Gamerで執筆しているライターに、年末年始に合わせて自由に書いてもらおうという企画。本稿では、ライター・アサミリナによる、「サガ エメラルドビヨンド(以下、サガエメ)」、「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン(以下、ロマサガ2R)」の記事をお届けします。
2024/12/30 10:57 記事内の難易度に関する表記に誤りがございました。謹んでお詫び申し上げるとともに、ここに訂正いたします。
なんだかよくわからないゲームだったのに時間泥棒だった「サガエメ」
「サガエメ」については上記の記事にてレビューも書いたのですが、本作は一言で述べるなら、「変テコ」でした。
多分一番いい表現としては「尖りに尖りすぎたゲーム」なのでしょう。だから、「サガエメ」を他のゲームに例えてくれと言われても、全く思い浮かびません。強いて言うなら前作の「サガ スカーレットグレイス」なのですが、全然違う「サガ」に進化しているとも言えます。
ちなみに筆者は「万人には勧められないけれど、ハマる人がやったら最高に面白い」と言い続けてきました。発売から半年以上が経っても、この感想は変わらないのですが、とにかくプレイをしてみてもらえれば「なるほど、そういうことね~」とニヤニヤする作品です。言ってしまえば「ちょっと通ぶってみたい人」に、絶対やってほしい作品です。
「サガエメ」でとにかく面白いのはバトル。いや本当に100時間遊べました(ラスボスがどうしても倒せなくて、泣きながら鍛え直した時間含む)。
連携をどうやってつなげていくか、敵の連携をどう阻むか、とにかく戦略の幅が凄まじく、更にタイムライン上に自分だけ(敵だけ)がぽつんと取り残された時に繰り出せる「独壇場」が素晴らしかったです。自分の独壇場がぽろりと出て棚ぼた的に勝てて「うわぁ!(喜び)」となることもあれば、敵の独壇場を阻むタイムラインがどうしても組めずに「うわぁ……(涙)」なんてこともありました。
バトルの難易度は全体的にかなり高く、ゲーム初心者がいきなりこの作品をプレイしたら即投げ出すレベルだったと思います。ですが、理解してしまえばスルメゲーで、このスルメに見事ハマってしまった人は本作を「神ゲー」と称することになるのです。
また、「サガ」シリーズのフリーシナリオは本作でも健在で、周回が前提のゲーム作りですが周回するたびに違うイベントが起こって、プレイヤーごとに違う体験ができるというのは、さすがでした。これって本当にどういう仕組みなんでしょう。どの世界でどういうイベントが起こるのか、周回するたびに違うんですよね。
そしてシナリオの内容は「これでいいのか?」となることも、しばしば。やっぱり「変テコ」なゲームでした。でも、このよくわからないシナリオと、バトルの面白さとで、気がつけば100時間遊んでいられるゲームとなっていました。
キャラクターも個性的で良かったですね。個人的にはシウグナス編と、ボーニー&フォルミナ編がとても好きでした。シウグナス様は「サガ」のソシャゲ「ロマンシング サガ リ・ユニバース(ロマサガRS)」でも、積極的に引きに行っています。

今年のGOTYはこれ「ロマサガ2R」
尖るに尖った「サガエメ」に対して、とことんユーザーに寄り添った超良質なフルリメイク作品となったのが「ロマサガ2R」でした。
SFC版の原作は難易度が高かったのですが、本作に搭載された難易度「カジュアル」はいつもいつも尖り続けてきた「サガ」らしくない要素でした。原作の「ロマサガ2」の面白さは維持しつつ、「サガ」を誰でも遊べる難易度に引き下げてしまったのです。おっと、「誰でも」と言いましたが、これはあくまで「サガ」なので、脳死で一番上のコマンドだけを選んでいてもやはり勝てません。そこは「カジュアル」でもちゃんと考える必要があるのですが、これはバトルの楽しさがきちんと残されていて、良い塩梅の調整だったと思います。
そして難易度「ノーマル」「オリジナル」「ベリーハード」「ロマンシング」と全部で5つの難易度があり、自分に合った難易度でとことんやりこめる。難易度「ロマンシング」なんて、「は?」となるほど敵が硬いのですが、きちんと育成して考えれば勝てるようになっていて、決して「理不尽」ではない調整でした。
「サガ」と言えばまずバトルが浮かぶ筆者にとって、この全難易度で考え抜かれたバランス調整は見事としか言いようがなく、令和の時代に蘇った神リメイクと言わざるを得ないわけです。
あとやはり皇帝継承システムは「ロマサガ2」ならではの独自システムなので、改めて様々な皇帝を選んでいくこのシステムは素晴らしいなぁと感じました。SFC版の皇帝継承はかなりランダム性が高かったが故に、わざと皇帝のLPを0にする「ルドン送り」なんていうシステムも生まれてしまいましたが、「ロマサガ2R」ではランダム性を残しつつもプレイヤーの不満が生まれにくい配慮がされていて、ここの調整も神がかっていました。

グラフィックも、初報のころはやはりSFC時代の小林智美さんの耽美的なイラストの印象が強くてちょっとポップになったキャラクターたちに違和感があったのですが、遊んでみると「このグラフィックが最適解だった!」と思えます。最先端ではないけれど、かっこいいキャラ、かわいいキャラ、衣装もオリジナル版を尊重しつつさりげなく現代風にリファインされており、細部に渡ってこだわりと感じます。
シティシーフ(女)ちゃん、本当に可愛いなぁ。

あと、フリーシナリオが令和の時代にすごく合っていました。これは前述の「サガエメ」にも言えることなのですが、他の人のスクリーンショットを見て、「え、これなに!?」という驚きがあるのが、「サガ」のフリーシナリオのすごいところです。ネタバレというより、「私もここやったけれど、こんなことできるんだ!?」「こんなイベント起こるんだ!?」という驚きを共有できるんですよね。何せSFC版の発売当時はインターネットすらない時代だったので、フリーシナリオを体感するのは自分の周回プレイにかかっていたのですが、SNSが発展したこの時代になって「こんなこともできるんだ、すごーい!」という純粋な驚きがありました。
他、全体的に原作に深いリスペクトを感じるリメイクになっていて、「そうそう、こういうリメイクがやりたかったんだよ……!(号泣)」と、嬉しさのあまり涙を流しました。そんなこんなで、結局、難易度ロマンシングまで含めて、気付いたら100時間以上溶けていたという……。「ロマサガ2R」恐ろしい子!
正直なところ「GOTYがリメイク作品ってどうなんだろうな……」とも思ったのですが、何をどうしても「ロマサガ2R」は全作品が見習うべき神リメイクでした。残すべきところを残し、プレイヤーの遊びやすさを追求し、それでいて「こういうシステムを新しく搭載したけど、原作過激派は切ることもできるよ~」という親切機能が満載すぎですし。
もちろん、今年他にもたくさんのゲームをプレイし、「サガエメ」や「ロマサガ2R」よりもプレイ時間そのものは遊んだゲームもあったのですが、この2024年という年に「サガ」の新作が出てそれがとんでもなく面白かったこと、「ロマサガ2」という素晴らしいリメイク作品が出たことから、今年は勝手に「サガイヤー」と名付けました。
2025年もまだまだ「サガエメ」と「ロマサガ2R」をプレイしたいくらいなので、まだプレイしていない方はぜひプレイしてみてくださいね。

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