スクウェア・エニックスが2025年9月30日に発売するPS5/PS4/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch/PC(Steam)用ソフト「ファイナルファンタジータクティクス - イヴァリース クロニクルズ」のレビューをお届けする。
1997年6月20日にプレイステーションで発売された「ファイナルファンタジー」シリーズ初のシミュレーションRPG「ファイナルファンタジータクティクス」のリメイク作「ファイナルファンタジータクティクス - イヴァリース クロニクルズ」。

加筆・修正されたストーリーがフルボイスで展開し、刷新されたUIと進化したグラフィックスで楽しめる“エンハンスド”と、オリジナル版を忠実に再現した“クラシック”が収録されている。ここでは“エンハンスド”をプレイしてのレビューをお届けする。

フルボイスにより、より胸に刺さるドラマに
「ファイナルファンタジータクティクス」はイヴァリースを舞台に国家間の問題や貧富の差を題材にした社会派のストーリーが展開するゲームだが、その魅力はキャラクターが善であれ悪であれ己の信念を持っているところであろう。それぞれの信念がぶつかり合うドラマは決して折り合いで治まることはなく、最後まで平行線を辿る。もともとそんな重厚なドラマに惹かれる作品ではあったが、“エンハンスド”は実力派の声優陣の芝居によってさらに引き込まれる。

ラムザやディリータ、アグリアス、ガフガリオンといったメインキャラクターはもちろんだが、サブキャラクターたちも声優陣の迫真の演技が合わさったセリフの数々が心に訴えてくる。たとえば躯旅団のミルウーダの「数ヶ月も豆だけのスープで暮らしたことがあるの? なぜ私たちが飢えなければならない? それは貴方たち貴族が奪うからだ!」というセリフはボイスがあるからこそ心に響く。


また、汎用ユニットもボイスが付いたことによって個性が一気に増した。原作ではメニュー画面のキャラクター画面でセレクトボタンを押すことでキャラクターのセリフをチェックすることができたものの、それ以外ではパーソナルな部分が出てくることはなかった。しかし、今回は戦闘前や戦闘中に性格に合わせたセリフや掛け声を話すようになったので、それぞれのユニットにより感情移入しやすくなっている。

ゲームバランスが調整されており、新鮮に楽しめる
“エンハンスド”に関しては難易度選択や戦闘中のオートセーブなどの便利な機能が揃っている。とくにオートセーブは便利で、AI設定でバトルをしているときは事故のようなシチュエーションで仲間が死亡して、目を離している間にクリスタル化してしまうこともあるが、オートセーブをロードし直せばやり直すことができる。オートセーブされるタイミングはこまかく、直前からやり直すことができるので時間を無駄にすることはない。

難易度に関してもいちばん簡単なカジュアルはゴリ押しで進めるぐらいの難易度でありつつもゲームバランスで崩れているほど簡単ではないので、しっかりやり応えを感じることができるようになっている。

また、オリジナル版はランダムエンカウントであったため、育成するためにはバトルが発生するまで移動をくり返す必要があったが、本作はボタン1つでバトルに入れるようになり、育成時のストレスが緩和されている。バトルが発生したときも挑むか挑まないか任意で選択もできるようになっており、余計な戦闘をしなくてもいい。

グラフィックスに関してはドット絵の温かみを維持しつつHD化。原作では高低差が激しいとユニット同士の距離感がわかりにくくなることもあったがワンボタンで俯瞰で見渡せる機能が用意されているのでプレイしやすくなっている。

刷新されたUIは画面に合わせたデザインとなっており違和感はなく、操作性も向上している。とくに以前はできなかった移動のやり直しが可能になったことはとても便利だ。
ほかにも行動順がアイコンで表示される“コンバットタイムライン”の追加も見どころ。詠唱時間がかかる魔法など、どのタイミングで発動するかがすぐに確認できるため、戦略が立てやすくなっている。
なお、アビリティのチャージタイムが見直されたことで、チャージが必要な強力な技や魔法が当てやすくなっている。弓使いや召喚士といったジョブが使いやすくなっており、これはもちろん敵側のユニットとして登場したときにも脅威となるのでオリジナル版をやり込んだ人も新鮮に遊べるはずだ。とくに召喚士は早めに倒さなければ一気に自軍がボロボロになることも。原作以上にハラハラとしたバトルが楽しめる。


もともと「ファイナルファンタジータクティクス」はジョブやアビリティ、クリスタルなどの「ファイナルファンタジー」らしさを詰め込んだ内容でありつつ、重厚なドラマと歯ごたえのあるバトルで多くの人の心を掴んだ作品。今なお熱心なファンが多いと思うが、この「ファイナルファンタジータクティクス - イヴァリース クロニクルズ」の発売をきっかけにさらに盛り上がるはずだ。当時のファンはもちろん、遊んだことが無かったという人こそ手に取ってみて欲しい。
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