映画「アイカツ!×プリパラ THE MOVIE -出会いのキセキ!-」の公開を記念した、プロデューサー対談インタビューをお届け。
2025年10月10日より全国の劇場で公開中の映画「アイカツ!×プリパラ THE MOVIE -出会いのキセキ!-」。もともと女の子向けのアーケード筐体として登場、メディアミックス企画としてTVアニメも放送されるという共通点を持つ、言うなれば“ライバル”だった2大コンテンツがコラボ映画を公開するに至った歴史は、どんなものだったのか?
「アイカツ!」でプロデューサーを務めたバンダイ・原田真史氏。「プリパラ」を含む「プリティーシリーズ」でプロデューサーを務めたタカラトミーアーツ・大庭晋一郎氏。実は“ふたりで飲みに行く仲”だったというふたりの視点から、過去・現在、そして未来まで、2大シリーズについて語ってもらった。

おもちゃ売り場から消えた女の子たちを、もう一度おもちゃ売り場に
――最初に、おふたりそれぞれの「プリティーシリーズ」と「アイカツ!シリーズ」とのこれまでの関わりについて教えてください。まず大庭さんの「プリティーシリーズ」との関わりについて教えてください。
大庭:僕はアニメ化以前の「プリティーリズム ミニスカート」を売り出すためのプロモーションを担当しており、この試みを広めるためのメディアミックス戦略として、AKB48コラボや「りぼん」さん、後に「ちゃお」さんで漫画を連載してもらいました。
そのあとでTVアニメの立ち上げにも参加して、かなり手広くメディアミックス全般に関わることになっていきます。まだタカラトミー本社に所属していたころですね。「プリティーリズム・オーロラドリーム」のアニメが始まったころにAM事業ごとタカラトミーアーツに異動になって、それ以降は「ワッチャプリマジ!」までのシリーズに関わることになります。

――当初は、タカラトミーアーツとシンソフィアで作り上げようとしていた「プリティーリズム」を、どのように広めるか? というところを手掛けていたんですね。
大庭:そうですね。「女の子のライフスタイルの中に、どのように取り込んでもらうか?」というところをプロモーションにおけるコンセプトにしていました。「プリティーリズム」の前に「オシャレ魔女♥ラブandベリー」や「ワンタメ ミュージックチャンネル」などがありましたよね。
「ラブベリ」の終了と前後して、女子小学生にリアルのファッションブームが来たんですよ。すると、おもちゃ売り場に女の子が居なくなっちゃったんですよね。「どうすれば、おもちゃ売り場に女の子が戻ってきてくれるのかな?」と、当時の上司が“売り場の劇場化”をテーマに、女の子向けのアミューズメント筐体に挑戦しよう、と作られたのが「プリティーリズム」でした。
タカラトミーは根がおもちゃ屋さんなので、「キラキラした宝石から服が出てきたら、なんてワンダーなのでしょう?」と考えて生まれたのがプリズムストーンだったんです。出てくる服もブームを踏まえてリアルクローズに近いものを取り入れて、“ファッションをホビーに落とし込む”ことでライフスタイルの中に取り入れてもらおうという戦略でしたね。
――メディアミックス全般を含めたプロモーションという意味では、大庭さんの立ち位置は「プリパラ」以降のシリーズでも変わらずで?
