スマホゲームアプリ「ブルーアーカイブ -Blue Archive-(ブルアカ)」のメインストーリーの魅力を紹介する連載。第2弾は「時計じかけの花のパヴァーヌ編」。
「ブルーアーカイブ」のメインストーリーに興味を持ってもらうべく、Vol.1~Vol.4の魅力を筆者なりに伝えていく本企画。第2弾は「時計じかけの花のパヴァーヌ編」です。天童アリスを中心に描かれる今回は、まず舞台がミレニアムサイエンススクールであることを押さえると、芳醇なストーリーの味が一気に増すのではないでしょうか。
「時計じかけの花のパヴァーヌ編」あらすじ
キヴォトス三大学園の一校であり、科学の研究に特化した学校・ミレニアムサイエンススクール。その中にあるゲーム開発部は、廃部の危機に瀕していました。廃部を免れるには、部員を揃え、活動の成果を証明できる結果を残さなければなりません。
ゲーム開発部の面々は、ミレニアムの部活が各々の成果物を競い合うコンペディション「ミレニアムプライス」に応募することを決意。結果を残せるゲームを製作するために、伝説的なゲームクリエイターが残したという「G.Bible」を探しに、とある廃墟へ侵入します。そこで彼女たちは、一人の不思議な少女と出会うのです。
ミレニアムサイエンススクールという舞台が物語に華を添える
1章、2章を通じて物語の大きな下地になっているのが、ミレニアムサイエンススクールという舞台装置です。
ミレニアムサイエンススクールは、トリニティ総合学園、ゲヘナ学園と合わせてキヴォトス三大学園と言われる大きな学校。科学の研究に特化しており、理系の生徒が多く集まっています。
合理と技術に重きを置いているこの学校の代表的な生徒は、先生なら誰もが身近に感じているであろう早瀬ユウカでしょう。EXスキルのセリフに「合理と理性は無慈悲よ」なんてものもあるくらいで、ミレニアムの特色を体現している一人と言えます。
だからこそ、ゲーム開発部に突きつけた部活を存続させるための評価基準が、「人数と結果」という極めてロジカルなものになるのです。
ゲームの聖書が導き出した答え
ミレニアムという舞台装置が効力を発揮するポイントはいくつかあります。
例えば、1章でゲーム開発部が喉から手が出るほど欲しがった「G.Bible」の示す答え。G.Bibleは、昔キヴォトスにいた伝説的なゲームクリエイターが在学中に作った「ゲームの聖書」。最高のゲームを作れる秘密の方法が記されており、読めば最高のゲームを作れるようになるというモノ。
そう聞くと、ミレニアムの生徒なら何らかの方法論が書いてあると思うし、ゲーム開発部の子たちも乾坤一擲の一手を期待していたでしょう。
しかしてG.Bibleの示した回答は、決してロジカルなものではありませんでした。けれども、何よりも大事なものと言ってもいいでしょう。それが結果的に、ゲーム開発部の本領を発揮させることになります。ゲーム開発部が期待していたG.Bibleの内容と実際に示された答え、この対比が1章の醍醐味です。
合理の極致にいる調月リオ
2章では、「ビッグシスター」の異名を持つミレニアムの生徒会長・調月(つかつき)リオがアリスを連れ去り、ゲーム開発部はアリスの奪還を目指します。
この生徒会長がミレニアムの象徴とも言えるほど、極めて合理的な思考をする人なのです。彼女は、この合理的な思考を突き詰めてきたゆえの圧倒的な強さを備えています。合理的すぎる人物が最大の障壁として立ちふさがるのは、1章のエンディングとの対比にもなっていますね。
1章で「仲間」の存在がそうだったように、2章では合理と対比させる要素として「自分の意志」が描かれます。合理 vs. 何かという構図において下地にあるのがミレニアムという舞台装置であり、その極致にいるリオです。
少し余談を挟みますが、この物語はリオに対する先生の言葉にある通り、合理を否定するものではないと思っています。
合理はミレニアムの(大きくはあるけれど)側面のひとつであり、そこに仲間を大切に思う気持ちだったり、データや可能性ではなく自分の意志で道を選ぶこともある。それら全部ひっくるめてミレニアムという学校なのでしょう。だから2章最終話のサブタイトルが「ミレニアムサイエンススクール」なのだと思います。
昨日の敵は今日の友
「時計じかけの花のパヴァーヌ編」では、アリスを筆頭に語るべきキャラクターが多々出てくるのですが、ここではみんな大好きC&Cに触れていきましょう。もちろん筆者もご多分に漏れず大好きなのですが、このストーリーにおける彼女たちの魅力は、ある時は強敵になり、またある時は味方になる、非常に味のあるポジショニングにあります。
ミレニアム随一の武力集団であるC&Cは、1章ではセミナーとともにゲーム開発部の前に立ちふさがる存在となっています。ゲーム開発部はヴェリタスとともに、知恵でC&Cの銃弾をくぐり抜けようとしますし、C&Cは強大な武力でさらにその上を行こうとします。メタとメタの張りあいが、読んでいて非常にカタルシスを覚えるものになっています。
一方で2章では、リオとその右腕である飛鳥馬トキというさらなる敵に対峙する上での心強い味方となっています。アリス救出を諦めかけるみんなに、満身創痍の身でありながら美甘ネルが発破をかけるシーンは思わず元気づけられるほど。キュートな子が集まるC&Cの中で、ネルの力強さはまた異質の魅力がありますね。
ネルが行ったように、このストーリーは要所要所で理屈を抜きにパッションを突き通すシーンが描かれます。無理を通して合理を引っ込める……ではありませんが、ミレニアムという学校を舞台にするからこそ、彼女たちの持つパッションが胸を打つのではないでしょうか。
ゲヘナとトリニティのように政治的な対立関係はあるものの、基本的にキャラクター同士が強くいがみ合わないのが「ブルーアーカイブ」の良いところです。先生が全方位から好意を持たれているというベースも寄与していそうですが、自分の立場で自分ができることを全うする、気持ちの良い生徒が多いんですよね。「時計じかけの花のパヴァーヌ編」におけるC&Cは、それを体現した結果「昨日の敵は今日の友」になったのだと思います。
最終章にもつながる要素も散りばめられたストーリー
そろそろまとめに入りましょう。このストーリーでは、きらびやかで可愛らしい少女たちの学園生活とはまた異なる、複雑な神話めいた要素も登場します。
例えば、未知からの侵略者である「Divi:Sion」や、「無名の司祭」という存在、彼らが残したトリガーAIなどがそれです。一見分かりにくく思えるかもしれませんが、ストーリーの中で定義はきちんと説明されているので、ひとつひとつ押さえておくとストーリーへの理解がより深まるでしょう。
1章、2章を通して描かれるのは「仲間」の尊さです。出自にいわくのあるアリス、人とのコミュニケーションが苦手な花岡ユズ、ゲーム開発をうまくリードできない才羽モモイとミドリの双子。誤解を恐れずに言ってしまえば、彼女たちはミレニアムにおいて異端児です。だからこそ、そんな自分たちがともに青春を送るゲーム開発部という場所を守る。それは自分のためでもあり、仲間のためでもある。そんな「仲間」の輪が、少しずつ広がっていく様子がこのストーリーの醍醐味ではないでしょうか。
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