カプコンが2023年発売を予定している「ストリートファイター6」のクローズドβテストのプレイレポートをお届けする。

目次
  1. まるで巨大なゲームセンター!BATTLE HUBはプレイヤー同士のコミュニケーションがアツい
  2. ドライブインパクトを軸に読み合いが回るこれまでになかった地上戦
  3. 奮迅脚や「スト2X」のような蹴り必殺技で変幻自在に立ち回れる“ケン”

「ストリートファイター6」(以下、「スト6」)は1991年に一大ブームを築いた「ストリートファイター2」から脈々と続く格闘ゲームの代名詞、「ストリートファイターシリーズ」最新作。本作はリュウや春麗といったキャラクターはもちろん、これまで登場したキャラクターの弟子など新世代が登場し、新しい戦いの物語が描かれる。

まるで巨大なゲームセンター!BATTLE HUBはプレイヤー同士のコミュニケーションがアツい

今回のクローズドβテスト(以下、CBT)では「BATTLE HUB」機能のみがプレイできた。CBTでは以下の機能が解放されている。

プレイできる機能
アバター作成/ランクマッチ/カジュアルマッチ/バトルハブマッチ/オープントーナメント/トレーニングモード/ハブグッズショップ/エクストリームバトル(日替わり)/ゲームセンター(日替わり)/チャレンジ(日替わり)/DJブース/フォトスポット

プレイアブルキャラクター
ルーク/ジェイミー/リュウ/春麗/ガイル/キンバリー/ジュリ/ケン

起動すると、まずはBATTLE HUB内を動き回るためのアバターを製作する。これがかなり細かく設定できて、非常に作りこみ甲斐があった。身長、肌の色などはもちろん、骨格すら調整できるのはなかなか面白く、BATTLE HUB内で見かけるほかの人のアバターも多種多様であった。これなら、好きなキャラクターも再現できそうだと感じ、今回は「ストリートファイター」で筆者が一番好きなバルログ(のつもり)を作ってみる。

</td>
バルログの「私の美しさを再現するなど神にさえ不可能」というセリフを身に染みて感じたキャラクリエイト。
時間も限られているので妥協してしまったが、もっと似せることもできそうだ。

筆者のクリエイト力ではここが限界だが、もっとこだわれば好きなキャラクターを再現したアバターも作れるだろう。全体を通して感じたことだが、本作は“対戦以外”にも重点をおいて作られており、アバタークリエイトからもプレイヤーを楽しませたいという想いを感じた。

後ろ姿は似てる……かもしれない。

アバタークリエイトを終えると、BATTLE HUBについて「エターニティ」という人物から案内を受ける。BATTLE HUBでは無数に設置されているアーケード筐体に座ることで対戦ができる基本機能のほかに、ゲーム内マネーを使ったショッピングや、少し変わった設定の筐体での対戦、ピックアップされた試合の観戦を楽しめる。

まるで巨大なゲームセンターを歩いている気分で非常にワクワクした。ブース内には写真撮影スポットもあり、自信作のアバターで写真を撮ってみるのも面白そうだ。

写真撮影スポットからはBATTLE HUBを一望できる。
SF映画のゲームセンターにいるようで、細部を見て回りたくなる作りこみだった。
ショッピングで服装を変更すると少しはバルログっぽい雰囲気に。
β版という事でまだ衣装は限られていたが、それでもなかなかの数があった。
実装時にはさらに自由なカスタマイズが楽しめるだろう。

今回のCBTではプレイヤー同士でのコミュニケーションを見かける機会も多かった。BATTLE HUBではチャット機能が充実しており、対戦後に挨拶をするプレイヤーやお互いのプレイを称賛する場面も見受けられた。エモートについても、Vサインやガッツポーズなどの通常のもの、キャラクターの必殺技を再現したものが別ボタンにセッティングでき、ワンボタンでエモートメニューを展開できるのでお手軽。アバター同士で必殺技をぶつけ合う姿も見かけた。

そのほかに、有名プレイヤー同士の対戦台の周りには観戦する人が押しかけるという実際のゲームセンターのような現象も。アバターでBATTLE HUB内を動ける今作ならではだ。

キャラクターの必殺技を模したエモートを使えばスピニングバードキックを使うバルログの完成だ。

実際に、筆者も対戦後にバングラディッシュから参加しているという海外プレイヤーから声をかけられ、対戦について意見交換をした。従来の格闘ゲームではプレイヤー同士の交流が計りにくいところがあったが、今回こうして実際にアバターを動かしチャットで会話ができるようになったことで格闘ゲームを遊ぶコミュニティ作りが簡単になるかもしれない。

