ソニー・インタラクティブエンタテインメントが、2022年9月2日に発売するPS5用ソフト「The Last of Us Part I」の先行レビューをお届けする。

目次
  1. DualSenseへの対応で没入感がアップ
  2. キャラのAIが進化。ロードの高速化でゲームの再開も一瞬に
  3. 当時とは違った感情を呼び覚ます、ジョエルとエリーの旅

いよいよ発売が間近となった「The Last of Us Part I」。「The Last of Us」は2013年6月にPS3版、2014年8月にPS4版(リマスター版)が発売され、その年の最高のゲームである2013年の「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」(GOTY)にもっとも多くのメディアから選出された。「The Last of Us Part I」はそのPS5向けリメイクにあたる作品だ。

舞台となるのは、人間を異形の感染者(インフェクテッド)に変貌させる寄生菌によって滅亡の危機に瀕したアメリカ。かつて娘を失った主人公・ジョエルと、寄生菌に対する抗体をもつ少女・エリーの関係性を描いた物語と、ステルスあり、撃ち合いあり、アクションあり、クラフトありといった豊富な要素を内包したアクションは、共に高い評価を得た。リメイクである本作でも、その要素は受け継がれている。

一方、オリジナル版からがらりと変わった体験を求める人は注意が必要。2020年に発売された「The Last of Us Part II」のゲームエンジンを使用しているという本作だが、「Part II」から追加された匍匐やジャンプといった新アクションは盛り込まれていない。フィールドや探索要素も基本的にオリジナル版のままで、あくまでもベースは「The Last of Us」であり、ゲームシステム面への影響は最小限になるように留められている。

もっとも大きく変わったのは、キャラクターモデルからアートディレクションまで、すべてが1から再構築されたグラフィック面。……といっても「The Last of Us Remastered」の時点で十分すぎるほどに美麗なグラフィック表現がなされていたため、「そんなに変わらないのでは?」と思うプレイヤーも少なくないだろう。

画像は「The Last of Us Remastered」のもの。
(C)2014 Sony Interactive Entertainment America LLC. Created and developed by Naughty Dog, Inc.

しかし、実際にプレイしてみて、その明確な違いを感じとれた。とくに分かりやすいのが明るい場所におけるテクスチャの細かさや光源処理で、改めて4Kモニターでリマスター版をプレイしてみると壁や地面のテクスチャに少し粗さがあり、さすがに元がPS3作品だと感じてしまう部分が随所にあった(それでも十分綺麗と言えるのだが)。キャラクターモデルに関しては、肌の染みや皺が鮮明になりよりリアルに。建物はデザイン面から見直されており、破壊可能なオブジェクトも増え、より戦闘の緊迫感も上がっている。

画像は「The Last of Us Remastered」のもの。
(C)2014 Sony Interactive Entertainment America LLC. Created and developed by Naughty Dog, Inc.
本作における同シーンの1カット。埃っぽい街の空気感を映像からも感じ取れる。
画面は「The Last of Us Remastered」のもの。
(C)2014 Sony Interactive Entertainment America LLC. Created and developed by Naughty Dog, Inc.
本作における同シーンの1カット。炎や光の表現が劇的に進化していることが分かる。

非常に月並みな表現になって申し訳ないが、本作のグラフィックはまさに実写のよう。スクリーンショットを見ていただければ分かる通り、リマスター版よりも埃っぽい空気感や暗所の不気味さ、光の美しさなどあらゆる要素が大幅にグレードアップしている。筆者はオリジナル版を初めてプレイした時、その景色の美しさに思わず感動したのだが、その時と同じ感情を本作でもう一度抱くことができた。

行く先々の光景があまりにも美しいため、思わず何枚もスクリーンショットを撮影するのだが、その一枚一枚が加工済の宣伝写真のように様になるのだから凄い。本作にもフォトモードが搭載されているので、よりこだわりぬいた写真を取ることもできる。

映像面では、フレームレートと解像度のどちらを優先するかのモード切り替えが用意されており、基本的に今回記事に用いている画像は解像度優先のモードのものだ。解像度を優先する場合、フレームレートは30fpsを基本にネイティブ4Kで出力され、フレームレート優先モードなら60fpを基本にダイナミック4Kで動作する。

筆者はアクションゲームを遊ぶ場合、ほぼ例外なくフレームレートを優先したモードを選択するのだが、本作に関してはグラフィックが果たす役割が大きいタイプのゲームで、激しいアクションを行う頻度もさほど高くないため、解像度優先モードを選ぶのも十分にアリだと感じた。とはいえフレームレート優先モードでもグラフィックは十分すぎるほどに美しいため、プレイヤーが好みに応じて設定するのがいいだろう。

DualSenseへの対応で没入感がアップ

PS5コントローラー・DualSenseへの対応も行われている。

とくに振動機能であるハプティックフィードバックは、ゲームプレイの没入感を高めてくれる。従来の振動機能は、主にアクションシーンなどでの迫力を増す使い方がされることが多かったが、より細かな振動表現が可能になった本作では、車に乗っているシーンのエンジンの揺れや、武器を持ち替える、障害物を乗り越えた際などにも、微かな振動が発生。「衝撃」ではなく「手触り」のような感覚を振動を使って再現しており、従来にない没入感を味わえる。

