カプコンは、1月21日にTFTホールにて「ストリートファイターV チャンピオンエディション」を用いた公式チームリーグ戦の決勝大会である「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2022 グランドファイナル」を開催した。

今回のグランドファイナルは8月から続く「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2022」(以下、SFL2022)の優勝を決める最終戦。全8チームが出場する熾烈なリーグを勝ち抜いた「Good 8 Squad(G8S)」「Saishunkan Sol 熊本(SS熊本)」「名古屋OJA BODY STAR Mildom(OJA)」の3チームが優勝をかけて戦う。

会場の様子。写真で見る以上に実際は広く、当日はかなりの人数が入ったが少し余裕があるほどだった。

グランドファイナルではプレイオフを1位通過したSS熊本と2位通過したOJAが戦い、勝ったチームが本節1位通過のG8Sと戦う。優勝したチームは賞金500万円と、世界から強豪チームが最強の座をかけて集う「ストリートファイターリーグ: ワールドチャンピオンシップ 2022」への出場権を獲得する。

試合形式は、先鋒・中堅・大将戦を行い、勝利ポイントを70ポイント集めることで勝利となる。先鋒、中堅戦が10ポイント、大将戦は20ポイントが入る。出場する選手の決定は「ホーム&アウェイ形式」に基づき、アウェイ側があらかじめ提示した選手に対してホーム側は相談して出場する選手を決定できる。ホームサイドとアウェイサイドは先鋒から大将まで一巡するごとに交代、対戦相手を見てから使用キャラクターの相性などを加味して選手を決定できるホーム側が勝負のカギを握るルールだ。

はたしてどのチームが優勝の座を手にするのか、早速大会の様子をお届けしていこう。

グランドファイナル開幕!準決勝「Saishunkan Sol 熊本」VS「名古屋OJA BODY STAR Mildom」

試合の前に、会場が暗くなりオープニングムービーが流れた。各リーダーがチームマークの付いた旗を手にしたもので、これがまたカッコいい。

オープニングムービー後は、当日の実況・解説を務めるアールさん、大和周平さん、ハメコ。さんの三人と、特別ゲストとして参加する「広島 TEAM iXA」のリーダー・ストーム久保選手が登壇した。

久保さんは広島iXAのユニフォームではなくタキシード姿で登場。ビシッと決まっている。

オープニングが終了し、いよいよ一戦目が開始された。まずはSS熊本、OJAの選手たちが入場する。実際に選手が目の前のステージに上がっていく様子は、ファンにはたまらない“カッコよさ”が楽しめるので現地で観戦をしたことが無い人はぜひ一度試しに現地観戦をしてみてほしい。

第一巡目はプレイオフを2位で通過したSS熊本がホーム、3位通過のOJAがアウェイでのスタートとなる。アウェイ側・OJAのオーダーは先鋒をウメハラ選手のガイル、大将を安定感のあるふ~ど選手のポイズンが務める布陣。対するSS熊本からはガイルに対して有利に戦えるダルシムを使うYHC-餅選手が先鋒で出た。

ガイルの強力な飛び道具、ソニックブームが機能しづらいこのマッチアップだったが、特殊技・スピニングバックナックルをはじめとした強攻撃を中心に立ち回り、ガイルがリターン差でダルシムを押し込んでいく。結果はまさかのストレート勝利という形に。アウェイ側かつ不利キャラクターとの闘いだったが、まさかの初戦勝利を収めた。

オフ大会という事で、選手たちが応援や相談する様子を生で見れるのは非常に嬉しいポイント。

中堅戦ではあきら選手のキャミィに対し、ネモ選手がギルを選択し出場。ネモ選手は本戦などではユリアンを使う印象があったが、キャミィの高速かつ強力な接近手段、キャノンストライクに対して、ギルのVスキル2・ブロッキングで受け止め反撃する狙いだろう。

キャミィがうかつに“キャノンストライク”が撃てない中、ギルの高火力を生かしたネモ選手が先制。しかし、地上戦から画面端に追い込みスピーディーな攻防を制したあきら選手が立て続けに連勝、中堅戦もアウェイ側が取るという異色の展開になった。

