アトラスから2019年11月30日に発売された、PS4用ソフト「十三機兵防衛圏」。2019年10月30日から、製品版にセーブデータを引き継ぎ可能な無料体験版が配信されています。体験版の時点ですこぶる面白い「十三機兵防衛圏」の魅力を、製品版にて既にトロコン済みの筆者がお届けします!

なお、この記事にはゲーム内の序盤で判明するネタバレを多大に含みます……が。これらはネタバレにすらならないほど、物語のほんの一端です! それほど、「十三機兵防衛圏」のストーリーは壮大です。

ネタバレは主に無料体験版でプレイ可能なあたりまでになりますが、一部のキャラクターはもう少し先まで含んでいますので、現在プレイ中の方はご注意ください。

「十三機兵防衛圏」は、壮大なSFミステリー

「十三機兵防衛圏」の主人公は、十三名の高校生。この十三名が「機兵」と呼ばれるロボットに乗って、街を襲ってくる怪獣と戦います。

さて、唐突ですが、皆さんは推理小説における、フーダニット、ハウダニット、ホワイダニットという言葉をご存じでしょうか。

  • フーダニット(Whodunit = Who (had) done it)/誰が犯人なのか
  • ハウダニット(Howdunit = How (had) done it)/どのように犯罪を成し遂げたのか
  • ホワイダニット(Whydunit = Why (had) done it)/なぜ犯行に至ったのか

多分推理小説を読まない人でも、なんとなく聞いたことがあるのではないでしょうか。

そしてこちらも推理小説の用語になりますが、クローズド・サークルという言葉は聞いたことがありませんか? なんらかの事情で隔絶された状況下で事件が起こるストーリーのことで、例えば嵐で船が来れなくなった絶海の孤島、吹雪で孤立した山荘などがこれに当たります。

これらは一見、「十三機兵防衛圏」とは何の関係もなく思える言葉ですが、最終的にはこれらの用語は「十三機兵防衛圏」の世界に大きく関わってきます。

「十三人の高校生がロボットに乗って戦うのに、何故ミステリー用語が?」となりませんか?

ですが、そこに辿り着くまでには、もう少しお話を重ねなければなりません。

「十三機兵防衛圏」のメインとなる時代は、1985年。昭和の終わりも近く、バブル景気にはギリギリまだ突入していないくらいの時代です。

もちろん、このあとのセリフは「ちこく、ちこくぅ」です。懐かしい少女漫画の定番と言われている場面ですね。

ですが、それはあくまで”メイン”のお話。「十三機兵防衛圏」では、1945年、1985年、2025年、2065年の4つの時代が主な舞台になります。見ればわかる通り、40年ごとで時代が飛んでいますね。それにも理由があります。(が、言えません)

鞍部十郎は怪獣映画が大好き。昭和の時代の怪獣映画と言えば、もちろんアレですよね。
多分数年前にアレを見た人も多いのではないでしょうか? こんな小ネタも多いので、くすっとなります。

「十三機兵防衛圏」では十三人の主人公から順々にストーリーを進めていくことになりますが、操作キャラクターが変わると時代が変わることも多いです。そして、操作キャラクターを変えると、1985年にいたはずのキャラクターが何故かしれっと2065年など他の時代にもいたりします。

1985年では「A」と名乗っていたキャラクターが、別の時代では「B」と名乗っていたり……同時間軸にAとBが同時に存在することもあります。もちろん、その謎は序盤で得られる情報だけでは全然明かされないので、この先果たしてどのような謎が展開されていくのか、気になって気になって仕方がない!

