miHoYoがPS5/PS4/PC/iOS/Android向けに配信中のオープンワールドアクションRPG「原神」。2021年7月21日にVer.2.0へのアップデートである「鳴神不動、泡影を滅す」が実施され、プレイヤーが首を長くして実装を待ち望んでいた第3の国「稲妻」が実装された。
目次
すでに多くのプレイヤーが稲妻のコンテンツを楽しんでいることかと思うが、ver.2.0が実装されたこのタイミングで、久しぶりにテイワットに戻ってきたというプレイヤーも少なくないはず。今回は主に、しばらく「原神」から離れていたプレイヤーに向けて、サービス開始初期以降追加された新しい遊びや、改善された仕様などを紹介していく。
1.樹脂消費の改善
「原神」において、多くのプレイヤーが不便に感じていたであろう、スタミナにあたる「樹脂」の概念。「原神」はオープンワールドゲームではあるのだが、ボスから得られる素材に聖遺物、天賦素材といった、キャラクターの育成を進める上で必要になるリソースを入手するためには時間経過で回復する樹脂を消費しなければならないことが多い。しかし、樹脂の回復速度は8分ごとに1(素材の入手には1回あたり20~40を消費)とあまり早くないため、フィールドの探索が一通り終わると、1日にやることが一気に少なくなってしまう……というのがネックになっていた。現在もその問題は完全に解決されているわけではないが、サービス開始初期と比べると大幅な改善が加えられている。
まず自然回復で貯められる天然樹脂の最大貯蓄量が、「120」から「160」まで増加。さらに樹脂を消費する暇がない時のために、天然樹脂40分にあたる「濃縮樹脂」を作成してストックできるようになり、ある程度好きなタイミングで消費できるようになった。最初は最大3個だったストック量も、現在は5つまで可能になっており、ある程度自分に都合のいいタイミングで遊ぶことができる。
また、天然樹脂を60分回復する脆弱樹脂を「大地紀行」「天空紀行」で入手できるようになったのも大きい。従来の脆弱樹脂はかなり貴重なアイテムに位置づけられており、気軽には使えないリソースとなっていた。現在では有償の「天空紀行」の解放も含めると、毎シーズンごとに10個(「大地紀行」報酬が5、「天空紀行」報酬が5)の脆弱樹脂が入手できるので、樹脂をこつこつと貯めておき、新キャラクターを入手した際にまとめて消費して一気に育成を進める……といったプレイもやりやすくなっている。
また、「風魔竜トワリン」など、1週間に1度だけ戦えるボスの報酬を獲得するためには、従来は60もの天然樹脂を消費する必要があり、ただでさえ貴重な樹脂のやりくりが苦しくなる原因になっていた。しかしこちらもアップデートにより、その週で獲得する3体目のボスまでの報酬に関しては、従来の半分の30の樹脂消費で獲得できる仕様に変更されている。
週に3回まで受けられる「討伐懸賞」など、樹脂を消費しないコンテンツも追加されている他、開催される期間限定イベントでは基本的に樹脂を消費せずに進められるようになったので、フィールドの探索やイベントを終えたあともできることは増加している。
2.「塵歌壺」で自分だけの空間を作成
Ver.1.5アップデートで追加されたコンテンツである「塵歌壺」。MMORPGなどでよく見られる「ハウジング」にあたる要素で、ショップやイベント報酬として入手できる調度品をエリア内に配置して、自分だけの空間を作ることができる。調度品を配置できるエリアはなかなか広く、「家」や「庭」というよりはちょっとした街のようなものも作ることも可能。他のプレイヤーが作成した「塵歌壺」の中に遊びにいき、実際に歩き回ることもできる。
