セガが2012年12月6日に発売したPS3用ソフト「龍が如く5 夢、叶えし者」。ここでは、シリーズでも最高のボリュームを誇る本作のプレイインプレッションを紹介する。
「龍が如く5 夢、叶えし者」は、今やセガを代表するゲームになった「龍が如く」シリーズのナンバリング5作目となる作品。間にPS3「龍が如く OF THE END」やPSP「クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編」を挟んでいたものの、ナンバリングタイトルとしては実に2年9か月ぶりとなる、ファンにとっては待望の新作だ。
今回筆者は、本作をさまざまな寄り道をしながら70時間かけてラストまでプレイ。正直、70時間を使ってもすべてを遊び尽くしたとは言えないのだが…それでも、本作の魅力を充分に感じることができたので、そのプレイインプレッションを紹介する。
全国5大都市に散りばめられたストーリーと遊びの数々
本作の舞台となるのは、シリーズでおなじみの東京・神室町、「龍が如く2」に登場した大阪・蒼天堀のほか、新登場の舞台として福岡・永洲街、札幌・月見野、名古屋・錦栄町も登場する。
そして、永洲街にはシリーズを通しての主人公である桐生一馬、月見野には前作でも主人公を務めた冴島大河、蒼天堀には同じく前作から登場の秋山駿と、今回ついに主人公の1人となった澤村遥が登場する。さらに錦栄町には新キャラクターの品田辰雄が登場し、物語が紡がれていく。
それぞれがまったく違った地域であるがゆえに、序盤をプレイする限りでは、それぞれのストーリーは独立しているように見える。しかし後半になるにつれてひとつひとつの物語が繋がっていく展開はまさに圧巻。筆者は、次の展開がまったく予想できないストーリー構成が「龍が如く」シリーズの魅力だと思っているが、今回も充分に感じることができた。
もちろん、街の中に無数に散りばめられたプレイスポットの数々も大きな特徴だ。キャバクラや麻雀といったおなじみのミニゲームはもちろん、福岡で発生する、続々と入る注文に合わせてラーメンを茹でていく「めん処 龍屋」や、大阪で遥が即席の漫才コンビを結成し、ツッコミを担当する「ツッコミ職人」などの「ご当地ミニゲーム」も存在する。
福岡の屋台でラーメンを食べていると発生する「めん処 龍屋」。 客から注文された麺の硬さに茹で上げていく。レベルが上がると注文間隔が短くなるため、焦らず注文を捌いていこう。 |
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蒼天堀の街角でボケ担当のハルオに出会うと発生する「ツッコミ職人」。 ボケのたびに4種類のツッコミが表示されるので、適切なものを選ぼう。また、突っ込みを入れるタイミングも重要だ。 |
また、月見野の街で行える雪合戦「雪上の格闘技」のほか、錦栄町ではコーチンの速さを競う「コーチンズカップ・クラシック」も遊べる。いずれもミニゲームとは呼べないほどのボリュームと内容になっているので、プレイする際には腰を据えて挑戦してほしい。
雪まつりの会場の一角で参加できる「雪上の格闘技」。 乱立する柱をうまく利用し、物陰に隠れながら雪玉をぶつけ合うミニゲームだ。 最大4人参加のバトルロイヤル形式となっている。 |
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錦栄町のとある古びたビルで行われている「コーチンズカップ・クラシック」。 レース中はボタンを連打して速度を上げることができるので、タイミング良く使っていこう。 また、トレーナーにアイテムを渡すことでコーチンを育成することも可能。 |
より滑らかになり、派手さも増したケンカバトル
本シリーズを語るうえで外せないケンカバトルは、モーションが一新されたことでプレイヤーキャラクターや敵の動きが滑らかになり、アクションのバリエーションも豊かになっている。時には、こちらの大技を見て敵が逃げ出すなど、これまでのシリーズにはなかった演出もある。
さらに、すべてのケンカバトルへの移行がシームレス方式になっている点も注目してほしい部分だ。街中で絡まれてもロードを挟まずバトルに突入できるため、ストレスを感じることもない。
また、本作より新たに追加された「絶技」と「クライマックスヒート」が、バトルをよりダイナミックにしている。絶技はバトル中、特定の条件を満たすことで発動できる、キャラクターごとに用意された大技。例えば秋山の絶技「エアストライク」では、敵を蹴り上げてから空中で一方的に攻撃できる。また、品田の「俺流 流星タックル」を使うと、敵を壁に叩きつけたり、その場に押し倒してさらなる攻撃を加えたりといったアクションが可能になる。
一方のクライマックスヒートは、通常のヒートアクションよりもさらに威力の高い技だ。こちらはヒートアクションを発動すると溜まるクライマックスゲージをマックスにすることで繰り出せる。
