Nintendo Switch版もリリースされたターン制戦略ストラテジーゲーム「Into the Breach」の、ほかのストラテジーゲームとひと味違う魅力を紹介しよう。

9月17日の「Nintendo Direct mini ソフトメーカーラインナップ 2020.9」終了後、Nintendo Switch版の配信がスタートした「Into the Breach」。画面が地味なこともあって、あまり興味を惹かれない方もいるかもしれない。しかし、素通りするのはちょっと待ってほしい。

筆者はPC版がリリースされた2018年からこのゲームをプレイしているのだが、2018年に遊んだ中でいちばん面白いゲームだったと思えるほど気に入っている。ストラテジーゲームが取り分け好きなゲームジャンルとは言えない筆者だが、本作は特別なのだ。

本稿では、この「Into the Breach」がどのように凄いゲームなのか、その魅力をお伝えしていこうと思う。そしてひとりでも多くの方が本作を手に取り、睡眠時間を削って夢中でプレイし、日常生活に支障をきたすことを望む。

「Into the Breach」を傑作たらしめる3つの要素

「Into the Breach」の舞台は、「VEK」と呼ばれる地中生物の驚異に晒され、わずかに生き残った人類が必死に抵抗を試みている未来の地球。プレイヤーはロボットのような兵器を操る部隊を指揮して、これに立ち向かい、様々なミッションに挑んでいく。

各ミッションのマップは8マス×8マスという小規模なサイズ感。この中で、3体の兵器ユニットの行動を選択して、迫りくるVEKたちと戦う。ここまでは、何の変哲もないストラテジーゲームだ。本作が斬新なゲームになっているのは、主に次に挙げる3つの要素によるところが大きい。

1:敵の行動は、ひとつ前のターンですべて開示される
2:敵を全滅させなくても一定ターンを耐え抜けばミッションクリア
3:攻略するミッションの順番に自由がある

では、これらの要素の何が本作を斬新なゲーム足らしめているのか? これから詳しくお伝えしていこう。

1:敵の行動は、ひとつ前のターンですべて開示される

このゲームでは味方ユニットのHP以外にも、街を攻撃されて損壊が出たときに減少する「電力インフラ」というものが存在する。これがゼロになってもゲームオーバーとなるので、いかに街への攻撃を阻止するかが、非常に重要だ。

そしてこれが本作を特徴づける最もユニークな部分なのだが、「VEKがどこに向かってどんな攻撃を仕掛けようとしているか」は、自分のターンがはじまる前に、すべて分かるようになっている。

では対処するのは簡単なのか、というとそうはいかない。VEKは多くの場合、こちらのユニットの数を上回る数で攻めてくるし、こちらの行動を妨害するような個体も存在する。単に個別に対処していては、すべての攻撃を阻止するのは難しい。そこで考えるべきなのが「一度の攻撃で複数のVEKに対処できないか?」ということだ。

本作では多くの攻撃に、被弾したユニットや、その周囲のユニットがいるマス目をずらす(ノックバック)効果があり、当然、敵の立ち位置がずれると、敵が次のターンで放とうとしている攻撃の着弾点もずれる。これを利用すれば、同士討ちを狙ったり、隣接するVEK同士を激突させて追加ダメージを与えたりすることが可能なのだ。VEKが攻撃する順番はRスティック押し込みで表示される(※Switch版の場合)ので、これを活用して味方の被害を最小限に食い止め、敵には効率よくダメージを与えよう。

このノックバック効果は使い道がほかにも多数存在する。浮遊タイプ以外のVEKならば、奈落の底や水中に突き落として一撃で倒すことができるし、VEKの出現ポイントの上に移動させれば、新たなVEKの出現を防ぐことだってできる。

