セガは2021年9月24日に発売となる「LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶」の完成披露記者発表会を本日9月10日に東京・品川インターシティホールにて開催した。主演の木村拓哉さんをはじめ、豪華キャスト陣が登場したイベントの模様をお伝えしよう。
「LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶」は、2018年に発売され好評を博した「JUDGE EYES:死神の遺言」に続く、本格リーガルサスペンスアクションのシリーズの第2作目。前作に引き続き、主人公は木村拓哉さん演じる探偵の八神隆之で、今回は痴漢事件の裁判に端を発した復讐劇の真相を追い求めていくことになる。
今回の発表会には総合監督の名越稔洋氏、主演の木村拓哉さんのほか、玉木宏さん、山本耕史さん、光石研さん、中尾彬さんが登場。本作に関するエピソードや、それぞれが演じたキャラクターの印象などを語った。
前作「JUDGE EYES:死神の遺言」の反響について聞かれた名越氏は、「我々の想像する以上の好評をいただきました」と明かし、「うれしい反面、次回作はそれを超えなきゃというプレッシャーがスタッフ一同ありましたし、気を引き締めて臨みました」と本作にかける思いを語った。
前作の評判は木村さんの耳にも届いていたそうで、「海外で非常に好評だったというのは、すごいうれしいです。あと、インタビューをしてくださる女性のアナウンサーさんとか、まさかっていう方から『クリアしました』と小さい声で伝えていただくことが割と多くて。なんで、みんな小声で言うんだろうと思いました」と語り、来場者の笑いを誘った。
前作に続いて主役の八神隆之を演じた木村さんについて、名越氏は「前作から少し時間が経っていたので、八神というキャラクターにもう1度なってもらうところからスタートかな」と思っていたという。だが、いざ収録が始まると「アタマからもう八神だったので、僕としては手間が省けました」と笑った。
コロナ禍での収録であったため、30分に1回はスタジオを換気していたというエピソードを明かした木村さん。自身が演じた八神については「ブレない部分が強みだと思いますが、支えてくれる周りの人にも恵まれているキャラクターだと思います」と語り、「今回は神室町だけではなく横浜も舞台になっているんですけど、そうした世界観全体も魅力ですね」とアピールした。
玉木宏さんが演じるのは半グレ集団RKのリーダー・相馬和樹。名越氏によると相馬は飄々としているが頭もキレるし、残酷残忍なところもある、いろいろな意味で“キレる”キャラクターとのこと。玉木さんについては「二枚目で優しい役のほうが合う」という印象を持っていたというが、「そういう人におっかないことを言わせたいという願いがありまして、(玉木さんも)そこをくみ取って頑張ってくれました」と、感謝を述べた。
玉木さんも相馬のような役をもらえるとは思っていなかったそうで、「すごくうれしかったです」と振り返る。相馬という人物については「頭脳明晰で、裏で人を操るようなタイプです。一方、八神という人は何回転んでも立ち上がる人で、相馬にとっては天敵のような存在だと思います」と、印象を語った。
伊勢佐木異人町の便利屋・桑名仁を演じた山本耕史さんだが、最初事務所の人から「木村さんと共演だけど、木村さんとは会えない」と聞いたそうで、「どういう仕事なの?」となったとコメント。「画面の中で木村さんと会話するという不思議な共演だったのですが、何も分からなかったからこそ、いろんなご指導をいただいて、本当に勉強になったというのが正直な感想です」と振り返った。
八神については「いや、もう木村さん(そのもの)です」と即答。木村さんとは兄弟役で共演したことがあり、今回は八神というキャラクターとの共演だったが、「やっぱり緊張しましたよ。このお仕事でなければ、なかなか体験できない感覚でしたね」と、明かした。
そんな山本さん演じる桑名について、名越氏は「便利屋と探偵という、やっていることが近しい同士ということもあって、(八神と)共感するような場面もあります」と語る。ただ、一方でライバルのような存在でもあるようで、「敵なのか味方なのか、常に疑問符が付いているキャラクターです」と紹介した。
光石研さんが演じる江原明弘は痴漢の罪で告発される現役の警察官。しかし、裁判で有罪判決が下される瞬間に当事者しか知り得ない情報が含まれた殺人事件について告白するという、本作の複雑な物語の口火を切るキャラクターとなっている。
「何かを背負った男というのは本当に大好きで、こういう人物がやりたくて役者になったので、とてもうれしかったです」という光石さん。木村さんの演じる八神については、「真実をつきとめようとする八神の姿勢が木村さんのキャラクターと相まって、ものすごいリアリティがあります」と評した。