このシーンは1945年。まだブルマなんてない時代なので、ブルマを見て顔を赤らめる少年。
ゲーム序盤で登場する一番の過去は1944年、一番の未来は2187年です。

現在、過去、未来が交錯するストーリーは複雑そうに思えますが、ひとつひとつ順を追って展開されていくので、話を進めるたびに次々と驚きはあれど、混乱はなく遊べます。

各キャラクターともフローチャートがしっかりありますので、分岐のチェックも楽々です。

アドベンチャーパートは「追想編」とつけられていますが、「過去を思い出してしのぶ」という意味深なタイトルの通り、追想編は基本的にほぼ全て、既に“起こってしまった出来事”になります。

最終的には1985年にほぼ全キャラクターが集結することとなりますが、集ったメンバーが1985年の時代に生きていたわけではなく、それよりもっと過去の時代から1985年にきたキャラクターもいれば、未来から1985年にきたキャラクターもいて、それらのキャラクターの絡みが実に絶妙な塩梅で描かれます。

バトルは機兵に搭乗して……機兵に乗る時は全裸!(重要)

バトルパートは「崩壊編」と名付けられていますが、他のゲームと大きく違うのは「ストーリーを進めていったら遭遇した敵とバトルする」という進行ではなく、崩壊編でプレイするバトルは追想編の後の【最終戦】になります。主人公たちは、休みなく襲い掛かってくる敵たちとひたすら「最後の戦い」をしているのです。

ですので崩壊編は主に追想編で起こった出来事を経て、更にストーリーが進行していき、「追想編」でも明かされなかった最後の謎が判明していくようになっています。

バトルはシミュレーションで、敵に攻撃が当たる位置までキャラクターを動かして攻撃をしたり、シールドを張ったり、囮を置いて敵の攻撃をそこに引き付けたり……という感じで進めていきます。

お互いに兵装で戦いますので、遠距離から銃弾やらレーザーやらが飛び交う遠距離戦が中心のバトルとなります。基本的にはターミナルと呼ばれる拠点を目指して攻撃してくる怪獣らを全て倒し、拠点を防衛するというものが多いですが、大型のボスキャラを倒せば終わるというマップもあります。

第一世代機兵は近接格闘型。一撃での攻撃力はとても高いものの、飛行怪獣には攻撃が効きません。大型のボスキャラを倒す時にはほぼ必須の世代です。

第二世代機兵は万能型で、近接~中距離攻撃に対応。HPが高めな機兵が多いのも特徴です。後半になれば、第一世代をも上回る火力も持ち合わせます。デコイのような囮を設置することもできます。

第三世代機兵は遠距離型。飛行怪獣を地面に落とすE.M.Pパルスを最初から使えるのも第三機兵の特徴。近接戦は苦手ですが、全く対応できないわけではありません。

第四世代機兵は飛行支援型。飛行タイプなので道を無視して移動が可能、移動速度も速く、必要な場所への支援をすぐに行えるものの、HPは比較的全機兵とも低めに設定されています。味方の機兵にシールドが張れます。

機兵のタイプはある程度世代によって分類されていますが、
世代が同じなら全員同じ技を使えるというわけではありません。
各キャラクター毎に兵装は違うので、状況に応じて誰を出撃させるか決めていきます。

……という、4種の世代の機兵をつかいこなしてバトルを進めていくのですが……

機兵に乗り込むときは全員全裸!!!!

ここ……超重要なので……。男性キャラも女性キャラも全員全裸です……。イイ……実に良い……。崩壊編にて彼らが通信で会話するところはほぼ全て、全裸のイラスト! かなりギリッギリのところを攻めてくるキャラもいますし、実にけしからん……イイです。

裸の女の子の群れ(違)に囲まれて……なんと羨ましい……でもこれはあくまでラストバトルの真っ最中です……。

キャラクターのイラストの右下に出ている数字は乗っている機兵の番号で、現存している機兵は10番からです。10番機に乗る緒方くんは、喧嘩が強いいわゆる不良キャラとあって、かなりガタイが良いですね。12番機に乗る比治山くんや19番機に乗る三浦くんは戦時中の軍人なので、なかなかいい身体……。

それに比べて20番機の網口くんや22番機の郷登くんあたりは、支援型に乗っているというイメージの通り、ちょっと華奢な体つきですね(でも網口くんも結構、喧嘩強いんですけれどね)。

この機兵搭乗時のイラストだけで、ご飯が3杯食べられます。本当にありがとうございます。ぜひ、じっくり眺めてください。

そしてもうひとつの見どころは、機兵搭乗時のシーン。追想編でも機兵に乗るための起動マーカーのシーンは見ることは出来るのですが、大きな絵で見られるのは崩壊編のみです。

わざとバトルの最中に機兵を降り、そして再搭乗しないとこのシーンは見れないのですが、機兵の起動マーカーの場所は各キャラクターで違いますので、このためだけに全員一度機兵を降りる価値あり!

