「Ruins Story」をレビュー。ローグライト要素を持った、スマートフォン向けのアクションシューティング。他にない独自の操作方法を採用しており、慣れは必要なものの他にない爽快感を体験できる一作だ。
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Pujia8からリリースされた「Ruins Story」は、ローグライト要素を持ったスマートフォン向けアクションシューティングゲーム。ローグライト要素を持つアクションシューティングというと、ツインスティック操作を採用した見下ろし型の全方位シューティングゲームが代表格。しかし本作は、独自の操作方法を採用。そのために慣れが必要なものの、一度慣れてしまえば他では味わえない、本作ならではの爽快感が病みつきになる。
ゲームの流れはローグライト的! 戦闘と育成を繰り返しボスに挑もう
操作の説明をする前に、まずは本作の世界観から紹介しよう。本作の舞台は、謎の侵略者によって滅ぼされそうになった世界。主人公・ルインは巨大地下都市ジェネシスで武装のテストを行っていた。しかし、突発的にジェネシス内のドローンが浸食され、攻撃を開始するという事態が発生。この状況を打開するため、ルインは時空転移を試みる…。
ゲームの流れは、マップ画面から探索するエリアを選ぶことで進んでいく。エリアにはバトルが発生する「戦闘エリア」と、アイテム入手やハートの回復などが行える「物資エリア」の2種類が存在。
「物資エリア」に入るためには「クリスタル」というアイテムが必要だ。「クリスタル」は「戦闘エリア」のクリアで獲得可能。なので、「戦闘エリア」で「クリスタル」を獲得して「物資エリア」で探索、「物資エリア」内で獲得したアイテムによって主人公の強化を行っていく。バトルと育成を繰り返す構成は、ローグライト的な楽しさを持っている部分だ。
「戦闘エリア」と「物資エリア」、いずれもクリアすることで新たなエリアが出現する。特定のエリアをすべてクリアすることでボスのいる「戦闘エリア」がアンロック。「ボス」戦に挑むことができる。
フリック操作で移動!敵弾を回避し3種類のショットで敵を倒せ
本作のメインといえる「戦闘エリア」は、一画面で構成されている。クリアの条件は、出現する敵をすべて倒すこと。そのための手段が、本作ならではの操作によって行う、移動と3種類のショットだ。
移動については、画面を移動方向へフリックすることで行う。フリックするとルインは、その方向へ移動。床や天井、壁などの障害物に接触すると停止する。超高速ダッシュともいうべき動きで、移動速度は速い。このため、移動中を敵に狙われてダメージをくらってしまうということは少ないだろう。もちろん、敵ショットの中で突っ込むかたちで移動を行えば、ダメージを喰らってしまう。また、ある程度の距離を一気に移動するというスタイルなので、弾幕シューティングのように被弾するかどうかスレスレの動きで敵ショットをかわすような立ち回りは難しい。
ショットは3種類存在し、それぞれ操作方法が異なっている。1つめのショットは、画面タップで発射するオートエイミング型のショット。2つめのショットは、画面をスワイプして敵をターゲッティングすると発射される。そして最後のショットはサポートロボットの「ネコロ」が放ってくれるもの。これは完全オートなのでプレイヤー操作は必要はない。
「ネコロ」が放つショット以外の2種類のショットには、一風変わった弾数制限が設定されている。片方のショットを放つと弾数が減り、その分もう片方の残弾数が増えるというものだ。このため、自分の使いやすいショットを使い続ける…ということはできず、ある程度撃ったらもう片方のショットに切り替えなければならない。
仮想パッドによって主人公とショット方向を直感的に操作できる全方位シューターと比べると、本作の操作方法は相当異質といえる。このため筆者も、本作にはじめて触れた際には「操作しづらい」と感じた。しかし何度かプレイし、操作に慣れてくるとその独創的なおもしろさが見えてくる。本作のこの独特な操作方法は、決して奇をてらったものではない。きわめて巧妙に設計されているのだ。
まずフリック操作による移動は、細かい位置調整が難しいものの、離れた距離を一気に移動することができる。なので敵が接近してきても、一気に遠く離れた場所へと逃れることが可能。このため、敵との位置取りや攻撃予測を見て安全地帯から安全地帯へと移動するような立ち回りが有効だ。
敵が遠くにいるという状況で有効なのが、スワイプを使って敵をターゲッティングするショット。ダメージを受けにくい落ち着いた状態で、自分が意図した敵をピンポイントに狙うことが可能だ。
一方、敵が接近してくるとタップで繰り出すオートエイミング型ショットが有効になる。敵が接近してきたら、移動先となる安全地帯を探すことに意識が向く。となると、落ち着いて敵を狙うのは難しい。なので、タップさえすれば自動的に狙ってくれるオートエイミング型ショットがとてもありがたいのだ。
優先して倒すべき敵を被弾しにくい安全地帯からスワイプ操作で狙い、敵が接近してきたら次の安全地帯を探しつつ連続タップでオートエイミングショット。安全地帯が見つかったら、タップ連打からフリックへと操作を切り替える…。本作は、この独特のリズムが気持ちイイ。アクションシューティングというジャンル的なくくりで見ると、本作の操作システムは異質かもしれない。しかし、ゲーム的な立ち回りと操作との噛み上合わせという意味では、実に見事に噛み合っている。筆者が「巧妙に設計されている」と書いたのはこのためだ。
さらに本作は、効果音が素晴らしい。スワイプ、タップ、タップ、フリック…という操作が生み出すリズム的な気持ちよさを増幅するかのような、気持ちのイイ効果音が割り当てられている。操作に慣れてくるとクセになるほどの気持ちよさを感じるのは、この効果音も多大に影響しているだろう。
とっつきにくいかもしれないが是非プレイしてほしい!他では味わえない楽しさが体験できる一作
本作はその特徴的な操作から、とっつきにくいと感じるかもしれない。また、一画面で構成しているためキャラクターが小さく、ビジュアルエフェクトによるド派手な爽快感にも乏しい。しかし、操作と立ち回り、そして効果音が絶妙にかみ合うことでもたらされる気持ちよさは、本作以外の作品では決して味わえないものだ。プレイしないのはもったいない、魅力的な作品なのでぜひ一度プレイしてほしい。