大将戦はSS熊本からは若きエース、Shuto選手がチームを背負って出陣。しかし、ふ~ど選手の対策が随所でShuto選手を苦しめた。特にShuto選手が操るユリアンのEXチャリオットタックルを弱攻撃で止める、ユリアンのVトリガー1・エイジスリフレクターにあえて攻撃を振り、相撃ちを取ってからクリティカルアーツ(以下、CA)につなぐコンボなど、ふ~ど選手らしいファインプレイも飛び出した。そのまま流れに乗ったふ~ど選手が立て続けに勝利を収め、大将戦を制した。

試合間には必ずチームメンバーから意見を積極的に聴いていたふ~ど選手。

結果的にアウェイ側が3連勝。良い流れのまま有利なホーム側を迎える。アウェイ側のオーダーは先鋒ネモ選手のユリアン、中堅にひぐち選手のガイル、そして大将は再びShuto選手のユリアンが務める。全体的にキャラクターパワーが高めで苦手キャラクターが少ない編成に思われた。

それを受けて一戦目、ホーム側OJAからはふ~ど選手が出陣。先ほどユリアンに勝った勢いのままにネモ選手にも挑んでいく。

しかし、ここでネモ選手が先ほどのShuto選手VSふ~ど選手にヒントを得て、有効だったユリアンの特殊技・クォーラルキックを活用。ガードされると隙のある技だが、絶妙な距離管理で先端を当てて隙を軽減していた。これを受けてふ~ど選手も歩いてガードを織り交ぜる事でクォーラルキックの先端当てをやりづらくして対応、フルセットフルラウンドの接戦へ。最終的にはユリアン戦の攻略が光ったふ~ど選手が勝利。しかし、Shuto選手の見せた活路をチームリーダーのネモ選手が活かして戦う様子は、チーム戦の良いところを凝縮したような展開で非常にアツかった。

同じユリアンを使うShuto選手と作戦を立てるネモ選手。
この写真はお手洗いから合流して何事もなかったように拍手していたウメハラ選手。
お茶目な人である。

続く中堅戦はひぐち選手のガイルVSあきら選手のキャミィ。若手選手同士がこの大舞台で激突する。出鼻からスピード感満載のあきら選手のキャミィが押しきるかと思いきや、ひぐち選手のここ一番でのEXサマーソルトキックによる無敵切り返しが刺さり、勝負はフルセットまでもつれたが最終的にひぐち選手が勝利。勝利条件の70ポイントへのリーチを阻止し、エースのShuto選手につないだ。

そんなバトンを引き継いだShuto選手に立ちはだかるのはウメハラ選手のガイル。本節終了時点で12戦10勝と好調のウメハラ選手。Shuto選手は何とか勝ってチームに勝利のチャンスをつなぎたいところ。

チームの期待を一身に背負ったShuto選手はユリアンのエイジスリフレクターのヒット発動から流れを作っていく。特にウメハラ選手が撃つEXソニックブームのタイミングにジャストでエイジスリフレクターを発動、EXソニックブームを跳ね返し、ダウンを取ってから果敢に攻めきったラウンドには会場がどよめいた。

以前、「対戦中のアドバイスはあまり聞きたくない」と話していたウメハラ選手が
チームメイトに自ら話を聞きに行く姿もこの試合では印象的だった。

勢いそのままに、パーフェクトのラウンドも含め3-0でShuto選手が勝利した。この時点で30-50というポイントで迎える3巡目、ここからSS熊本の逆転はあるのか?

そんな3巡目、再びサイドチェンジが行われSS熊本がホームとなる。アウェイ側OJAのオーダーは1巡目と同じウメハラ選手、あきら選手、ふ~ど選手の順番。SS熊本も再び先鋒戦でYHC-餅選手を起用。1巡目のリベンジマッチとなる。

1巡目では強攻撃を使ったリターン重視の立ち回りで優勢に進めたウメハラ選手だったが、YHC-餅選手もそれに対応しズームパンチや立ち強キックで対抗。印象的だったのは対空の成功率で、1巡目ではウメハラ選手らしからぬリスク度外視の猛攻に気圧され対空の出が悪かった印象だが、今回はYHC-餅選手本来の対空技選択が活かせていた。