バトルはカジュアルモードという難易度の低いモードもあり、こちらならばバトルが苦手でストーリーだけ楽しみたい人も遊べます。チュートリアルもしっかりしているので、画面だけ見ると少しややこしく感じそうですが、意外と手触り良く遊べます。

筆者はノーマルとカジュアルで遊びましたが、カジュアルでも中盤以降は初見でいきなりSランクを取るのは難しいです。Sランク報酬でとれるアチーブメントがあるのでSランククリアは必須なのですが、初見だとどうしても敵の配置などがわからないため誰を出撃させるか失敗するとSランクを逃す、という感じです。ちなみにSランク報酬のアチーブメントは難易度関係なく取れますので、バトルが苦手な方は躊躇いなくカジュアルモードで回収してください。

ちなみにどうしてもなかなかSランクが取れないという人は、第二世代が使えるガーディアン(※デコイを設置する兵装)をかたっぱしから設置してみるのをお勧めします。

推し、推し、推し……推しのいる生活、プライスレス!

十三人も主人公がいるので、もう「ここが推しパラダイスか」と呟きたくなるほど、推しキャラがたくさん出来ます! 見た目の好みはもちろんのこと、ストーリーを知れば知るほど、「えっ、こいついいやつじゃん……推し」「この子健気でいじらしい……推し」「この子ほんとアホ可愛い……推し」と、推しが次々と増えていく喜び……!

とにもかくにも、一人ずつ紹介をしたいと思います。キャラクター紹介の画像が機兵搭乗時のものなのは、筆者の趣味です。なお、キャラクター紹介のあとに色々続きますので、紹介はあえてさらりです。なにせ13人+αもいますので、見た目とかでなんとなく覚えてくださいね。

鞍部十郎(CV:下野紘)

まずは十三人の主人公の中でも更に主人公枠だと思われる、十郎くん。咲良高等学校の1年生。どうやら1985年に生きる彼は何らかの治療のために記憶を封じられているようで、元は未来の世界の人間で和泉十郎という名前だったようです。

冬坂五百里(CV:種﨑敦美)

冬坂さんは、1985年の咲良高等学校の1年生で十郎たちの同級生。ゆるふわ可愛い系女子で、しょっちゅう転んではパンツを拝ませてくれます。パンツはいいぞ。ちこくちこくぅ、とパンをくわえて走っていたら、校門の前で関ヶ原とぶつかって彼に一目惚れしてしまいます。

薬師寺恵(CV:内田真礼)

薬師寺さんは元は2024年の咲良高等学校に通っていたものの十郎と出会い、彼に強い愛情を抱いています。けれど残念ながら薬師寺が好意を持っている十郎は、和泉十郎のほう。2025年から十郎を追ってきた薬師寺は、1985年の咲良高等学校の1年生となり鞍部十郎を見守り(?)ます。

網口愁(CV:鈴木達央)

網口くんは、お金持ちのおうちのボンボンでプレイボーイですが、根はすごーく優しくて、面倒見のいいキャラクター。鞍部十郎の同級生です。ある日、人気アイドル因幡深雪に、テレビの中から「助けて」と呼びかけられます。鷹宮由貴との出会いで、プレイボーイを卒業します。

関ヶ原瑛(CV:浪川大輔)

関ヶ原くんは、いきなり全ての記憶を失い、目の前に森村先生の死体があるところからスタートします。彼はどうして記憶を失ったのか? 森村先生を殺したのか? 他の人の話によれば、彼はどうやら未来から1985年に来た人間のようです。

比治山隆俊(CV:石井隆之)

比治山くんは、1944年の咲良高等学校の前身となったと思われる学校にて機兵の搭乗員候補生の訓練を受けていますが、惚れた女(実は女装した男だったのですが)沖野を追って、1985年に飛んできて、そこで出会った焼きそばパンに魅了された男。男だと解っていつつ沖野と焼きそばパンに翻弄され続けます。

郷登蓮也(CV:福山潤)

