2024年8月8日に開催された「『SILENT HILL 2』Tokyo Media Premiere」のレポートをお届けする。
目次
本イベントはコナミクリエイティブセンター銀座内の「esports 銀座 studio」で開催。2024年10月8日に発売されるリメイク版「SILENT HILL 2」を世界最速で約4時間にわたり試遊できたほか、本作の開発におけるキーマン5名がステージに登壇、Q&Aセッションの時間が設けられるなど、盛りだくさんのイベントとなっていた。
イベント会場は霧が立ち込めているかのような演出が成されており、「SILENT HILL 2」の記念すべきイベントとして雰囲気十分。また、会場には海外メディアの記者も数多く詰めかけていたことから、本作の世界的な注目度の高さを再認識させられた。
なお、筆者自身はオリジナルの「サイレントヒル 2」をプレイしておらず、試遊に関してはほぼまっさらな状態で遊んでみた印象について書いている。この点は留意してほしい。
リメイク版「SILENT HILL 2」のポイントを改めておさらい
イベントはリメイク版「SILENT HILL 2」開発のキーマンたちが登壇、本作に取り入れられた数々の新要素の魅力を紹介するところから始まった。登壇者は以下の5名。
・岡本基氏(シリーズプロデューサー)
・山岡晃氏(コンポーザー)
・伊藤暢達氏(コンセプトアーティスト)
・Mateusz Lenart氏(Bloober Team クリエイティブディレクター)
・Maciej Glomb氏(Bloober Team リードプロデューサー)
山岡氏と伊藤氏は2001年に発売されたオリジナル版「サイレントヒル 2」から引き続き開発に参加。Bloober Teamは「Layers of Fear」シリーズやゲーム版「Blair Witch」、「The Medium」などホラーゲームの開発に定評があり、「サイレントヒル 2」への深い愛情もあってリメイク版の開発に携わることになったゲームデベロッパーだ。
3年前に死んだはずの妻・メアリーから届いた手紙を頼りに思い出の街“サイレントヒル”にやってきたジェイムスを操作して、謎めいたストーリーを解き明かしていく「サイレントヒル 2」。オリジナル版はその世界設定やストーリーテリングが世界中で高く評価され、シリーズ最高傑作の呼び声高いタイトルだ。
リメイク版「SILENT HILL 2」は、グラフィック面が大幅に進化。“霧の街”が4Kの解像度で写実的に描かれる。また、カットシーンにおける登場人物たちのフェイシャルモーションには最新のキャプチャ技術を取り入れ、微細な心理描写がプレイヤーに伝わるものとなっている。
3D音響の導入では、シチュエーションによってラジオのノイズやクリーチャーの声の聞こえ方が変化。臨場感と没入感のある恐怖がもたらされる。
ゲームデザインが変更された点もある。カメラはオリジナル版の見下ろし視点からジェイムスの斜め後ろを追随する“肩越し視点”に変更。よりジェイムス自身に近い視点になることで没入感が増している。
これにともない戦闘にもドッジ(回避)やエイミングによる射撃が取り入れられており、よりプレイスキルが反映される、現代的な緊張感のある戦いを実現。あわせてクリーチャーたちも個体差が見られたりと行動パターンが増えており、配置もオリジナル版と異なっていることで、既存プレイヤーも新鮮な恐怖と遊びごたえが感じられるという。
探索エリアも拡張され、探索可能な建物などが新たに追加されている。また、窓枠や低い柵を飛び越える、狭い隙間を通り抜けるといったトラバーサルアクションにより道が開かれるといった局面もある。道中の謎解きも見直し・追加が行われており、より観察力が求められるやりごたえのあるものに変化している。
最後に、マルチエンディングには既存のエンディングに加え、新解釈を加えた「新しいエンディング」を追加しているという。
ゲームプレイには「快適さ」と「恐怖を増幅させる煩わしさ、不快さ」が計算し尽くされたバランスで同居
続いて、約4時間にわたる試遊で受けた印象を書いていこう。ストーリー展開や攻略順などにはほとんど触れず、ゲーム性に関する部分の所感を中心に触れていくので、ネタバレを気にする人も安心して読んでほしい。