YHC-餅選手が冷静に試合を最後まで運びきり結果は2-1でウメハラ選手に勝利。一歩逆転へ歩みを進める。

試合後、チームメイトとハイタッチを交わすYHC-餅選手。

続く中堅戦は2巡目と同じあきら選手VSひぐち選手。ウメハラ選手とYHC-餅選手同様、攻めるあきら選手に徐々に対応が追いつき始めるひぐち選手。試合はもつれてフルセットフルラウンドに及ぶが、最後にこれまで驚異的なヒット率を誇ったひぐち選手のEXサマーソルトキックを一点読みしたあきら選手が逆転勝利を収めた。

熾烈な戦いを制し、あきら選手も渾身のガッツポーズをチームメイトに見せた。

この場面はあきら選手が体力的に追い詰められており、ガンガン攻めて追いつきたいと思うところ。そこでサマーソルトキックを読み切り“ガード”という選択肢を取るあきら選手の胆力には思わず舌を巻いた。

空中軌道変化技が強いキャミィに対して対空率88%というのも驚異的な数字である。

この試合の結果を受けてポイントは40-60。大将戦は20ポイントなのでOJAが勝てばそのまま勝利、SS熊本が勝てば追いつき、勝負は延長戦の4巡目(先鋒戦のみ)に持ち越される。ここでも立ち上がるのはやはりエース・Shuto選手。「この後の延長戦も俺が出ると思いますが、俺はこのチームのエースなので、ここで勝ってチームを救おうと思います」と強気なコメント。ふ~ど選手のポイズンに立ち向かっていく。

3-1というスコアで一度勝利しているふ~ど選手。しかしチームを背負い、観客席の筆者にまでその気迫が伝わるShuto選手のコンディションは最高の一言に尽きる仕上がりっぷりで、二つ名“修羅の子”を体現したような攻めっ気でふ~ど選手に迫る。

ふ~ど選手も持ち前の対策と状況判断の速さでShuto選手をいなし、試合はフルセットフルランドまでもつれた。最後は大胆な攻めが功を奏し、エイジスリフレクターからCAというユリアンの強みを生かしShuto選手が勝ち星を挙げた。

これで得点は60-60。4巡目先鋒戦ですべてが決定する。アウェイ側がSS熊本になるも、事前の宣言通りShuto選手が出陣。ホーム側OJAはかなり長い相談の末、出てきたのはウメハラ選手。2巡目大将戦ではShuto選手が勝利している組み合わせだが、今回はどうなるか。10歳以上離れた“生ける伝説”ウメハラ選手VS新進気鋭の“修羅の子”Shuto選手という構図も、格ゲープレイヤーの心を揺らすものがある。

最後の戦いに誰が行くか相談しているときの様子。
なぜ、あきら選手が四つん這いで会議しているかは明らかになっていない。

ふ~ど選手との対戦でエンジンが温まった状態のShuto選手が勢いのまま先制。しかしそこは百戦錬磨のウメハラ選手、十八番とするリバーサル歩き投げやユリアンのEXバイオレンスニードロップに対して歩きで下を潜りターゲットコンボからCAでリーサルという好プレイで流れを取り戻していく。

それでもShuto選手が流れに乗っており、起き攻めでデンジャラスヘッドバッドによる投げ狩りなど、強気な選択肢で流れを取らせない。最後まで強気を崩さなかったShuto選手の勢いを止めきれず、2-0でShuto選手が勝利した。0-50からの大逆転、まさにエースという活躍を見せたShuto選手が非常に輝いた準決勝であった。

「ッしゃあ!」というShuto選手渾身の雄たけびにはとても気持ちがこもっていた。
若きエースの活躍をハイタッチで祝福するSS熊本のメンバー。

試合後のアールさんのインタビューにも「興奮しすぎて質問が解らなかった」と語るShuto選手。元々強気な印象があったShuto選手だったが、本節後半から今回の準決勝にかけて、ただ強気なだけでなくエースとしての責任感を背負った“応援したくなる選手”の風格があった。

「ハメコ。'sチョイス!」特別編では「ストリートファイター6」の情報をちょい見せ!

