーデンシティPREMIUM 秋葉原で開催した。

今年の3月に開催された「第1回 全国高校eスポーツ選手権」。本大会には、「ロケットリーグ」部門に60チーム、「リーグ・オブ・レジェンド」部門には93チームが参加し、盛況のうちに終わった。すでに「第2回 全国高校eスポーツ選手権」の予選も開催中で、「ロケットリーグ」部門に106チーム、「リーグ・オブ・レジェンド」部門には119チームがエントリーするなど、その規模も徐々に大きくなってきている。

記者会見の冒頭、JHSEFの理事長を務める久保公人氏は「eスポーツは新しい時代の競技として世界各国で認知されている。プロが参加する大会では優勝賞金も高額で、リアルスポーツに並ぶものもある。経済的側面だけではなく、競技人口の増加や各世代への広がりには目を見張るものがある」と、eスポーツの素晴らしさを語っていた。

「全国高校eスポーツ選手権」という大会を通して、ひとつの可能世に気が付いたと久保田氏はいう。それは、「ユニバーサルスポーツの素晴らしさ」である。これは、性別や障害の有無、身体的能力といった格差を乗り越えて、多くの人たちが公平な環境で挑戦できるところだ。そして、それこそがeスポーツの魅力でもあるという。

毎日新聞社とサードウェーブは、こうしたことからeスポーツの必要性を強く感じ、高校生のeスポーツを支えるためのJHSEFを11月1日に設立している。今回設立された連盟は、個々の企業の利益代表ではなく、中立公正な機関として運営されていく。

JHSEF 理事長 久保公人氏。
eスポーツで教育的価値を啓発していく

JHSEF 理事の大浦豊弘氏からは、活動内容や今後の事業構想についての説明が行われた。今年の6月から設立準備会を立ち上げ、どんな活動を行っていくべきか様々な人に話を聞いてきた。そこで決められた設立目的は、「eスポーツがもたらす教育的価値を啓発し、eスポーツを通して高校生の成長に寄与し、社会で活躍する人材育成を支援する」というものだ。

JHSEF 理事 大浦豊弘氏。

この「eスポーツの教育的価値」は3つある。ひとつ目は久保氏も語っていたユニバーサルスポーツとしての価値だ。ふたつ目は頭脳と運動能力を向上させる価値である。これらは基本的には、他のスポーツとほとんど同じであると大浦氏は語る。頭で考えて動くのではなく、感覚的に動けるようにするために体を鍛えるといった、身体知を鍛えていく。3つ目は、コミュニケーションを向上させる価値である。

「第1回 全国高校eスポーツ選手権」の決勝に進出した選手の言葉で大浦氏が感銘を受けたというのが、「eスポーツ部を立ち上げて、深くコミュニケーションする時間が増えた」だった。勝つためにどうすればいいかみんなで意見を出し合うのはもちろんのこと、普段の何気ない会話でもコミュニケーションの時間が増えたそうだ。

JHSEFの活動方針は、「eスポーツが日本の新しい文化として社会に根付くことを目指す」である。新しい文化とは、野球の甲子園やサッカーで地区大会に優勝した高校が、学校内や家族などが応援するイメージに近い。JHSEFでは、それと同様の状況をeスポーツでも作っていきたいと考えている。

それを実現するために、JHSEFではeスポーツの教育的価値や社会的意義を広く検証して、啓発をしていくことを使命としている。

具体的な活動としては、ユニバーサルスポーツとしての可能性の検証と発信やeスポーツが内包する課題克服への取り組み、高校生の国際性を育む活動を推進などに加えて、将来的には「全国高校eスポーツ選手権」も主催し、規模も拡大していく予定だ。また、高等学校等のeスポーツ部発足や活動支援も行っていく。

JHSEFの組織体制。6人のメンバーと監事ひとりの7名体制で運営されていく。
JHSEFには「広報・普及部」「教育・医学学部」「競技部」の3つのセクションが設置され、活動を行っていく。

JHSEFには4つの会員制度が用意されている。「正会員」は、連盟の社員として運営全体の業務を行う会員だ。「ビジョンパートナー」は、社員とまではいかないが各カテゴリーの活動に対して深く知見がある人に実務支援メンバーとして参画してもらう。

「賛助会員」は、連盟の活動を外部から支える会員だ。「学校会員」は、高校単位で加盟する会員で、eスポーツ部があってもなくても加盟は可能となっている。さらなる詳細は、後日JHSEF公式サイトで発表される予定である。

