PS5/PS4/PC向けにサービス中のMMORPG「ファイナルファンタジーXIV」(以下、「FFXIV」)でパッチ6.2から新たに登場したキャラクター“ゼロ”。そのキャラクターデザインを担当するリードキャラクターコンセプトアーティストである生江亜由美氏にメールインタビューを実施した。
また、今回は貴重なゼロの設定画も公開するので、併せてチェックしてほしい。
ゼロのコンセプトは“ジェンダーレス”
――ゼロは男性のようにも女性のようにも見える中性的なデザインが魅力ですね。このようなキャラクターはメインストーリーでは初めてだったと思いますが、ゼロのキャラクターデザインについて、意識したことがあれば教えてください。
ゼロは、まさに「ジェンダーレスなキャラクター」としてのオーダーでスタートしています。「男性女性どちらかは未確定。骨格は男性寄りで目鼻立ちのくっきりした美青年に見せたい」といった内容でシナリオ班から発注がありました。
「闇の世界から来た妖異」という設定もあったので、「退廃的な美しさからなる色気」「性別を超越した美しさ」という点は、2Dのデザイン画を仕上げていく際に特に意識しました。
顔の印象はアンニュイなムードに、プロポーションは「しなやかな強さ」を意識しつつも、骨格は男性寄りにとの事だったので、繊細になりすぎないようにバランスを取って行きました。帽子からちらっと見え隠れする鼻筋や目元でミステリアスな印象に見せたかったので、帽子の被り方の角度にもこだわりました。
ゼロは私としても好きなジャンルのキャラクター性だったので、長年集めていた中性的な俳優さんやモデルさんの資料、加えてキャラクターとしてのキャッチーさに繋げるため、漫画やアニメなどの既存コンテンツで登場している中性的なキャラクターを並べながら、顔や髪型の細部のイメージを固めていきました。
3Dの調整回数は、開発スピードの速い「FFXIV」チームの中で私が担当したNPCとしては過去一番の多さだったと思います。3Dチーム側から「他に気になる点はありませんか? 少しでも気になる点があれば調整したいです」と、普段以上に何度も意見を求めていただき、顔の微妙なニュアンス・体つきやフォルムなど細部に至るまで3Dチームと一緒にとことん突き詰めることができたと思います。
「初見で男女どちらかわからなかった」という声もSNSでは見かけることができ、3Dチームと一緒にこだわり尽くした成果が出たようで、とても嬉しかったです。
――デザインの方向性はストレートに決まったのでしょうか? それとも紆余曲折あって今のデザインに落ち着いたのでしょうか。このデザインとなった決め手を教えてください。
ゼロに関してはある程度デザインの方向性が絞られた状態でスタートしています。
シナリオ班からの発注として「闇の世界である第十三世界の妖異(魔航船ヴォイドアークのデザインライン)/ジョブ:リーパー(鎌使い)/ショートヘアーの中性的なキャラクター/イメージカラー:黒~紫」という明確なオーダーがありました。
方向性が決まっていたからこそ、既存のリーパー装備・アーク装備(魔航船ヴォイドアークの報酬装備)とどう差別化するか、という点で衣装デザインの試行錯誤に時間をかけました。
また、「トラベラーズハット」を被せて欲しいと吉田(プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏)からのオーダーもあり、プレイヤー用の装備として数多く実装されているタイプの帽子を被るならば、顔周りにゼロ独自のアイコンになるアクセントが必要になると思い、イヤーカフとチェーンをミックスした特徴的なピアスをデザインしました。
私の中ではこのピアスがデザインする上のキーアイテムとなり、衣装の面にも影響して、腰回りのチェーン装飾の構成に繋がり、既存のリーパー装備・アーク装備との差別化の為の大きな要素となりました。
顔や髪型に関しては、複数のアイディア出しはしましたが、おそらくこれだろうなというデザインが吉田とシナリオ班で選定されたので、すんなり決まったと記憶しています。ゼロのアイコンとなったピアスが一番似合う顔と髪型だったからかもしれません。
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