ここで準決勝が終了。休憩の前に、おなじみ「ハメコ。'sチョイス!」が始まった。今回の「ハメコ。'sチョイス!」では6月2日発売予定の「ストリートファイター6」について、プロデューサー松本脩平氏とディレクター中山貴之氏を招いて深堀りしていく。「ストリートファイター6」の新キャラクターなどを中心に、対戦動画が紹介された。

なかでもJPは時間差で発動する設置型飛び道具を中心に立ち回る今までの「ストリートファイター」シリーズには居なかったタイプのキャラクターで、非常に興味深かった。そのほかにもダルシムのズームパンチからドライブラッシュ、ノーマルで2発飛ぶディージェイのエアスラッシャー、ストーム久保選手が配信内で言及していたニーショットも健在と見所満載であった。

「ハメコ。'sチョイス!」が終わると30分間の休憩が挟まれた。そこで、少し箸休め的に会場で行われていた催し物などを紹介していく。まず、開戦時まで行われていた「ストリートファイター6」の試遊会。内容的にはGamerでもご紹介していた第2回クローズドβテストと内容は一緒だが、会場に来れば誰でも参加可能ということでβテストに当選できなかった人たちもプレイできる機会であり、盛り上がりを見せていた。

筆者もβテストぶりにプレイ。ご一緒した人と本作のプレイフィールについて意見交換を楽しんだ。

そのほかレッドブルを専用カップで飲めるバーや、グランドファイナルに出場している選手たちのパネル、「ポッキー」 と「ストリートファイターII」がコラボした「Pocky K.O.」が遊べるアーケード筐体にカプコンストアのグッズ販売と、大会以外でも見所が盛りだくさんだった。

グランドファイナル決勝戦は「Good 8 Squad」VS「Saishunkan Sol 熊本」!

休憩が終わると、いよいよ賞金500万円をかけたグランドファイナル決勝戦が始まった。先ほど熾烈な戦いを終えたばかりのSS熊本を迎え撃つのは、リーダーガチくん選手を筆頭に、個性派プレイヤー揃いのグッパチことG8S。下馬評も良好な優勝補候補筆頭な本チームだが、エンジンが温まり切っているSS熊本とどのような試合を繰り広げるのか、早速見ていこう。

1巡目は本戦1位通過のG8Sがアドバンテージとしてホーム側となる。アウェイ側SS熊本のオーダーはYHC-餅選手、ひぐち選手、Shuto選手の3名。対してG8Sは先鋒・YHC-餅選手の対戦相手としてリーダーガチくん選手が対戦台に向かう。

基本的には相手に近寄らせないことで威力を発揮するダルシムというキャラクターに対し、解答が比較的多めなガチくん選手操るラシードというキャラクター。ラシード側が有利とされる組み合わせだが、ヨガテレポートを筆頭に画面端からの脱出手段も多く持つダルシム。しかもそれを操るのはダルシム歴数十年という“島根の仙人”YHC-餅選手なわけだから一筋縄ではいかない。試合間でShuto選手も「何も言う事はない!」と太鼓判を押す絶好調なYHC-餅選手を追い詰めつつも倒し切るには至らず、蓋を開けてみれば2-1でYHC-餅選手が勝利した。

「なにも言う事はない!」と力強くYHC-餅選手を送り出すShuto選手。

続く中堅戦はひぐち選手に対しバイソンを操るぷげら選手が出場。ガイルのソニックブームをVスキルのKKBですり抜けることができるバイソンが有利なマッチアップ。飛び道具を撃ちづらいため必然的に殴り合いの展開になるが、そこにバイソン側がダッシュストレートや立ち強パンチなどをかみ合わせていく形になる。

プレイヤー席まで行ってアドバイスをするリーダー・ガチくん選手。

試合の方ではぷげら選手が匠の地上戦を展開。立ち強パンチのヒット率やクラッシュカウンター率が高く、キャラクターの特性を生かしてぷげら選手が2-0での勝利を収めた。

10-10で迎える大将戦。ここで勝つと精神的にも余裕が生まれる1戦だが、ここで絶好調のShuto選手のユリアンにカワノ選手が隠し玉のルークで対抗する。ガチくん選手がオーダーを発表した時にはこの日一番の驚きの声が上がった。

これまで対ルーク戦の戦績は悪くないShuto選手。

ルシアやバルログなど、意外な隠し玉を意外な場面で披露するカワノ選手だが、まさかこの大一番でルークを選択してくるとは思わなかった。「ストリートファイターV」の現環境で最有力キャラクターとも言われるルークは使い手も多く対策もされやすい。サブキャラクターとして使うには難易度も高く、観戦者の間を一抹の不安がよぎった。

