コーエーテクモゲームスより2025年3月21日に発売予定のPS5/PS4/Nintendo Switch/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam向けタイトル「ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~」。同作のプロデューサーを務める、細井順三氏へのインタビューをお届けする。

目次
  1. RPGとして面白いものを作ることで、次世代の「アトリエ」シリーズを目指す
  2. 作品として描くテーマは“記憶”
  3. べにたま氏によるキャラクターデザインや少し成熟したユミアのキャラクター像を聞く
  4. オープンフィールドは縦軸の動き、射撃のフィールドアクションなどを導入
  5. 戦闘におけるアイテムの扱い、ハウジングへの言及も

RPGとして面白いものを作ることで、次世代の「アトリエ」シリーズを目指す

――まずは「ユミアのアトリエ」の企画としてのスタートをお聞かせください。

細井:「ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~(以下、ライザのアトリエ)」から始まる「秘密」シリーズが「アトリエ」シリーズとしての大きな分岐点になっています。おかげさまで「秘密」シリーズは、多くのユーザーさんに遊んでいただくことができましたが、それを受けて、次の作品でどういうものを作るべきかというのは、「レスレリアーナのアトリエ ~忘れられた錬金術と極夜の解放者~」のインタビューでも少しお話しした、コンスタントにユーザーさんと対話ができるスマートフォンで展開してコミュニティを作るというところと、「アトリエ」シリーズを今後きちんと継続していくため、やはりグローバルで受け入れていただく作品を作らなければいけないというところでした。

「秘密」シリーズが世界累計出荷200万本を突破し、たくさんの方に「アトリエ」シリーズを知っていただくきっかけになりました。今後も「アトリエ」シリーズを続けていくためには、“チャレンジし続けること”が重要と考えていて、本作に関しては“グローバルで受け入れられるRPGを作りたい”というところがプロジェクトのスタートになります。これまで、「「アトリエ」シリーズだから、これでいいよね」と我々として大きく見直していなかった部分も全て見直して、「アトリエ」シリーズを知らないユーザーの方にも、RPGとして面白く遊んでいただけるものを目指すというのがファーストコンセプトでした。

「アトリエ」シリーズだからこそのアイデンティティや強みは理解した上で、普遍的な部分ではRPGを目指すことで、「アトリエ」シリーズのきちんとしたナンバリングとして進化したもの、次世代の「アトリエ」シリーズというものを目指すというかたちで開発はスタートしています。

細井順三氏
細井順三氏

――これまでの「アトリエ」シリーズと比べても長い期間の開発になっているとは思うのですが、その過程の中で特に話し合ったり、エネルギーを注いできた箇所はありましたか?

細井:本作のディレクターの安彦(「秘密」シリーズのディレクターを担当した安彦信一氏)がディレクターになったのは2019年からですが、安彦とはそのときから「アトリエ」シリーズをどうやって盛り上げていくか?という話はしていて、そこから思想は大きく変わっていません。オープンフィールドにして、ハウジングやクラフト要素を組みこむという思想は、2019年の時点でコンセンサスが取れていました。そこから地に足をつけながら、「アトリエ」シリーズを進化させていったというかたちです。

本作を作る際も、「ライザのアトリエ3 ~終わりの錬金術士と秘密の鍵~(以下、ライザのアトリエ3)」でオープンフィールドでのシームレス体験を追求して一定の評価をいただけたと感じていましたので、本作の構想段階からずっと、2019年から思い描いていたオープンフィールドでの「アトリエ」シリーズを体現する、という共通意識を持って進行してきました。

開発チームで一番話し合いを重ねていったのは、ストーリーと世界観、そして戦闘と調合に関してです。

戦闘に関しては、私はキャラクター性を重視するタイプなのですが、安彦はアクションとしても成立するものにしたいという考えがあり、そこのバランスをどう取るのかが難しかったです。RPGのユーザーさんが楽しめるアクションらしい戦闘のようなものを目指すというのは、「ライザのアトリエ3」からの進化の過程として、いろいろ試行錯誤していきました。

調合システムは一度制作したものがありましたが、プレイ体験として視覚的に楽しそうに見えないと、「難しくてよくわからない調合」になってしまうと思ったので、「よりよい材料を入れればOK」というわかりやすさと、「見ているだけでも楽しめる」調合を目指して作り直しました。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

作品として描くテーマは“記憶”

――作品として設定されているテーマについてお聞かせください。

細井:ユミアが旅をする舞台となる大陸は文明が滅んだ土地になっているのですが、その要因となったことや、旅した際の驚きなどを重要視して、オープンフィールドの設計を行っています。

そしてその根底にあるのが“記憶”というテーマになります。少しスピリチュアルな話になってしまうのですが、人は記憶によって人格が形成されているのか、つまり記憶が無くなったらその人はその人じゃなくなってしまうのかというような観点から、記憶を通じて人の心に寄り添って、その人がどのように成り立つのかというものを描きたいと考えています。今までの「アトリエ」ではあまり描いてこなかったテーマですが、等身大の自分を少し飛躍させたようなテーマとして設定していて、“記憶”という要素はゲームシステムなどにもきちんと組み込んでいます。

――今回公開されたトレーラーからもストーリーをより押し出しているように感じられるのですが、少しシリアスに見える部分も描きたいテーマと連動したものになっているのでしょうか?

