スクウェア・エニックスの新作RPG「エンゲージソウルズ」をレビュー。じゃんけんとRPG的なターン制バトルをベースにした対戦ゲームというユニークな作品。その魅力を紹介する。
「エンゲージソウルズ」は、スクウェア・エニックスからリリースされた対戦型RPG。じゃんけんをベースにした競技「エンゲージ」の楽しさと、「エンゲージ」に魅せられた少年少女の青春ストーリーが魅力の作品だ。スクウェア・エニックスの新作ということで楽しみにしていた人も少なくないだろう。この記事では、そんな本作の内容を紹介したい。
じゃんけんがベースの対戦競技!「エンゲージ」とは
まずは本作の中核となっている競技「エンゲージ」の内容から紹介しよう。既に触れた通り「エンゲージ」のベースは、じゃんけん。公式サイトなどでは「eじゃんけん」とも書かれている。
プレイヤーは、画面に表示された3つのカードの中から、1つを選ぶ。カードにはグー、チョキ、パーが描かれており、選んだカードによってじゃんけんの手が決まるという形だ。
そして、じゃんけんの勝敗によって攻撃順が決まる。じゃんけんに勝てば先攻。負けたら後攻。あいこの場合は、さらに早押し勝負へと発展する。画面に「!」マークが表示された後、より早く画面をタップした方が先攻。タップが相手より遅れたりお手付きしてしまったりすると、後攻だ。
攻撃は、「エンゲージ」の選手ではなく、精神体として付き従う存在「ソウル」が行う。なお、攻撃は必ずヒットするとは限らない。カードにはグー、チョキ、パーといったじゃんけんの手以外に攻撃のヒット率が書かれており、攻撃が当たるかどうかはこのヒット率によるのだ。判定の結果、相手に回避されてしまえばダメージを与えることはできない。なお、仮にカード選択時点のヒット率が低くとも、じゃんけんに勝てばヒット率をアップさせることが可能だ。
この流れを繰り返し行い、先に相手のHPをゼロにした方が「エンゲージ」の勝者となる。じゃんけんと、RPGのターン制バトルというおなじみの娯楽でありながら、とてもユニークなプレイ感だ。
シンプルに見えて奥が深い!「エンゲージ」の魅力
本作のバトルシステム「エンゲージ」の流れを見て、「運ゲー」と感じた人もいるかもしれない。じゃんけんはもともと運ゲーだし、ヒット率という要素も運に左右されるものだからだ。しかし、いざプレイしてみると、駆け引きが奥深いことに気づかされるだろう。
本作の駆け引き要素を強めている1つめの要素が、じゃんけんのカード選択部分だ。表示されるカードは毎ターンランダムではなく、前のターンで選ばなかったカード2枚に加え、現在のターンで新たに加わったカード1枚という構成。このため、カードの使い方によってはグー3枚やパー3枚など、同じ手がかぶるという状況が起こり得るのだ。
さらに、お互いの手持ちカードと、次のターンに引くカードの内容は公開されている。なので、ただこのターンのじゃんけんに勝つことだけ考えていては、バトルを制することはできない。先のターンや、相手の心理状況を読む必要があるのだ。
また、じゃんけんの勝敗だけではなく、ダメージも考慮する必要がある。ダメージはキャラクターのパラメーターと属性、そして攻撃を行う「ソウル」の属性と相性によって決まる。キャラクターの属性と「ソウル」の属性が一致しており、相手の「ソウル」との相性がよければ、大ダメージを与えることが可能だ。「ソウル」の属性もカード選択によって決まるため、場合によってはじゃんけんに負けた方が、勝った方よりも大きなメージを与える…なんてことも起こり得る。
確かにベースはじゃんけん。ゲーム進行そのものも、カードを選び、状況に応じて挿入されるタイミングアクションを行うだけなので、非常にシンプルなゲームルールだ。しかし、本気で価値を目指すなら、考慮しなければならない要素が多く、奥深い。マンガ「賭博黙示録カイジ」の限定じゃんけんのような魅力を持ったバトルシステムだ。
対戦のおもしろさを成立させるためのユニークな成長システム
本作のような対戦型ゲームでは、キャラクター間に明確な能力差があると、対戦のおもしろさがなくなってしまう。プレイヤースキルで覆すことができないほどキャラクターに能力差があるなら、戦う前から勝敗が決まってしまうからだ。この点、本作はユニークな育成システムを用意している。
本作のキャラクターの能力は、「トレーニング」よって決まる。このモードは、いわゆる育成シミュレーションゲームの一種。「攻撃練習」や「防御練習」、「座学」や「メンタル」といった練習コマンドを選ぶことで経験値を獲得。手に入れた経験値をキャラクターの能力へと割り振ることで育成を行う。
ユニークなのが、一般的なスマホRPGのように、無限に育成できないこと。練習コマンドを選べる回数は決まっており、その回数内で育成完了となる。もし、キャラクターの能力が気に入らなければ、キャラクターの能力をリセットしてトレーニングをやり直すことが可能。なので、強力なキャラクターが作れるかどうかは育て方と運次第。対戦のおもしろさを成立させるための公平性をもった仕組みといえるだろう。
また、「トレーニング」はストーリーモードも兼ねている。少年少女たちが「エンゲージ」のプロプレイヤーを目指してスクールで成長していくという青春ストーリーだ。主人公が仲間とともにライバルと競い、成長していく姿は姿は、爽やかで熱い。青春モノの王道的な楽しさを味わわせてくれる。
ゲーム的にはおもしろい!不具合解消が課題
新しいスタイルの対戦ゲームには、新規プレイヤーを呼び込むための間口の広さとともに、駆け引きの楽しさが求められる。また、対戦を成り立たせるための公平なルール作りと、ビジネス面を同時に成立させなければならない。非常にハードルの高い、困難な仕事といえるだろう。しかし本作は、そんなハードルをまずは越えてみせた。
もちろん、プレイヤー数を増やし、今後も継続するための課題は残っている。当面の課題は、不具合の解消だろう。現時点で本作は多くの不具合を抱えており、その影響かiTunes StoreやGoogle Playでのユーザースコアも低い。ただ、ゲーム内のお知らせを見る限り、運営サイドは既に不具合解消に取り組んでいるようだ。課題はあれど、対戦ゲームとしておもしろい作品だと思うので、今後の発展に期待したい。興味を持っている人は、是非プレイして欲しい。
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