大庭:はい。ただ、メディアミックスで足並みを揃えて連動させていくとなると、「アニメに登場させることを考えたとき、ゲームの内容そのものをどうするのが良いのか?」と考える必要もあり、開発にも首を突っ込むことになりました。開発のシンソフィアさんにお願いすることも増えたので、いろいろ負担も掛けてしまったと思います。その上で、アニメ制作のタツノコプロさんの現場とも繋げつつ、メディアミックス全体で“軸を通す”ことがより重要な作業になっていきましたね。
――ありがとうございます。では、原田さんと「アイカツ!」についてもお願いします。
原田:私が担当したのは、初代の「アイカツ!」になります。「アイカツスターズ!」以降はしばらく携わっていませんでしたが、新たな「アイカツ!」のフランチャイズを立ち上げようということで、去年より「アイカツアカデミー!」のプロデュースや、それに併せてシリーズ全体のブランディングに携わっています。もともとはナムコと合併する前のバンダイでビデオゲーム事業部にいて、もっと前だと「ワンダースワン」とその対応ソフトに関わったりしていました。
それとは別にカード事業部というところがあって、ここは“カードダス”を全国の自販機で販売していた部署でした。当時のカードダス事業はカード1枚につき20円~25円くらいで売っていたことになるんですよね。そんな中、「セガさんは1枚100円で販売するモデルを成功させている」と。

――なるほど(笑)。販売するカードの枚数で換算すると「ラブベリ」や「甲虫王者ムシキング」はそういう言い方が出来ますね。
原田:しかも、大ヒットしているじゃないですか。この市場に、カード事業部で挑戦することになったんです。カード事業は、もともと薄利多売な側面があり、製造原価との闘いが常なので、「アイカツ!」の立ち上げに関しても、タカラトミーさんみたいに、立体物である“宝石を販売する”みたいなことは、最初からあまり考えてはおらずで。
カード事業部にはゲームを作るノウハウは乏しかったので、バンダイ時代のビデオゲーム事業部から自分を含む一部のスタッフが異動して、色々なデータカードダス筐体のタイトルを手掛けていきました。
「プリティーリズム」が稼働した直後には、チームのみんなで社用車を使って見に行きましたよ(笑)。「筐体のそこが回るんだ!?」みたいに言い合ったりして。
大庭:回すとキャラクターが回転するんですけど、ゲームの機能としての意味はなかったんですよね、掃除も大変で……(苦笑)。ところで、データカードダスの1号機って何だったんですか?
原田:私が異動になる前に作られていた「ドラゴンボール」、「NARUTO-ナルト-」、「デジモン」が第1世代ですね。投入直後は成果が出たものも、インカムのキープが難しく、“遊びのサイクル”の構築は試行錯誤が続きました。
お金を入れていただき、カードが出て、それを使ってもらうことでよりカードに愛着を持ってもらう。そして次回、そのカードを持ってまた遊びに来てもらい、新たに手に入れたカードを組み合わせるとさらに楽しい。長く楽しんで頂くには、そういうサイクルを確実に作る必要があります。また、このサイクルを楽しんで頂くためには、カードに“圧倒的な主役”みたいなものを作らない。圧倒的な主役がいるとこのサイクルは成り立ちづらいんです。これはトレーディングカードゲームなどでも同様だと思いますが。
――「このカードさえ手に入っちゃえば満足!」みたいなものがあると、そこから先は発展しづらい、みたいなことでしょうか?
原田:そうなんです。「人気キャラクター=強さ」みたいになっちゃうと、カードとしての広がりは、もうそこで終わっちゃいますよね。女の子向けのタイトルとしては「プリキュア」や「たまごっち」のアーケードゲームなどもリリースさせて頂きましたが、先ほどのサイクルを回し、データカードダス筐体が持っている楽しさの真髄を引き出すなら、オリジナルキャラクター(筐体の特性から逆算した世界感)を作る必要がある、というところから「アイカツ!」は始まったんです。それが端的に現れているのが、「芸能人はカードが命」です。
「プリティーリズム」筐体の隣に「アイカツ!」筐体がやってきた
原田:当時、アーケードゲーム筐体でTVCMを放送するというのは、業界の風習としてほとんどないことだったんです。お店を訪れた方に、いかに興味を持ってもらって遊んでもらうか? というのが基本的な考え方だったと思うのですが、玩具やカードを販売しているバンダイとしては番組内にTVCMを入れることは普通だったので、「アイカツ!」でもデータカードダスのTVCMを打ちました。結果的に、普段はお店に来ないようなお客さんも遊びに来てくれるようになって、売り場の方にも喜んでいただけたんです。
もちろん「プリティーリズム」がそれで成功を収めていたことも念頭にありましたけどね。データカードダス筐体も、「プリティーリズム」の隣に置かせていただくみたいな(笑)。それが、今回の映画の新曲(ED)のリリックにつながっていくとは。
――新曲「プリティー×アクティビティ」の歌詞の通り、まさに「笑っちゃうくらい近くにいた」(笑)。大庭さん側としては、「プリティーリズム」筐体の隣に「アイカツ!」筐体がやってきたときはどんなお気持ちだったんですか?
