RovioEntertainmentの新作「ダークファイヤーヒーローズ」をレビュー。ハック&スラッシュの楽しさをできる限りお手軽にプレイできるようアレンジしたRPG。その内容を紹介する。

目次
  1. ヒーローパワー&スペルを使用するRTS的ハック&スラッシュ
  2. 放置プレイOKな賢いオート機能とプレイヤースキルが問われるマルチプレイ機能
  3. ハクスラ?対戦?放置?異なる楽しみ方でプレイできる作品

「ダークファイヤーヒーローズ」は、RovioEntertainmentからリリースされたスマートフォン向けRPG。RovioEntertainmentといえば、「アングリーバード」シリーズで有名なデベロッパー。しかし、本作は「アングリーバード」とはまったく繋がりのないファンタジー世界が舞台。ハック&スラッシュ(ハクスラ)要素の強い正統派RPGだ。

ヒーローパワー&スペルを使用するRTS的ハック&スラッシュ

ある時天空からダークファイア・ストーンが降り注いだことで地上が腐敗、悪の軍勢が出現する。悪によって人の世が絶望に包まれようとした時、最後の希望として現れたのが主人公たち=プレイヤー。すなわち、タイトルにある「ダークファイヤーヒーローズ」とはダークファイア・ストーンに抗うヒーローたちという意味だろう。

これが本作のストーリーだが、ハック&スラッシュ型RPGの多くがそうであるように、本作もまた、ストーリー性を重視した作品ではない。モンスターが襲撃した背景や、各キャラクターのプロフィール的な情報は描かれるものの、あくまでフレーバーといった位置づけ。世界の謎や人間ドラマといったストーリー性ではなく、バトルと育成を楽しむ作品として割り切った作りになっている。

では、肝心のバトルはどのようなシステムかというと、ディフェンスゲームやリアルタイムストラテジー(RTS)に近い。プレイヤーの操るキャラクターは5体。各キャラクターは、自動的に通常攻撃を行ってくれる。プレイヤーが要求されるのは、ヒーローパワーとスペルの使用。

ヒーローパワーは、各キャラクターが持つ必殺技的アクション。強力な攻撃や、回復といった特殊な効果を持っている。ヒーローパワーの使用には、キャラクター毎のヒーローパワーゲージが必要。ゲージ満タンで発動でき、一度使用するとゲージが空になる。再び使用するには、クールダウンを待たなければならない。

スペルは、マナを消費して行うアクション。こちらはヒーローパワーゲージではなく、マナゲージを消費して発動する。マナゲージも時間経過によって貯まるので、一見スペルもヒーローパワーと変わらないように感じるかもしれない。しかし、ランダムにドローした中から使うという点や、連続使用可能な点がヒーローパワーと異なっている。

スペルはキャラクターとは別にデッキを組んでおき、バトルへ持ち込む。バトル中はこのデッキの中からランダムで3つのスペルがドローされ、手札となる。このため、たとえば「キャラのHPがギリギリで今すぐ回復したい!」という場合であっても、回復スペルを使えるとは限らない。もちろん、手札からスペルを使えば新たなスペルをドローできる。しかし、スペル使用はマナ消費を伴うので、使いたいスペルが引けた時にマナが残っているとは限らない。

ただその一方で、マナさえあれば連続でスペルを使うことが可能だ。攻撃系のスペルを多数デッキに組み込んだ上でマナを貯めれば、マナの許す限り連続でスペル攻撃できる。使用すると必ずクールダウンが発生するヒーローパワーに対し、スペルのメリットといえる点だ。

ヒーローパワーとスペルをどのタイミングで使っていくのか?この判断が本作のバトルのメイン。そして、ハック&スラッシュ的な魅力を担っているのも、ヒーローパワーとスペルだ。本作のバトルはステージ毎に区切られており、はじめてステージをクリアした際に、報酬として宝箱を獲得可能。宝箱の中には、コインやキャラクター、装備やスペルといった様々なアイテムが入っている。

察しのいい方はお気づきだろう。本作の宝箱は、いわゆるルートボックス(ガチャの一種)と同じものだ。実際、本作でも宝箱は課金アイテムとして提供されており、ゲーム内のショップで購入できる。とはいえ、本作は課金圧力の強いゲームではない。というのも、バトル初クリア時以外にもミッション達成時やプレイヤーレベルアップ時、さらには一定時間経過でアイテムが獲得できる「遠征」機能など、宝箱の獲得機会が豊富に用意されているから。