また、味方ユニットがいるマス目をずらせば、行動が終了したユニットに攻撃を避けさせることができ、逆に敵の射線上に動かして街を庇わせるのが有効な場合もある。

敵の行動が分かりきっているからこそ、「あらゆる選択が最善策じゃなければ損害は免れない」という緊張感が生まれる。また、敵の攻撃を見事さばき切ったときの“神の一手”を打つことに成功したような喜びは堪らない。「Into the Breach」に惰性で取っていい行動はひとつとしてなく、このギリギリの戦いで活路を見出し続ける楽しさが、深い没入感に繋がっているのだ。

2:敵を全滅させなくても一定ターンを耐え抜けばミッションクリア

本作の各ミッションの勝利条件は、「5ターン敵の攻撃に耐え抜くこと」。VEKを全滅させなくても、前述した電力インフラがゼロになったり、部隊が全滅したりすることなく5ターン耐え切れば勝ちとなる。

とはいえ、できる限りのVEKを倒したほうが防衛面でも有効だし、倒した分、経験値が手に入ってパイロットのレベルが上がることで、能力も向上する。後述する「ボーナス目標」の達成も、VEKを数多く倒すことが条件になっている場合がある。だから基本的に倒しまくったほうが良いのだが、それでもこのルールは本作ならではの面白さに深く関わる部分だ。

多くのストラテジーゲームは勝利まで目前という局面になると、敵を全滅させるための、ほとんど戦略すら不要な掃討戦を行う必要が生じることがままあるが、このゲームにはそれがない。最後のターンまで全力で戦略を巡らせる必要があり、これを可能にするゲームバランスも絶妙だ。

それにターン数が決まっているから戦闘が間延びすることもなく、どのミッションも10分~15分程度で攻略が終わるため、気軽にプレイできる。そして1ミッションだけプレイするつもりが、「もうちょっとだけ、次のミッションだけプレイしよう……いや、やっぱりその次のミッションも……」と、ずるずるとプレイを続けてしまうことになるのだ。

本作は非常に高い中毒性を誇るゲームだが、このダレる場面が皆無なゲームデザインおよびゲームバランスや、ミッション攻略のテンポの良さが、大きく影響しているのは間違いないだろう。

3:攻略するミッションの順番に自由がある

本作の1ゲームにおける基本的な流れはこうだ。まず、地中生物から守るべき4つの島があり、この中のいずれかを選ぶ(1周目は左上の島しか選べないが、周回プレイをしていくとほかの島もアンロックされ、最初から選択できるようになる)。それぞれの島には8個のミッションが用意されており、これらから任意のミッションを選んで攻略を開始。4つのミッションをクリアした時点でボスVEKと戦うミッションが出現するので、これを攻略。防衛に伴う報酬でユニットを強化して、次の島に向かう。

最後に最終決戦用のマップに向かい、ここでの戦いを制すればゲームクリア。人類に平和をもたらすことができる。なお、この最終決戦には島を2つクリアした時点で行くことができ、4つの島すべてを攻略するのは不可欠ではない。どの島も、そして最終決戦も、後にまわせばまわすだけVEKも強化されてしまうので、ユニットを十分に強化できたなら、すぐに最終決戦に向かってしまうのがクリアへの近道だ。

それぞれの島に出現するVEKの種類はプレイごとにある程度ランダムで変化する。選択画面でざっくり確認できるので、序盤で倒してしまうべき相手なのか、それとも装備を強化してからのほうが倒しやすいのかをよく考えて、攻略順を決めよう。

各島の攻略では、マップの構成やボーナス目標を確認して、攻略するミッションの順番をある程度自由に決めることができる。ボーナス目標クリアの特典には電力インフラの回復や、ボスを倒したあとに新たな装備などと交換できる「スター」などが存在。難易度が高いミッションほどボーナスも多く用意されているので、腕に自信があればどんどん狙っていくのが良いだろう。

ただし、島内でクリアしたすべてのミッションでボーナス目標もすべてクリアした場合、ボス撃破後に「パーフェクトボーナス」が手に入る。低難易度のミッションを選んだほうが、パーフェクトボーナス入手の確度は上がるのが悩ましいところだ。

