バンダイナムコエンターテインメントが2021年9月9日に発売を予定しているPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam用ソフト「テイルズ オブ アライズ」(Steam版のみ9月10日発売)。その発売に先駆けて、ゲーム内容の一部を体験してみてのプレイレポートをお届けする。
2020年に25周年を迎えた「テイルズ オブ」シリーズ。これまで数多くのゲームが発売され、その中でさまざまなアプローチを見せてきた同シリーズだが、最新作である「テイルズ オブ アライズ」は、これまでの情報からも分かる通り、従来の“お約束”に手を加えることで、新たなチャレンジを多分に盛り込んでいる。
筆者の中では前作「テイルズ オブ ベルセリア」はストーリー、バトルシステムともに高水準の作品で、特にバトルシステムはこれまでのシリーズの積み重ねを感じさせるものだった。そういった点でも、そこから時間をかけて取り組んでいたであろう本作が、「テイルズ オブ」シリーズの最新作として、どのようなアプローチを見せるのかに期待していた一人だ。
今回プレイできたデモでは、主にバトルシステムや各キャラクターのバトルスタイル、そしてグラフィックの進化をわずかな時間の中でも感じることができた。実際のゲーム映像を交えつつ、その魅力を紹介していこう。
なお、今回のゲームプレイでは冒頭にアルフェン、シオン、リンウェル、ロウ、キサラ、テュオハリムの6人を選択可能だった。下記のキャラクター選択画面はあくまでも今回のデモ用のものであり、実際のゲーム本編ではキャラクターはゲーム内で選択可能なので、予めご理解いただければと思う。
また、今回はPC環境でのプレイとなったのだが、ボタン配置については混乱を避けるため、今回使用したXbox ワイヤレス コントローラーに準拠する。
操作体系の変化からも見えたバトルシステムの新たなアプローチ
まずは画面だけでは見えてこない部分として、バトルの操作体系に大きくメスが入っている点に着目したい。
「テイルズ オブ」シリーズでは作品ごとに多少の違いはあるものの、基本はコントローラ右手側のボタンに通常攻撃や術技のコマンドが割り当てられていて、前作「テイルズ オブ ベルセリア」では、通常攻撃の概念が無くなる代わりに4つのボタンにセットした術技を使用して戦うスタイルになっていた。
そして今作「テイルズ オブ アライズ」では通常攻撃が復活したものの、ボタンの割り当てが右側のトリガー(RB)に。また、術技は3つのボタン(AXY)に設定可能で、通常攻撃と術技でのコンビネーションがバトルの基本となる。
術技の発動にはAG(アーツゲージ)を消費する。AGはすぐに回復するものの、攻撃中はAGの回復が遅くなるため、いかにコンボを効果的につないでいくかがバトルのポイントになってくる。これらの要素は「テイルズ オブ」シリーズの中ではオーソドックスなものだとは思うが、ボタン操作そのものが明確に切り分けられたことで、プレイすればするほどにより直感的なアクションになっていくことだろう。
その上で、筆者がアクションのバリエーションとして注目したいのが回避行動の重要性だ。本作ではRTを押すことで回避が可能なのだが、敵の攻撃のタイミングを見切ってジャスト回避をすることで、周囲の動きが一瞬スローになり、瞬時に敵に反撃を与えられる「カウンターレイド」が発動する。こちらは別の攻撃へも連携することが可能であるため、回避は単にダメージを防ぐというだけでなく、コンボを繋ぐ上で必要なアクションの一つにもなってきそうだ。
また、これまでの「テイルズ オブ」シリーズは、「テイルズ オブ ファンタジア」でのリニアモーションバトルシステムから連なる、 地上での戦いをベースとしたバトルシステムが採用されてきた。フリーランの導入などゲームとしての大きな変化は随所にあったものの、空中での攻撃は術技に紐づく部分も多く、ベースは平面的なバトルという印象だった。
一方、今作ではBボタンに割り当てられたジャンプや、空中で発動する術技を連携に組み込むことで、より立体的な立ち回りができるようになった。これは通常攻撃と術技を組み合わせて戦うというベースの部分においても、とても大きな出来事であるように捉えている。
一番顕著なのが、通常時とは別に、ジャンプ中に発動できる術技を設定できるようになったこと。これまでコンボに組み込むにはテクニカルな印象の強かった空中での術技を、より切り分けて考えられるのは、長い目で見たときには確実に役立つはずだ。
さらに戦闘中、敵に「STRIKE」が表示されたタイミングで、対応する十字キーを押すことで「ブーストストライク」を発動できる。敵の残りHPが少なく、またコンボのヒット数が多いほど発動しやすくなるこの技は、派手な演出とともに繰り出される一撃必殺の手段となっている。上手く組み込めば、バトルのスピードアップにも繋がるだろう。
キャラクター固有の技や特性でバトルがより幅広く!
