7月10日にNintendo Switchダウンロード専用ソフトとしてリリースされたオープンワールド・ミステリーアドベンチャーゲーム「Deadly Premonition 2: A Blessing In Disguise」のレビューをお届けしよう。

「レッドシーズプロファイル」から10年の節目に生まれた続編

「Deadly Premonition 2: A Blessing In Disguise」(以下「Deadly Premonition 2」)は、2010年にリリースされたPS3/Xbox 360用ソフト「レッドシーズプロファイル」の続編だ。

もし「Deadly Premonition 2」からプレイしようと考えている方がいるのなら、前作「レッドシーズプロファイル」を先にプレイすることをおすすめしたい。理由はレビューを読み進めてもらえれば、納得していただけるだろう。

なぜ本作と前作のタイトルがまったく違うのかというと、もともと「レッドシーズプロファイル」の海外向けのタイトルが「Deadly Premonition」で、のちに日本でのタイトルもこちらに統一されたという経緯がある。なおこの前作「レッドシーズプロファイル」は、「Deadly Premonition Origins」に改題されてNintendo Switchにも移植されている。Switchさえあれば、2作共プレイすることが可能だ。

前作「レッドシーズプロファイル」のSwitch移植版「Deadly Premonition Origins」

「レッドシーズプロファイル」は、ギネスブックに「最も評価の割れたサバイバルホラーゲーム」として登録されるほどの、人を選ぶゲームとなっている。あるプレイヤーは細部のチープさや操作性の悪さを酷評し、また別のプレイヤーはそれでもなお本作でしか味わえない唯一無二の体験だったと絶賛している、そんな作品なのだ。

そんな「レッドシーズプロファイル」の舞台は、アメリカ北部の田舎町“グリーンベイル”。ここで起きた猟奇殺人事件の解決を目指すFBIの特別捜査官、フランシス・ヨーク・モーガンの奮闘が描かれた。

作中でこの“グリーンベイル事件”が起きたのは、2010年。「Deadly Premonition 2」では、さらに過去に遡った2005年と、現実に近い歳月が経過した2019年、ふたつの時代をまたいだ物語が展開される。

2005年と2019年、ふたつの時代で交錯する物語

ゲームは2019年、現役のFBI特別捜査官であるアリヤ・デイヴィスと分析官のサイモン・ジョーンズが、ボストン郊外で隠居生活を送るフランシス・ザック・モーガンの自室を尋ねるところから幕を開ける。

アメリカ南部の田舎町“ル・カレ”で2018年に発見されたのは、バラバラにされ、冷凍保存された少女の遺体。アリヤとサイモンの目的は、14年前、彼女の遺体が消えた連続殺人事件を捜査していたザックに、重要参考人として事情聴取することだった。

アリヤたちとザックのやり取りが進展すると、舞台は時間と空間を飛び越えて2005年のル・カレに移る。プレイヤーは、若かりし日のフランシス・ヨーク・モーガンとなって、ここで巻き起こる事件の捜査に当たることになる。プレイ時間の多くを占めるのは、このル・カレを舞台としたいわゆる“過去編”だ。

2019年のフランシス・ザック・モーガンと、2005年のフランシス・ヨーク・モーガン。ミドルネームの異なるこのふたりの関係は前作をプレイすれば理解できるのだが、ひとまず第三者視点では同一人物だと思っておいて問題は無いだろう。

このように本作は、2019年のボストンでのアリヤからザックへの聞き取り、そして2005年のル・カレでのヨークによる事件捜査が交互に行われることで、物語の全容が明かされる構造となっている。さらに物語が進むと、“ル・カレ事件”が、前作の“グリーンベイル事件”とも深く結びついていることが明らかに。

ある程度、前作での出来事も察せられるようになってはいるが、やはり本作からのプレイでは詳細が分からない部分は多少ある。とりわけ終盤におけるザックとヨークの心情をつぶさに理解するためには、前作のプレイは必須と言ってしまってよいだろう。

怪人物・ザックとのコミュニケーションが楽しめる“現代編”

当シリーズは前作・本作共にストーリーが持ち味だが、これを目が離せないものにしているのは奇人・変人と言っても大げさではない登場人物たちであり、とりわけ主人公のザック及びヨークは周囲をたびたび困惑させる作中きっての怪人物と言える。

人目をはばからず、自分の中にいる“もうひとりの自分”と会話を始める様子は人々を唖然とさせ、捜査中でも映画の薀蓄を語り出したら止まらない。「若い女性の猟奇殺人に目がない」など不謹慎極まりないジョークを口にするかと思いきや、胸の内には誰よりも強い正義感を抱いているこの男。プレイを続けていくうちに、彼のクセの強さが病みつきになってしまうプレイヤーも多いはずだ。

2019年のパートは、ザックの部屋のいたるところに選択できる箇所が表示され、これらにまつわる話題をザックから引き出すという形式で進行していく。Lボタンを押すと集中力を消費して“ヴィジョン”が使える。核心を突くための選択が強調して表示されるようになるのだが、ほかの場所を選んでもペナルティは無い。