大庭:でもやっぱり、「プリティーリズム」が孤軍奮闘していたときよりも、ほかのメーカーさんも参入してきたことで市場が増えましたよね。お店のほうからも、そこで初めてマーケットとして認知してもらえた感触がありました。「ラブベリのブームは終わったのに、一社だけ変わったことをしている」ではなく、「あぁ、こういう市場があるのか」と理解してもらえたという意味では。
原田:どちらもメディアミックスで外からお客さんをお店に呼び込んでいましたからね。アーケードゲーム筐体の良いところで、並んでいるお客さんが目に見えるんですよね。
大庭:そうそう。
原田:どちらにも人が並んでいるのを見ると、「そっちもやってみようかな」と思ってくださったり。家庭用ゲームやスマホアプリだとそういう状況は目に見えませんからね。
大庭:我々がどんなにプロモーションを頑張っても、アンケートで「どこで知りましたか?」と聞いたときいちばん多いのは「お店で見かけて」でしたから。
――アニメやCMで外から人を呼び込みつつも、いちばん大きかったのは「あのみんながやっているゲームおもしろそう!」と思えるような、おもちゃ売り場での盛況ぶりだったと。
原田:おかげさまでたくさんの方に楽しんでいただけました。「アイカツ!」が親しまれたのは、“マイキャラ”が良かったのかなと思っています。当初の「アイカツ!」の企画にはマイキャラ機能はなかったのですが、このシリーズの筐体から標準実装でICカードが使えるようになったこともあり、急遽入れ込みました。ちょうど、「アイカツ!」稼働の1年前のちゃおフェスの帰りに、そんな打ち合わせをパシフィコ横浜の喫茶店でした記憶があります。
対象が小学生女児ということで、“プロデューサーとしてアイドルをプロデュースする”ではなく、“自分が主人公に成りきってもらう”ための対象としてマイキャラを前面に出して、“セルフプロデュース”をテーマにしています。
アニメのいちごちゃんに憧れて始めるもよし、アニメを観ていなくても“アイドルに成りきる”純粋な遊び(ゲーム)としてもマイキャラがいれば楽しめる。「いちごちゃんになって歌って踊ろう!」では広がりが生まれづらかったでしょうから、「あの世界にいるアイドルのひとりに成りきれる」というのが良かったんだろうなと。
大庭:「アイカツ!」が始まった2012年には、「プリティーリズム」は「ディアマイフューチャー」をやっていて、その後「レインボーライブ」を経て、「プリパラ」ではマイキャラ遊びをメインに持ってくることになります。
「プリティーリズム」にも“メモリーパス”というものがあって、キャラクターの髪型は変えられるけど、素体はアニメのキャラだったんです。それをアピールするためにアニメの中でも髪型を変えたりしていたんですけど、マイキャラの概念を広める上では、「アイカツ!」のほうが先に一歩踏み込んだことをしていましたね。
逆転の発想で生まれた「プリパラ」の“トモチケをパキる”ギミック
大庭:「アイカツ!」のマイキャラが好評だったのを見ながら、今度は印刷筐体にするから、これを上手く活用すればもっとマイキャラというものを深堀りできそうだ、と考えたのが「プリパラ」です。ロール紙って規定のサイズが決まっていて、「幅を通常のカードサイズにするには、縦が長くなっちゃうよね」という話になったとき、でもその上の部分にミシン目が入れられると。「じゃあそこをマイキャラの名刺代わりに交換し合おう」というアイデアが出てきたんです。当時“プロフ交換”が流行っていたのもヒントになりました。

――「トモチケをパキる」という「プリパラ」を象徴する遊びは、ロール紙の制約に対する逆転の発想で生まれたんですね。
大庭:「この部分どうしようか?」「じゃあ、名刺だね」という。「プリティーリズム」で踏み込めなかったところを「アイカツ!」がやって、それをヒントにこちらが発展させてみたいな、“後ろを取り合うドッグファイト”のようなことをずっとやっていましたね。
原田:タカラトミーアーツさんがオンデマンドの印刷筐体にしたから、こちらも「『アイカツスターズ!』からはオンデマンドだ!」みたいな。
大庭:「世はまさに印刷筐体の時代だ! これからはロール紙だ!」という。うちのロール紙はどれも裏面がいっしょなんですけど、バンダイさんはIPによって裏面の絵柄が違っていてすごいなぁと思っていました。