だが、そんな不安をよそに持ち前の地上牽制のセンス、高精度のヒット確認で実力を見せつけるカワノ選手。コンボミスなどもありShuto選手が1本目こそとったが、そのあとは続けざまに3連勝。エイジスリフレクターをEXライジングアッパーの無敵時間ですり抜けつつ殴ったり、暗転演出の入らない2枚目のエイジスリフレクターに対して13、14フレームほどの超高速反応でEXライジングアッパーによる確定反撃をとったりといったスーパープレイも飛び出した。何を使わせても強い器用さと、圧倒的攻略と練習量に裏付けられた確かな実力が垣間見える試合内容だった。

予想だにしなかったEXライジングアッパーでの“エイジス越え”。
独特な攻略も持ち味のカワノ選手ならではのプレイだ。

ホーム・アウェイが入れ替わり30-10で迎える2巡目。アウェイ側G8Sのオーダーはどぐら選手、ガチくん選手、ぷげら選手。ホーム側のSS熊本はどぐら選手のベガに対してYHC-餅選手のダルシムをぶつける。どぐら選手はそんなSS熊本の采配に対し、「ダルシム、出しちゃっていいんですね? I'm ready.」とアレックスの使用を思わせる(※)不敵なコメントをした。YHC-餅選手もこれには「ベガ戦はやってきました。ベガ戦“は”」と苦笑い。波乱の予感を漂わせながら試合が始まった。

※アレックスはダルシムに対してかなり有利とする説があり、どぐら選手は自身の配信や動画で度々アレックスを使用していた。そんなアレックスはVスキル2を使用した時に「I'm ready」というセリフを言う。どぐら選手はこのセリフを言う事でアレックスの使用を匂わせたというわけだ。

不敵な笑みを浮かべながらの「I'm ready」は観客を大いに沸かせた。

アレックスを匂わせたどぐら選手だが、ルール上負けた時のみキャラクターの変更が可能なため、まずはベガでYHC-餅選手と戦う。1戦目をYHC-餅選手がとり、キャラクター選択画面へ戻るどぐら選手。しかし、どぐら選手はベガでの続行を決意した。ダルシムの攻めの基点でもあるドリルキックに対してかなりの割合で立ち弱パンチ迎撃を決めるどぐら選手。対空を苦手とする印象があったどぐら選手だが、対空成功率80%とかなりの撃墜率を見せ、Vトリガー2サイコチャージの爆発に対するYHC-餅選手のVリバーサルを読み切り、辛くも2-1で勝利を収めた。

続く中堅戦はガチくん選手のラシードに対してひぐち選手がガイルで登場。飛び道具に対しての反応の良さに定評のあるガチくん選手だが、絶妙な距離管理でソニックブームを撃っていくひぐち選手。

フルセットフルラウンドまでもつれた中堅戦、途中でガチくん選手が見せていたVスキル1フロント・フリップによる画面端脱出を一点読み。最後はバックジャンプからジャンプ弱キックでラシードの着地を取ることに成功し、ターゲットコンボ、CAとつなぎ勝利、20ポイント目をチームにささげた。

G8Sが勝つとリーチがかかる大将戦、チームの命運を左右する大事な局面はもちろん今日一番ノってるエース・Shuto選手がぷげら選手のバイソンに挑む。ぷげら選手の代名詞である“対空スクリュースマッシュ”の対策としてEXバイオレンスニードロップを多用(※)するShuto選手。

※ぷげら選手はスクリュースマッシュで対空するのが得意なプレイヤー。スクリュースマッシュは発生が遅く、早めの反応を必要とする。そこでShuto選手は初動が垂直ジャンプに似ているEXバイオレンスニードロップで的を絞りづらくしつつ接近を試みていた。

しかしぷげら選手はEXバイオレンスニードロップには釣られず、要所のジャンプにはしっかりスクリュースマッシュを決めていた。しかし、Shuto選手のEXバイオレンスニードロップの撃ち方が秀逸で、ちょうど相手の足元に当たる鋭い角度で撃っており、EXバイオレンスニードロップによる接近はきっちり成功させていた。

フルセットフルラウンドにまでもつれる試合だったが、最後はバイソンの地上戦の強さを生かしてぷげら選手が勝利。60-20と、あと1勝でG8Sが優勝となる状況を作った。しかも次の1巡はG8Sがホーム側。値千金の勝利をぷげら選手がもぎ取った。