ザックとのコミュニケーションを楽しみたければ、部屋の不自然なところを指摘する、過去の事件資料の話題を振るなど、彼のリアクションが気になる箇所を好きなだけ選んでみてもいいだろう。

2019年のザックは年老いて様変わりし、性格も以前より偏屈になっているため、前作のファンはショックを受けるかもしれない。しかし、聞き取りを続けているうちに、彼の内面には以前と変わらない信念があることが分かるはずだ。

FBI捜査官、変人だらけのオープンワールドをスケボーで爆走

一方で2005年のパートでは、オープンワールドで表現されたル・カレの町を、自由に散策しながら事件を捜査していくことになる。

前作でヨークが移動に使用していたのは、多くのオープンワールドを採用したゲームに違わず自動車だった。しかし今回は、ル・カレ到着前に乗ってきた自動車を盗まれたとのことで、移動に使うのはなんとスケートボード。

最高速度はそこまで速くないスケボーだが、取り回しやすく、前作のグリーンベイルと比べてもコンパクトなル・カレの町を走り回るにはなかなか快適だ。なによりスーツ姿でスケボーに乗って町中を爆走するFBI捜査官というシュールな絵面は、この作品だから許されるものだろう。こういう部分を面白がれる方は、本作への適性がかなり高いと言える。

ちなみに、同様にシュールなテイストを感じられる要素といえば、ル・カレの一部のスポットで楽しめるミニゲームが挙げられるだろう。ミニゲームにはボーリング、水切り、スケボーレース、的当ての4種類があるのだが、死体遺棄現場の側にある川で水切りをして遊びだすヨークは、冷静に客観視するととてもヤバい人に見えてしまう。

提示された目的地に向かい、そこでル・カレ住人たちとのやり取りで課せられたミッションをこなすなどして、捜査を進展させていくのがこの過去編の基本的な流れだ。そしてやはりこのル・カレ住人たちも、強烈な個性を持つ人物が揃っている。

最初に出会うのはヨークが滞在するホテルを切り盛りするデイヴィッドという男性。彼はシェフ、コンシェルジュ、ベルボーイをひとりでこなしているのだが、何故か役職ごとに別の人間を演じているのだ。

ほかにも、1日中ボーリングをし続ける老婆、ミセス・カーペンターや、絵画の中からヨークに語りかけ、捜査進展のカギを握る神託(オラクル)をもたらす精霊のウンガンなど、序盤だけでもお腹いっぱいになるほどのアクの強い人物が目白押し。彼らからの依頼を引き受けるサイドイベントも用意されており、依頼人の人間性を掘り下げるものも多い。彼らとヨークの常軌を逸したやりとりに注目だ。

そして過去編にはヨークの捜査に協力してくれるパートナーが存在する。ル・カレの保安官の娘である、パトリシア・ウッズだ。幼いながら理性的で、この町の誰よりも常識がある彼女は、ヨークに町の実情を伝えるナビゲーターとして非常に頼れる存在となる。いい加減な発言も目立つヨークをたしなめるようなやりとりはまるで漫才のようで、微笑ましさも感じられるだろう。

捜査の拠点となるホテル、能力強化に利用できる施設も

ル・カレにはいくつかの施設が点在しており、特にヨークが滞在しているホテルは、ゲームシステム的にも捜査の拠点となる重要な場所だ。

前作同様、ヨークには空腹度、匂い、汚れといったステータスが設定されている。お腹が空いていると走るときに消費するスタミナゲージの最大値が下がり、悪臭状態や衣服の汚れは人々とのコミュニケーションに支障をきたす。住民に迷惑をかけると、所持金から罰金が徴収される場合も。これらを防ぐために、適度にレストランで食事を取ったり、自室でシャワーを浴びたり、スーツをクリーニングに出す必要があるのだ。また、特定の時間帯にしか開いていない施設を訪れたいときは、ベッドで眠れば時間が調節できる。

空腹度は食べ物、匂いは香水といったアイテムで回復できるし、寝袋を持っていれば野宿による時間調節もできるが、回復量は微々たるものだったりと、不便が多い。自然と、あらゆる機能が備わっていて、利便性の高いホテルを活用するようになるわけだ。なおデメリットは特に無いが、ヨークは髭も伸びる。自室の洗面所ではこれを剃ることも可能だ。

これらの要素を煩わしく思うプレイヤーもいるかもしれない。しかし個人的には、漫然とストーリーを追うだけでは感じられない生活感をヨークに与えるこれらの要素こそ、彼というキャラクターに命を吹き込み、本作のプレイフィールを味のあるものにしているのだと思う。

また、自室の壁には“エビデンスボード”が貼られており、物語の要所要所でヨークはこれを使って捜査の状況を整理する。このとき、プレイヤーはいくつかの選択肢に回答する必要があるのだが、ここでも間違えたときのペナルティは特に無い。これも一見ゲーム的な必然性は薄いように思える要素だが、プレイヤーに能動的な理解を促す意図を感じる。