格闘ゲームをゲームセンターで遊んできた人間としては、このゲーセン特有の対戦後のコミュニケーションがこういった形で楽しめるのは素晴らしい改革だと感じた。

チャットでのコミュニケーションの様子。送り先を個人か全体か選べるので、チャット蘭が混雑することもない。

その他に印象的だったのはGAME CENTERの存在だ。BATTLE HUBの一角にあるGAME CENTERではカプコンの名作ソフトが遊べる。格闘ゲーム以外にも、横スクロールアクションの「ファイナルファイト」などが稼働していた。最高スコアでほかのプレイヤーとの競争ができ、昔のゲームセンターにあったという“今月のハイスコア表”のようで楽しい。対戦の息抜きに遊ぶのもよし、友人を待つ間遊ぶのもよし。その日の稼働ゲームは何か覗きに行くのも、実際のゲームセンターを思わせてくれた。

キンバリーの師匠であるガイが登場するアーケード版「ファイナルファイト」。
キンバリーにも引き継がれているモーションがあるので、発売後にぜひゲームセンター機能で遊んでみてほしい。
ストリートファイター6でストリートファイター2(TURBO)ができた。
画面が昔のアーケードゲーム風になるという面白い仕様も。

総評として、BATTLE HUBはゲームセンターの空気感が程よく再現されたいい空間だなと感じた。名も知らぬ相手と対戦を通じて交流を深めるという“ゲーセンコミュニティ”がこういった形で楽しめるのが本作のBATTLE HUBの良いところだろう。

製品リリース後の混雑に対して設置されている筐体、特に特殊筐体の数が足りるかどうかが少し不安ではあるが、そこはサーバーの数など、何らかの形で対応されることだろう。少なくとも、今回のCBTではBATTLE HUBでは特に大きな不満はなく、細部までプレイヤーのための工夫を感じられて楽しく遊ばせてもらった。

ドライブインパクトを軸に読み合いが回るこれまでになかった地上戦

続いて今回のCBTの目玉、対戦について話していく。筆者は8キャラクター全て触ってみて、一番できることが多く面白いと感じたジェイミーをメインに据えて対戦した。

モーションのカッコよさに惚れて使ってみたジェイミー。
必殺技はヤンの、特殊技はユンの面影を感じた。

そのうえで、結論から言うと本作の対戦は“ドライブインパクト”(以下、インパクト)が対戦の軸だと強く感じた。本作の目玉システムである“ドライブゲージ”は過去作の要素を凝縮したようなシステム。その中で最もド派手なインパクトは、相手の攻撃に対して耐えながら攻撃できる「ストリートファイター4」のセービングに近い。

ガードされても距離が離れて仕切り直し。動作中に相手の攻撃を受け止めた場合は相手を膝崩れ状態にして最大コンボを入れられると非常に強力だ。更に画面端ではガードをしても壁にぶつかった衝撃で隙が生まれコンボを入れられるので、ガードすらしたくない。

画面端でインパクトをガードしてしまうと吹っ飛ばされて大きな隙が生まれる“クラッシュ”状態に。

対策としては、インパクトに対してインパクトをすることで逆に最大コンボが入る。個人的に、この“インパクトを見てからインパクトを打つ”が出来ないと、対戦において圧倒的に不利と感じた。決して遅くはないインパクトを常に警戒しながら行動するのは、初心者には厳しそうというのが現状の感想だ。逆にインパクトを返せるようになると、そこの駆け引きも含めて非常に面白く遊べるので、上達の指標としてインパクト返しを練習するのが大事かもしれない。

相手のインパクトを受け止めた場合はカウンターヒットでこちらのインパクトが当たりコンボチャンスとなる。

インパクトを返せるという前提があれば、本作の対戦はドライブゲージを使ってできることが多い上に、キャラクターの動きが前作よりもスピード感が上がっているように感じられた。前後移動自体はそこまで変わらないが、全体的に技のリーチが伸びているので、射程距離が触れ合うまでが早くなったようにも見受けられた。

過去作の課題であった置き技(※)からのハイリターンという点も、インパクトで解決できるのも面白いポイントだ。インパクトで受け止められるのは2発までという特性があるので、インパクトを気にせず技を打ちたければ多段技になり、多段技は隙が大きいので差し替えし(技の隙に技を当てるテクニック)を受けやすかったりと、インパクトを軸にしたこれまでと違う地上戦が展開され斬新さを感じた。

※相手の接近を阻止するために予め技を打つこと。シリーズ通して、置き技からのリターンが高いのは待ちの戦術が強くなりすぎるということで問題視する声があった。

今作から技の隙を攻撃するとパニッシュカウンターというカウンター扱いに。
普段つながらないコンボがつながるようになる。

技から技に派生するものや多段技が多いのも「スト6」の特徴だが、過去作で不満の声もあった“派生するorしない”の読み合いをインパクトで解決できるのも面白い。筆者も3回まで派生できるジェイミーの流水拳を盾にガンガン攻める中で、何回かインパクトによる割り込みからコンボを食らう事があった。その場合は1段目で止めてインパクトに対して様子見……という感じに読み合いが発生。お互いの攻防をもとにした心理戦ができるのも「スト6」ならではだ。