原田:裏面デザインは男の子向けタイトルと、女の子向けタイトルで分かれていたと思います。それにしても「プリパラ」の“パキる”は発明過ぎましたね。ロール紙ってワンオフ(一度限り)のユニークな絵柄が印刷できるんですけど、それを最大限に活かすアウトプットとしては、あのアイデアはある意味、印刷筐体の到達点だと思っていました。
大庭:そこもやっぱり、おもちゃ屋さんとしてギミックを求めた結果ですね。プリチケの印刷時、最後にコートをするのですが、その時の熱のかけ方で光沢具合が変わるので透かしみたいなマークが付けたり、プロール紙のカットする分を変えて大きなサイズのチケットを配出したりといろいろ考えました。
あれはカードというよりもブロマイドなんですよ。「プリパラ」の筐体にはカメラが付いていて、自分の顔写真がプリチケに入れられたんですけど、最初は「プリクラ」みたいなモードも入っていて。

原田:けっこう欲張ってましたよね(笑)。
大庭:欲張ってましたねぇ。「プリパラ」っていうネーミング自体、「プリクラ」の語感もあった上で“プリントする”という意味も込めたところがあるんです。最初のころのキャッチコピーは「カメラでパシャッと誰でもデビュー!」でしたからね。
当時、カメラに向かってポーズを取ったり、いっしょに来たご家族と写真を撮ったりと、お子さんたちにとって「プリパラ」でしか出来ない体験として、アイデンティティのひとつになったかなと思います。
「アイカツ!」は宝塚、「プリパラ」は遊園地
大庭:「プリパラ」のときは“トモチケ交換ボード”というものを置かせてもらって、そこでお子さんたちの交流が生まれたんです。昔でいう駄菓子屋みたいなコミュニティが作れていたのかなという気がします。
原田:地元の子たちがそこに集まるみたいなね。

――学校では喋らない別のクラスや学年の子とか、生活圏が近い他校の子なんかが集まれる場所になっていた。
原田:大会なんかもやるものだから「あの子、いつも見かけるなぁ」みたいな出会いがあったり。
大庭:「プリパラ」は“トモダチ”がテーマで、アニメでらぁらたちに友達が増えていくのと同じように、筐体のお客さんも友達を作っていくという、どちらも同じひとつの方向を向いているものが作れたのかなと思っています。
「アイカツ!」は“セルフプロデュースでトップアイドルに”がテーマで、狙い通りお客さんがマイキャラでの遊びに夢中になっていましたけど、「マインドとアクションが一致する」というのは「プリパラ」も大切にしていました。
原田:大庭さんたちの企画からはとても“女の子の文化の中に入っていこう”という想いが感じられますよね。当時「アイカツ!」としては、「プリパラがこうだから」というのはあまり意識せず……というかその余裕もなく、自分たちが目指す世界観と、自分たちが思う最高のサービス(遊び)の提供実現のため試行錯誤していました。

大庭:以前、仰っていましたよね。「アイカツ!」はベースが“宝塚”なんだと。それで行くと「プリパラ」は“遊園地”で。
――あぁ~。
原田:それを筐体の機能的な側面からも決定付けたのは、「アイカツ!」にテレメタリングというデータ収集用のシステムが積まれたことなんです。筐体1台1台に通信機を付けて日付ごとのランキングなどが集計できるようになって、「トップアイドルを目指して日々頑張る」みたいなスポ魂的マインドが、そのまま遊びとして再現できたんです。当時の企画書には「スターライト学園」のライバル校として、資金潤沢な「ミリオンセラー学園」という設定があったくらい、スポ根設定でした。
――その方向性がアニメの設定にも影響を与えて、“アイカツ!ランキング”がストーリーのひとつの軸になったんですね。「プリパラ」にも“神アイドルを目指す”といった設定はありましたけど、こちらはそんなに競争を意識したシステムではなかったんですよね?
大庭:どちらかというとあくまで成長要素ですね。何度も遊んでいただくための、ランク付けというよりはレベルに近いものとして取り入れました。
――おもちゃ屋さんとしてギミックを追求した「プリパラ」と、ゲーム屋さん、カード屋さんの考え方が色濃い「アイカツ!」と、バックボーンの違いが強く出たところという印象を受けました。
大庭:いま思えば、そうかもしれませんね。
パーティーのあとに、ふたりで密会!?
――おふたりは「アイカツ!」と「プリティーリズム」の筐体並んで稼働していたころから、いっしょに飲みに行くほどの仲だったそうですね?