ゲーム本編部分が気になる人も多いと思うが、まずは開始前に設定できるオプションについて書いていきたい。とくにアクセシビリティはなかなか充実している印象を受けた。
言語選択では字幕と音声が個別で選べた。日本語吹替も収録されている一方、オリジナル版と同様「英語音声 + 日本語字幕」にすることも可能だ(デフォルトはこちらの設定)。難易度選択は戦闘に関する難易度と、謎解きの難易度、それぞれ3段階で別々に設定できるようだった。
アクセシビリティオプションでは、色覚特性に対応する設定を4種類から選択可能。キャラクターのハイライトモードをONにすれば、ジェイムスたちが単色で強調される設定にもできる。
敵に照準を合わせるのをサポートしてくれるエイムアシストは“無し”を含む3段階から選択が可能。ボタン連打を要求されるシーンはボタン長押しで対処可能な設定にもできる。テキストの色・大きさ・フォントなどを細かに調整できるのも、ありがたく感じる人は多いかもしれない。筆者が注目したのは上記のような項目だが、ほかにもいくつかの項目が用意されていた。
ゲーム本編がはじまり、デモシーンでストーリーを把握しつつジェイムスを操作。しばらく道なりに進むと“サウスヴェイル東”という開けた区域に到着した。
近年慣れ親しんだ三人称の肩越し視点での操作性は極めて良好だ。その上で、霧がたちこめる街の“少し先でさえ何が待ち構えているか分からない”不安感は、本来遠くまで見通せるこの視点だからこそ、いっそう強いものになっている感じがした。
このあとも何度か言及するが、本作は「ゲームとしての快適さ」と「恐怖を増幅させる煩わしさ、不快さ」が計算し尽くされたバランスで同居している印象だ。
しばらくプレイを続けていると区域ごとのマップが手に入るのだが、探索の進捗により頻繁にジェイムスによる書き込みが増えていくのは非常に快適だった部分だ。この機能により、行き止まりになっている箇所、探索が完了した建物、拾ったメモの情報を頼りに向かうべき場所、まだ解けていないパズルなどの情報が自動で更新されていくのが、広大な街を彷徨う指針として大いに役立ってくれた。
戦闘は最初のうちこそ近接武器の角材しか攻撃手段がないが、やがてハンドガンが手に入った。一方で、こちらの攻撃手段が増えるのと呼応するように敵のバリエーションも増えていき、終始緊張させられた。
敵のモーションを見て瞬時にドッジで避け、反撃をお見舞いするといったメカニクスはシンプルながら手に汗握る。とくに素早い攻撃と動きを兼ね備えたマネキンとの戦闘は、このメカニクスによる駆け引きのおもしろさがよく活きていた印象だ。
その上で、敵を攻撃することそのものには“不快さ”をともなう感触があるのが絶妙なところ。とくに近接武器を打ち付けるときの肉が潰れるような感触はかなりイヤさがあり、トドメの踏み付けモーションのときの強い嫌悪を感じさせるジェイムスのボイスもこれに拍車を掛けている。
それでも、本作では倒す必要のなさそうな敵も倒しておきたくなってしまう。近くに敵がいると鳴り響くラジオからのノイズが鬱陶しいからだ。敵が近くに居ることを知らせてくれるという点でゲームプレイ的には役立ってくれるラジオのノイズだが、これが鳴るとどうしても落ち着かず、音を消すために敵の息の根を止めなければならないと思わされる。まるで心の内にある暴力の衝動に突き動かされているような感覚を味わった。
銃のエイミングは構えたあと、狙いが定まるまでに少し時間が掛かるようになっており、この煩わしさもまた恐怖を掻き立てるホラーならではの調整だと感じた。
屋外と屋内を行き来しつつ探索を進めていくと、大きなアパートの内部を探索することになった。ここでは仕掛けなどによって入り組んだ構造となっているアパート内で、鍵を入手するなどして少しずつ行動範囲を広げていく必要があった。
閉鎖空間での探索が続くと、いつ死角から敵が出現するか分からず、攻撃を避けるのも比較的難しいので、それまでの探索以上に疲弊させられた。複数の敵に囲まれて焦ったときなど、筆者の心拍数はかなり上がっていたことだろう。