源田法律事務所の人権派弁護士・源田龍造は前作に続いての登場。名越氏いわく、両親のいない八神にとっての親代わりというべき存在であり、要所要所で八神の相談相手になってくれる「ホントにいい親父役です」とのこと。
演じる中尾彬さんは前作について「声が先で画が後っていうのは初めてでした」とコメント。「木村くんがどんなリアクションをするのかもまったくわからないから、自分が監督になった気持ちでやりました」と明かした。かなりくたびれて、声も5メートルしか出なかったというが、今回は「15メートルくらい声が出たので自由にできました」とのこと。今作での八神については「いいかげんなヤツだと思っていたんだけど、親父から見た息子って感じになってきた。なんでも相談してくれるし、いろいろ修羅場くぐってきたし。なんか包んであげられるような立場で見ていました」と、役と同様の親心を見せた。
主人公の八神にちなんで「演じてみたい探偵、弁護士について」というテーマでもトークが繰り広げられた。木村さんは「逆に、犯人もアリなのかな」と意外な回答。ほかの皆さんが演じた役はどうかという質問には「ネタバレになるから」とかわしつつ、名越監督が紡ぎ出すストーリーは演じている側でも「こういうことになるんだ」という驚きがあり、「2回、3回、いや5回はやりたくなる」と称賛。そうしたストーリーがしっかりしたものなら「弁護士だろうが、探偵だろうが、犯人だろうが、やりがいが絶対あると思います」と答えた。
玉木さんは「LOSTJUDGMENT」自体の実写化を推奨。木村さんの出ていたドラマを見ていたことが、この世界に入った理由のひとつだそうで、「共演させていただけるということをすごく楽しみにしていたんです。今回は声だけだったので、願わくば今度は実写でご一緒したい」と熱く語った。
「100パーセント探偵です!」と答えたのは山本さん。弁護士はセリフが難しすぎるというのが理由で、「俳優をやっていて、こんなことを言うのはアレなんですけど、極力難しい言葉は覚えたくない」と、ぶっちゃけた。また、犯人役の木村さんを見てみたいそうで、このメンバーでキャスティングするならスマートな玉木さんが弁護士、僕が探偵で、先輩方3人は全員犯人です、中尾さんはラスボスでしょうね」と笑わせた。
「僕は絶対、犯人です」と力説した光石さんも犯人役の木村さんは見てみたいと興味津々の様子。中尾さんは「60年やっていると昨日は犯人で、今日は弁護士で、明後日は裁判長とか散々やってきました。50歳までは犯人が多かったですね」と、しみじみ語りつつ「今、犯人やったら、オレ絶対うまいと思うよ」、「ぜひ、犯人でお願いします、“実写”で」と、大ベテランならではの気概を見せた。
主題歌の「蝸旋」を手掛けたjon-YAKITORYさん、Adoからのビデオメッセージも紹介。jon-YAKITORYさんは「禍々しい負のスパイラルを背負いながらも、ゆっくりと前進していこうとする人の生き様を描いた曲になります。歌詞全体を通して誰の視点とも取れるような単純な善悪では測れない曲にしようと思い作りました」、Adoさんは「この曲は被害者にも加害者にもなってしまった人の後悔や葛藤、ギリギリの自己防衛などを意識して歌いました。ロストジャッジメントの世界観で鳴るjon-YAKITORYさんの音をぜひゲームの中でお楽しみください」と、この曲への思いをそれぞれ語った。
おふたりを起用した経緯だが、名越氏は「今回は高校が舞台の一部になっているので、うんと若い人にお願いしたほうが音的にウソくさくない、親近感のあるものが作れるのではないかな」と、当初から考えていたという。そんなとき、去年の秋くらいにjon-YAKITORYさんの楽曲を紹介され、その中の女性の歌入りの曲を聞いて「ぶっ飛びました」、「このコは何者だ?」となったそうだ。
そのとき初めてAdoさんのことを知り、「ほかの選択肢は見えなくなりました」というほど惚れ込んでしまったと語る。ちなみに、契約したのはAdoさんが「うっせぇわ」で社会現象を巻き起こす前で、さすがの名越氏も「予想外だった」と舌を巻いていた。
最後に名越氏は今回のコロナ禍での開発について、「キャストの方々のご協力やご配慮に大変感謝しております」と改めてお礼を述べ、さらに「今回も世界中の人が共感できる素晴らしいドラマになったと思います。今はスマホゲームやオンラインゲームに面白いものがたくさんありますが、ひとりで楽しめる豊かな時間というものを我々は今回この作品を通じて提供できるのではないかなと考えております。ぜひ、触っていだいて、お買い求めいただければ何よりだと思います」とメッセージを送った。
なお、本日9月10日よりPlayStation StoreにてPS4、PS5の体験版が配信中。序盤の展開やアクションの一端を体験することが可能で、製品版にセーブデータを引き継ぐこともできるので、この機会にぜひプレイしてみることをおすすめする。