調度品の作成には、専用の通貨である「洞天宝銭」を使って購入するか、設計図を入手して素材を使って生産するかの2つの方法がある。生産の際に主に必要になるのは木材で、これはフィールドに存在する様々な木を近接武器で攻撃すると入手できる。木材には「杉」「松」「竹」「樺」など複数の種類があり、生えている木の種類に応じて入手できる素材も異なる。
調度品やその設計図の入手に必要になる「洞天宝銭」は、「塵歌壺」内でのみ使用できる専用の通貨。時間経過と共に自動で作成されるが、「塵歌壺」内に調度品をたくさん配置していくと「洞天仙力」とよばれる数値が上昇していき、時間ごとに作成される「洞天宝銭」の量も増加していく。「洞天宝銭」は、調度品や設計図の他にも、刹那樹脂(約1週間の使用期限のある脆弱樹脂)や聖遺物の強化・キャラクターのレベルアップ用素材やモラとの交換に使用できるので、入手量が増えることのゲーム的なメリットも大きい。
Ver.1.6からは、プレイヤーが仲間にしたキャラクター達を「塵歌壺」の中に配置できるようにもなった。配置したキャラクターは、親密度に応じて特殊な会話イベントが見られたり、キャラクターが好む調度品セットの場所に配置すれば、報酬アイテムが入手できる。配置されたキャラクターは、時間経過で親密度も上昇していくため、使用頻度が高くなかったり、育成が進んでいないキャラクターの親密度も上げやすくなった。
ver.2.0からは、畑に種を植えて一部の特産品や料理用の食材を栽培することも可能になった。「洞天宝銭」と交換できるアイテムも含め、「塵歌壺」を進めることで得られるゲーム的なメリットも大きいので、ハウジングにそれほど興味がないというプレイヤーにも遊んでもらいたいコンテンツだ。
3.PS4/PS5とiOS/Android/PCでのデータ共有が可能に
Ver.2.0アップデート以降、PSNアカウントとmiHoYo通行証の連携が可能になり、PS4/PS5とAndroid/iOS/PCという異なるデバイス間で進行データが共有できるようになった。従来はPS4~PS5、Android/iOS~PC間でのアカウント共有こそ可能だったものの、PSハードからPCやスマホ、PCやスマホからPS側にデータを移行するといったことは不可能となっていた。
データ連携が可能になったことで「PS4でアカウントを作ったけど、ゲーミングPCとスマホでプレイしたい」「スマホでアカウントを作ったけど、PS5を購入したからそっちでプレイしたい」といった需要にも対応できるように。ただし、有償石にあたる創世結晶は購入した側のデバイスでしか使用できないので注意したい。
また、原神公式サイトにて提供されている「テイワットマップ」とのデータ連携も可能になった。「テイワットマップ」は、七天神像に宝箱、種別ごとの敵、各種瞳、特産品に鉱石といったあらゆるマップ情報を確認できる機能。データ連携を行うことで、ゲーム内で自分が打ったマップピンをテイワットマップ上に表示できるようになる。とくにスマホやタブレットでテイワットマップを表示しつつ、PSやPCでプレイすると、瞳集めなどの作業がかなり楽になる。
4.主人公が雷元素を使えるように。恒常のキャラクター追加も
稲妻に到着後にストーリーを少し進めると、七天神像と共鳴することで主人公が雷元素の力を使えるようになる。
雷元素の主人公の強みは、なんといっても通常攻撃・重撃に連動して追加ダメージを与える元素爆発「電光雷轟」。キャラクターを交代しても効果が残り続けるため、メインアタッカーの火力を高めるサポート系の元素爆発として非常に強力だ。元素爆発中は、攻撃に連動して雷元素ダメージによる追撃が発生し、過負荷や感電、超電導といった元素反応を次々と起こすことができ、サポート系キャラクターの中でも屈指の性能を誇る行秋やフィッシュルに近い使い勝手で運用できる。