本作のゲームプレイでは謎解きが戦闘と同じくらい高いウエイトを占めている。こちらはところどころに散りばめられたテキストをよく読む、周囲の環境をよく観察する、入手したアイテムがどんなことに使うべきものなのかよく考える、といった点に気を付ければ、そこまで難しくはない印象を受けた(真ん中の難易度でプレイした場合)。適度に頭を悩ませてくれて、探索をメリハリあるものにしてくれる絶妙なバランスだ。
ゲームデータのセーブについては、各所に用意されたセーブポイントでのみ行える。昨今のオートセーブが当たり前のゲームに慣れていると、うっかりゲームオーバーになってかなり進捗が巻き戻され、面食らうことがあるかもしれない。しかしこれもまた「不用意な行動を取って死んだとき、失うものがある」というのはゲームプレイに恐れを生じさせ、しっかりと恐怖の感情に繋がっている部分だと感じた。
製品版をプレイする人は、こまめなセーブは意識しつつ、こういった意図的に取り入れられたさまざまな“恐さ”も含めて、本作の作品世界を隅々まで堪能してほしい。
Q&Aセッション:「オリジナル版での“こうしたかった”を反映させたクリーチャーがいる」などの気になる発言も
約4時間にわたる試遊のあとは、先ほども登壇した開発のキーマンへのQ&Aセッションが設けられた。
シリーズプロデューサーの岡本氏は、オリジナルの「サイレントヒル 2」に関わった山岡氏と伊藤氏が参加してのリメイク版の開発について「すごく愛されてきたタイトルを、オリジネーターのおふたりといっしょに仕事をすることで非常に深い洞察で設定を掘り下げることができました」とコメント。
また、山岡氏によるとリメイク版の音楽は「全曲書き直しています。トータルで9時間くらいの曲数になっています」と、凄まじいボリュームを新規に書き下ろしたことが明らかに。
伊藤氏はクリーチャーに関する質問を受け「バトルデザインの違いを受けた変化がある」とし「まったく新しいクリーチャーが登場することはないが、ストーリー的に当時“こうできたらよかったのに”と思っていたことを反映させたクリーチャーが数体いる」と、気になる回答。
開発会社のBloober Teamはとくに注目してほしいポイントを聞かれると「我々はオリジナルに対して非常に深い愛情と思い入れがあります。(その魅力を引き出すために)リメイクではコンバットデザインから探索まで、一体感のあるゲームプレイを目指しました」とのこと。
そんなBloober Teamとタッグを組んだ理由について聞かれた岡本氏は「サイレントヒルシリーズへの愛情が強いチーム」であることを挙げた。先ほどの回答とあわせると、さもありなんという感じだ。
冒頭の探索などのテンポ感が向上している印象を受けたという指摘には「難しい判断だったが、いまどきの作品らしい盛り上がりを加えるのではなく、原作を尊重しつつよりテンポ良く楽しんでもらうために、いまの形にした」ということだった。
「サイレントヒル 2」というフランチャイズにおいて本作はどういった存在か? という質問には岡本氏が回答。「皆さんにとってサイレントヒル 2はシリーズのスタンダードであったり、思い出深い作品だと思います。リメイク版を自信を持ってお届けすることによって、(今後リリースが控えている)他のサイレントヒルシリーズ作のクオリティを保証できればと思う」とした。
リメイクの方針に関するオリジナルチームとBloober Teamの意見の相違についての質問も。岡本氏は「かなり初期はオリジネーターである伊藤さん、山岡さんの高いクリエイティビティを尊重して、クリーチャーデザインなどをまるまる変える案や、サウンド面でまったく新しい方向性を模索する案もあった」という。
一方でBloober Teamは「オリジナルから各種要素をなにも変えずに開発する案もあった」としつつ「現在の市場で通用する作品にしたいという想いもあった」ため、さまざまな議論を重ね、オリジナルの魅力はそのままに、現代の技術やゲームデザインで蘇らせる方向性に決まったのだということだった。
アフターパーティーではさらにディープなこぼれ話も
場所を移して実施されたアフターパーティーでは、メディア向けに囲み取材が行われた。ここではよりディープな質問と、これに対する開発陣による回答を聞くことができた。
――リメイク版「SILENT HILL 2」はオリジナルからカメラの視点が変わりましたが、これによって開発において大きく変わったことはありましたか?