宝箱がガンガン獲得できることが、ハック&スラッシュゲームとしての楽しさを味わわせてくれる。バトルをクリアして宝箱を開け、新たなキャラクターやスペル、装備や強化用素材などをゲット。次のステージに備えて育成や編成に悩む…。トレジャーハンティングと育成・編成の楽しさは、ハック&スラッシュならではのものだ。

放置プレイOKな賢いオート機能とプレイヤースキルが問われるマルチプレイ機能

本作のバトルには、周回プレイ用のオート機能や倍速機能が用意されている。これらの機能は、最近のスマートフォンRPGであればたいてい用意されているので、機能があること自体は特に珍しいことじゃない。ただ、本作のオート機能の賢さは、なかなかのもの。スキルやスペルを可能な限りスピーディーに、的確に使ってくれる。もちろん、回復だって的確。手動でプレイする場合、判断の遅れが出てしまうことも多いので、状況によっては人間よりも賢いのではないだろうかと思ってしまった。

オート機能が賢いため、本作は放置ゲーム的に楽しむことができる。たとえはじめて挑むボス戦であったとしても、オート任せで大丈夫。プレイヤーはバトル外での育成とパーティー&スペルデッキの編成に集中できる。

ただ、放置プレイで問題ないのはあくまでソロ向けの「キャンペーン」モードの話。マルチプレイヤー用の「アリーナ」モードに挑むことを前提にするなら、基本的に手動プレイした方がいいだろう。

「アリーナ」には、「城の攻略」「ヒーローレース」という2つのゲームモードが用意されている。「城の攻略」は、相手プレイヤーと互いの拠点を掛けて戦うモード。相手の拠点を先に破壊した方が勝利…という、よりディフェンスゲームやRTSに近いゲームモードだ。

「ヒーローレース」は、相手プレイヤーよりも先にゴール地点にある拠点を破壊すれば勝ちというゲームモード。相手プレイヤーと直接戦うのではなく、コンピューター操るNPCモンスターを倒しながらゴールに向かうという点が「城の攻略」との違い。「ヒーローレース」という名の通り、いかに早くモンスターを倒せるかが勝利のカギとなる。

「城の攻略」も「ヒーローレース」も、スキルやスペルの使用にあたって相手プレイヤーとの駆け引きが発生する。状況に応じた適切なスキル&スペルを使用しなければならない。その練習として「キャンペーン」は手動でプレイしておきたい。

ハクスラ?対戦?放置?異なる楽しみ方でプレイできる作品

本作は、人によって楽しみ方が異なる作品だ。ある人はバトルとアイテムゲット、育成を繰り返すハック&スラッシュゲームとして楽しみ、ある人は放置RPGとして楽しむ。そしてまたある人は、マルチプレイの対戦に楽しさを見出す…。

ちなみに筆者が楽しさを感じたのは、ハック&スラッシュとマルチプレイの対戦要素だった。ゲーム開始直後は敵も弱く、歯ごたえを実感できなかったが、ゲームが進み敵が強くなっていくと、新たなキャラクターやスペルを手に入れた時の喜びがアップ。そして、キャラクターやスペルの特性を活かした編成を考えるようになると、ハック&スラッシュ的な楽しさを感じ始めた。

そして、こうした楽しさを最大限感じたのがマルチプレイ。やはり、対戦相手が人間プレイヤ―だと、勝負への真剣度が変わってくる。勝つためにどういう編成にすべきか、本気で考え、ああでもない、こうでもないと悩む。これが楽しい。

筆者は攻略を考えるタイプのゲームが好きなので、こうしたプレイスタイルに楽しさを感じたが、よりお手軽に楽しみたい人であれば、オート機能と倍速機能併用で「キャンペーン」モードをひたすら進め、育成を楽しむというのもアリだろう。ハック&スラッシュや対戦といったゲーム的楽しさをしっかり残しながら、極限までお手軽プレイできるようにしている点は、本作の優れた点だ。

先に触れた通り、本作はストーリー性が弱いので、残念ながらRPGにストーリーを求める人には向いていない。しかし、ハック&スラッシュ的な育成を求めるのであれば、プレイスタイルに応じた楽しみ方が味わえる。「アングリーバード」のデベロッパーだけあって丁寧に作られている印象だ。ぜひプレイしてみてほしい。

ダークファイヤーヒーローズ

RovioEntertainment

iOSアプリiOS

  • 配信日:2021年10月4日
  • 価格:基本無料

    ダークファイヤーヒーローズ

    RovioEntertainment

    AndroidアプリAndroid

    • 配信日:2021年10月4日
    • 価格:基本無料

      ※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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