スクウェア・エニックスは本日3月30日、東京・秋葉原UDX 2Fのアキバ・スクエアにて「ドラゴンクエストX 春祭り」を開催した。ここでは、12時および16時に行われた開発者ステージの内容を紹介していく。
本ステージでは、「ドラゴンクエストX」プロデューサーの齊藤陽介氏と、ディレクターの藤澤仁氏、そして2nd(バージョン2.0以降)でシナリオチーフを務める成田篤史氏によって、開発の裏話に関するトークが繰り広げられた。
まずは、「なぜ主人公が種族になったのか」について。藤澤氏は、当初種族に反対し、人間であるべきだと堀井さん(堀井雄二氏)たちに突っかかったが、ねじ伏せられてしまったというエピソードを披露。というのも、いろんなプレイヤーが世界にいるオンラインゲームでは、1つの種族と絵柄だけだと単調になってしまうので、複数の種族が歩いている世界にできた方がいいと判断したためだという。
エルフやドワーフは「ドラゴンクエスト」の世界に元々いた種族だったが、オーガやウェディ、プクリポはモンスターのイメージもあり、話し合いをしながら設定を決めていったとのこと。その後、鳥山明氏に種族の絵を描いてもらったが、2つの種族については描き直してもらったようだ。
1つめの種族はオーガだ。初期段階では今よりも逞しく、腕や足も大きくセクシーな感じがなかったため、もう少しイケメンになるようにしてほしいと依頼したのだとか。もう1つの種族はウェディで、当初は完全に魚だったという驚きのエピソードも明らかとなった。
また、本作の物語は設定やシステムから生まれたようで、主人公が人間でもあり種族もであり、2つの姿を持っている設定をどう活かすかを考えて作り始めたという。最初は1日のうち、一定時間ごとに人間と種族が入れ替わる仕様だったが、さまざまな問題が浮上して今のストーリーになったとのこと。
この後は、バレンタインデー&ホワイトデーのイベントで行われていた「アストルティア・クイーン総選挙」「アストルティア・ナイト総選挙」の結果が発表された。クイーン総選挙では、オーガのマイユが2位に圧倒的な票差を付けて1位を獲得。当初は逞しすぎたオーガだったようだが、今では人気投票で1位を取るキャラクターが生まれた種族だ。
一方のナイト総選挙は、ウェディのヒューザが1位に輝き、2位にはフォステイル、3位にはズーボーが続く。ナイト側でも、開発時にデザインし直された種族が1位を取るという面白い結果となった。
イベント結果の発表が終わると、さらなる開発エピソードの話が展開。オープニングから登場しているカメさまは、鳥山氏のイラストだと馬のような家畜として描かれていたが、イラストで存在感があったため、今のキャラクターが完成したという。
次はゲーム中にも登場する、ケキちゃんのぬいぐるみについての話題が展開。スタッフの中で、ケキちゃんをぬいぐるみにすれば喜んでもらえるのではと考えていた人がおり、今回実際に作ってみたというぬいぐるみが披露された。デザインが凝っているためコストがかかりすぎてしまうのか、「採算度外視で作ってみました」と話していたが、ケキちゃんを見た来場者からは歓声と拍手が沸き起こった。
続いては、ゲームの内容に関するQAセッションが行われた。
――「キーエンブレム」はこの先に使うんですか?
この先に、キーエンブレムが10個必要な何かがあるので、ぜひ、10個集めておいて下さい。
――「竜族」はいつ頃出るんですか?
最初の生まれ変わりの神殿には7つの台座がありましたよね。いつとは言えないのですが、今シナリオスタッフが書いているシナリオに竜族が登場します。鋭意制作中です。
――各ストーリーに出ていたキャラクターたちにはまた会えますか?
マイユはしばらくお休みです。ヒューザはまた会えるかもしれません。
――シナリオスタッフからのオススメは?
やってない人は「オフラインモード」をやってみてください。プレイしておくと、先の展開につながる日がくるかもしれません。
あとは、今配信しているクエストも楽しんでほしいと思います。実は職業や外伝クエストを作るのが本当に大変で、本編のシナリオを作るのと同じくらい時間がかかっているんです。ガタラ配信クエストやオルフェア外伝クエストなどがおすすめです。
――「神話篇」とは?