大庭:あれは“ちゃおフェス”で「アイカツ!」も「プリティー」も新情報を発表するので、その前に食事をして、お互いに手の内を白状するみたいなことですね。
原田:「今度こんなことをやるんだ」と。
大庭:もちろん喋れないことは喋らない。でも嘘も付かない。

――ちゃおフェスが切っ掛けとなると、頻度としては年に1回とかですか?
大庭:あとは、おもちゃショーや、出版社さん主催の会合のときなどですね。「ふたりでパーティー抜け出そうぜ」というか(笑)。それはもちろん冗談ですけど。
――あははは(笑)。初めて顔を合わせたのもそういったイベントが切っ掛けだったんですか?
原田:そこはあまり覚えていないんですよね。
大庭:でもお互い偵察しに行くので、「あの人いっつも居るなぁ」というのはわかるじゃないですか。
原田:ロケテストというものがありますからね。担当者はいつも後ろのほうで怪しげにベガ立ち(腕を組んで仁王立ち)しているので。
大庭:お互い、ロケテに参加しているお子さんの保護者のフリをしているつもりではあるんですけど、同じ業界の人間にはわかってしまいますから。
――ではそういう場所で次第に言葉を交わすようになっていった?
大庭:あとは「プリティーリズム・レインボーライブ」のときにプリズムストーン原宿がオープンしたんですけど、オープン日に原田さんが来られて、ワインをプレゼントしていただきましたよね。洒落たことをする方だなぁと思いましたね。
原田:開店祝いですから。それから、お互いにライブがあるときはお誘いするようになりましたよね。
大庭:東京国際フォーラムで開催された「アイカツ! LIVE☆イリュージョン」はエイベックスさんといっしょにご招待いただいて観に行きましたね。こちらも「負けるもんか!」と、ライブがあるとご招待するようになりました。
「アイカツ!ミュージックアワード みんなで賞をもらっちゃいまSHOW!」と「とびだすプリパラ み~んなでめざせ! アイドル☆グランプリ」が、偶然かなり近い時期に3D対応の劇場作品として公開になったりと、たまたま試みがシンクロすることも多かったです。
原田:私と大庭さんは年齢が近いので原体験も近くて、それでやりたいことが被りやすいところはあったかもしれません。
大庭:「赤青セロファンの眼鏡を掛けなくても3Dが出来るようになったんだ!」みたいな(笑)。
原田:でもやっぱりお子さんたちに新しい体験をしてもらいたいというのがありますよね。
大庭:「アイカツ!」はアプリとの連動企画とかもやってましたよね。
原田:「アイカツ!ミュージックアワード」では「映画館でスマホを見ていいんだ!」という。今度「プリパラ み~んなのあこがれ♪レッツゴー☆プリパリ」といっしょにTOKYO MXで放送されますけど(10月12日に放送済み)、手元のスマホアプリを使いながら楽しむ構成なので、このアプリがもう使えないのがちょっと寂しいですよね(苦笑)。
――ほかに、おふたりの食事会で印象的だったやりとりなどありますか?
大庭:いや、基本的に「ガンダム」の話しかしていなかったと思います。
原田:大庭さん、「ガンダム」大好きですからね。そこまで「アイカツ!」と「プリティーシリーズ」の話ばかりしていたわけではなかったです(苦笑)。あとは大庭さんの脳内にある妄想話を聞かせてもらったり。
大庭:あとは趣味の話ですね。原田さんがボードゲームのコレクションの収納に困っているという話は印象に残っています。
「ドリコラFes.」、そして「アイカツ!×プリパラ THE MOVIE」へ
――「アイカツ!」と「プリティーシリーズ」のコラボとしては、今回の「アイカツ!×プリパラ THE MOVIE」以前に2022年の「ドリコラFes.」がありました。
大庭:社交辞令的に「いつかいっしょにやれたらいいですね」という話自体は以前からけっこうしていたんですよ。そんな中、DNP(大日本印刷)さん主催で「ドリコラFes.」が開催できて。
「ドリコラFes.」は当初、展示会として企画していると僕は聞いていたのですが、せっかくならもうちょっと何かやりたいよねと。それで僕のほうで、以前から「プリティーシリーズ」のバーチャルライブをやりたいとお聞きしていたバーチャルエイベックスさんに話を持ち掛けて、DNPさんとお繋ぎしたんです。それでせっかくバーチャルライブを作るならと、今度はイオンエンターテイメントさんとお繋ぎして編集版のバーチャルライブを劇場公開することに。


――大庭さんの人脈で企画がどんどん大きく……。
大庭:結果的に「プリティーシリーズ」単独のバーチャルライブは「ドリコラFes.」のあと、「アイドルランドプリパラ ゆいのユメユメバーチャルライブ」、「バーチャルミュージカル ハイスクール キラッとプリ☆チャン」という形で実現しました。
――「ドリコラFes.」と「アイカツ!×プリパラ THE MOVIE」では企画の出どころからして違うんですね?