エビデンスボードに似たシステムとして、ウンガンの神託の解読というものも存在する。なかなか入り組んだ物語が展開される本作だが、これらのおかげでストーリーの全体像は前作よりも理解しやすくなった印象を受けた。

ほかに重要な施設として挙げておきたいのがブードゥーショップだ。実際にアメリカ南部で信仰されているブードゥー教のグッズにまつわる店舗なのだが、これらのグッズにはヨークの能力を強化する効果がある。素材をもとにブードゥーグッズを作成、強化、これを装備するスロットを拡張するといったことがこのショップでは可能。強化できるのは銃の性能、スケボーの性能、身体能力、ミニゲーム技能の4項目となっている。

特に銃とスケボーの性能が上がるとゲームプレイの快適度が上がるので優先して強化するのがおすすめなのだが、この要素の小さくない欠点として、“どの素材がどこで手に入るのか分かりづらい”というものがある。このため「この能力を強化するためにはこの素材が少し足りないけれど、この素材がどこで手に入るのか分からない」ということが頻繁にあり、そのたびにモヤモヤを抱くことになった。

異形の右腕で敵を撃て!各章の最後に待ち受ける異界パート

章仕立てでストーリーが進行していく本作。各章の最後には異界と化した事件に縁のある場所での、怪物たちとの戦闘が待っている。ちなみにこのパートではヨークの右腕が銃と融合して異形と化す。この右腕の造形は、気に入る方も多いかもしれない(筆者も好きだ)。

TPS風の戦闘は、特筆するほど際立ったものではないが、道中に登場する敵はその多くが2~3発の銃弾で倒せるなど、前作と比較するとテンポは良好だ。また、複数のタイプの敵が同時に出現したときは、どの順番で撃破するべきかといった適度な戦略性も生じる。集中力を消費すれば放てる、複数の敵を誘導弾で一掃できるチャージショットはなかなかに爽快だ。

民族音楽風のBGMも異様な雰囲気を演出しており、この異界があることでゲーム全体の流れに程よいメリハリを生んでいる印象を受けた。

異界の最深部では、事件になんらかの形で関わった人物が異形化し、ボスとして登場。これを撃破することで、彼らが罪を犯した理由などが暴かれ、捜査は大きく進展することになる。

数値では測れない、“最高の続編”にして“心の1本”

前作に引き続き、非常に人を選ぶゲームとなっている「Deadly Premonition 2」。

アクションにおいても、映像のクオリティにおいても、より爽快で、より美しいゲームはたくさんあるだろう。また、神託(オラクル)に基づいた捜査や、異界での戦闘といった要素で察しは付くと思うが、ファンタジー性を排したリアリティーのある刑事ドラマを期待してプレイしたら、相当に面食らう世界観でもある。

それでも、ヨークとザック、そしてたくさんの奇妙奇天烈な登場人物たちが醸す味わい、彼らが織りなす唯一無二の物語は、ほかのゲームでは決して味わえないものだ。ゲームプレイの手触りや各要素のシュールさも含め、忘れられない体験になることは保証しよう。

裏を返せば、前作「レッドシーズプロファイル」の虜になった人にとっては、本作は“求めていたものがすべてある”完璧な続編になっていると言える。そしてヨークとザックが歩んだ物語の終着点としても、納得がいく結末を見られるだろう。

町中の移動、戦闘共に、操作性とテンポには大幅な改善が成されているので、前作経験者でこの辺りが気になった方にも、安心してプレイしてほしい。

最後にもうひとつだけ気になった点を挙げるなら、ヨークとパトリシアが町中を移動しているときに交わされる会話が、スケボーに乗ったり、メニューを開いたりといった些細な操作で途切れてしまい、以降そのプレイデータでは同じ会話を聞くことができなかった点には少々不満を覚えた。ほかの部分ならともかく、人物の魅力が大きい作品だからこそ、彼らの人間性が垣間見える部分でいらぬ不満は感じたくなかったというのが正直なところだ。

しかしそれも、ヨークとパトリシアが共に過ごしたあの日々が、筆者にとって掛け替えのないものだったからこそ芽生えた想いだろう。この感情は、ゲームのさまざまな要素の出来不出来を数値化して算出した点数のようなものでは、決して説明のつかないものだ。

ちょっと首を傾げる仕様も含めて前作を愛せたのなら、この10年越しの続編は、きっとあなたにとって“心の1本”になる。

そしてもしあなたが、どんなゲームを遊んでも代わり映えしないように感じたり、出来は良いはずのゲームに面白味を見出せなくなったとき。前作「レッドシーズプロファイル」、そしてこの「Deadly Premonition 2」は、そんな症状に対しての、最高の特効薬になるかもしれない。

Deadly Premonition2

トイボックス

Switchダウンロード

  • 発売日:2020年7月10日
  • 価格:6,800円(税別)
  • 17歳以上対象
Deadly Premonition2

(C)Marvelous Inc./Rising Star Games Ltd. Developed by TOYBOX Inc.
(C)Marvelous Inc.

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