ただし、元素爆発が強力な分、発動に必要な元素エネルギー量は多め。それを補うのが元素スキル「雷影剣」で、敵に元素スキルをヒットさせると、元素エネルギーとチャージ効率を高める効果をもつ勾玉を生成する。この勾玉を回収しながら、強力な元素爆発を発動させるまでの時間を短くするのが主な戦い方になってくる。
これまでのバージョンでは、主人公にパーティ内での役割をややもたせづらかったのだが、雷元素はパーティのサポートに特化した性能となっており、主に火や氷、水元素のキャラクターとのシナジーを強く生み出せるようになった。主人公に活躍の場を与えたいプレイヤーは、ストーリーを優先的に進めて雷元素を解放するといいだろう。
「原神」は基本的に最高レアである星5の追加キャラクターは期間限定となっているが、星4レアリティは恒常のキャラクターとして追加されている。サービス開始以降、追加された星4キャラクターはディオナ、辛炎、ロサリア、煙緋の4名。8月実施予定のアップデートでは、星4に風元素のキャラクターである早柚も実装予定となっている。
5.聖遺物のバリエーションが大幅に増加。「稲妻」から追加された聖遺物も
「原神」において、キャラクター性能の中で非常に大きな比率を占める装備が「聖遺物」だ。同じキャラクターでも、装備した聖遺物のラインナップに応じて性能がガラリと変わるため、「聖遺物が増える=キャラクターの育成バリエーションが増える」という形になる。
まずVer.1.2で追加されたのが「氷風を彷徨う勇士」と「沈淪の心」、Ver.1.5では「蒼白の炎」と「千岩牢固」がそれぞれ追加されている。「氷風を彷徨う勇士」と「沈淪の心」は、主に氷・水元素のキャラクター、「蒼白の炎」は物理ダメージを主力とするキャラクターに向いた聖遺物となっている。「千岩牢固」はやや特殊で、HPとシールド耐久という防御面を強化しつつ、元素スキルヒット時にパーティ全体の攻撃力を上昇させる攻防一体の性質をもつ。ただ、攻撃上昇の効果時間が短いため、適正をもつキャラクターがあまり多くないという欠点もある。
そしてVer.2.0より追加されたのが「絶縁の旗印」と「追憶のしめ縄」。「絶縁の旗印」は、2セット効果で元素チャージ効率を高めつつ、4セット効果で装備キャラクターの元素チャージ効率のパラメーターに応じて攻撃力が上がっていく聖遺物で、元素爆発の回転率を上げつつ威力も高められるのが強みとなる。
強力な元素爆発で味方をサポートする香菱や行秋、モナとの相性は抜群で、他にもサポーター・サブアタッカー寄りの性能のキャラクターなら相性の悪い組み合わせはほとんどなく、汎用性の高さは全聖遺物の中でも屈指といっていいほどだ。
一方、「追憶のしめ縄」は、2セット効果の攻撃力上昇は汎用性が高く優秀。ただし4セット効果は「元素スキル発動時に元素エネルギーを15消費し、10秒間通常攻撃、重撃、落下攻撃ダメージ+50%を強化する」という、かなりクセの強い効果が設定されている。
メインアタッカー向けのダメージバフ効果としては強力なものの、元素スキル発動時に元素エネルギーを消費するため、元素爆発の発動が遅くなってしまうというデメリットも存在する。刻晴など攻撃面で元素爆発への依存度が低めのキャラクターや、元素エネルギーの供給量を増やすためサポーターを多めに編成したり、共鳴効果を活用するなど、使いこなすにはやや工夫が必要な聖遺物だ。
元素スキル発動後、4セット効果のダメージバフが有効になっている間は元素スキルを使用しても元素エネルギーは減少しない。ディルックのような元素スキルを連続使用できるキャラクターや、元素スキルのクールタイムが短いキャラクターならデメリットの影響を抑えられる。 |
6.岩・雷元素に上方修正。元素熟知による影響がより大きく