大庭:そうですね、全然違います。もちろん「ドリコラFes.」が実現したことでひとつハードルが下がったというのはあると思いますけどね。
原田:今回は映像(アニメ)作品ですからね。
大庭:「アイカツ!×プリパラ THE MOVIE」はバンダイナムコピクチャーズさんとタツノコプロさんから原田さんと僕に話が来たのですが、おそらく「駄目もとで、聞くだけ聞いてみよっか?」くらいの感じだったんじゃないでしょうか(笑)。まぁ僕だけOKしても難しいんじゃないかなぁと思っていたのですが、気付いたら公開決定という運びに。
――それだけ今回のような企画を待ち望んでいて、頑張って動いた人がそれぞれのスタッフの中に多かったのかもしれませんね。
「アイカツ!」を「アイカツ!」足らしめるもの、「プリティーシリーズ」を「プリティーシリーズ」足らしめるもの
――隣同士で筐体が並んでいた時代を経て、いま「アイカツ!」はアーケード筐体の稼働は終了していて、YouTubeを中心とした「アイカツアカデミー!」(デミカツ)などの展開を行っています。一方で「プリティーシリーズ」の最新作「ひみつのアイプリ」の筐体にはコラボ映画にあわせて「アイカツ!」の大空あかりが登場していたりと、ふたつのプロジェクトを取り巻く状況は大きく変化していますが、おふたりはこの現状をどのように捉えているのでしょう?
大庭:僕が関わっていたのは「ワッチャ!プリマジ」までではあるのですが、“シリーズを繋いでいく”というところの意識は変わっていません。ただ、コロナ禍を経てマーケットを再生するというのは現場の大きな課題だったと思います。
――コロナ以降というと、「アイドルランドプリパラ」のアプリの展開にも通じるところかなと感じるのですが。
大庭:「アイドルランドプリパラ」は「アイドルタイムプリパラ」が終わった直後から企画していたので、企画のスタートはコロナ禍とは無関係なんです。筐体って稼働が終了すると世の中から消えてなくなってしまうので、積み重ねてきたアーカイブを残すにはどうすればいいか? と考える中で出てきた企画ですね。
新たにアプリをやるならアニメもセットにしよう、過去に「プリパラ」を遊んでいたのと同じマインドで触れてもらうならこうすべきだよね、という。アニメのストーリーもコロナ禍の状況を反映したように見えなくもないんですけど、そこはまったくの偶然です。
それでいうと「アイカツアカデミー!」も、これまで積み上げてきたIPに新たな価値をもたらす展開なのかなと感じます。
原田:もともと「アイカツ!」は「カードを1枚100円で販売できるビジネスをしよう」という商品発の企画でしたけど、続けていく中で作品としての方向性が固まっていき、それを支持してくださるファンの方がたくさん付いてくれている。その中で、カード筐体ビジネスにだけに囚われずIPの魅力を感じてもらい、ビジネスをピボットしていくには? どうすれば、世界中の方々に新たに「アイカツ!」を届けるサイクルを構築できるか。
もちろんメーカーなので、グッズを買ってもらったり、サービスを提供したりというのはベースにあるものの、いままで培ってきたものを新しい方法で世の中に問えないだろうか? という中で生まれたのがいまの「アイカツアカデミー!」です。場所や時間を限定せず、海外の方も楽しめる、いまの時代だから可能な、新たな「アイカツ!」フランチャイズへのチャレンジです。
――子どものころに「アイカツ!」や「プリパラ」が好きだった人たちがいま当時を振り返れるような年齢になっている中で、「アイカツアカデミー!」を展開していることによる相互作用みたいなところは感じますか?
