コーエーテクモゲームスは、2022年2月27日にオンライン配信ライヴ(無観客公演)「バディミッション BOND METEOLIVE」を開催した。ここでは昼/夜公演の見どころをレポートする。
本イベントは、任天堂×コーエーテクモゲームスのタッグでおくるアドベンチャーゲーム「バディミッション BOND」(発売元:任天堂株式会社)の発売1周年を記念し、開催されたもの。バンドとブラスで編成し、作中ヒロインの歌姫・スイの歌唱を担当するCeleina Ann(セレイナ・アン)さんや、劇中歌「変身超忍ニンジャジャン」を歌う小川 匠さんが出演。MCはココ・デ・オドレイ役の島田愛野さんが担当し、本作の楽曲を手掛けた水上浩介さんも一部楽曲のポイントを紹介してくれた。
各公演の楽曲はチームBONDの出会いから、ミカグラ島で巻き起こった犯罪組織「DISCARD」との決着、そしてゲームエンディング後の物語を描いたドラマCDまで網羅。昼公演はルーク&アーロン、夜公演はモクマ&チェズレイにスポットを当てていて、一部異なる選曲や映像演出も楽しめる。夜公演では和楽器が編成に加わり、ここでしか聞けない「変身超忍ニンジャジャン」や「Darkening Heart」などのアレンジもポイントだ。
各公演は3月6日(日)23時59分まで「Streaming+」でアーカイヴ配信している(購入は3月6日(日)21時まで)。「I SHI KU RE」「Meteorite」「ボンボンボンド」「運命の輪郭」の4曲分を収録した「METEOLIVE バンドスコア」と「METEOLIVE CDジャケットキーホルダー(2種)」の記念グッズ付きプレミアム視聴通し券も販売しているので、気になったファンは早めにチェックしておこう。
出演者
Celeina Annさん(アーティスト)
小川 匠さん(アーティスト)
小川 翔さん(Guitar)
小泉”P”克人さん(Bass)
Takumadropsさん(Key)
上原俊亮さん(Drums)
元晴さん(Sax)
中園亜美さん(Sax)
曽根麻央さん(Trumpet)
中村仁樹さん(尺八) ※夜公演のみ
明日佳さん(琴) ※夜公演のみ
島田愛野さん(MC)
水上浩介さん(作曲家)
まずはゲームのオープニングアニメーションと共に、Celeinaさんが「I SHI KU RE」を熱唱。画面越しでも伝わってくる生演奏の迫力に圧倒されたところで、水上さんの楽曲紹介からチームBONDの始まりを思い起こさせる「Session #1 ~邂逅&共闘~」が始まる。
ジャズを基調とした本作の楽曲の中でも「バディ・ミッション」と「追跡」は最初期に着手した曲で、とくに「バディ・ミッション」はできるだけ多くゲーム中で使いたいというオーダーを受けシンプルかつ汎用性のある構成に。疾走感に溢れた「追跡」は、もともとは潜入の曲としても使えるようにという話があったそうだ。
切迫した空気のただよう「引き金に指」は「運命の輪郭」のAメロがモチーフとして使われていて、モクマの名乗りからスタートした「変身超忍ニンジャジャン」はジャズのテイストと戦隊ヒーローのもつストレートな熱さが融合。緊張感のあるジャズのテンションコードを使い、本作らしさが出せたのではと話す水上さん。作詞も手掛けていて、ドラマCDを聞くと「なるほど!」と分かるキーワードにも注目だ。
本作では捜査の場面で選んだバディの組み合わせによって楽器や旋律が変化するが、これは4パート分の楽譜を作り、さらにキャラクターに合う楽器を選ぶ……といった流れで作られたそうだ。「捜査 ~飛行船~」をはじめ各マップに合わせて音色に変化を加えていて、水上さんはこの違いがファンにもしっかり伝わっていて嬉しいと話していた。
「I SHI KU RE」のAメロを使用した「ミッション・コンプリート」で、最初の出会いとなった飛行船の旅は締めくくられる。昼の部では「君だけのひとこと」や展開上聞こえないはずのピアノも加わった「捜査 ~飛行船~」、夜の部では「ちょっと待ったぁ!」や和楽器で深みの増した「変身超忍ニンジャジャン」が届けられた。