Bloober Team:肩越し視点に変更するにあたってマップを再構成する必要がありました。今回プレイしていただいたマップでいうと、“サウスヴェイル東”の屋外マップは細かい箇所の変更点はあるものの、あまり改変はしていません。ただ、屋内のマップは肩越し視点での探索がおもしろくなるように一新しています。
――オリジナル版のカメラアングルは映画的な雰囲気がありましたが、この点でも肩越し視点によって印象が変わったように思います。注目してほしいポイントはありますか?
Bloober Team:自由にカメラが動かせるのでまったく同じ演出にはできませんでしたが、その中でオリジナルと近い印象になるよう、クリーチャーの挙動などは工夫しました。マネキンが視界から離れると一度隠れる挙動をするのがその一例です。また、オリジナルでは扉を開ける際にロードが挟まっていましたが、移動がシームレスになったことを加味した恐怖演出になるように再設計しました。
――本作で「サイレントヒル 2」にはじめて触れる人向けに意識して取り入れたことがあれば教えてください。
岡本:オリジナルでも3種類の難易度は用意されていましたが、リメイクにも初心者の方が遊びやすいように難易度選択を取り入れています。戦闘と謎解き、それぞれ個別に難易度選択が可能で、幅広いニーズにあったバランスが選べます。もう1点、日本語に関しては吹き替えを収録したので、字幕で台詞を読むのに慣れていない方にも広く遊んでいただけると思います。
――戦闘の難易度の違いはなんとなく分かるのですが、謎解きの難易度を変えるとどういった違いがあるのでしょうか?
Bloober Team:探索中に拾うメモに書かれている情報量や、周囲の環境から得られるヒントの見つけやすさが難易度によって変わります。また、パズル自体の答えも難易度によって変わってきます。
岡本:パズルに難易度があるのも「サイレントヒル」シリーズの特徴なので、頑張ってもらいました。周回プレイのときに難易度を変えて遊んでみてほしいです。
――銃によるエイムで焦点が合うのがゆっくりな印象を受けました。クリーチャーが迫ってくるスリルが感じられる絶妙なバランスだと感じたのですが、アクションにおける恐怖演出の狙いについてお聞きしたいです。
Bloober Team:クリーチャーの挙動もカメラ視点の変化にあわせてある程度変える必要がありました。ジェイムスを操作する際の自由度が増したぶん、これに対抗する形で各クリーチャーには複数の挙動を盛り込んでおり、それが「次にどんなことをしでかすか分からない」と感じさせる恐怖演出にもなっています。
――PS2の「サイレントヒル 2」の時点でかなり仕上がったグラフィックだったと思うのですが、リメイク版でさらに進化させるにあたって注意したことを教えてください。
Bloober Team:研究を重ねてたどり着いたことではあるのですが、まずは霧の演出に力を入れること。それからグラフィックが向上したからといって出血表現やゴア表現を激しくするとオリジナルの趣旨と変わってしまうので、そういった方針を取らないというのは徹底したことです。
伊藤:屋外の霧の演出についてはかなり口酸っぱく注文を出したので、(Bloober Teamは)僕に対して相当嫌な感情を持っているんじゃないかと思います(苦笑)。本作で霧によって表現している“とある要素”はすごく重要なものなのでこだわりましたが、結果的にリメイクでいちばん成功した点と言ってもいいと僕は思っています。
――フェイシャルキャプチャーによる表現は、現行ゲームにおいて最高峰レベルのクオリティになっているように感じます。Bloober Teamがこれまで開発したタイトルは一人称視点のゲームが多く、フェイシャルに関する技術の蓄積があったわけではないと思うのですが、なぜこのクオリティを実現できたのでしょう?