原田:やはり「うんうん、これもまたアイカツ!だね」と捉えて楽しんでくれているファンの方もいらっしゃいます。映画でスマホアプリを使うような発想と同じで、“新しい体験”を感じてほしいというのは常にあるので、「アイカツアカデミー!で初めてこういう形式のコンテンツに触れた」と言っていただけたりと、「アイカツ!」のIPが培ってきたものを活かした新しいエンターテイメントだと感じてもらえている声が届くのはうれしいですよね。
大庭:広い意味でのおもちゃとその販促アニメとしてスタートしたものが、ある程度役目を終えたときに残るのって“概念”じゃないですか。そのときにどんな方向を目指すべきか? という。
原田さんが仰っていたことで心に残っていることがあって。シリーズが何年か続いたときに、チームで「アイカツ!をちゃんと哲学しよう」というテーマの打ち合わせをすると仰っていたんですよ。「アイカツ!とはなんぞや?」と。
原田:おそらく「アイカツスターズ!」が始まるころですかね。「アイカツ!」の完結が見えてきて、私自身は「アイカツ!」から離れる形になったとき、これからもシリーズを続けていく上で、話し合っておくべきだと。何を残して、何を変えるのか。
大庭:ビジネスとして始めたときにあったベースを失ったとき、哲学の部分をしっかり共有できていないとIPとしても途絶えてしまう、そういうことを僕らはたくさん見て来ているわけです。
フィジカルのものがなくなったときに、そのIPをそのIP足らしめる哲学の部分って何なのか? 「プリパラ」だと「み~んなトモダチ!み~んなアイドル!」、そこに尽きますよね。「プリ☆チャン」だったら「やってみなくちゃわからない、わからなかったらやってみよう!」。そこを体現していれば「プリ☆チャン」であるっていう。
筐体やアニメがなくなってタイトルが残ったとき、観てくれている方が「これもアイカツ!だよね」「これもプリティーシリーズだよね」と思ってくれるには、その哲学の部分をちゃんと考えなきゃいけないんだなと。それをやっているのが「アイカツアカデミー!」なんだなと。「プリ☆チャン」のバーチャルミュージカルをやったときに僕はそれがある程度達成できたかなと思っていたんですけど、「アイカツアカデミー!」はさらに先を行ってる! と思いました。
――「アイカツ!とはなんぞや?」というのは、ファンの間でもたびたび話題になります。曖昧さがあるからこそファンひとりひとりの心の中に答えが生まれる言葉でもあると思いますが、作り手側がブレてしまうと新しい展開があってもファンが望まないものになってしまいそうです。
大庭:「そのIPの本質ってなんだっけ?」みたいなところをちゃんと考えないと、IPが記号化されて、図版化されていってしまう。パロディになってしまう。
原田:公式が出すものであっても、そのあたりの覚悟がないと二次創作になってしまいますので、軸をいかにブラさないかは重要だと思っています。
その上で、ですが「うんうん、それもまたアイカツ!だね」が広く使われているのって、使い勝手がよいだけではない「アイカツ!は頑張る他者を否定しない」という作品の軸を体現した言葉だからだと思うんですよね。「誰かがそれをアイカツ!だと思って頑張っているのであれば、それはアイカツ!なんだ」と捉えてもいいんだと思います。脚本家さんは素敵な言葉を作ってくださいましたよね。
大庭:ちなみに原田さんに「アイカツ!を哲学するんだ」と聞いたときに「こっちもそういうことは考えていかなきゃいけないな」と焦ったんですけど、それは顔には出しませんでした(笑)。
原田:たぶんずっと同じタイトルを付けている「アイカツ!」と、「プリティーシリーズ」のような屋号リフレッシュ系のシリーズだとまたちょっと考え方が変わるとは思いますけどね。
――「プリパラ」「プリ☆チャン」「プリマジ」とタイトルが変わることで変化していく部分もあると思うのですが、10周年スペシャルムービーで「プリティーシリーズは、この先の10年も女の子の夢を応援することを宣言します」と一貫した主義を打ち出していたことが印象に残っています。
大庭:歌とダンスとおしゃれでキラキラ輝きたいお子さんたちを応援するというのはずっと変わらないんだけど、その応援の仕方が変わっていく。それは遊び方もまた変わっていくということですよね。

原田:「アイカツアカデミー!」でも、大庭さんにはお世話になり……らぁらさんにコメントをいただくということが出来たのも、いろいろな蓄積があってのことで。
大庭:バーチャルエイベックスさんのアーカイブがあったからこそ出来たコラボだったりします。あのらぁらは、「プリパラ」のバーチャルライブをやったときに、シンソフィアさんのゲームのデータをもとに調整してもらった「ドリコラFes.」のときのものを、さらにブラッシュアップさせたモデルなんです。
いろいろなアーカイブが残っているからこそ、「やりたいですね」から「やろう」までのハードルが低くなって、実行できています。こういうときに活きるので、やっぱりなんでもやっておくに越したことはないですよね。あとはやったことを覚えているかどうかに掛かっています(笑)。

「アイカツ!」「プリパラ」卒業後の人生が輝きを増すような思い出に
――「アイカツ!」も「プリパラ」も、当時夢中で遊んでいた女の子が大人の女性になって、いま再び支持されていると思うのですが、この現象についてはどのように感じていますか?