細井:描きたいテーマとストーリーを連動させるというのはもちろん考えていましたので、やはりこれまでの「アトリエ」シリーズよりもシリアスですし、それぞれのキャラクターの過去においても胸が締めつけられるようなものなど、人としての経験の積み重ねを真正面から描いています。

もちろん、シリアス一辺倒というわけではなく、旅の中でコミカルなものやコメディ要素も入れています。我々としては「アトリエ」シリーズが持つストーリー性や雰囲気は消していないつもりですし、今作に関しては若干シリアスに寄っている部分もあるというイメージです。ですので、これまでシリーズをプレイされてきている方にも、安心してプレイしていただけると思っています。

――RPGの部分と「アトリエ」シリーズらしい部分、それぞれを見せるというのは受け止めるユーザーによって難しいところがあると個人的には思っているのですが、ゲームの中での区分けという意味で意識している部分はあるのでしょうか?

細井:我々としては「ライザのアトリエ3」のときから、RPGとして楽しめるゲームを目指していて、「ライザのアトリエ3」はその当時の我々が考える最高のタイトルでした。そしてその経験を踏まえた今作での我々の中には、「アトリエ」シリーズとしての見せ方と、RPGとしてのシステムの面白さのバランスをとる難しさがありました。このバランスはいつも悩むところではあるのですが、バランスを考える上で、我々がRPGを意識しすぎて「アトリエ」シリーズを壊すことは絶対にしないよう、要素のひとつひとつをきちんと考えながら取り組んでいます。

変えようとした結果、ユーザーの皆様が望まない方向に行くというのは、我々としては絶対に避けたいと思っています。今作は「アトリエ」シリーズのなかでも最大規模の開発となっていますが、こうしたタイトルを作れるのは、これまで支えてくださったユーザーの皆様がいらっしゃったからです。その期待は絶対に裏切りたくないですし、我々としても吟味しながら進化を選んできたというのがあります。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

べにたま氏によるキャラクターデザインや少し成熟したユミアのキャラクター像を聞く

――キャラクターデザインにべにたま氏を起用された経緯をお聞かせください。また、デザイン全体のコンセプトのようなものはあるのでしょうか?

細井:「ライザのアトリエ3」のキャラクターデザインをお願いしていたトリダモノさんからご紹介していただく機会があり、アプローチさせていただきました。ゲームの開発は長期にわたることが多く、スケジュールが合うかなど確認しながらお声がけさせていただくのですが、今回良いタイミングでお声がけできて、本当に良かったです。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

本作のキャラクターデザインにおいては、さらに多くの人に、グローバルで受け入れられるものにしたいと考えていました。軸足は日本に置いていますが、その上でグローバルに好まれるキャラクターデザインにしようというのは、べにたまさんとずっとお話ししていました。ユミアに関しては早い段階からコンセプトが決まっていたのですが、調整にすごく時間がかかり、一番最後に決まったキャラクターになりました。

また、今回は武器や性格なども含めてキャラクターが変化する要素を入れたいと思っていました。ユミアであればスカートのボタンを外して可動域を広げるなど、変化していく部分をユーザーの皆様に感じてもらえるようなキャラクターという点もコンセプトになっています。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

――ユミアのキャラクター像についてもお聞かせください。

細井:ユミアは母親が行っていたことの真実を知りたくて、調査団に志願して旅をすることになります。我々が描きたかった今回の主人公像というのは、とにかく前向きに物事に取り組んでいくというものでした。

芯の強さをベースとして描きつつ、自立した前向きな女性という描き方になっています。同年代の相手には軽いコミュニケーション、目上の人には相応のコミュニケーションという感じで、イメージとしては等身大な20歳前後の女性というものを描いています。

――「アトリエ」シリーズの主人公の中では大人ですね。お母さんの真実を知りたいという意味で目的もはっきりしていますし。

細井:実は元々の年齢はもう少し低くみていたのですが、シナリオを制作していく際にもう少し大人びた女性になっていきました。ユミア自身は人格的にもある程度完成されていますので、「精神的な成長を描いていく」という部分でこれまでの「アトリエ」シリーズとは少し違った物語の描き方になっていると思います。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

