2022年9月15日から9月18日まで幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2022。本稿では、ハピネットブースにて試遊出展されている、H2 INTERACTIVEが2022年11月24日に発売予定のPS5用ソフト「Soulstice: Deluxe Edition」の体験レポートをお届けする。
ダークファンタジーな世界を舞台に誰でもカッコよくアクションが繰り出せる
本作は、邪悪な存在“レイス”によって滅亡しかけている世界を守る、2人の姉妹が登場する。姉の「ブライアー」は強靭な身体とパワーを宿した騎士、妹の「リュート」は神秘的な力を手に入れた魂のみの存在という、姉妹の2つの魂が結合して生まれた戦士“キメラ”が主人公だ。
基本的には姉のブライアーのほうを操作し、そこに更に妹のリュートの力を組み合わせていくことで、多彩でハイスピードなアクションを楽しむことができる。
攻撃はほぼ□ボタンと△ボタンのみで、稀に妹の支援が入ると○ボタンが絡む程度。あとはジャンプなどを組み合わせるだけで、誰でも簡単にスタイリッシュなアクションが繰り出せるようになっている。
筆者が本作でまず真っ先に魅かれたのは、退廃的なグラフィック。世界の終末に相応しい、もの悲しく、それでいて背筋がぞわっとするようなホラーっぽさも融合した世界は非常に美しく、プレイしているだけで自然と惹き込まれてゆく。
時にはそこらへんに死体のようなものも転がっている場所もあり、そのひとつひとつがつい先ほどまで命があったような臨場感があり、ただ恐怖を演出するためのオブジェクトになっていないことに感心した。
マップはブライアーの進行方向に従って自動的にカメラが動くという強制スクロールとなっており、またマップはほぼ一本道なので、一切迷うことがないというのが、すぐ迷子になる方向音痴的には最高に良い。「行きたい場所はわかっているのにそこにたどり着く道を忘れてしまう」「どっちからきたのかすぐわからなくなり、気が付いたら同じ道を戻っていたことにしばらくしてから気が付く」というのは方向音痴あるあるだと思いたいが、本作ではそういったストレスを一切感じることなくプレイすることができた。
だからといってまったく探索要素がないのかというともちろんそんなことはなく、あくまで”ほぼ”なだけで、ちょっと寄り道をすると姉妹を強化するようなアイテムが手に入ったりすることもあった。
また、箱や樽などを剣で破壊することが可能で、破壊すると中から姉妹を強化するためのゲーム内貨幣をゲットできたりする。
マップをしばらく進むと敵がわらわらっと出てきて、バトルのパートへと入る(バトルフィールドが別に存在するわけではない)。バトル中は敵を全滅させるまで、決められた範囲外には出られなくなる。だがバトルそのものは前述の通り、簡単なボタンでさくさくっとコンボを出してカッコよくフィニッシュできるので安心だ。
また、今回は大剣のみでのプレイとなったが、ブライアーの武器は他にもハンマーやクロスボウ、手袋などといった様々な武器が用意されており、プレイスタイルにあわせて武器を切り替えながら遊んでいくようなことも可能になるという。もちろん妹のリュートも強化が可能だ。
ちなみに本作を触っていて「デビル メイ クライのようだな……」と感じていたところ、本作の開発はReply Game Studiosで行われているが、開発者は特に「デビル メイ クライ」シリーズが好きで、大きな影響を受けているとのことだ。
確かに誰でも簡単に出せるアクションの手触り感や、バトルごとにランクが表示される部分など、多くで「デビル メイ クライ」シリーズを彷彿させる場面が多い。それでいてやりこもうと思えばコンボをもっと追求していくこともできるし、妹の支援などをきっちりキメて勝つことができると最高に気持ち良い。
中にはカメラがかなり遠景まで引いて横スクロールになるような場面もあり、そういった場面では「ニーア」シリーズなどを思い出した。
本作ならではの要素もありつつ、影響を受けたところはオマージュを入れつつ、非常にいい塩梅に仕上がっているアクションゲームではないだろうか。キャラクターデザインは独特で、この手のダークホラーアクション系にしては珍しさがあるが、本作がただのオマージュ作品ではないのだという個性を主張しているようで、筆者はとても好感が持てた。
誰でもレバガチャだけでカッコよくバトルが出来て、アクション上級者は極めていける、そんなゲームバランスをきちんと追求したゲームは、遊んでいると爽快感に満たされるし、何よりもアクションが下手くそなアクション好きでも「自分上手い」と感じられる優越感にも浸れて、いいことづくめだ。実際は上手くなったわけではなく、上手くなったような気分にさせられているだけなのは承知だが、その「上手くなった気分にさせられる」だけのバランス感を出すのは、決して簡単なことではないはずだ。
なお、パッケージ版「Delux Edition」では、デジタルサウンドトラックやゲーム内アイテムの他、本作の美麗なアートが楽しめるデジタルアートブックもついてくるという。本作の美しさはここまでのスクリーンショットで既に伝わっているだろうとおもうが、実際にプレイするともちろん今回紹介したスクリーンショット以外にも美しい光景があちこちで見ることができる。前述の通り、時には凄惨な光景もあるのだが、それはそれで”凄みのある美しさ”である。
ぜひ日本での発売を楽しみに待っていてほしい。