大庭:ずっと好きで追い掛けてくれている方もいるのですが、10歳を過ぎたあたりで一度卒業した方のほうが多いと思うんですよね。
原田:もともとそういうものとして作っていましたからね。
大庭:ただ、やっぱり“あのころ夢中になった”数年間の思い出って、当時のお子さんにとっては人生の大部分を占めているわけじゃないですか。卒業しても忘れられない思い出になっているということに、「大プリパラ展」を開催して気付かされました。高校生や大学生くらいの方が友達同士で見に来てくれて、「ウチらの青春だったよね」みたいに言っているんですよ。カップルで来てくれた方が、彼氏に展示をぜんぶ指差しながら説明していたりして。
――それはすごく嬉しいですよね。
原田:よく言っているんですけど、成人式を迎えて地元のみんなで集まったとき「ウチらなんであんなに夢中でやってたんだろうね?」と言ってくれるような存在になっていたほうが嬉しいんですよね。今回の映画も当時お子さんだった方がたくさん来てくださって、当時と同じ気持ちで楽しんでくれたらいいなと期待しています。皆さん、10年間でいろいろあったと思うのですが、それぞれが過ごしてきた10年が、この映画を観ることで輝きを増すようなものになれば嬉しいです。
大庭:劇場で当時いっしょに遊んでいた子と再会するみたいな出来事があったらこちらも嬉しいですよね。「あのころよく隣のアイカツ!筐体で遊んでた子かも!」とか(笑)。
――最後に、これから「アイカツ!」と「プリティーシリーズ」の関係はどうなっていくと思いますか?
大庭:もう「僕らがどうしていくか」ではなく、「ファンの皆さんがどうして行きたいか」の世界なのかなと思います。
原田:まず今回の映画を見届けてください、ということですね(笑)。
大庭:やっぱりこれ(映画)の結果次第ということにはなると思いますよね。
原田:観てくださった方との一体感でエンターテイメントは成り立つので。皆さんがどう感じるか次第かなと。
大庭:望んでいただけるかどうかですよね。10年に1度の打ち上げ花火と思って楽しんでいただくのか、こういう楽しみ方が何度もあってもいいと思ってもらえるのか。
――ありがとうございました! こちらからの質問は以上になります。
原田:あの、11月1日(土)に私と大庭さんと、ほかにもプロデューサー陣が揃って登壇する舞台挨拶付き上映会があるんです(※チケットは完売)。ちょっとそのアピールをさせていただきたいなと。
大庭:華麗なキャスト陣の舞台挨拶が続いたあとに僕らの番なので、だいぶプレッシャーなんですよ(苦笑)。Webに残るこの記事では話せないこともあるので、生々しい話は舞台挨拶で、みたいな。
――リアルタイムでのコメントだと、ほかでは言えないようなこともポロッと飛び出すかもしれませんからね(笑)。
大庭:「インタビューではよそ行きな発言ばかりでしたが、本当はあのふたりは仲が悪いに違いありません」と。あとがきに書いてくださってもいいですよ。
原田:「本当は同一人物かもしれません」とか(笑)。
――「真実を知りたい方は、ぜひ舞台挨拶に!」ということで。
「アイカツ!×プリパラ THE MOVIE -出会いのキセキ!-」
公式X:https://x.com/a_p_10movie
公式サイト:https://aikatsu-pripara-10movie.jp/
(C)Aikatsu, Pripara 10th Project
(C)BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO
(C) T-ARTS / syn Sophia / テレビ東京/IPP製作委員会
本コンテンツは、掲載するECサイトやメーカー等から収益を得ている場合があります。

































