ダウンロードで遊べる、気になるゲームの魅力を実際にプレイした上でご紹介する「DLゲームインプレッション」。第3回は、Nintendo Switch、Xbox One、PC(Steam)にて配信中のアドベンチャーゲーム「My Hidden Things」をピックアップ!

目次
  1. “夢の世界”で挑戦するパズルが、人々の未来を変える
  2. 後味の悪い、ビターな展開も
  3. 問題点もあるが、根気よく試行錯誤できるならプレイの価値あり

「My Hidden Things」はSix Dotsが開発を行ったアドベンチャーゲーム。公式の文章を引用するならば「ビジュアルノベルとオブジェクトファインディングの冒険」ということだが、ゲームプレイのほとんどの時間は“オブジェクトファインディング”が占めることになる。けれど、物語部分の重要性もとても高い作品でもある。どういうことか、詳しく書いていこう。

“夢の世界”で挑戦するパズルが、人々の未来を変える

プレイヤーは人間の夢に入り込める謎の存在“ザリー”と一緒に、困っている人たちを夢の世界で助けていく……というのが「My Hidden Things」の大枠のストーリーだ。

ゲームは章仕立てで進行していく。各章にはひとりの主人公にあたる人物が登場。各章の冒頭で、テキストとイラストによってこの人物が置かれた状況が語られ、その状況下で彼/彼女が見た“夢”(“心象風景”と表現したほうが分かりやすいかもしれない)が出現、この“夢の世界”がオブジェクトを見つけ出すパズルパートとなる。

パズルパートの基本的なルールは、画面端に表示されたいくつかの「見つけるべきモノの形(シルエット)」を参考に、心象風景の中からふたつの物体をクリック&ドラッグで組み合わせて、同じ形をつくり出す、というもの。

心象風景の中にある物体には、動かせるものと動かせないものがあり、複数の物体が折り重なっている場所は、動かして小分けにすることで、見つけるべき物体を発見しやすくなるだろう。

おもしろいのが、見つけるべき物体は主人公たる人物が現実世界で「必要としている」あるいは「潜在的に欲しいと感じている」といったものなので、夢の中でそれを見つけてあげることが、現実的に「この人物の背中を押す」ことに繫がり、ストーリーが進展していくといった点。深層心理下で必要としているものを見つけ出すというゲーム的な行為が、そのまま物語に組み込まれていくというのは、なかなか巧みだ。

パズルパートの、混沌とした頭の中をそのまま描き起こしたようなビジュアルも魅力的。その後の展開を示唆するような描写も散りばめられており、ここにクリック&ドラッグで介入するという行為が持つ意味合いに深みを与えてくれている。モノクロの画面と、癒しを感じられる穏やかな音楽もプレイの体験を心地良いものにしてくれているように思う。

後味の悪い、ビターな展開も

ひとりの主人公のストーリーは、全3~4章程度で完結する本作。ひとつの章をクリアすると、その人物の新たなストーリー、または別の人物のストーリーが解禁され、それらをクリアしていくと、小説のショートショート集を読んでいるような味わいがもたらされる。

序盤は困難を乗り越えることで、希望のある未来を掴み取るような、明るく感動的なストーリーが多い。しかし、後半は後味の悪い展開もいくつか見受けられ、それはまるで夢へと介入するだけではどうにもならない現実の厳しさ、不条理さを表しているかのよう。

見つけるべき形を発見し、組み合わせた瞬間にまったく別のものへと変化してしまい、思い描いていたのとは違った未来になってしまうなどの演出には、ゾッとさせられた。

問題点もあるが、根気よく試行錯誤できるならプレイの価値あり

ストーリーや、その表現手法には見どころの多い本作。しかし、ゲームとしては問題点も多少見受けられる。

まずは「形を見つける難易度」に、お題によってかなり幅がある点。ふたつの物体を組み合わせる必要があるのに、ひとつだけでほとんど見本となるシルエットと同じような形の物体があり、これは組み合わせる「もうひとつの物体」の形を特定しづらく、見つけるのが非常に難しい。総当り的にそれっぽい物体との組み合わせを試し続けて運良く上手くいったところで、納得感も薄い。

また、たまにある変則的なルールも説明の分かりづらいものが多い。これらの要因から、根気よく試行錯誤をするのが苦手な人には、本作のおすすめは出来かねる(一応、インターネットで検索をすれば、すべてのステージの解法が分かる動画が上がっていたりするので、どうしても先に進めないときはこれを観るのも手だ……)。一方で、そうした部分に根気強く向き合えるなら、いわゆる“ゲーム慣れ”していない人であっても楽しめるゲームでもあるだろう。

全部で29章あるステージをクリアするとエンディング。ボリュームとしては2~3時間でたどり着ける程度だが、解釈の余地の多い物語と、“ゲーム慣れ”していなくても楽しめるシステムが、この「My Hidden Things」の持ち味と言える。仲の良い相手と一緒に、アイデアを出し合って攻略していくようなプレイスタイルにも、相性が良いのではないだろうか。

ここまでの紹介で興味が沸いたのなら、ぜひプレイしてみてほしい。

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https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000037063.html

My Hidden Things

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  • 発売日:2021年3月25日

    ※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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