「ぼっちゃん2。」をレビュー。グローバルギアの「ゆる脱出」シリーズの一作。シリーズ名の示す通りゆる~く楽しめる謎解きとストーリー、そしてほのかな懐かしさといった魅力を紹介する。

目次
  1. このアイテムを使うとどうなる?4コマ漫画的な楽しさを持った脱出ゲーム
  2. かわいさと楽しさのの向こうに感じるノスタルジー

「ぼっちゃん2。」はグローバルギアからリリースされている謎解き&脱出ゲーム。本作は同社の「ゆる脱出」シリーズの一作としてリリースされており、シリーズ名の示す通り「ゆる~い」つくりが特徴。頭を悩ませた末のひらめきによって謎を解くこともよりも、4コマ漫画のようにシチュエーションとそのオチを楽しむのがメインとなっている。

このアイテムを使うとどうなる?4コマ漫画的な楽しさを持った脱出ゲーム

本作の目的は、タイトルにもなっている主人公のぼっちゃんや、その妹を助けるというもの。ステージごとにシチュエーションは異なるが、たいていぼっちゃんか妹のどちらかが困った状況に陥っている。ではどうやって彼らを救うか?というのが本作における「謎解き」の部分だ。

ゲームシステムそのものは、一般的な脱出ゲームとほとんど変わらない。画面をタップすることで様々な場所を探索し、アイテムや手掛かりを獲得。手に入れたアイテムを使うことで、謎を解いていくというもの。

ただ、謎といっても一般的な脱出ゲームでよくみられる「暗号入力」やパズルのようなものはほとんど出てこない。基本的には獲得したアイテムをどこに使うか?がポイント。使うアイテムと使用先が合っていれば謎解き成功。「ゆる脱出」というシリーズ名が示す通り、ゆる~く楽しめる。

謎解きやパズルが好きで脱出ゲームをプレイしている人からすると、本作の何が楽しいのか?と思うかもしれない。ズバリ、その答えは「ネタ」だ。いってみれば本作の謎は、4コマ漫画の2コマ目のようなもの。プレイヤーがアイテムを使用するという行為が3コマ目。そしてその結果待ち受けているのは、多くの4コマ漫画の4コマ目と同様、何らかのおもしろいオチだ。

たとえばとあるステージでは、主人公の散髪が、来客によって中断されてしまう。そこに、バリカンを持った妹が登場。恐らくこのまま行くと、主人公の頭がとんでもない髪型になってしまう…。と、ここでプレイヤーの出番。どんなアイテムをどこへ使うかによってストーリーが変化する。

最初に書いた通り、本作の目的は「主人公のぼっちゃんや、その妹を助ける」というもの。なのでこの場合なら、主人公の散髪が無事終了し、かつ妹も泣くような目に合わない…という状況を作ることでクリア。もちろん、アイテムの使い方次第ではまったく逆の状況になる。たとえば、期待通り(?)妹がバリカンによって主人公の頭をとんでもないヘアースタイルにしてしまう…などといった状況だ。当たり前だがこうしたケースはバッドエンド扱いであり、ステージクリアとみなされない。ただ、本作の楽しみ方的にはクリアよりバッドエンドを見ることの方がメインといえる。

その証拠に、本作は各ステージごとに何種類のエンディングを見たかが表示されるようになっており、さらには「シール」というかたちでバッドエンドをコレクションする機能もある。つまり、「このアイテムをあの場所に使ったら、おもしろいことになるのでは…?」といういたずら心を満たすことこそが本作の魅力といえるだろう。そして、そのためには謎解きそのものがゆる~く作られていなければならない。謎解きが低難度でカジュアルだからこそ、バッドエンドになるような行動を気軽に試すことができるわけだ。

かわいさと楽しさのの向こうに感じるノスタルジー

ここまで書いてきたことは、「ゆる脱出」というシリーズ自体に共通する魅力といえる。では「ぼっちゃん2。」という作品ならではの楽しさはどこにあるのかというと、まずは主人公のぼっちゃんやその妹のかわいらしさだろう。つぶらな瞳がキュートなキャラクターデザインもさることながら、なんとも子どもらしいいたずら心に満ちたアクションも魅力的だ。

ちなみに、本作にはセリフをはじめテキストに頼った演出がほとんどない。すべてビジュアルによって表現されている。本作のビジュアル表現は技術的にそこまで高度なことは行っていない。しかし、動きの表情の付け方が世界観にマッチしており、テンポも的確。だからこそクスッと笑ってしまうし、ぼっちゃんや妹の魅力も感じ取れる。

また、一定以上の年齢層のプレイヤーであれば、主人公のかわいさやネタ的な楽しさの向こうに「懐かしさ」も感じられるのではないだろうか。公園や海、夏祭りなど、本作で描かれているシチュエーションは誰もが子どものころ一度は経験したものだろう。また、子どものころ、ほんのちょっとのいたずら心から行ったことが困ったな結果を巻き起こしてしまう…というのも、誰しも身に覚えのあることではないだろうか。だからこそ、「ぼっちゃんの行動は、子どもらしくてかわいいなー」と引いた視点で感じると同時に「自分も子どものころ、こんな失敗やったなー」とノスタルジーを感じてしまう。かわいさと楽しさの中に、ほんの少し、隠し味のように感じる切ない郷愁。これは確実に本作ならではの魅力といえる。

多くの4コマ漫画がそうであるように、本作もまた、「今からプレイするぞ!」と気負ってプレイするような作品ではない。どちらかといえば、暇つぶしに近い感覚で楽しむ作品といえるだろう。ただそれでも、かわいさや懐かしさなど、心に残る感情を与えてくれる作品だと感じた。プレイすると思わず、ぼっちゃんとその妹の他のエピソードも観たくなってしまう。筆者は本作を2からプレイしたが、2をクリア次第、1もプレイしようと考えている。

ぼっちゃん2。

グローバルギア

iOSアプリiOS

  • 配信日:2023年1月27日
  • 価格:無料

    ぼっちゃん2。

    グローバルギア

    AndroidアプリAndroid

    • 配信日:2023年1月27日
    • 価格:無料

      ※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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