3巡目、一回負けたら即敗北とあとがない上にアウェイ側のSS熊本。オーダーはひぐち選手のガイル、ネモ選手のユリアン、Shuto選手のユリアンというオーダーで、Shuto選手まで繋げるという気合を感じる布陣。逆に1勝でもすれば優勝となるG8Sはどぐら選手を先鋒として送り出した。

2021年のグランドファイナルで、同じ展開から逆転を許してしまったG8S。今年こそは去年の雪辱を払拭したいというチームの期待を一身に背負うどぐら選手。その顔には緊張の色が濃くうかがえた。追い詰められている側のひぐち選手だったが、意外にもガイルで押せ押せの攻めを展開。ソニックブームをベガのVスキル1で吸収させてのソニックハリケーンなど、随所で光るプレイも魅せ勝利、リーダー・ネモ選手へバトンをつないだ。

中堅戦はぷげら選手が出場。実はぷげら選手、2021年度に全く同じ3巡目の中堅戦で、当時v6プラス FAV Rohto Z!チームに所属していたりゅうせい選手のユリアンに敗北していた。今年も同じ点数、そして同じキャラクターに挑むという運命的な展開に。試合前のコメントでぷげら選手は「去年と同じこの状況、過去の自分を越えたい。」と一言一言をかみしめるように話しており、この一戦へ並々ならぬ思いをのぞかせた。

そんな運命を左右する中堅戦が開始。お互い気持ちをぶつけあうような試合は筆舌に尽くしがたい緊張感を生み出しており、観客席も固唾をのんで見守っていた。序盤は地上戦で若干勝ったぷげら選手が先制、しかしネモ選手はここでもShuto選手との試合からヒントを得てEXバイオレンスニードロップを出しつつ、持ち前の分析能力で立ち中パンチをかみ合わせはじめラウンドを取り返す。勝負はフルセットまでもつれ込んだ。

そんな中堅戦最終セット、ネモ選手が先にラウンドを取るが、ここ一番でぷげら選手がVトリガー1クレイジーラッシュから中段技・バッファロープレッシャーをヒットさせダブルアップに成功、優勝に王手をかける。最後はしゃがみ中パンチを丁寧に差し込み、ぷげら選手が勝利、去年の雪辱を晴らすと同時に、G8Sを優勝へと導いた。

試合が終わると、そのまま表彰式へ。ガチくん選手は試合後のコメントで感極まってしまい男泣き。見ていた筆者も目頭が熱くなるほど気持ちを全開にし、その後チームメイトに向かって深々と頭を下げ「本当にありがとう」と感謝の意を述べた。ぷげら選手はそんなリーダーに、「優勝して言いたかったことがある。つね(ガチくん選手の愛称)、お前リーダー頑張ったな」とここまでチームを引っ張ったリーダーをねぎらった。

惜しくも敗れてしまったSS熊本のリーダー・ネモ選手は最後勝ちきれなかったことに対しチームに申し訳ないと震える声で語った。ネモ選手は普段感情を表に出す印象はなく、ここまで気持ちをにじませた表情は見た者全ての心に印象深く残ったことだと思う。それほどチームで優勝するという決意でリーダーを務めていたのだと筆者は思う。

各チームのコメントが終わると太陽ホールディングス執行委員・吉野由紀子氏より賞金の授与、カプコンのCOO辻本春弘氏よりトロフィーの授与が行われた。同時に、優勝したG8Sには「ストリートファイターリーグ: ワールドチャンピオンシップ 2022」への出場権も手渡された。

試合後のインタビューをお届け。「ストリートファイター6」での活動についてのコメントも!