うっかりインパクトをカウンターでくらった筆者の体力(画面右側)の様子。
この減り方なので常にインパクトは警戒しなければあっさり逆転を許してしまう。

ドライブゲージ以外にも本作には“対戦改革”とでもいうべき仕様が見受けられた。まずは、技をガードさせたときの有利フレーム。これまでのシリーズでは弱攻撃はガードさせた側が有利フレームで、そこから攻めを展開するというのは半ば常識であったが、本作ではほとんどの技をガードさせても有利フレームが取れない仕様になっている。

トレーニングモードに実装されたフレームメーターの画像。
弱攻撃をガードさせた状態の写真だが、硬直差が-1になっているのがわかる。

では、攻めを展開できないのかというとそうではなく、弱攻撃を弱攻撃でキャンセルする連打キャンセルを使うことで相手の技をつぶすことができる。

筆者の個人的な考えにはなるが、おそらく“当て投げ”という弱攻撃で有利を取って投げるという行動にリスクを追加する目的があるように感じた。前作まで、当て投げはこちらも投げボタンを押す以外に返す手段がなかったが、「スト6」からは弱攻撃で暴れるという新しい読みあいが生まれている。ドライブパリィ、インパクトにも投げは一方的に勝てるので、“投げておけば安定”という事態を回避するためこういった仕様が追加されたのだろう。念入りな調整がうかがえる。

代わりに、ドライブゲージを3本消費して発動するドライブラッシュ後の技はフレームが変化し、大幅な有利に変わる。これはヒット時のフレームも増えるので、大抵のキャラクターの中段攻撃からコンボに行ける。

これまでになかった、投げとは異なる崩し方として、これは非常に好感触だった。ガードされても有利が取れるので、ドライブゲージ3本とコストが高めではあるがローリスクでハイリターンを狙えて、これまでのストリートファイターシリーズにない攻めが展開できる面白いポイントだった。

ジェイミーを例に出すと中段をガードでジェイミー側+1フレーム。
ヒット時は小技からユンと似た弱パンチ→弱キック→中パンチのターゲットコンボがつながり、
3割ほどのダメージが出る。

対戦を盛り上げてくれる実況システムも今回からの新要素だ。実況・解説をそれぞれ選択でき、今回筆者はアール氏を選択してみた。対戦中で起きてることに的確な実況が行われており、実況としてのクオリティはかなり高かった。「青写真」「行ってみましょーッ!」などアール氏の名言もきちんと聞けて、1ファンとして思わずニヤついてしまうほど出来が良い。

さらに、この実況モードには応援モードという、プレイヤーを応援してくれるシステムがある。「いいよぉー!」「そういうことぉッ!」「今のは忘れて切り替えていこう!」など、アール氏とチームを組んで大会に出ているような感覚を味わえる。解説陣も、「やるではないか!」と基本ほめてくれるデーモン閣下や、格闘ゲーマーの間で“チェンおじ”の愛称で親しまれているジェームズ・チェン氏と豪華な顔ぶれだ。解説も実況もオンにした場合は掛け合いをしながら試合を盛り上げてくれた。

通常の対戦とは違う特殊ルールで対戦を行うモードもあった。今回のCBTでは日替わりでルールが変わっており、筆者がプレイした日のルールは一定時間ごとに走ってくる牛に対処しながら、上の体力バーを相手側に押し込んだ方が勝ちというゲームだ。

そもそもダメージで相手側に体力バーを押し込むというルールが面白く、牛のダメージが尋常じゃなかったので、足音が聞こえたときの緊張感も良かった。激しい攻防の中でも、牛が来たらお互い必死にジャンプで避けるといった現象も起きて、パーティーゲーム感覚で遊べるこのモードはガチンコ勝負とは違った面白さがあった。

体力4割を一撃で吹っ飛ばし、ガードできない最強の飛び道具・“牛”

対戦の総評としては、とにかくドライブインパクトを含め、これまで対戦の中で問題視されていたことを解決するため新しい取り組みが行われているな、という印象だった。インパクトもそうだが、中でも一番面白く感じたのは弱攻撃のフレーム改変で、打撃と投げを絡めた新しい攻防に注目したい。かなり大きな改変なので過去作を経験している人も新鮮に遊ぶことができるだろう。ドライブパリィやドライブリバーサルなど、対戦であまり見かけなかったシステムにもまだ研究の余地がありそうだ。

