コーエーテクモゲームスより2020年12月3日に発売となるPS5/PS4/Nintendo Switch/PC(Steam)用ソフト「ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~」(Steam版は2021年1月26日発売予定)のプレイインプレッションをお届けする。

目次
  1. 前作からの正統進化
  2. 調合システムは自由度がより広がる!スキルツリーの導入も
  3. リアルタイムで進行するバトルではアイテムがより活用しやすく!
  4. “都会”と“冒険”の2つから紐解く新たなチャレンジ
  5. 世界観の広がりを感じさせるストーリーや細かな前作からのアップデートにも注目

20年を超える「アトリエ」シリーズの歴史の中でも、同じキャラクターが複数のタイトルで主人公だったことは無かった。そんな「アトリエ」シリーズで初となる、同一の主人公による続編として発売となる「ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~(以下、ライザのアトリエ2)」は、前作「ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~(以下、ライザのアトリエ)」から3年後、それぞれの道を歩んでいたライザと仲間たちが再会し、新たな冒険が描かれていく。

前作「ライザのアトリエ」では、既存のシステムそのものを見直すことで、従来にはなかった新たなゲーム性を獲得。同時に陰影などにこだわったグラフィック表現のもと、ひと夏の冒険として描くことによって、新たな「アトリエ」像を作り出していた。

その一方で、前作の大幅な変化と比較して、本作がより面白くなるのかという点においては、多少の不安を感じてもいたのだが、今回、発売に先駆けてゲームをプレイする機会を得たことで、その不安は杞憂に終わった。果たして本作のどの点が魅力的に映ったのか、いくつかのポイントから紹介していければと思う。

前作からの正統進化

前作の冒険から3年、ひとりクーケン島に残ったライザは、その後も独学で錬金術を学び続けていたものの、最近では行き詰まりを感じていた。そんな中、王都に住む友人からの手紙と、ある依頼をきっかけに王都アスラ・アム・バートへ向かうことになる。

紆余曲折を経て、王都での生活を始めることになったライザ。そこではさまざまな人物との出会いと再会、そして今回の冒険の舞台となる、数々の“遺跡”が待ち受けるのだった。

前作が錬金術との出会いから始まる冒険を描いたのに対して、今作では錬金術士としてのライザが、都会の雰囲気に翻弄されつつも、さまざまな依頼をこなしていく姿がゲーム冒頭から描かれていく。そこにライザ自身の成長を感じるとともに、元々の魅力でもあった明るさと勢いは健在で、パーティの牽引役としての姿も見せる。

田舎と都会の違いを感じる一場面。このようにコミカルなシーンも用意されている。

大きなゲームサイクルは前作と同様に採取、バトル、調合で構成される。その点において目を見開くほどの驚きはないものの、各要素が前作から明確にブラッシュアップされていて、そこに前作からの正統進化を感じることができた。

調合システムは自由度がより広がる!スキルツリーの導入も

まずは比較的変化の少ない調合システムについて触れていこう。前作で導入された「リンケージ調合」をほぼ踏襲するかたちで、見た目にも分かりやすく調合することが可能。前作同様、完成品を再調合してアイテムの効果を高められる「アイテムリビルド」もゲーム進行に応じて行えるようになるという。

今回はゲーム進行の都合で確認できなかったものの、新要素としてアイテム「エッセンス」を投入すると、マテリアル環の発現効果を強化したり、属性を変更したりできるように。過去のシリーズでも似たような効果を発動させるアイテムはあったが、マテリアル環そのものに影響を及ぼすという点で、調合により幅広く活用できる嬉しい追加だ。

さらに、完成したアイテム同士を掛け合わせる「エボルブリンク」も登場。アイテムに「EV効果」と呼ばれる特殊な効果を付与できるだけでなく、特定のアイテム同士であれば全く新しいアイテムが生まれることもあるという。こちらもぜひ試してみたいところ。

上記で触れたように、ゲーム序盤で触れる調合の仕組みはそう多くはないのだが、その中で印象的だったのが「スキルツリー」の存在だ。

新たな環境で調合することになったライザが、元々クーケン島で使用していた調合レシピや、錬金術に役立つスキルなどを習得できるというこの仕組みだが、習得にはスキルポイント(SP)が必要となる。SPは調合の実行やイベント報酬といったさまざまな手段で入手できるのだが、これによって最近のシリーズタイトルではおなじみとなっていた錬金レベルが無くなっているのだ。

前作では錬金レベルがプレイ進行におけるハードルの一つにもなっていたが、スキルツリーの導入により、よりプレイヤーの目的に沿うかたちでライザを成長させることが可能になった。プレイに詰まった場合はスキルツリーをチェックして、必要なアイテムを調合していこう。

リアルタイムで進行するバトルではアイテムがより活用しやすく!