郷登蓮也くんは1985年の咲良高等学校2年生ですが、十三人の高校生のリーダー格で高校生とは思えない冷静沈着な性格。追想編でも崩壊編でも森村先生の右腕として、天才ぷりを発揮します。序盤から時代を超えて多くの登場人物と絡んでることもあり、一番謎が多く、ストーリーも最後のほうまでほぼ進められないキャラクターとなっています。

三浦慶太郎(CV:石川界人)

三浦くんは比治山とは同郷の先輩後輩にあたり(三浦が後輩)、つまりそもそもは1945年の人間ですが、1945年に飛ばされてきた南奈津乃と出会います。怪獣との戦いの最中、突然1985年に飛ばされてしまうものの、その時代でも再び南と出会い、彼女に助けられます。

緒方稔二(CV:関智一)

緒方くんは1985年の咲良高等学校1年生で、リーゼントで喧嘩が強い、わかりやすい80年代の不良ですが、優しい一面も持っていたり、また高校生らしく女の子への興味を覗かせる一面も。ある日、事故で大破する電車に乗りあわせてしまってからというもの、死ぬと駅のホームへ戻り、また電車に乗ると死ぬ、という無限ループに巻き込まれてしまいます。

南奈津乃(CV:佐倉薫)

南さんは1985年の咲良高等学校の1年生で、オカルトマニアで80年代に流行っていたUFOとか宇宙人ネタが大好き。陸上部に入っていて、放課後はずっと体操服姿で行動しています。ある日南は謎の小型ロボットBJと出会い、BJに「17番機兵を探してほしい」と頼まれます。未知との遭遇に、南はすっかり有頂天。

鷹宮由貴(CV:小清水亜美)

鷹宮さんは喧嘩が超強いいわゆる”スケバン”で、南の幼馴染。ちょっとした運命の流れで井田鉄也に弱みを握られ、咲良高等学校に転校することになり、”特機”と呼ばれる特務機構の仕事を手伝いがてら、失踪した南の手がかりを探します。積極的に迫ってくる網口を冷たくあしらいつつも、まんざらでもなさそう。

如月兎美(CV:M・A・O)

如月さんは思ったことを素直に口にしてしまうタイプ。2025年からやってきた未来人で、2025年では薬師寺と同級生で親友ですが、1985年の咲良高等学校では同じクラスの冬坂や冬坂の友人の沢渡さんと仲良くなっています。本当は「トミ」ですが、「ウサミ」と呼ばれています。2025年の世界にいた時は配信などもやっていた、積極的なタイプです。

東雲諒子(CV:早見沙織)

東雲さんは完全なヤンデレ枠。薬をがぶ飲みしていないと激しい頭痛で意識を失ってしまいます。元は2065年の人間ですが、1985年の咲良高等学校に通っていて、未来にいたころからずっと井田鉄也に心酔。彼に自身の全てを捧げているような女の子です。ですが、肝心の井田は諒子の想いを利用しているだけな風も……?

……と、ここまでが主人公となる13人なのですが、物語に絡む重要人物はまだまだいます。ここでは物語に大きく絡むと思われる数名を紹介しましょう。

沖野司(CV:田村睦心)

天才高校生で、未来の世界で機兵をはじめとする様々な技術を生み出したとされています。本来生きていた時間軸は不明ですが、1944年では時代に馴染むために女装をして、堂路桐子を名乗ります。1985年では、女装した自分に恋心を寄せてきた比治山を使って何かを企んでいるようです。

森村千尋(CV:???)

1985年の咲良高等学校にて養護教諭をしている、31歳の美人教諭。鞍部や冬坂のいる1年B組の担任でもあります。敷島の兵器開発に関与している重要人物で、ありとあらゆる時代に登場し、どうやらこの時間の牢獄をスタートさせた始まりのひとりのようです。どうやら関ヶ原に殺された人物と同一人物のようですが……。

井田鉄也(CV:???)

森村と組んで、様々な時代をループしているなかのひとり。2024年では咲良高等学校の非常勤務講師で、東雲諒子のクラスの担任。東雲を機兵に乗せた張本人です。1985年では、政府が秘密裏に設けた特殊法人の情報特務機構(いわゆるスパイ機関)の特機理事長を務めています。森村がたてたイージス作戦なるものに、反対なようです。

BJ(CV:???)