BATTLE HUBでは再戦が制限なくノータイムで出来たので連戦がしやすいのも好印象だった。

奮迅脚や「スト2X」のような蹴り必殺技で変幻自在に立ち回れる“ケン”

今回のCBTで使用できるという事で、TGS2022の記事で紹介できなかったケンを対戦で使ってみてのプレイフィールを紹介していく。

「スト6」のケンは、ある事件により組織犯罪の首謀者の嫌疑をかけられ、逃亡者生活を送っている。そのためか、明るい性格のケンにところどころ陰を感じる表情も。家族への愛情などで殺意の波動※に目覚めなかったケンだが、今回の逃亡生活であるいは……!?

※リュウやケンが使う暗殺術で使用する気が、殺意などの負の感情に飲みこまれたもの。ケンは家族がいるため、殺意の波動に目覚めづらかった。

基本的にいつもの飄々としたケンだが、殺気を感じる表情を見せることも。

本作のケンを触ってみて、前作、前々作よりさらできることが増え、オフェンシブに立ち回れる印象だ。特に、今回から追加された新技・“龍尾脚”が強力で、強版で出すと画面半分ほど前進するうえ、ガードで有利を取ることができる。

本作は常にドライブインパクトを警戒しなければいけない関係上、さらに龍尾脚まで警戒するのは難しく、対面しても使ってみても非常に強力な接近手段だと感じた。ドライブインパクトでとられる危険はあるが、このゲームでは希少な有利を取れる技なので、ほかの択とも併せて使えば強力な武器になりそうだ。

弟子である「ストリートファイター3」のショーンと同名?の技(ショーンはカタカナ)
しかし、モーションは弟子のそれとは異なる。

もう一つの新技・“迅雷脚”は中段、下段、上段に派生できる技だ。ガードさせて揺さぶりをかけることはもちろん、先述した龍尾脚を打たせまいと小技で暴れる相手に対して使うのも有効。ヒットしているかどうかを確認して、連続で当たる上段派生を出せるのも強みだ。

3種類の派生+派生しないという選択肢を迫れる迅雷脚。ここまで多様な蹴り必殺技は「スト2X」以来久々か。

その他の技は従来のシリーズでケンが使用した技が登場。おなじみのターゲットコンボ、顎撥二連(中パンチ→強パンチ)はコンボに組みこみやすく、しゃがみ弱パンチからつながるのでケンは小技から高いダメージが出せた。「ストリートファイターV」に“Vスキル”として登場した、素早いダッシュから技へ派生できる奮迅脚も再登場。前作は踏み込み前蹴りにしか派生できなかったが、今作はおなじみの中段“紫電カカト落とし”や新アクション“急停止”が派生技として追加された。通常技から奮迅脚へつなぎ急停止して投げなど、今までとは違った奇襲ができる。奮迅脚中は必殺技が強化されるという性質もあり、本作のケンはかなり遊びの幅が広そうな印象を受けた。

奮迅脚はダッシュ中に必殺技入力で強化必殺技が出る特性も。
上の龍尾脚と比べて炎をまとっているのがわかる。

疾風迅雷脚や上に飛んでいくEX竜巻旋風脚など、過去作の技が揃っており思わず中足迅雷(ストリートファイター3の基本コンボ)を狙いたくなってしまう懐かしさもある。動きやコンボの幅が広いキャラクターなので、リュウより動きの幅が広いハイスタンダートキャラクターというポジションは変わらず遊びやすいキャラクターのようだ。

知らない間に逃亡者になっていたケン。彼に一体何があったのか、非常に気になるところだ。

今回のCBTではBATTLE HUBのみのプレイだったが、まだ明らかになっていない2つのモードがある。今後、それらに大変期待が持てる満足度だった。対戦をがっつり遊んでみて、「スト6」は全体的にこれまでシリーズの課題に真っ向から向き合った作品だと感じた。

アバターなどについても対戦以外にも楽しく遊べる要素を作ろうという試みの1つだろう。今後の発表などにも注目しつつ、2023年の発売を今から楽しみに待ちたいと思う。

ストリートファイター6

カプコン

PS5パッケージ

  • 発売日:2023年6月2日
  • 15歳以上対象
ストリートファイター6

ストリートファイター6

カプコン

PS4パッケージ

  • 発売日:2023年6月2日
  • 15歳以上対象
ストリートファイター6

ストリートファイター6

カプコン

XboxSXダウンロード

  • 発売日:2023年6月2日
  • 15歳以上対象

ストリートファイター6

カプコン

PCダウンロード

  • 発売日:2023年6月2日
  • 15歳以上対象
  • Steam

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー

関連ワード
  • プレイレポート