前作から採用された「リアルタイムタクティクスバトル」は本作でも健在。しかしながら、前作では触りづらかったいくつかの要素がアップデートされている点に注目したい。

まず画面上のUIについて各種ゲージが散らばっていたものが、コンパクトに収まって見やすくなった。リアルタイムで進行するため、視点を動かすのが大変だったため、この変化は触ってみてすぐに収まりの良さを感じた。

アクションオーダーも前作に引き続き登場。
キャラクターを切り替えながらのスピード感あふれるバトルを楽しめる。

また、前作では活用の難しかったアイテムに関しても大きな変化が。前作と同じくアイテムの使用にはCC(コアチャージ)が必要になるのだが、前作はアイテムに応じた数値を消費していき、0になるとアイテムをコンバートしてCCを補充するという、いわゆる引き算の仕組みとなっていた。それが本作ではバトル中にスキルを使うことでCCを獲得できる足し算の仕組みとなっており、これによってバトル進行に応じた幅広い運用が可能になった。

戦闘中に使いきれなかったCCの一部はCCボトルに保存され、フィールド上で回復アイテムを使用可能。

さらに、アイテムの役割をブーストさせる要素として追加された「アイテムラッシュ」では、CCの総量に応じて最大4つまでのアイテムを連続で使用することができる。ただし、連続で使用できるのはアイテムラッシュを発動させたキャラクターのアイテムのみなので、誰に何を持たせるのかも含めて、戦略の問われる要素となってきそう。

なお、アイテムの活用と双璧をなすスキルの発動についても、AP(アクションポイント)の総量に応じて、連続してスキルを使う「スキルチェーン」が新たに登場。スキル自体の威力だけでなく、CC獲得量も増加するということで、2つの柱になる要素を上手く組み合わせていく、前作以上にリアルタイム感のあるバトルが楽しめそうだ。

さらにテクニカルな要素としてジャストガードも用意。APのボーナスもあるため、積極的に狙っていきたい。

“都会”と“冒険”の2つから紐解く新たなチャレンジ

調合とバトルという2つの仕組みにも確かな進化が感じられたが、筆者が一番印象的だったのは新たな舞台となる王都アスラ・アム・バートの街並みと、そこからライザたちが赴く遺跡でのアクションの数々だ。

田舎ならではの風景描写で魅せてくれた前作のクーケン島とは異なる点として、アスラ・アム・バートでは建造物の多さや街の高低差などが挙げられる。もちろん前作同様に光と影の表現も多彩で、都会ならではの街全体が活気にあふれている様子が楽しめる。このあたりは実際のゲームプレイを通じて楽しんでもらうのが良いだろう。

王都アスラ・アム・バートでの拠点となるライザのアトリエ。

また、遺跡での冒険が主体となるフィールドにおけるアクションも大幅に増えている。前作でも採取のバリエーションが増していたが、本作では新たに水中を泳いだり、ツタをつかんで崖を登ったり、さらにはロープアクションも用意されている。遺跡を含め、特徴あふれるフィールドの数々をより主体的にアクションできることは、前作で物足りなく感じた点を大幅にアップデートしてくれた。

その上で、遺跡の探究においては「探究手帖」が大きな役割を果たすことになる。調査リストをもとに遺跡内部を探索することで「遺跡の欠片」など遺跡の謎を解く手がかりを収集し、最終的には手がかりをもとに推理していく、謎解き的な遊びも用意されている。こうしたところからも、前作とはまた違った“冒険感”が味わえるのではないだろうか。

世界観の広がりを感じさせるストーリーや細かな前作からのアップデートにも注目

ストーリーの注目ポイントについても紹介しておこう。前作の冒険を経て成長したライザの物語という点はもちろんのこと、クリント王国の栄えた時代よりもさらに前の遺跡の探索などを通じて、「ライザのアトリエ」の世界観の深まりを冒頭のプレイからも感じられる。過去のシリーズでも作品をまたいでその世界観を楽しむことはできたが、今回は同一の主人公ということもあり、プレイヤーの目線でもそうした作品世界の広がりを体験できそうだ。

前作に登場したキャラクター、初登場のキャラクターのどちらも随所に登場する。

同時に、本作のキーキャラクターとも言えるフィーの存在も忘れてはいけないだろう。どのように出会うのかなどはここでは触れないが、その登場時から謎の多い存在であることは間違いなく、遺跡との関連という点でも気になるところだ。

そうしたストーリーを楽しむ上での細かなシステムのアップデートとして、会話イベントなどのオート機能の実装、そしてオートセーブへの対応が施されている。前者はイベント中のボイスやモーションを存分に楽しみつつスムーズな進行が可能で、後者はゲームサイクルの中でセーブをし忘れた際、少し手前に戻れるという意味でゲーム進行においてはとてもありがたく、わずかなプレイの中でもその恩恵を享受できた。

最後に、おまけというわけではないが、ライザのグラフィック表現も随所で眼を見張るものがあったので紹介しよう。前作から劇的な変化があったわけではないのだが、例えば前作にもあった雨で濡れたシチュエーションでは服の濡れ方だけでなく、髪の毛の質感などにも微妙な変化が感じ取れる。こうした細かなところで実在感がより増していて、とても印象的だった。

今回はゲーム序盤のみのプレイにはなったが、すべての要素に前作からの反省点を活かそうというガストブランドならではのこだわりが垣間見えた。全編を通じてどのようなゲーム体験を提供してくれるのかにぜひ期待したい。

※画面は開発中のものです。

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