――今回はパーティキャラクターも発表されていますが、それぞれの特徴とユミアとの関わりについて可能な範囲でお聞かせください。

細井:ヴィクトルはユミアが所属する調査団のチームのリーダー的な役割で、ユミアを監視する役目を担っています。正義感があり、熱血漢なところもあります。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像
「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

アイラはヴィクトルの妹なのですが、天真爛漫なところがありつつも、どこか影もあるキャラクターになっています。ユミアにとっては、同年代で心を許せる相手になっていくという関係性です。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像
「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

ニーナは謎が多い女性として描いていて、物語の核心にも触れるようなキャラクターとなっています。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像
「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

レイニャは亜人種という種族です。周りから認めてもらいたいというところで、役に立とうとする献身的な性格のキャラクターです。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像
「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

ルトガーは金目のものが好きで、これまでの「アトリエ」シリーズにあまりいなかったような現実主義なキャラクターになっています。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像
「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

――それぞれにバックボーンもありそうで、そういったところもストーリーに絡んできそうですね。

細井:さらに、今回はヴィランも存在するのですが、そちらもバックボーンが描かれていて、彼らの主義主張というのも一定のご理解をいただけるのではないかと思います。

――家庭用の「アトリエ」シリーズでヴィランを描くというのもこれまでのイメージから考えると驚きですね。

細井:本作のストーリーを描くうえでは必要不可欠だと思いましたし、ユーザーの皆さんからもご意見をいただいていましたので、ヴィランを描くかたちにしました。

――キャラクターのグラフィックについて、今作ならではのポイントはあるのでしょうか?

細井:モーションなどに関しては「ライザのアトリエ3」以上に数を増やしています。表情に関しても非常に力を入れていますので、キャラクターの表現に関してはぜひご覧いただきたいと思います。

また、ユミアの隣にはフラミィという相棒がいます。フラミィは実装が難しい部分があったので登場させるか悩みましたが、実際にいるとユミア1人より会話が弾むので、ユミアのキャラクター性を伝える存在としても、良いキャラクターになっていると思っています。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

グラフィカルな部分ですと、ストーリー中に表示されるイベントスチルに関しては、今回は動的なスチルを導入しています。これまでは1枚のスチルを表示してセリフが流れるかたちでしたが、本作ではスチルの奥行きなども感じられるように、ムービーのようなイメージでスチルが表示されるようになっています。そこも新鮮さを感じていただける部分になっているのではないかと思います。

オープンフィールドは縦軸の動き、射撃のフィールドアクションなどを導入

――オープンフィールドは「秘密」シリーズからの発展的なアプローチだとは思いますが、構造的にはどのような意識があるのでしょうか?

細井:今回はおもに「ライザのアトリエ3」でユーザーの皆さまからいただいたご感想・ご意見を参考しています。シームレス体験というのは非常に好評でした。その上で今回は縦軸の動きをすごく意識しています。

「ライザのアトリエ3」では縦移動に関してはあまりアクションが無かったのですが、本作では壁ジャンプを使って、アクティブにフィールドを闊歩できるようになっています。これにより、ストレスなくフィールドを探索できるようになっています。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

また、今回射撃のフィールドアクションを採用したことによって、遠いところに対してアクセスすることも可能になりましたし、プレイ体験として非常に新しいものになっていると思います。ただ、フィールド上では射撃で敵を倒すことはできないようになっています。そこについてはアクションゲームではなくRPGを作っていますので、射撃によって一定のデバフを与えた有利なかたちで戦闘に入るという活用方法になっています。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

フィールドギミックに関しても「ライザのアトリエ3」以上に多く実装していますので、そのあたりもご期待に応えられるものになっているのではないかと思います。また、グラフィックに関しても、本作では「みずみずしさ」を意識したフィールドになるよう、CGのディレクターと話をして開発しています。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

――今回もオープンフィールドは複数の空間を用意されていると思うのですが、そこの表現の差というのも意識されているのでしょうか?

細井:本作には複数のエリアが存在していて、それぞれのエリアでプレイしていく上での新鮮さが失われないよう、慎重に設計しています。こちらも皆さんのご期待に添えるようなものになっていると思います。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像
「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像
「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像
「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

――調合に関しては今回一新されているということで、特徴的な部分があればお聞かせください。

細井:「秘密」シリーズの時も考え方としては同じで、リンケージ調合は「マテリアル環に材料を入れるだけ」という分かりやすさがありました。どのアイテムを材料にするかなどを吟味することによって、より強いアイテムを作る面白さもありますが、調合をやりこまなくてもゲームとして成立できるようなゲームデザインをしていました。

本作も基本的には調合を嗜む程度に遊んでいただければクリアできるようにしていますし、さらに極められる人は極められる設計になっているという感じです。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像
「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