試合後、G8Sメンバー4人へのインタビューも行われた。

――優勝した感想をお願いします。

ガチくん選手:もう本当に優勝できてうれしいですね。どぐらさんなんかは特に練習付き合ってもらった時間が長いので本当にご苦労様でしたといった感じです。ただ、「ストリートファイターリーグ: ワールドチャンピオンシップ 2022」までもうちょっとだけ続くので、それが終わったらのんびりしたいですね(笑)。

カワノ選手:疲れもありますが、ようやく一息つける感じです。ちゃんと努力が報われた形になったのでまぁよしといった感じです。

ぷげら選手:今年は去年よりみんな頑張ったなって思っていて。今年は勝つぞという気概が自分含めてあって、どぐらさんはチームに合流した時驚いたと思うんですが合わせてくれて、4人でちゃんと出番を出し合えて、それが実った形になりました。格ゲーは個人戦の方が好きなんですが、やっぱりSFLだけは別で、いいものだなって思いました。

どぐら選手:今年はG8Sに入ることになって、正直なところSFVへの執着はなくて、なんというか余生のような感じだったのですが、ドラフトでG8Sに入ったら彼らのやる気がすごくて。去年惜しいところで負けてしまったというのもあると思うのですが、入ったときにはこいつらを勝たせたいという思いがありました。どれだけ手伝えたかはわからないですが優勝までこぎつけられて、個人的にも優勝は久しぶりだったのでじわぁッとなりました。

――G8Sのリーグ戦を通してうれしかったことなどはありますか?

どぐら選手:いままでCPTを行脚するのがメインだったのですが、コロナ禍後はSFLが中心になり体もかなり楽になりましたし、格闘ゲームを始めてみる層にも届いたようで、SFLという大会がすごくいい大会だと思いますしそこで優勝できたので、言う事なしですね。

ぷげら選手:年々見てくれる人が増えていて、今年はキャラバンなどのイベントもあって応援が直接とどくようになってきました。元々ゲームセンターでゲームしていただけなので、ファンがいるという事に実感がつかみづらいところがあったのですが、応援してもらえてることを感じられて、すごくうれしかったですし、大会に勝てた喜びが上乗せされると思いました。

カワノ選手:うれしかったことですか……。自分がうまくなっていく感覚は楽しかったですね。ルークを使いたての時は誰とやっても勝てなったのですが、徐々に上手くなっていく過程は楽しかったと思います。

ガチくん選手:優勝ももちろんうれしかったんですが、カワノがルークで勝ったときにすごい喜んでて、一年通してみることはなかった喜び方だったので、あれが見れて良かったです。表に感情を出す奴じゃないんでそれが見れて良かったです。

――今回、オフラインでの開催でしたがいかがでしたか?

ガチくん選手:なんだかんだで僕やどぐらさん、ぷげらはCPTで慣れていたんですが、カワノは慣れていなくて。ただ今日に関して言えば去年負けこそしましたがこういう環境の経験は持てていたので、会場の雰囲気に飲まれずにできたと思います。応援が直に来るのでうれしいですね。

カワノ選手:普段と変わった感じはなかったんですが、一つ面白かったのがコンボをミスした時に会場から「あ~ッ!」と声が上がるのが面白かったです。

ぷげら選手:試合が始まるとあまり周りの音が聞こえなくなるんですが、ふと試合が終わったときに見える光景が良かったですね。

どぐら選手:懐かしいなという感じです。EVOや闘劇のような感じだったので、やっと有観客の大会が帰ってきたなという感じです。今後もまたやっていけたら嬉しいと思います。

――SFL、カプコンカップへの取り組み方の予定は?

ガチくん選手:レベルで見ると今回のリーグはかなり高く、ここまでやらなくてもいいのではと思う程レベルが高かったので、ゲーム自体はやりますが一旦辞めます(笑)。

カワノ選手:CCあるのですが、一息休んだらやらなくなってしまいそうで、どうしようかなと悩み中です(笑)。

ぷげら選手:大会の直前に詰め込むのは合わなくて、普段から明日大会でもいいようにしないと勝てないと思っています。なので、詰め込むことはなくこれまで通りに練習していこうかなと思います。

どぐら選手:何もしません(笑)! チームメイトに「さすがにそろそろ……」といわれるまで絶対やりません! でも言われたらやることはやります。

――大会を終えた今、使用キャラクターへの思いをお聞かせください。

ガチくん選手:1キャラクターでここまで続けられているプロはあまり周りにいなくて、恵まれているなという感じで使っていたんですけど、7年も使っていると意識していなくてもできるアドリブなども増えてきて、職人感を出せたキャラクターになったと思います。プロになれたきっかけのキャラクターでもあるので、思い入れは深いですね。感謝しています。