南が見つけた、箱のような小さいロボット。転移装置である”ゲート”の場所を知っていて、ゲートを起動することが可能。17番機兵を探すため、南と一緒にゲートから様々な時代に飛びます。

しっぽ(CV:???)

主に1985年の咲良高等学校周辺に現れる謎のしゃべるネコ。十郎を救いたい薬師寺の願いをかなえる代わりに”魔法使い”を探して、魔法の銃で撃て、と言います。その目的は謎ですが、どうやら機兵を起動させられる人間に機兵の起動マーカーを撃ちこませているようです。

複雑に絡み合うシーンの一部をご紹介!

さて、こうしてメインとなる1985年に様々なキャラクターたちが集結するのですが、「時代を超えている」からこそ、人間関係もなかなかに複雑です。「え? 貴方1985年では●●ちゃんのことを好きみたいな雰囲気出していたよね? 2024年では××ちゃんと相思相愛なの? それは××ちゃんもストーカー化しちゃうってもんだよ?」……というような! 血みどろの恋愛ドラマが! ……待っているかはわかりませんが、各キャラクターの感情の交差がすごいです。

例えば、十郎は1985年の世界で鞍部十郎として生きている時は、冬坂さんに好意を寄せています。冬坂さんも十郎の想いを知っているようなシーンもあります。

ですが、その一方で2025年の和泉十郎は、自分を甲斐甲斐しく助けてくれた薬師寺さんに惹かれているようです。

この2人はどうやら相思相愛だったようですね。1985年まで十郎を追ってきた薬師寺さんですが、この時には和泉十郎は既に記憶を失い、鞍部十郎として生きています。森村先生にも「彼には近づかないで」と言われてしまう薬師寺さんですが、十郎への想いを諦めきれない彼女は、押しかけ女房のように十郎の家に間借りをして同居。そして薬師寺さんは学校で十郎と親しげに話す冬坂さんに嫉妬の目を向けます。

その冬坂さんは、ある日偶然、校門前でぶつかった関ヶ原くんに一目惚れしてしまいます。ただ、どうやらこの校門でぶつかったのは、関ヶ原くんが記憶を失う前の出来事のようで、記憶を失った関ヶ原くんは少しずつ冬坂さんに心を開いていきます。

しかし冬坂さんは、未来の世界で網口くんから「森村千尋さんですよね?」と声をかけられています。

さらにさらに、そのどうみても網口くんな彼は、自分のことを「井田鉄也」と名乗ります!

井田鉄也というと1985年の世界では鷹宮さんを特機に引き込んだ人物ですが、2086年の世界を見ると森村先生と二人でこの世界を救おうとしていたことがわかります。ですが、その後の井田と関ヶ原の会話を見ると、どうも森村先生が「イージス作戦」を決断したことによって、井田との間になんらかの衝突があったのでしょう。

そして井田に何かの取引を持ち掛けられた関ヶ原ですが、彼は1985年の世界で森村先生の死体を前に、記憶を失っている状態でした。

つまり、

  • 鞍部十郎=和泉十郎である
  • 網口愁=井田鉄也であると思われる
  • 冬坂五百里=森村千尋であると思われる
  • 1985年の世界で森村千尋は関ヶ原瑛に殺される
  • 殺しを指示したのは井田鉄也の可能性

……ということが考えられます。いったい、何故名前がまったく違うのでしょうか?

これは十三人のストーリーのほんの一部を紹介しただけで、他にも様々なキャラクターたちが様々な顔を見せたり、謎の行動を取ったり、そうしてその行動の謎が別のキャラクターの世界で明かされていきます。

焼きそばパンに惚れ込みすぎた男、比治山。テレビから謎の声を聴く、網口。
そして十郎の家のお隣さんは、南家。南は十郎の祖母の玉緒と仲が良く、
その玉緒と三浦とは、実は南が1945年の世界に飛んだ時に接触をしています。
ちなみに三浦の隣にいる小さな女の子は三浦の妹で、名前が「千尋」。
「千尋……おや?」となりますね。このゲームで、何の意味もなく名前が同じなわけはないでしょう。