JHSEF公式サイト
https://www.jhsef.or.jp/

北米教育eスポーツ連盟(NASEF)との提携も発表

米国カリフォルニア州に拠点を置く北米教育eスポーツ連盟(以下NASEF)との提携も発表された。NASEFの副最高教育責任者 兼 クラブ活性化上級役員を務めるKevin T. Brown氏が登壇し、同連盟の活動内容とJHSEFについての説明が行われた。

NASEFのKevin T. Brown氏。

NASEFがスタートしたのは、今から3年前。元々は、子供たちがビデオゲームにどれほどの興味を持っているのかという試験的な試みから始まったものだ。2018年4月時点では米国カリフォルニア州のアナハイムの近くにあるオレンジカウンティで、28校・38チームで「リーグ・オブ・レジェンド」のリーグを開催している。

その後規模が大きくなり、2019年11月時点では米国42州で450校以上、500チームが参加。カナダも3州で8クラブが参加し、加盟生徒数は4500名以上という、急速な成長を遂げている。

Kevin T. Brown氏は教師だったが、NASEFに参加したときに教師のためのカリキュラムを作るように言われ、それは無理だと断っている。しかし、あるモデルを見た後でその考え方が変わった。それがこちらの図である。

モデルの中心にあるのは、ゲームだ。一般的にeスポーツというと、プレイヤーやゲームをしている姿をイメージすることが多い。自動車レースのNASCARに例えると、ドライバーと車があり、同じコースをぐるぐる回っているだけの競技であると思われていることと同じである。

だが、実際のNASCARにはレースに係わる様々な人々や業種が係わっていることと同様に、eスポーツにも様々な業種があるのだ。主な領域は、「戦略家」「創造的な人」「起業家」「主催者」といった4つがあり、15の職種がある。これらはすべてeスポーツに係わる仕事だ。

NASEFでは、これらを高校4年間でカリキュラムとして教えるだけではなく、こうしたものがあるということを啓蒙する活動も行っている。このカリキュラムは、カリフォルニア州を含めた42州で州により承認されている。

NASEFは、カリフォルニア大学アーバイン校と連携し、脳科学のトップ研究者と協力して、実際に脳に与える科学的な研究も行っている。これまでのスポーツ研究は60年ほどの歴史があるが、同様にeスポーツにも、これらの研究成果が基本的に当てはめることができるという。

最近発表された研究成果では、なかなか興味深い結果が出た。リーグのシーズン終了後、1対1の面談を実施。そこで、5つの領域に分けて様々な反応を聞いたものだ。コンピューターを使うeスポーツでは、科学的調査と分析や数学的な問題解決や推論、知識の応用といった領域が向上すると予測されていた。

しかし、母国語が英語ではない参加者からは英語が上達したという反応が出ている。最も大きな驚きは、社会的感情学習だ。eスポーツでは、他者との協力も必要であるため向上するとは考えられていたが、これほどまでの影響力があるとは考えられていなかったそうだ。

NASEFでは、5つの異なる分野について学習できるようにサポートやサービス、リソースを提供している。競技に参加する学校には、コーチングも提供している。同組織の独自の部分が、生徒キャリアとカリキュラムだ。カリキュラムは文字通りクラスで教えるようなものだが、生徒キャリアの方は高校卒業後に、どのような進路に進むか道を示す役割を果たしている。

学生たちにとって、最も重要となるのが競技だ。NASEFでは、生徒たちにプレイするゲームを選ばせておらず、10の大学から様々な人が参加し適切なタイトルを毎年出している。つまり、選ばれているゲームにはそれなりの意図があるのだ。ゲームにおいて何が起きるのか、それが現実世界でどのようにリンクするのか。当然ゲームの内容も考慮してタイトルが選ばれている。

Kevin T. Brown氏は最後に、「1年前にサードウェーブと話し始めたときから興奮を隠しきれなかった。今後はJHSEFとNASEFで共に、実りのあるeスポーツシーンを作っていく」と語り締めくくった。

ここ最近は無数にeスポーツ団体が生まれてきているが、高校生のeスポーツ活動にフォーカスした団体の登場で、日本でのeスポーツの裾野も大きく広がっていきそうだ。

(C) 2019 North America Scholastic Esports Federation

※画面は開発中のものです。

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