「原神」の大きな魅力となっているのが、優れたキャラクターバランスだ。ソーシャルゲームで起こりがちな、性能的に使えないというキャラがほぼおらず、育成を行えばどのキャラクターにも活躍の場を与えることができる。サービス開始から1年近くが経った現在もその特徴は守られており、しっかりと性能の差別化も図られている。
ただ一方で、バトルシステムの肝ともいえる「元素反応」の使い勝手には元素ごとの格差が存在していた。パラメーターに応じた固定ダメージを与える「感電」「過負荷」といった元素反応は、通常の攻撃ダメージを直接増幅させる「蒸発」「溶解」といった元素反応に比べるとやや地味な効果に収まっていた。そのため、ダメージ系の元素反応を発生させられない岩元素も含め、雷・風・雷元素のキャラクターは、火や水・氷元素のキャラクターと比較するとやや不遇な位置づけになっていた。
まずVer.1.3のアップデートで上方修正が加えられたのが、岩元素の共鳴効果(パーティ内に同じ元素のキャラクターを2人以上編成した際に発生する効果)。元々の効果である「シールド展開時に与えるダメージが+15%」に加えて、「15秒間、岩元素耐性を-20%する」デバフ効果が追加された。これにより、岩元素攻撃で与えられるダメージも飛躍的に上昇した。
また岩元素のみ、元素反応の代わりに一定時間の間シールドを展開する結晶が発生する「結晶反応」が発生するようになっているが、この結晶により生じるバリアにも強化が加えられている。Ver.1.3では元の「岩元素ダメージを250%吸収」という限定的な効果から「全元素と物理ダメージを150%吸収する」という汎用性の高いものに変更。さらにVer.1.6では、全元素の結晶シールドの耐久値も上がっており、現在では攻撃と防御の性能を両立させた使いやすい元素となっている。
一方、Ver.1.6では拡散・感電・過負荷・超伝導といった、雷や風元素に関連した元素反応の強化も行われている。元々「原神」で発生する元素反応は、キャラクターの「元素熟知」というステータスに応じて威力が変動するという仕様なのだが、アップデート以降は拡散・感電・過負荷・超伝導といった元素反応に、元素熟知による補正がより強くかかるようになった。従来の元素熟知は、攻撃力や会心率・会心ダメージと比べて軽視されがちなパラメーターだったのだが、この仕様変更により、フィッシュルやウェンティといった元素反応を継続的に起こせるタイプの雷元素や風元素のキャラクターにとっては、元素熟知のパラメーターの重要性が大幅に上昇している。
7.「稲妻」にもさらなる新エリアが追加予定
もちろん忘れてはいけないのが、新たなフィールドの存在。オープンワールドゲームである原神の大きな魅力は、広大なフィールドを好きなキャラクターで自由に探索、様々な発見をすることにあり、「稲妻」の追加によってそれを再び味わえるようになったのは非常に大きい。
モンドや璃月に関しても、かなり高い完成度のオープンワールドマップが作られていたのだが、稲妻はさらにその上を行く深い作り込みがなされており、配置されているギミックの量やバリエーションが尋常ではない。
また稲妻以外にも、Ver,1.2ではモンド内に巨大な雪山エリアである「ドラゴンスパイン」が追加されている。実は稲妻においても、現状解放されているエリアは稲妻の約半分にあたる地域という告知がされており、残り半分の地域は今後のアップデートで追加されていくと思われる。現状の解放されているエリアだけでも十分な広さがあるのだが、さらに探索できるエリアが広がっていくという楽しみも残されているのだ。
アップデートでさらなる進化を続ける「原神」。Ver.2.0は、サービス開始以降行われた最大のアップデートとも言え、「原神」を初めて遊ぶというプレイヤーはもちろんのこと、一度離れていたプレイヤーが復帰するにはこれ以上ないタイミングとなっている。稲妻の実装の機会に、再びテイワットの大地に足を踏み入れてはいかがだろうか。