さて、ここで冒頭で述べた推理小説におけるフーダニット、ハウダニット、ホワイダニットが出てきます。

とある未来では、大人になった十郎が網口、薬師寺、冬坂の3人を殺してしまいます。ここでも十郎は網口をやはり「井田」と呼んでいます。

3人を殺したあと、森村が現れ「なんてことをしたの!」と十郎を責めますが、
十郎は「彼らこそ怪獣出現の原因だった」という謎の言葉を残します。
  • 誰が犯人なのか
  • どのように犯罪を成し遂げたのか
  • なぜ犯行に至ったのか

13人の高校生がある日ロボットに乗って怪獣と戦う――そんな物語とはまるで無縁に思えるこれらの要素が、「十三機兵防衛圏」では非常に大きく絡んできます。

さまざまなキャラクターの様々な思惑が絡み合い、物語の真相は最後の最後までわかりません。ですが、崩壊編のラストにまでたどり着いたその時、これら全ての謎に解を得ることができます。そして、クローズド・サークルの真相も知ることになるでしょう。

つまり「十三機兵防衛圏」は、壮大なSFミステリーと呼べる作品なのです。

ちなみに「めっちゃネタバレしている」と思われそうですが、序文にも書きましたように、これはまだネタバレのうちにすら入りません。あまりにも奥深い「十三機兵防衛圏」の世界は果たしてこの先どうなるのか、ぜひ貴方自身の目で確かめていただきたいと思います。

サウンドも最高!

今回はここを推さずにはいられないほど、BGMが……めちゃくちゃかっこいいです! サウンドは「タクティクスオウガ」や「FINAL FANTASY TACTICS」、「戦場のヴァルキュリア」などで有名な作曲家・崎元仁氏と、崎元氏の所属するベイシスケイプが担当しているとあって、そのクオリティはお墨付き。

楽曲のクオリティはもちろんのこと、使うシーンのチョイスもいいです。「え、このシーン、すごく感動的な音楽流してるけど、そういうシーンじゃないよね? 何、いい音楽流していい話にしようとしちゃってるの?」という、シュールなツッコミによる笑いなのですが、これは決して悪い意味ではなく、本当に絶妙な匙加減です。

こういう音楽の使い方は昔のゲームには比較的よくあったのですが、こんなところでも物語のメインとなる昭和を再現しようとしたのだろうか、と少し勘繰りたくなります。あまりに伏線だらけのゲームのため、何もかもが仕組まれているのかそうでないのか、自分でも判断がつかないという有様です。

追想編で流れる音楽は比較的ムーディなものが多くこちらも素敵ですが、崩壊編で流れるバトル曲も実に最高です。シミュレーションとはいえど、崩壊編の紹介で書いたように基本的には長距離砲などで戦うバトルとあって、シューティングの黄金時代に育った世代にはドンピシャなBGMです。

なおバトルの進行度によって曲が変わっていくマップもあります。リアルタイムでほぼシームレスに音楽が切り替わったり、カットシーンを挟んでより一層音楽が盛り上がっていく演出などは、シミュレーションではとても珍しいと思います。

また、機兵の配置音や敵に砲弾を撃ち込むSEとかも個人的にイチオシです。普段ならあまり気にも留めないような細かい音がすごく丁寧に作られていて、「十三機兵防衛圏」の世界観をより一層際立たせているのがわかります。既にプレイ済みの人は、ぜひ改めてそういった部分の音も聞いてみてほしいです。

余談ですが、筆者はエンディングの時点で既に崩壊編100%、追想編100%、究明編100%で、
トロフィーは95%まで達成済でした。プレイ時間は、トロコンまで含めて35時間にならないくらい。
濃密なストーリーを一気に追うプレイが合っている作品です。トロコンもしやすくていいですね。

「十三機兵防衛圏」は、セーブデータを製品版に引き継げる無料体験版が配信されていますので、まずはぜひそちらをプレイしてみてください。そして、フーダニット、ハウダニット、ホワイダニットの真相を、ぜひ製品版で確かめてください。

この程度のネタバレが何もネタバレに当たらなかったことを、知ることになるでしょう。

十三機兵防衛圏

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