Bloober Team:「サイレントヒル 2」の人気と、物語重視のタイトルであり情緒的な作品であることを踏まえると、ファンからの期待が絶大なものになるのは覚悟していたので、Bloober TeamだけでなくKONAMIの皆さんともいっしょに話し合って、カットシーンのキャラクターの表情は“完璧以外許されない”くらいの気持ちで制作しました。
ビジュアルのみならず演技の面でもキャラクターに最適な方々を選出させていただき、3Dモデルにおいても優秀なパートナーの助力により完璧なものになるよう仕上げました。
岡本:Bloober Teamと組むことを決めたとき、確かに三人称のゲームの開発経験が少ないことは分かっていたのですが、非常に情熱の強いチームだったので、テクノロジーをパートナーにアウトソースする選択を含めていい仕事をしてくれるんじゃないかと信じておまかせすることにしました。
――とくにアンジェラに顕著な、キャラクターデザインの変更の意図についても聞いてみたいです。
岡本:リメイク版ではキャラクターをリアルに表現するにあたって人間の顔をイチから作るのではなく、俳優さんの顔をキャプチャーしています。俳優さんはかなり議論して選ばせていただいたのですが、外見だけじゃなく演技力も非常に重要なものと考えて選考しました。オリジナル版と外見が少し違っていても、演技力でキャラクターの魅力を表現できると感じた方にお願いしたというのが実際のところです。
――サバイバルホラーというジャンルには歴史的名作がいくつもありますが、その中で「サイレントヒル 2」が特別なタイトルとなっている理由について、リメイク版を開発した皆さんはどんな点にあると考えていますか?
Bloober Team:我々が考える理由は、まず1つ目がプレイヤー自身の心に刻まれるようなストーリーです。2つ目は作品が持つ雰囲気です。当時もさまざまな作品が出ていましたが、「サイレントヒル 2」が醸成していた雰囲気はほかの作品では見られないものでした。
3つ目はキャラクターです。ゲームのみならずさまざまな媒体で、時間が経てば物語の大筋がどういったものであるかという印象は薄れてしまうものだと思うのですが、登場人物の印象が濃ければ、まるでそのキャラクターが実在していたかのように心に刻まれて残り続けると思います。「サイレントヒル 2」のキャラクターは設定が作り込まれていて、存在意義が実感できるものになっていると感じます。
岡本:僕も同じになってしまうのですが、ストーリーですね。エンディングの苦さ、安易なハッピーエンドにはならないところが「サイレントヒル 2」を特別にしているかなと感じています。
山岡:僕は「サイレントヒル」シリーズ……とくに「2」はひとつの“体験”だと思っているんです。冒頭の長々としたパートとかゲームとしては苦痛でしかないんですけど、そういった沢山あるチグハグな部分も含めて“体験”だから20年以上愛されているんだと感じます。
ここのシステムが最高だった、このグラフィックが良かったみたいなことじゃない、「遊んだ」とかよりも「独特の体験をした」と思えるようなものになっていたのが20年……もしかしたら50年、100年と心に残り続けるかもしれないゲームになった理由なんじゃないかと思います。
僕らはホラーゲームを作るというよりも、ジェイムスとメアリーの愛の物語のようなもののように作っていました。そういった当時居たメンバーのいろいろな想いやオリジナリティの足し算や引き算、掛け算や割り算によって2001年に生まれたものを体験した人が心を打たれた、ということなのかな? それがかえって良かったのかな? といま振り返ると思いますね、はい。
伊藤:当時「サイレントヒル」チームにデザイナーは僕含めて数人しかいなかったんですよ。
どうすればいいか分からないのに、開発期間は決まっていてバジェット(予算)は少ない。ディスカッションを続けていく中でバトルデザインよりも、プレイヤーがジェイムスとして辿る道のりによって感情を表現するゲームにしようと決まったんです。結果的にそのアプローチが20年以上愛される作品になった理由なのかなと感じます。当時はまったくそんな先のことなんて考えられていなかったのですけどね。
(C)Konami Digital Entertainment
※画面は開発中のものです。
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