DualSenseのもうひとつの機能である、アダプティブトリガーにも対応しており、本作のサバイバルホラーとしての側面をよりパワーアップさせてくれる。

アダプティブトリガーが用いられているのは武器使用時で、銃や弓などの武器を構える際にL2R2トリガーが一気に固くなり、トリガーを引くと元に戻る。武器ごとにも硬さに違いがあり、拳銃よりもライフルやショットガンの方がトリガーを押しにくく、弓なら引き絞るタイミングごとに硬さが異なってくる。

普段のプレイにはそこまで大きな影響はないのだが、感染者に発見されて咄嗟に応戦が必要な状況など、焦って操作しようとすると思うように銃が撃てずゲームオーバーになることもしばしば。設定でオフにすることも可能だが、感染者や敵と遭遇した際の臨場感が高まるため、とくに初回プレイはオンにすることをオススメしたい。

キャラのAIが進化。ロードの高速化でゲームの再開も一瞬に

様々なキャラクターのAIもオリジナル版から変化した点の一つ。敵のAIの賢さは「Part II」でも顕著に見られた要素だが、それは本作にも引き継がれている。オリジナル版と比較すると、とくに人間キャラクターのAIが強化されており、対峙した際は物陰に隠れつつ、他の仲間の増援が来るのをまってから一緒にこちらを包囲しようとしてきたり、連携を意識した動きを取るようになっている。「Part II」と同様、形勢が不利になったら降伏しようとするハンターもいたり、個性のある動きをする敵がいるのも面白い。

一方で、賢くなったのは敵だけではなく、ジョエルのパートナーであるエリーも同様。敵が視界外にいるときはジョエルにその存在を教えてタグ付けをしてくれたり、窮地を救ってくれることもある。オリジナル版においても、エリーはジョエルの行動を覚えて成長していき、戦闘面においても頼もしい相方になる仕組みになっていたが、それがより早い段階から感じられるようになった。

またPS5の高速SSD恩恵により、ゲームオーバーから再開までの速度が劇的に早くなった。オリジナル版と同様に一度TIPSが挟まるので、即再開とまではいかないものの、TIPSが表示されたあとはほぼロードなしでチェックポイントから再開できる。TIPSが挟まらないチェックポイントからの再開の場合はまさに一瞬で、トライアンドエラーが非常にやりやすくなった。ステルス要素の関係上、本作は少し前のタイミングに戻りたい機会がかなり多いゲームなので、ロードの高速化は嬉しい。

オプションもより細かくなっており、中でもありがたいのが難易度を項目ごとに変更可能になったこと。「Part II」にも採用されていた仕様だが、敵の強さはハードに上げつつ、アイテムは余裕をもって扱えるようにサバイバル要素をイージー相当にしたり、プレイヤーが求める方向性にゲームをカスタマイズできる。

また感心したのは字幕設定で、文字の大きさだけではなく話者ごとの色や話す方向を表示までかなり細かい項目が用意されている。筆者は情報を見落とさないように、極力会話も字幕で表示しておきたいタイプなのだが、字幕が目立ちすぎてゲームの雰囲気が台無しになってしまうことも少なくなかった。フォントのデザインも含め、本作の字幕は本作のビジュアルを壊さないための配慮が随所に見られ、非常に細かい部分にまで拘られていることがよく分かる。

当時とは違った感情を呼び覚ます、ジョエルとエリーの旅

プレイを通して感じた本作の印象を表すなら、オリジナル版の体験をそのままに、現代のグラフィック技術とシステム水準で作り直した、リマスターとリメイクの中間的な位置づけの作品だということ。

冒頭でも述べた通り、追加のストーリーであったり新システムであったりといった要素こそないのだが、オリジナル版が紛れもない傑作であるが故に、何度プレイし直しても面白い。危機を共にくぐり抜け、少しずつ変化していくジョエルとエリーの関係性、ステルスプレイで的確に敵を倒していき、進路を確保できた爽快感、ナイフがない状態でクリッカーと遭遇し、身を潜めて過ぎ去ってくれるのを待つドキドキ感、あらゆる要素が絶妙なバランスで成り立っている。

本作は映画的な表現を突き詰めた作品だが、ゲームプレイ部分も文句なしに面白いのが傑作たる所以。一度オリジナル版やリマスター版を遊んだプレイヤーでも間違いなく楽しめるだろう。

その上で、オリジナル版とのもっとも大きな違いと言えるのは、プレイヤーの多くが「Part II」の物語を体験していることかもしれない。「Part II」をプレイした多くの人が、様々な強い感情を抱いたことと思うが、あの結末を知った上でプレイするジョエルとエリーの旅路は、オリジナル版をプレイした当時とはまた違った感情を呼び覚ましてくれる。

もちろん、今まで「The Last of Us」をプレイする機会を逃していたり、「Part II」だけプレイしたという人にも、自信をもってオススメできることも間違いない。是非ともこの機会にプレイしてみて欲しい。

DLCとして配信されていた前日譚「Left Behind -残されたもの-」に加えて、解放にはゲームクリアが必要となるが、
「タイムアタックモード」にジョエルやエリーの新衣装も追加されている。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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The Last of Us Part I公式サイト
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