続いては「Session #2 ~逢着&集結~」と題し、ミカグラ島でのスイとの出会いやレッドダイヤのすり替え、闇カジノを牛耳るイアンとの壮絶な戦いまでを振り返っていく。
ニューヨークのブロードウェイのようなイメージで作られた「アミューズメント・ストリート」は、華やかなブロッサムの劇場街にぴったりの1曲。本作はビッグバンドジャズ(※大掛かりな編成のジャズ)のスタイルが中心となっているが、今回のライヴのような一味違うスタイルでの演奏も注目してほしいと水上さん。コミカルな「ボンボンボンド」では、少し気が抜けたようなトランペットの音色を生み出すユニークな演奏方法を体感することができた。
「魅惑のテナーサックス」は英語版タイトルで「Sexy Sax」となったほど、セクシーを前面に押し出した曲だ。収録時は完成形のイメージの想像以上に色っぽいテナーサックスの音色が飛び出し、スタッフもテンションが上がったという。今回の生演奏でもゲーム内の楽曲に負けないくらい、艶やかな音色がステージに満ちていた。
ゲーム内では、ステージ上のキャットウォークでスイの歌がかすかに聞こえる……という展開だった「潜入 ~流星のように~」。今回のライヴではCeleinaさんの歌声がすぐ近くだったため、まるで客席で聞いているかのようなシチュエーションへ。高揚感にあふれた「死闘の先に」は楽曲としての難易度も高く、レコーディングでも苦労した曲のひとつだそう。その分、プレイヤーの記憶にも壮絶なバトルの思い出と共に刻まれたことだろう。
「Session #3 ~相反&相棒~」では、それぞれのバディの思い出深いシーンに迫っていく。昼の部はアラナのためチームを裏切るアーロンと彼を止めるルークのシーンから始まり、ピアノのみの「思い出のコート」と「さまよう双星」が涙を誘う。しっとりとした空気を一変させた「やってやるぜ!」は、あえてレコーディングの前にデモ音源を奏者へ渡さず、タイトルどおりのライヴ感を生み出したそうだ。
夜の部は盃を交わすモクマとチェズレイの一見穏やかな会話からスタートし、力強くも優しい尺八と琴を乗せた「紅き葉に寄せて」「捜査 ~マイカ~」でマイカの里の日常に触れていく。本作の中で重要な役割をもつ「巫女の歌」はミカグラ島の名前の由来でもある「神楽(かぐら)」を意識し、雅楽で使われる篳篥(ひちりき)や笙(しょう)を使用したという。Celeinaさんの歌声が重なれば、まさにゲーム内でスイが行ったステージそのもの。「潜入 ~月影を掠めて~」はモクマの感情に寄り添ってほしいというオーダーを踏まえ、本作らしいジャズのテイストを合わせつつ気をつけたそうだ。
すべての決着に向けて走り出す「Session #4 ~結末~」は、ナデシコを筆頭に文字通り駆け抜ける「デュアル・エンジン」から開幕。「I SHI KU RE」のフレーズで終盤のテンションを大いに高めてくれた「潜入 ~石塊たち~」から、「さまよう双星」と合わせて重要なシーンで流れる「運命の輪郭」で物語はクライマックスへ。ゲームを彩った数々のキャラクターとの思い出に浸りながら、ひとつの終わりである「Meteorite ~Rearrange Ver.~」を迎える。
「エンディング ~未来~」ではドラマCDのワンシーンと共に、昼の部は「Shared Light」、夜の部は「Darkening Heart」を披露。画面越しに「いつか直接アーティストたちへコール&レスポンスを届けたい!」と願わずにはいられなかった「Bond Again」で一旦ライヴは終演する。ファンの熱意に応えたアンコールは、アーティストたちから送られた温かなメッセージと「Meteorite」で締めくくられた。
イベント内では、待望のキャラクターブックの受注予約開始もアナウンス。キャラクターの履歴書などをまとめた「キャラクターレポート」や新規バディエピソード6本を収録した充実の1冊は4月下旬発売予定なので、忘れずに予約しておこう。