Gamer編集長のTOKENが週末にかこつけて、ゲーム業界やメディアについてその時考えていることをいろいろと書いていく不定期連載コラムです。今回は、gumiが開催した2024年のWEB3ゲームに関するプレス向け勉強会の内容について触れていきます。
「誰ガ為のアルケミスト」「ファントム オブ キル」のスマートフォン向けタイトルを開発・運営するgumiが、近日中にWEB3ゲームとしてリリース予定の「ファントム オブ キル -オルタナティブ・イミテーション-」。そのリリースに向けて行われた勉強会では、gumiのブロックチェーン等事業を統括する寺村康氏に加えて、セガ「三国志大戦」などのライセンスを活用したブロックチェーンゲームを開発中のdouble jump.tokyoの坂本康朗氏が登壇。ゲームユーザーにとっては全容の見えづらいWEB3ゲーム市場の今や成長性について触れていきました。
そもそも、今回の勉強会の座組みについて簡単に説明しておくと、double jump.tokyoはgumiの出資を受けており、経営の独立性は担保しつつも、WEB3領域において協業しています。同領域において、これからも多くのことを連携していくということです。
筆者は技術畑ではないため、WEB3ゲームという表現がよく分からないのですが、そもそもその定義は明確でなく、ブロックチェーンゲーム、NFTゲームなどさまざまな表現がされている現状です。今回の場では、従来のゲームにブロックチェーン技術を組み込んだものであり、その技術を仮想通貨やNFTのようなデジタルデータを自分の資産として扱う上で活用するといったスタンスで、話が進んでいきました。
ゲームメディアとしては現状の市場が盛況とは思ってはいないのですが、今回の場で提示された矢野経済研究所による市場予測では、今後より大きな市場規模になっていくことが予想されているほか、スマートフォンゲーム市場規模が2012年以降で大きく成長していったことから、今が大きく成長していくタイミングではないかと分析。そのためにブロックチェーンゲームとしてのUXやエコシステムをいち早く提供してモデルを検討していて、最終的に技術が波及した段階での市場内でのポジションを確立させていきたいという両社のスタンスが語られました。

市場への期待感として、ゲームマーケットにおける日本市場の立ち位置(ユーザー1人当たりの課金額が高い)、そしてコンテンツに没頭するとお金を使うという消費行動におけるスタンスに、ビジネスチャンスを感じているそう。また、政府がWEB3の推進を進めていることも追い風になるのではないかという見通しも語っていました。

開発期間の長期化、開発費の高騰に加え、市場の変化からも難しい局面を迎えているスマートフォンゲーム市場に対して、現状のWEB3ゲームは開発規模が小さいものの、より多くのユーザーに届けるフェーズに差し掛かっていることから、徐々に開発費は上がっているそうです。それでも知識を身につけて取り組めば勝てる可能性もあると考えているそうで、税制、プラットフォーマーの規約といった環境整備も整う中で、2024年はターニングポイントになり得ると意気込みを語りました。
ここからはgumiとdouble jump.tokyoが語った、それぞれの取り組みについて紹介していきます。
gumiはゲーム開発・運用を行う会社でありながらも、金融出身の経営陣であることが特徴で、現状はモバイルゲーム事業、ブロックチェーン等事業に二分されつつ、ファンドなどの投資事業にも力を入れていることが特徴です。また、エンジニアも豊富にいることでの技術力をブロックチェーンのコンテンツ開発に活かしており、SBIグループとの資本業務提携により、事業をスケールさせていくフェーズに入っているということです。
そんな同社が「ファントム オブ キル -オルタナティブ・イミテーション-」のサービスとともに推し進めているのが、ブロックチェーン技術、コンテンツプラットフォームによって独自トークン「OSHI」を中心とした新たな経済圏を構築していくという「OSHI3構想」。いわゆる“推し活”と呼ばれる、イベントや物販といったフィジカル中心の市場を、コンテンツなどのデジタルな市場にまで拡大していくといった考えです。