――近年の作品で探索そのもののアプローチが広がっていく中で、採取、調合、戦闘のサイクルのバランスとして意識している点はありますか? 本作については調合は探索における助けになるもの、というニュアンスがより強くなっているのかなと思うのですが。

細井:補助とまではいかないものの、調合だけをメインに考えてほしいというわけではありません。もちろんストーリーの重要な局面での錬金術の存在は大きいですが、フィールド探索をメインに考えた結果、探索の過程で手に入れたものを使って調合して役立てることで、より冒険が楽になるといったサイクルにしています。

「秘密」シリーズでは、調合したアイテムを使って特定の地点で敵を倒す、その倒した敵から手に入る新しいアイテムを使ってさらに調合するといった、調合を起点とした進行方法がベースにありましたが、今回はフィールド探索がベースになっています。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

戦闘におけるアイテムの扱い、ハウジングへの言及も

――戦闘システムは冒頭でのお話の限り、よりやりたいことに近づいてきたのだと思いますが、現状で話せる特徴についてお聞かせください。

細井:戦闘中にキャラクターがアクティブに移動できるというところが非常に大きいと思っています。そして、プレイヤースキルで戦闘の状況が改善することがあるというところも大きなポイントです。

我々の設計思想上では、RPGとしてプレイヤーの方の戦略志向が色濃く反映されるものがよいかなとは考えていて、その一方でプレイヤースキルに依存しすぎるとRPGとしての匂いが薄まってくるのではないかとも思っていました。そうした部分のバランスをとりつつ作ったのが本作の戦闘です。

本作ではプレイヤースキルによって状況が変わったり、移動することによって戦略が増すというのは大きく進化したところだと思います。ただ、これまでの「アトリエ」シリーズを通して、移動やジャストガードが手間だと感じられているユーザーさんもいらっしゃいますので、それらをしなくても遊べるような戦闘設計にはなっています。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

またRPGでありつつキャラクターゲームとしても楽しんでいただきたいので、操作することによって、よりキャラクターが魅力的に見える動きや角度なども考えながらバトルシステムを設計しています。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

――映像を見ていても、戦闘中のモーションに関しては従来のシリーズよりも流れがあって、よりRPGらしさを感じる部分があります。

細井:そういった点はこれまでも見直してきてはいたのですが、まだ不足している面でもありました。今回は今の我々が考えられる中で、やりきることができたかなと思っています。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像
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「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像
「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像
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――また、映像からアイテムの仕様がよりスキルと並列になってコマンドとして組み込まれているように見えました。シリーズとしては大きな変化の一つだと思うのですが、最初からこうしようと決めていたのでしょうか?

細井:はい。そこは最初からですね。アクションとしても楽しめるような戦闘にするという考えの中では、戦闘中にアイテムを使うたびにメニューが表示されて動きが止まるというのは、ストレスを与えてしまうのではないかと思ったんです。「アトリエ」はアイテムを使うことが多々あるゲームですので、今回目指している方向性にマッチする方法として、スキルと並列のコマンドにするという形にしています。

――今回はまだ存在だけ触れられていますが、新たに登場するハウジングについても、どういった方向性のものになっているのかだけお聞かせください。

細井:ハウジングは、プレイヤーの皆さんに楽しく個性的に遊んでいただきたいので、世界観を度外視したデザインの家具なども用意しています。我々としてもきちんとしたものが作れたと感じていますので、ぜひご注目いただければと思います。一方で、ユーザーさんの中にはハウジングがあまり好きではないという方もいらっしゃると思います。先ほど調合や戦闘のところでも触れましたが、本作はRPG体験を大事にしていますので、その体験が損なわれないように設計しています。遊びごたえがありつつも、お手軽にハウジングができるプリセットなども用意していますので、ぜひ期待していただければと思います。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像
「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

――最後に「アトリエ」シリーズ、そしてRPGファンに向けて一言いただければと思います。

細井:いつも「アトリエ」シリーズを応援していただきありがとうございます。今回「アトリエ」シリーズの新作として「ユミアのアトリエ」を発表いたしましたが、本作は「アトリエ」シリーズとしては最大規模の開発になっています。これまで「アトリエ」シリーズに興味がなかった方、そしてこれまで遊んでいただいたかにも必ずご満足いただけるようなタイトルにすべく制作しています。ぜひご興味があれば手にとっていただければと思います。これからも応援よろしくお願いいたします。

――ありがとうございました。

「ユミアのアトリエ」はRPGとして面白いものを目指す――プロデューサーインタビューで語られた「アトリエ」新タイトルの試みの画像

2011年イクセル入社後、Gamerをはじめとした媒体の運営に携わる。好きなジャンルはRPG、パズル、リズム、アドベンチャー(ほぼギャルゲー)。実はゲームよりもアニメが大好きです。

※画面写真はPS5で開発中のものです。

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