ネクソンは、2012年4月23日~25日、韓国ソウル特別市内「COEX」において「NDC 2012(Nexon Developer Conference 2012)」を開催、サイバーコネクトツー「下田星児」氏による「アスラズ ラース」UnrealEngine3導入事例についてのセッションを紹介する。
PS3/Xbox 360「アスラズ ラース」演出特化型タイトルでのアンリアルエンジン3導入事例
セッション要約
サイバーコネクトツーが「アンリアルエンジン3」を導入した経緯を紹介し 、レベルエディタを使ったゲーム進行の具現事例、独自的に考案したアンリアルエンジン3の使い方など、製作事例を紹介する。登壇者はサイバーコネクトツー「下田 星児」プロデューサー。
なぜアンリアルエンジン3を選んだのか?
「アスラズ ラース」については、そもそも短期間で現行のゲームハードでのタイトルを開発をしなければならなかったと下田氏は話し、自社で自前のエンジンを1から開発することはできず、さまざまなミドルウェアの開発エンジンを探していたという。
サイバーコネクトツーではDCC Toolには「3ds Max」を使用しており、EPIC GAMESも「3ds Max」を使用しているといった点もエンジンとツールの相性が良かったこともアンリアルエンジン3を選んだ理由の1つとなったようだ。
レベルデザイナーとアーティストがメインとなって開発された「アスラズ ラース」では、非常に演出やドラマ進行に主軸を置いて作られ、アーティストの映像演出感覚やゲームデザイナーの演出力が重要視されている。
アンリアルエンジン3には非常に整理されたレベルエディタが搭載されており、FPSだけでなくアクションにも相性が良かったと下田氏は話す。ゲーム進行を視覚化されたスクリプトで組むなど、直感的に使用できるところも本エンジンを採用した理由とのことだ。
レベルデザイン
続いて下田氏は、UnrealKismetのスクリーンショットを使用して、演出に特化した本タイトルを制作するための手法を説明した。
実際にゲームをプレイしていき、あるタイミングでQTE(クイックタイムイベント)が発生、成功・不成功での演出(ゲージの上昇などの処理も含む)、そして次のシーケンスに移行する、といった一連のデザインもすべてUnrealKismet上で組むことができる。
これを利用して、アーティストやデザイナーが直感的にゲームの進行を容易に組むことが可能になったとのことだ。もちろん、外部のミドルウェアでもあり、社内でもこうしたい、ああしたいといったアイデアも上がり、それを実現することも大変だったという。
スケールアニメーション
EPIC GAMESからサポートされているDCC Toolのプラグインに関しては「Actor X」が提供されているが、Actor XではDCC Toolからスケールアニメーションの出力には対応しておらず、DCC Toolでアニメーターがモーションやアニメーションをつけるが、アンリアルエンジン3に読み込んだ場合、移動と回転の情報だけがインポートされる状態だった。
その場合、Actor Xを改造して、データ構成を変えてスケールアニメーションを搭載し、アンリアルエンジン3も改造を施して実装しようかと考えたが、実際には、アンリアルエンジン3には手を加えず、スケールアニメーションを別に出力するプラグインを作り、最終的にアンリアルエンジン3上でスケールアニメーションデータ、移動と回転のデータをブレンドすると手法で実装したとのこと。
なぜこのような実装になったというと、アンリアルエンジン3は現在もアップデートを実施しており、手を加えてしまってもバージョンアップで改造部分が上書きされてしまい、動作不良などのリスクも負ってしまうこともあったことが挙げられた。
演出
スケールアニメーションを実装していない状態では、演出に物足りなさがあるが、実装してみるとコミック的な強調された演出が実現できる。もちろんリアルな比率で見るとおかしいところもあるが。このあたりの演出もUnrealKismetで一括でスクリプティングすることが可能。
アンリアルエンジン3を使用してみて
外部のミドルウェアを採用して、特に役割分担について変化があったと下田氏は話し、以前まではアーティストがアートワークやゲームデザインなども手がけ、ゲームデザイナーはゲームデザインはもちろんスクリプティングも手がけ、プログラマーはスクリプティング、システムの根幹を手がけるといった役割だったが、アンリアルエンジン3を採用したことで、アーティストがスクリプティングを手がけることができるように、よりそれぞれが広くそのタイトルについて知ることができるようになったという。
まとめ
最後に下田氏は、今回「アンリアルエンジン3」という外部のミドルウェアを採用したのは、他の会社のつくったノウハウを使うことに他ならないと話し、過去にもアンリアルエンジンを採用してゲームを作ろうとしたメーカーがあったが、ことごとく失敗し、他のエンジンに乗り換えたり、発売を中止したことを語った。
サイバーコネクトツーでは、その教訓を生かして今回は開発にあたり、日本の開発会社によくあるのが、使っているエンジンでしたいことができないと気付いたとき、つい技術力もあるので改造を施してしまうことがあるらしく、前例も多いとのこと。
下田氏を始め、開発チームでは他の会社のノウハウでゲームを開発するにあたって何を注意しないといけないのかを考え、ツールの使い方だけを新しく覚えるだけでなく、「このツールを使うとなぜこのパラメータが変化するのか」「なぜこのゲームエンジンではこの構成になっているのか」としっかりと特性を読み解き、独自の工夫を重ねることが大事だと語った。
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※画面は開発中のものです。
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