ぷげら選手:このゲームはキャラクターへの思い入れは強かったですね。見た目が一番好きで、ずっと使いたかったんですが、全体でみると厳しいシーズンが多く、使っていないシーズンが多かったんですが、今シーズンは元に戻ったようなところがあって。つまり、ポイズンやセスを使っていたころの性能に戻ったんです。という事はあの時自分は使わなかったんだから今回もそうなのかと年の初めに模索したんですが、自分にしかできないことがあるのは強みだなと思って、練習していくうちにもっとうまくなっている実感がありました。同時に去年の自分が最大限引き出せなかったことに苛立ちもあり、このキャラクターを突き詰めたら去年よりいい結果がついてくるはずだと覚悟を決めて挑んだので、思い入れはとても強かったです。

どぐら選手:キャラクター事態への思い入れは普通という感じなんですが、前作「ストリートファイターIV」の時にベガを使用していて、Vになったときにベガを選んだんですが弱くて。それでネカリ、ユリアンに変えました。ユリアンに飽きてきた時期にベガが良さそうで、「IVでも使ってたしやるか」という感じで惰性で続けている感じなんですけど、よく考えたらIVの時に全国レベルの大会をベガで優勝したことなくて、ベガとの付き合いは15年くらいあるんですが15年目にして初優勝の可能性があります。思い入れは普通です!

カワノ選手:コーリンにキャラ愛とかは正直なくて、最初新キャラクターって言う事で触ってそのままやっていたんですが、今回大幅な弱体化をされてしまって。キャラクター変更を格闘ゲーム人生でやったことがなかったので不安はありましたが、ルークなどにしっかり移行できたというのが「ストリートファイター6」への糧になるんじゃないのかなと思っています。

――「ストリートファイター6」でもプロを続けますか?

ガチくん選手:プロとして続けていくつもりはありますけど、ゲームが新しくなり、新しい選手が入ってくる勢いに負けないようにしていきたいと思います。まだまだこの業界でやりたいことがあるので、プロは続けます!

カワノ選手:基本続けるつもりですが、本当にやってみたいことができたらそっちに行くかもしれません(笑)。

ぷげら選手:僕はカワノの言う“やりたいこと”が格闘ゲームなので、続けると思います。

どぐら選手:めちゃくちゃ打算的なことを言うと、「ストリートファイター6」一年目のリーグはすごく盛り上がると思うので、そこには絶対に居たいです。ただ、正直勝てなくなったらやめどきかなという思いはあるので、自分で勝てないと思うまでは選手でいたいなと思います。

――現段階で、「ストリートファイター6」での使用キャラクターは決まっていますか?

どぐら選手:マリーザ使いたいです。強そうな新キャラクターを使いたいですね。

ぷげら選手:今発表されているなかだとジュリの見た目が気に入ってます。やっぱり見た目が好きにならないと気持ちが入らないので、今のところジュリですが5のバイソンのようなビビビッとくる感じは来てないので……バイソン求む。

カワノ選手:魂キャラ、ルークで。

ガチくん選手:(小声で)絶対使えよ……(笑)。

僕はまだそんなに決まっていないですね。ラシードもこのキャラクターで強かったら目立てるかなという思いがあったので、そういったキャラクターがいたら選ぼうと思います。今のところJPがカッコいいと思うのでそこ行こうかなと思います。

インタビュー後にはフォトセッションも行われた。この4人が日本を代表して挑む「ストリートファイターリーグ: ワールドチャンピオンシップ 2022」は2月18日から開催される。ぜひ、G8Sには活躍してほしいと願うばかりだ。また、本大会の様子は1月28日より無料配信も行われるので、本記事をここまで読んでくれた方でまだ試合を見ていないという方はぜひ、そちらもチェックしてほしい。

「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2022」公式サイト
https://sf.esports.capcom.com/

「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2023」は、シリーズ最新作「ストリートファイター6」で開催決定!

来シーズンの「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2023」は、「ストリートファイター6」で開催することが決定いたしました。

昨年で35周年を迎えた「ストリートファイター」シリーズ。その記念にふさわしい、ナンバリングの最新作「ストリートファイター6」は2023年6月2日に発売予定です。

新しいタイトル、新しい選手、新しいチーム、新しいプレイヤーが参加できる取り組みを目指します! これからも「ストリートファイターリーグ」を、ファンの皆様のお力で盛り上げていただければと思います。来シーズンも、ぜひご期待ください!

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