どちらも簡単な操作で使用できるため、シリーズならではの爽快感を損なうことなく、より派手なバトルが楽しめるようになっている。基本的な操作は過去の作品を踏襲しており、シリーズファンであれば絶技・クライマックスヒートを織り交ぜたバトルもすぐに楽しめるように作られている。
初登場の品田は武器の使い方がカギ
本作で初登場となった品田は、棒状の武器を巧みに扱い攻撃するという、ほかのキャラクターにはない個性を持っている。品田が得意とする棒状の武器は、街中に配置されたポールやのぼりなどさまざま。これらの武器を持つことで、相手に隙を見せない連続攻撃や、元野球選手ならではの強烈なスイング攻撃が可能となる。
連続攻撃は特に使い勝手がよく、相手にガードをさせる時間すら与えないので、序盤から終盤まで非常に役に立った。普段はあまり武器を使わず、素手でバトルをしている、という人も、品田でプレイするときにはぜひ一度試してほしい。
遥編では街のダンサーと戦うことに
本作の主人公の中で唯一の女性である遥を操作しているときは、通常のケンカバトルではなく路上ダンサーとのダンスバトルを行える。ダンスバトルは相手とパフォーマンスを競い合うリズムゲームとなっており、上下左右4方向に配置されたフレームに流れてくるボタンをタイミングよく押していく。
ダンスバトルでは観客からの評価が勝敗の分かれ目となり、ダンスの内容によってはマイナスの評価を下されて、体力を失うことになる。制限時間が過ぎた時点で体力の多かったキャラクターが勝利、また、どちらかの体力が0になったらそこでバトルは終了となる。
なお、ダンスバトルにも他の主人公のヒートアクションあたる「ダンスヒート」が用意されており、、発動条件が整っていれば任意のタイミングで発動できる。ダンスヒートには相手の体力を削るものや、逆に遥の体力を回復するものなどさまざまな種類が用意されている。リズムアクションに夢中になってしまい、気が付いたら体力が少なくなっていた、なんてこともプレイ中にはあった。ダンスヒートによる体力回復は有効的に使いたいところ。
本編とは違った物語が展開するアナザードラマ
各主人公に用意されたアナザードラマも本作の大きな特徴だ。アナザードラマは、メインストーリーとは違った主人公の一面を見られる内容となっている。例えば、タクシードライバーとして働く桐生には、客の送迎ミッションや走り屋集団とのレースバトルが楽しめる。また、冴島は雪山での狩猟、遥はアイドルとしてのレッスン、品田はバッティングバトルといった具合に、それぞれのキャラクターの背景を基本にしながらも、本編とはまた違った遊びが用意されている。
中でも筆者が特に熱中したのが、桐生のレースバトル。ここでは、物語の中で接触する走り屋集団「デビルキラー」との戦いが繰り広げられる。レースの舞台は都市高速内で、初級・中級・上級の3種類が用意されている。高速道路ということで、走行車や工事中のエリアなど、障害物も多数用意されている。
また、相手の能力もさまざまで、中には桐生の乗るタクシーをカスタマイズしなければ勝てないものもいる。カスタマイズのバリエーションも多彩で、ホイールやタイヤ、シャシー、ターボを組み換え、自分好みの車にチューンナップできる。さらにカラーリングやステッカーで見た目も変更できるため、タクシーとは思えない姿にすることも可能。
数あるミニゲームのひとつに終わらず、ドリフトやターボを駆使した、本格的なレースゲームとなっているので、本編の間にぜひ楽しんでもらいたい。
桐生のアナザードラマにはレースバトル以外に、街中で客を乗せて目的地まで運ぶ「送迎ミッション」も用意されている。こちらはレースバトルほどの派手さはないものの、通行人が行き交う街中を、安全かつ素早く走行する緊張感が味わえる。信号や交差点でのルールなどでのルールも丁寧に教えてくれるため、免許を持っていない人でも気軽に楽しめる。
いつまでも終わりが見えないほど密度の濃い作品に
筆者はクリアまでプレイしたが、メインのシナリオだけでもシリーズ最大のボリュームを持っているように感じた。これに加えて、今回紹介したご当地ミニゲームやアナザードラマの数々や、シリーズでもおなじみのキャバクラやカラオケ、釣りといったプレイスポットももちろん健在。
また、永洲街、蒼天掘、錦栄町、神室町に存在するクラブセガ内では、「太鼓の達人」や「バーチャファイター2」を遊ぶことも可能。さらにこの2作品は、現在配信中のエクストラコンテンツをダウンロードすれば、対戦機能も実装される。
ひとつひとつをプレイしていくと、本当に一生遊べるんじゃないか、と思わせるほどのボリュームになっている本作。人によって面白いと感じるポイントはさまざまだと思うので、ぜひ思い思いのプレイスタイルで楽しんでほしい。