ラスボスを倒された方がいると思いますが、自分の仇でした。世界全体に対する脅威かというと、当然悪さもしていましたが、本当の意味でアストルティアを恐怖に陥れるような存在が1.4から登場するようになっています。
――バージョン2.0では?
レンドア島に停泊しているグランドタイタス号があるんですが、いよいよ動き出し、レンダーシアにいくことができます。レンダーシアには、グランゼドーラ王国という人間の王国があります。そちらで従来の「ドラゴンクエスト」のキーポイントとなる勇者がついに登場するかもしれません。
16時からのステージも、まずは本作の開発における裏話から展開。先のステージでもお伝えしたが、先に種族が決まっており、後は真ん中に人間が住んでいるレンダーシア大陸がある、ということだけ決まっていたという。具体的な形については、最初に堀井氏がイメージをホワイトボードに書き、そのイメージを受け取って、ゲームにするならこういう大陸にするのがいいと考えていくとのこと。
ワールドマップは、ゲームの都合によって、開発の過程で形を変えていくという。ガートラント城の会議室に世界地図が貼ってあるのだが、それが姿を変える前のアストルティアの地図だったというので、気になる方はチェックしに行ってみるといいだろう。
各大陸のイメージについては、元々は大陸にある大きい城の名前と同じ名前だったようだ。覚えることがたくさんあると分かりづらいため、大陸名の最初の2文字を種族の名前に合わせて考えられているようだ。会場では、ゲームを作る前の各大陸のイラストが公開された。
ゲーム開発は大なり小なり大変なことがあるものだが、ステージ上では藤澤氏のムチャ振りに関する話題も繰り広げられた。開発の後半になってニワトリとカラスの声を入れてくれと言われたり、会議中にどの要素を減らすか話していたはずが、「ここでバンジージャンプしたい」と発言したこともあるという。それを聞いたスタッフは、「最後のバトルもできていない状態なのに、何を言ってるんだこの人は…」と思ったそうだ。
また、月の満ち欠けについても当初は表現されていなかったが、ギリギリになって言われて実現したのだという。最初に言ってもらえればいいのだが、締め切り間際で要望を出されるのが苦労したとのこと。
そんな苦労があって生まれたアストルティアなわけだが、注目スポットとしてちょっとホラーな話が飛び出した。「夢幻の森」にまつわる話では、いつもモヤがかかっているマップに存在するひとつの石が、地蔵の頭だという。これからは足元に注意して歩いた方がいいかもしれない…?
ほかにも「百鬼の隠れ屋敷にまつわる話」では、ある時間帯だけ障子張りになっている廊下に、手の跡が付くことがあるとかないとか…。坪庭みたいな場所では、真ん中に人影が見えるとか見えないとか…。
「捨てられた城にまつわる話」では、マップのあるところに行ったら、小さな音で女の人の鳴き声が聞こえるという意見がユーザーから寄せられたという。全く関係ないところから3回くらい来ており、サウンドチームに聞いたら「断じてやっていません」と返事が返ってきたとのこと。
怖い話から一転、「アストルティア動物園」と称して世界中にいる動物たちの紹介も行われた。細かいところにも色んな存在がいるので、冒険の合間に目を配ってみるのもいいかもしれない。
最後は、Sサイズの購入金額分布や今後追加される家具など、ハウジングに関する情報が公開された。ここでは、かねてから要望があった、シナリオ中のイベントシーンをもう一度見れる「思い出映写機」というアイテムが実装されることが判明。ナスビナーラが触手で映写機を回すのも見どころかも?
また、実装はもう少し先になるものだが、ユーザーから部屋にマネキンを置きたいというアイデアをもらったという。そこに自分の装備品を飾り、アクセスすると一発で着替えられるというシステムで、現在開発中とのこと。そのほか、タネをまいた後にすぐ水を上げられるようにすることも考えているという。
今後の展望としては、Lサイズの家はぼんやり考えていたり、家でペットを飼うことも進めているという。どちらも2ndディスクの途中に実装できそうな感触のようなので、まだ先の展開になるが、楽しみにしておこう。
ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン Wii Uプレミアムセット
スクウェア・エニックス- 発売日:2013年3月30日
- 価格:42,000円(税込)
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- Wii Uプレミアムセット、Wii U PROコントローラー(kuro)同梱
