セガよりPS5/Xbox Series X|S/PC（Steam/Epic Games Store/Windows）/Mac/Netflix版が11月5日（PS5/Switchパッケージ版は12月4日発売）に配信される「Football Manager 26」。開発を手掛けるSports Interactiveのスタジオディレクター マイルズ・ジェイコブソン氏へのインタビューの模様をお届けする。
「Football Manager」（フットボールマネージャー）は、セガと英国の開発会社Sports Interactiveを代表する世界的に人気のサッカーマネジメントゲームシリーズだ。2004年に発売された「Football Manager 2005」からシリーズがスタートし、これまでにさまざまな進化を続けてきた。
本作ではシリーズ史上初めてUnityエンジンが採用されており、試合演出、戦術、スカウティング、ユーザーインターフェース（UI）に至るまでのマネジメント体験が一新されたほか、プレミアリーグの公式ライセンスや女子サッカークラブの追加など、シリーズの新時代を切り開く内容となっている。
――まずは、インタビューに際して、ひと言お願いできますか。
過去30年の中で去年（2024年）が初めて「フットボールマネージャー」を発売できなかった年になるのですが、それについては本当に申し訳ございませんでした。去年出すことはできませんでしたが、仮に発売したとしても皆さんに満足いただけないことが想定されたので、上層部と協議した結果、発売するよりもキャンセルしたほうが良いという結論になりました。
ただすごくラッキーだったのが、「FM25」が出ない間も多くの人に「FM24」をプレイしていただき、200万人くらいのプレイヤーがずっと遊び続けてくれました。
また、今回のインタビューにあたって世に出ていない情報も用意してきました。先週、「FM24」が全プラットフォームを通して2,000万人のプレイヤー数を記録しました。「FM24」が発売されて以降、そういった情報を調べていなかったので、我々としても驚いています。
――「FM26」において、重視したテーマがあればお聞かせください。
「FM24」と比較すると全体を通して新しくなっています。そもそも「FM24」自体が、今まで使ってきた自社開発エンジンで作った最後の作品となっており、「FM26」からゲームエンジンをUnityに差し替えました。なので、グラフィック面はもちろん、UIも全体的に刷新しています。
今回開発するにあたって、どの機能を今まで通りにするか、もしくは新しくするべきかというのは、ずっと検討を続けてきました。なので、今までシリーズをプレイしていただいた方が「FM26」を触ると、すぐに変化を感じられると思います。逆に、本作からシリーズに初めて触れる方にとっては、非常にとっつきやすいUIデザインやゲームシステムになっています。
――「FM24」が日本でのデビューとなった作品となりますが、今日に至るまでの日本のユーザーの反響などをご覧になっていかがですか？ また、「FM24」から「FM26」の開発にいたるまで、日本ユーザーの声なども取り入れられているのでしょうか？
非常に良かったというのが率直な感想としてあります。というのも、当初想定していたよりも多くのプレイヤーに遊んでいただけたからです。Jリーグの追加というのが大きな要素だと思いますが、Jリーグの中でもJ3まで用意した点も評価されたポイントだと思っています。
「FM24」が発売される以前だと、日本はそこまで大きなマーケットではなく、4万人ぐらいプレイヤーがいれば良いというところでしたが、「FM23」から比べると618％くらい増加しました。113時間という平均プレイ時間もあわせて、大成功だと思っています。
もちろん、日本のプレイヤーの声も「FM26」には取り入れています。「FM24」の時点でかなり成長できた市場ではありますが、まだ成長の余地がある市場だと捉えているので、「FM26」でもっと伸ばしたいです。
――初心者に向けて新たに導入した要素があればお聞かせください。
まずチュートリアルを2つ用意していてます。1つはサッカーに関する基本知識を知れるもの、もう1つが「フットボールマネージャー」をプレイするためのチュートリアルです。
「フットボールマネージャー」シリーズについては、去年からさまざまなサブスクリプションサービスにも登場し、多くの人に遊んでいただきました。その中でも早めにリタイアしてしまったプレイヤーも多く、実際に意見を聞く場もあったのですが、「そもそもサッカーに詳しくない」「ゲームにとっつきにくい」という声がありました。
「FM26」を作るにあたって、そういう声はもちろん、先ほど言った日本のプレイヤーの意見も取り入れ、UIとしてもとっつきやすいものを作ろうと努力しました。
――事前にプレイさせていただいた際、不具合などもあり詳細まで確認できなかったので、改めてにはなりますが、UIの変更などで特に力を入れた部分があれば教えてください。
注目ポイントとして、まずヘビーユーザー向けになりますが、タクティクスのシステムがかなり強化されています。実際に選手やクラブのコーチにも協力していただき、倍くらい増えているので、喜んでいただけると思います。
新規ユーザー向けには、まずメインメニューを分かりやすいようにアップデートしています。グラフィックも新規のエンジンを取り入れたことで向上しているので、こちらも喜んでいただけるとポイントだと思っています。
バグやクラッシュについては、先週（インタビュー実施日は9月24日）までで80件くらい残っている状態でしたが、昨日時点で43件まで減らしました。残り3週間くらいですが、もちろんバグ0、クラッシュ0を目指しています。タイトなスケジュールにはなりますが、スタジオ総出で対応中です。
――新しいUIで登場した“ポータル”について、導入の意図などを伺えればと思います。
「FM25」の時点ではEメールをなくし、チャットシステムのような形で搭載することを検討していました。リアルの監督の方々も、基本的には「WhatsApp」と呼ばれるアプリで連絡を取ることが多かったので導入しようとしましたが、用意していたシステムが機能的にあまり良くありませんでした。これが「FM25」をキャンセルした理由の1つにもなっています。
「FM26」への移行は、良くない部分から新しくするのを目標にスタートしています。当時の「FM25」は「フットボールマネージャー」らしくないというのが正直な感想で、言ってしまえば“パチモン”のようなものでした。なので、「フットボールマネージャー」らしさを表現するためにもポータルという要素を入れ、「フットボールマネージャー」らしさに戻るというのが最初にありました。
「フットボールマネージャー」シリーズのような年次タイトルを作っている会社として、間違いというのはしっかりと見つけて、反省した上で次に活かさなくてはという思いがあります。「FM25」は世に出ていない作品ではありますが、しっかりと見直しをして、良くしていかなければというのが信念としてあります。
――女子サッカーの導入は2021年から始まったプロジェクトとなっていますが、その願いを実現できた感想をお聞かせください。またマネージメントしていく上での違いなどは辺りするのでしょうか？
本作で女子サッカーを実装できたのはもちろん、世界中のリーグの協力を得られたことも大変嬉しく思っています。
ゲームのモーションについては、体の構造が男性と異なるため、一から作り直しています。システムで言うと、移籍や契約、ファイナンス周りが男子サッカーと違うところがあるので、そこも一から考え直して作っています。
またシステムの中で、選手の身長によってプレイスタイルが変わってくるという要素を新たに用意しています。例えば、キーパーが小さければゴールの上の隅を狙うようになり、そこは男女関係なくシミュレートしています。
まだゲーム内には実装していませんが、「フットボールマネージャー」はできるだけリアルの世界を描いていく作品なので、妊娠などもゲーム内の要素として導入していこうと思っています。
――最後に日本のプレイヤーへのメッセージをお願いします。
プレイしていただいてる方々には本当に感謝を伝えたいです。「FM26」で初めてシリーズに触れてみるという人もぜひ楽しんでいただければと思っています。
(C) Sports Interactive Limited 2025. Published by SEGA.
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