かいつまんで説明すると、従来のWEB3ゲームは1コンテンツで1トークンの暗号資産になっていて、そのコンテンツだけを盛り上げて維持し続けるのは難しいことから、フィジカルとデジタル、双方の領域をトークン経済圏として取り込むことで、複数のコンテンツに価値を担保させて、市場を成立させるというものです。
推し活という行動の拡張を市場として作り出すといった考え方もそうですが、自社だけに留まらない経済圏を作っていこうという考え方は、メリットを相互的に生み出すポイントを活用した経済圏の考え方に近いものがあります(とはいえ、1ポイント=1円のポイントとは違い、仮想通貨や暗号資産の価値は変動要素があるのでハードルを感じないわけではないのですが)。
個人的に面白いなと思ったのが、例えばゲームを通じて得たNFT(後述する「ファントム オブ キル -オルタナティブ・イミテーション-」ではキル姫)をトークンの暗号資産に変えた後、それをゲーム外のコンテンツに活用するといった取り組みも検討しているという点でした。デジタルな手段で入手したものを、最終的にフィジカルな市場(グッズの購入やイベントの参加)に使えるというのは、プレイのモチベーションにもなってきそうですし、会員証などの仕組みもトークン上で作れるということで、本人確認などの観点からも役割を果たしてくれそうです。

そうした構想における第1弾タイトルとしてリリースされる「ファントム オブ キル -オルタナティブ・イミテーション-」は、App Store/Google Playの各ストアに加え、PC版をデスクトップアプリとして提供する放置ゲームとなっています。従来のスマートフォンゲームと同様にFree to Playのモデルを採用しつつ、そこにブロックチェーン技術を組み込んだ、ハイブリッドな作りとなっています。


詳しくは発表されたニュースを確認していただければと思うのですが、ガチャでのキャラクターの入手や育成はこれまで通りゲーム内で完結しています。そうして育てたキル姫をNFT化できるというのが、ユーザー体験としては異なるものになります。そうした仕組みもあって、時間を育成のサイクルに組み込む放置ゲームというジャンルを選んだのだろうと思います。

一方、エンジニアを中心とした経営陣により、ブロックチェーンゲーム専門の開発・運営を担うdouble jump.tokyoは、先ほど触れたポイント経済圏を活用する取り組み(いわゆる“ポイ活”)をアップデートする、“ゲー活”について紹介。ポイントサービス上でよくある広告視聴などで得られるポイントが、代わりに暗号資産になるといったもので、先ほど触れたOSHI3構想とも考え方は近しいものとなっています。こちらも得た暗号資産を最終的に購買活動に使うことができる点が魅力で、新しいユーザー層の開拓にもつながるのではないかと話していました。
ちなみに、「三国志大戦」のライセンスを用いたブロックチェーンゲーム「Battle of Three Kingdoms - Sangokushi Taisen -」に関しては、バトルに戦って勝つことで報酬を得られるようになっていて、ゲーム内で発行される武将カードに関してはマーケットの金額が見えるようになっているとのこと。こちらは2024年にリリース予定となっています。
今回の勉強会を通じて、WEB3領域に関して不勉強な筆者もさまざまな認識をアップデートすることができましたが、一方で、ブロックチェーン技術はあくまで既存のゲーム内の一要素として組み込まれるものであり、ゲーム市場そのものを爆発的に拡大させたり、ゲームそのものの遊びに作用させたりといったことは容易ではないという認識もより強くなりました。
ただ、現状でも広告視聴によってゲーム内通貨を得たり、さまざまなサービスを通じて得たポイントを現実に活用したりといった、ゲーム内外問わず、自身の目的に合わせた行動をとる人は多いと思いますので、そうした観点から裾野が広がるのはマイナスにはならないのかなと。今後もブロックチェーンゲームに関わる各社の動向を通して、我々も扱うべきコンテンツかを注視していきたいと思います。
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