セガは、「頭文字D ARCADE STAGE」の新作「頭文字D THE ARCADE」のロケテスト「特別体験会 -Ignition-」を、7月23日と24日の2日間、東京・秋葉原のセガ秋葉原 5号館5階 Akib@koで開催する。本稿では、一般ユーザー向けの実施に先駆けて行われたメディア向け体験会の模様をレポート。最新作の楽しさが存分に感じられるプレイフィールを紹介していく。
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ロケテストでは、日程や時間帯により「店内バトルモード」と「タイムトライアルモード」、「オンライバトルモード」が遊べるようになっていたが、今回体験できたのは本作のメインである4人同時対戦の「店内バトルモード」だ。
ちなみに、このロケテスト初日では朝から小雨が降りしきるあいにくの天候だったが、それでも9時から配布される整理券のために8時過ぎには10人ほどが列を作って並んでいる様子が見られた。
この特別体験会では、プレイした全員に「頭文字D THE ARCADE」オリジナルエコトートがプレゼントされるほか、アンケートに回答するとオリジナルアミューズメントICカードがもらえる。
また、両日の模様をツイートした参加者にはオリジナルICステッカーがプレゼント、さらに抽選で4名にはミニチュア筐体がプレゼントされる。このミニチュア筐体、3Dプリンターで作ったものだそうで、今のところ今回のイベントでしか手に入らないレアなアイテムだ。
コンセプトはみんなで集まりワイワイ遊べること
本作は、今年で連載開始25周年を迎える人気漫画「頭文字D」を原作にしたアーケード向けレースゲームだ。2002年に稼働開始して以来、今回でシリーズ10作目となる。足かけ18年も続く人気シリーズだが、これまでは原作同様に1対1のバトルで峠を走るというのがメインだった。また、店舗間を繋いで通信対戦ができる世界で唯一のゲームでもある。
だが、今作では店内に集まりワイワイ遊べることをコンセプトに、シリーズ初の4人同時対戦に対応している。今回のロケテストの目的は、この新しい試みが受け入れられるかどうか世間に問うというようなニュアンスも含まれているという。
家庭用ゲームとは異なり、ゲームセンターは対面で遊ぶというのが独特の醍醐味となっている。そのため技術的には他店舗との対戦も可能だが、4人対戦はあえて店内だけで行えるようにしているそうだ。
ちなみに、店内に4台以上設置されている場合でも、4台対戦できるものとそれ以外という形で区切られる。残念ながら今回はタッグバトルには対応していないが、1対1の対戦は可能だ。乱入に関しては、それを受けるかどうかプレイヤーが選択することができるようになっている。
4人対戦プレイでは、ブーストの有り・無しも選択できる。これにより、4人全員がOFFにすることで、ガチで対戦することも可能だ。
美しさだけではなく漫画的表現もゲームで再現
ハードウェア的には、ALLS(オールス)と呼ばれるセガが開発したアーケードゲーム用のシステム基板が採用されており、前作「頭文字D ARCADE STAGE Zero」よりも進化を遂げている。
デザインは変更されているが、「頭文字D ARCADE STAGE Zero」から採用された6速Hゲート式「アドバンスドMT」や小型のステアリングなどはそのまま継続されている。「アドバンスドMT」は実車のようにシフトレバーを操作する「MT」ライクなプレイのほか、触っていないときは自動で「AT」になってシフトチェンジが行われる。そのため、アクセルやブレーキ、ステアリング操作だけを行ってていてもある程度問題なく走行することが可能だ。
ちなみにプロデューサーを務める新井健二氏は、「頭文字D ARCADE STAGE 8 ∞」以来、5年ぶりの本シリーズに復帰を果たしている。プロデューサーが変わり、「頭文字D ARCADE STAGE Zero」では上記のようなハードウェア面の変更もあったのだが、そちらについてはいい意味で驚いたそうだ。ハンドルを大きくすればリアリティは増すが操作はしにくくなってしまう。それよりも、ハンドルを小さくして操作しやすくすることで、ゲームを遊んでいて楽しく感じるように作られているのである。こうしたところは、新井プロデューサーなら選ばれなかったかもしれないポイントである。