パーティーキャラクターの中から操作キャラクターを切り替えることができるのは、「テイルズ オブ」シリーズにおける魅力の一つだが、その上で本作独自であるキャラクター固有の要素が数多く存在している。
戦闘中、キャラクターの個性を活かした強力な技を発動する「ブーストアタック」もその一つ。画面左側に表示されており、BG(ブーストゲージ)が溜まると、対応するボタンを押すことで発動可能だ。使用後はAGが回復するため、敵にさらなる追撃をすることも可能となっている。
ブーストアタックはキャラクターそれぞれに特別な効果がある。例えば、HPを消費する代わりに威力が高く、周囲を巻き込みながら敵のダウンをとることができるアルフェンの「焔の波動」、飛行している敵を撃ち落とし、ダウンを取ることができるシオンの「ウィングブレイク」といった具合だ。
ブーストアタックが有用なのは、パーティに参加していないキャラクターも発動できる点。例えパーティーに入っていなくても、戦術上必要になるブーストアタックは積極的に使っていきたいところだ。
さらに、キャラクターにはそれぞれ「特性」が設定されており、バトルにおいても固有の効果をもたらしてくれる。特性の発動条件はさまざまで、例えばアルフェンの「フラムエッジ」は、自身の体力と引き換えに、広範囲を焼き払う強力な炎の剣技を使用するというもの。具体的には術技を発動した際、該当のボタンをそのまま押し続けることで対応する剣技が発動する。
今回のプレイでは主人公らしい安定した立ち回りとフラムエッジによる攻撃の多様性が魅力のアルフェンだけでなく、シオン、リンウェル、ロウ、キサラ、テュオハリムでのバトルも一通り確認できたが、上記の要素が組み込まれることで、キャラクターごとのバトルの個性がより浮き上がるとともに、どのキャラクターでも意識的に立ち回れるようになっている。
銃が武器のシオン、星霊術が主体のリンウェルといった遠距離攻撃中心のキャラクターでも立ち回りで工夫できる部分もあるし、圧倒的な手数によるコンボゲーム的なアプローチで楽しめるロウ、いわゆる盾役ならではの攻防の切り替えが魅力のキサラ、回避によって武器の棍が伸びて有利に立ち回れるテュオハリムと、いずれも特色がくっきりと分かれていて、いずれも触りづらいと思うことはなかった。その上で、特性を理解すればよりバトルを楽しめるのではないかという期待を抱かせた。
今回のデモの最後に挑むことができたボス戦は、まさにこれまでに触れたバトルの要素全てを駆使して戦う、歯ごたえのあるものに。また、部位破壊の要素も盛り込まれており、上手く立ち回れるとアグレッシブかつ気持ちいいバトルを楽しめるので、その様子はぜひ以下の動画にてチェックしてほしい。
グラフィックの進化とともに、より探索しがいのあるフィールドに
結果的にバトルへの言及が増えてしまったが、グラフィックのアプローチもこれまでのシリーズから大きな変化が見て取れる。舞台設定としてだけでなく、ロケーションの美しさそのものを楽しめるような、絵画的なアプローチであっても作品世界への解像度の高い画面づくりになっている。また、キャラクターグラフィックに関しても、改めてインゲームの映像を確認できたことで、フィールド上での細かな所作や表情の変化を感じることができた。
ちなみに、フィールドマップはオープンワールドのような地続きのものではなく、エンカウント後の戦闘時には戦闘用のフィールドに切り替わる。昨今多くなってきたシームレスな作りではないものの、今回プレイした環境では遷移はほぼノータイムであり、シンプルで開けたフィールドは戦闘時のストレス緩和にもつながるので、個人的には満足な作りだった。
また、フィールドの構造はこれまでと比べても探索しがいのある立体的な作りになっていて、泳いで移動できる場所も用意されていた。今回のゲームプレイで楽しめたのはほんの一部だとは思うが、本作の世界観の中でどのようなフィールドが登場するのかも楽しみになった。
今回の記事を書く際、気がつけば前作「テイルズ オブ ベルセリア」から5年近くが経とうとしていることに驚かされたのだが、それだけの期間を経て制作されたからこそ、“継承と進化”をいかに意識して作られているのかを感じることができた。
シリーズおなじみの料理やスキットなどまだまだ明かされていない要素も多く、ゲームとしての全容がどうなるのかは今後の情報で見えてくるのだとは思うが、シリーズファンの一人として、本作の仕上がりを楽しみにしたいと思う。