装備の強化には「リアクターコア」というアイテムが必要で、これをどの兵器に優先して使用すべきか、という判断にも毎回悩まされる。

このように、本作はメインのミッション攻略部分の外側も重大な選択の連続だ。そして様々な選択が功を奏し、ひとつのミスもなく攻略が進んでいるときの複雑なパズルのピースがカッチリハマったような達成感は、格別なものがある(なお、これが脆くも崩れ去るのは、たった一度の判断ミスが原因だったりするのだが……)。

めくるめくやり込み要素が、プレイヤーの心を掴んで離さない

ここまで「Into the Breach」ならではの魅力をいくつも紹介してきたが、これらの見事なゲームデザインを極限まで活かしているのが豊富なやり込み要素だ。

最初から使用できるのは標準的な性能を持つユニットの部隊だが、実績の解除で手に入るコインと交換すれば、ほかの部隊もアンロックすることができる。

全8種類存在する部隊は、“炎上攻撃による追加ダメージに特化したもの”、“貫通レーザーやシールドなど、光学兵器の扱いを得意とするもの”、“敵を放り投げて位置関係を変え、同士討ちを狙うのに特化したもの”など個性的なものばかりで、初期部隊以外は、運用におけるクセも非常に強いものが多い。

もちろん扱い方次第では非常に強力なのだが、それぞれ有効な戦術も大きく変化する。周回プレイも毎回新鮮に苦戦を強いられるはずだし、それだけ上手く使いこなせたときの喜びは大きい。

また、実績解除の条件も豊富に用意されている。先ほど「4つの島すべてを攻略することは不可欠ではない」と書いたが、全実績を解除するには島を2つ攻略時点、3つ攻略時点、4つ攻略時点のすべてで最終決戦に臨んでクリアする必要があり、どれを狙うかで兵器の強化方針や島をまわる順番も変わってくるかもしれない。

実績を解除すればするほど新たな遊びが解禁される仕組みなので、そのたびに本作が持つ奥深さを思い知ることになるだろう。

難しいゲームではあるが、あまり構えずに遊んでほしい

ここまで読んで、本作のことを“とても難しいゲーム”のように感じた方は多いかもしれない。それも事実ではあるが、そこまで構えずに気軽に遊んでほしいゲームでもある。難易度は初期設定のノーマル以外にイージーもあるので、ノーマルで厳しいと感じてもイージーならある程度ハードルは下がるだろう(なお、さらなる歯ごたえを求めるプレイヤーのためにハードモードも用意されている)。

また、ゲームオーバーになったときは、部隊のパイロットからひとり選びレベルを引き継いで最初からプレイできるので、少し強い状態でゲームをはじめられる。

それからプレイフィールはおそらく想像よりもかなりカジュアルなものだ。これは本作が極論を言えば“延々とその場しのぎをしていくゲーム”と言えるため、2手、3手先まで計算に入れて行動を選択する必要はあまりなく、この手のゲームの初心者であってもわりと簡単に「毎ターン神の一手を繰り出せている」という高揚感を味わうことができるからだ。

今回はVEKたちの習性や、兵器の詳細な能力といった部分は紹介できなかったが、これらはぜひプレイしてその目で確かめ、頭を悩ませてほしい。

「Into the Breach」を毎日忙しく過ごしている方におすすめするのは少々気が引ける。しかし、最高に夢中になれる、最高に知的なゲームがプレイしたい方には文句なしにおすすめだ。睡眠時間を削り、夜な夜な頭脳をフル回転させる楽しさと苦しさを、多くの方に味わっていただければ幸いだ。

Into the Breach

Subset Games

Switchダウンロード

  • 発売日:2020年9月18日
  • 全年齢対象

Into the Breach

Subset Games

PCダウンロード

  • 発売日:2018年2月28日
  • Steam/Epic games Store

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機種
SwitchPC
プラットフォーム
ダウンロード
OS
会社
Subset Games
ジャンル
シミュレーション戦略
  • プリコネR特集
  • Figgy
  • 「黎の軌跡(くろのきせき)」特設サイト

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