本作では、シリーズ初のUnreal Engineが採用されている。もちろんグラフィックは十分過ぎるほど美しいのだが、実は本作では絵を綺麗に描くという部分に力を入れているわけではない。それよりも、レース中の演出面に力が入れられているのだ。
今作では走行中、プレイにあわせて擬音が新たに表示されるようになった。Unreal Engineはこの部分にも活用されいてるそうだが、壁や他車にぶつかれば「ゴン」と表示され、スキール音を鳴らしながらカーブを曲がれば「ギァァアアア」と擬音が表示される。この擬音は原作にもあるものだが、これが出ると上手く操作できている証なのだという。
走りのうまさが勝敗に結びつく“運ゲー”にならないゲーム性
公式サイトを見ると、「プレイヤーの操作がダイレクトに伝わる新操作性」と書かれている。当たり前のことだが、左にハンドルを切ると左に曲がる。壁にぶつかったら、自分が失敗したということが、プレイヤーに伝わる。そのときに、なぜ壁にぶつかってしまったのかわからないのではなく、その状況がダイレクトに伝わることでプレイの改善に繋がっていくというようなことを目指して作られているという意味だ。
例えばそのひとつが、「バトルスコア」である。レース中、プレイヤーに色の付いたオーラが表示されることがある。これは「バトルスコア」が貯まることで表示されるものだ。レース展開で前にいたり、あるいは壁に当たらないように走っていたりすることでポイントを貯めていくことができる。つまり、上手く走っているプレイヤーほど貯まっていくというわけである。
静止画ではわかりにくいが、キャラクターのアイコンの下にメラメラと炎のようなオーラが表示されている。こちらは「バトルスコア」が貯まっていくことで、黄色→緑→青→紫というようなレインボーカラーで変化していく。 |
レースゲームでは、終盤までダメな状態でも最後で抜いて勝つというよな“運ゲー”になってしまうことがある。だが、この「バトルスコア」が貯まることで抜きにくくなったり、あるいは抜きやすくなったりする。そのため、レースの最初から最後までのプレイが勝ちやすさにも繋がっていくデザインになっているのだ。
ちなみに、車のアップグレードも可能だ。最初は素の状態からスタートとなるのだが、ポイントを貯めていくことで外見やエンジンが変わり速くなっていく。これにより、対戦でも車を速くしていくことができるのだ。ちなみにポイントが貯まるのは、ストーリーのみとなる予定だ。そのため、まずはストーリーでポイントを貯めて自分の車をチューンしていくという流れになる。
ドリフトも簡単に決められて主人公気分が味わえる!
本作では舞台が峠ということもあり、道がかなりうねっている。そのため、コーナーごとに抜くポイントがあるのだ。最後まで誰が勝利するのかわからないドキドキ感が味わえるため、シリーズやレースゲームファンはもちろんのこと、初心者でも気軽に遊べるゲームになっているところも、魅力のひとつである。
ローンチにどれぐらいのコースが入るかは未定だが、長い期間をかけて新たなコースが実装されていく予定だ。ちなみに今回のロケテストでは、12台の車が選択可能となっていた。
体験会では4人対戦プレイに挑戦したのだが、たしかに4人もプレイヤーがいるとそれぞれの個性が出て素直に面白く感じた。ちなみに、アクセルベタ踏みでハンドル操作を行ってみたのだが、曲がりくねったコースでありながらある程度はコントロールができた。また、ドリフトなども簡単に出せるため、レースゲームが苦手な人でも原作の主人公のような気分を味わうことができるのも、本作の面白いところだ。
だが、これは決してゲームとして簡単という意味ではない。突き詰めていくとその腕の差も出るようになっており、そうした意味でもやり込みがいがある作品に仕上げられているといえるだろう。
体験会の最後に行われた囲み取材で、新井プロデューサーからは「プロデューサーも変わって新規一転作っているので、みなさんお楽しみにして欲しいなと思っています」と、本作を楽しみにしているファンに向けてメッセージが贈られた。
まだまだ明らかになっていない部分も多いが、それらも含めて今後の続報にも期待したいところだ。