9月19日、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアは千葉・幕張メッセで開催中の「東京ゲームショウ2013」にて、同社のPS Vita用ソフト「Tearaway ~はがれた世界の大冒険~」のメディアセッションを開催した。

「Tearaway ~はがれた世界の大冒険~」は、すべてが紙でできた不思議な世界を舞台に、主人公であるイオタとアトイのいずれかの冒険を手助けしながら物語を進めていく3Dアクションゲームだ。タッチパッド、モーションセンサー、カメラといったPS Vitaのさまざまな機能がフル活用されていて、オリジナリティあふれるユニークな操作を楽しむことができる。

今回のセッションでは本作の開発を手がけたMedia Moleculeのコミュニティ・マネージャーであるJames Spafford氏が、本作のコンセプトやゲームの特徴など注目すべきポイントの解説を行った。

「リトルビッグプラネット」シリーズでおなじみのMedia MoleculeのJames Spafford氏。

まず、James氏は本作の開発コンセプトが「手に持って体感できるゲーム」であり、単に携帯機のゲームを持つのではなく「小さな紙の世界をまるごと手の中に握ったような感覚」の提供を目指したと語った。

一番の特徴はアートデザインをはじめ、ゲーム全体が紙の特性を活かしたものになっていることで、実際ゲーム内のオブジェクトはすべて紙で作れるものになっているそうだ。また、ゲームの世界が現実世界に飛び込んでくるような感覚を味わえること。PS Vitaの備えているすべての機能を使っていることも大きな特徴になっているとJames氏は述べた。

プレイヤーは男の子のイオタと女の子のアトイのいずれかを選んでプレイする。James氏は彼らがプレイヤーの分身ではなく、一緒に冒険をする友達のようなものであると強調。プレイヤーは現実世界からこの紙の世界をのぞき込んでいる存在で、神様のような力を発揮できるのだという。また、カメラのフィルタやレンズを集めてゲーム内でいろいろな写真を撮ったり、ゲーム内の生き物やオブジェクトなどをプリントアウトしてペーパークラフトで再現するなどのお楽しみ要素も用意されているとのことだ。

ここからは実機を使ってゲームの内容が紹介された。物語はアトイたちのいる世界にスクラッピーと呼ばれる怪物たち飛び込んできて、いろいろな問題を起こすところから始まる。プレイヤーは背面タッチで画面の裏から指を突き出してスクラッピーを倒すなど、神のような力を使ってアトイたちの冒険を助けるわけだが、James氏によるとこれはほんの一部で、ほかにもいろいろな形でこの紙の世界に介入できるそうだ。

例えば、主人公は最初ジャンプができないので、太鼓のような床を背面タッチパッドで叩いて飛び上がらせることによって先に進んでいくことになる。タイミングよくタッチすると軽快にジャンプしていくので直感的な操作が楽しめるだろう。

ペンやハサミといったツールを使って紙を自由に切って王冠を作って、リスの頭にかぶせてあげると先に進めるようになるといった、ほのぼのとしたミッションも楽しめる。ちなみに、このミッションをクリアするとカメラが手に入り、ゲームの中で写真が撮れるようになる。撮影した写真はTwitterやFacebookで共有することも可能とのことだ。

また、さまざまなパーツを使って主人公の顔をカスタマイズすることもできると、James氏は語る。紙を自分で切ってオリジナルのパーツも作れるそうで、自分だけのこだわりのイオタやアトイでプレイすれば、思い入れもさらにアップするだろう。

今回のデモプレイでは主人公のアトイがジャンプを覚えたところで終了となったが、ゲームを進めていくとさらにいろいろなアクションが使えるようになるという。ストーリー自体は1本道だが多彩なサイドストーリーが用意されており、やり込み要素も多いとのことなので、かなりボリュームはありそうだ。

デモプレイのあと実際にプレイすることができたので、簡単なプレイインプレッションも紹介しておこう。面白いのは自分の顔を撮影してゲームに取り込めること。ゲームの世界の太陽をはじめ、あちこちで自分の顔が登場するので、ちょっと変顔をして撮影したりすれば、さらに楽しめるのではないだろうか。

ただ、見た目はほのぼのとしているが一方でパズル的な仕掛けが多く、思った以上に歯応えがある。アクションもタイミングがシビアなところがけっこうあるので、腰を据えてじっくりプレイしたいところだ。とはいえ、失敗しても直前からやり直せるようになっていたため、ストレスがたまることはほとんどなかった。難易度も下げる予定とのことなので、アクションが苦手な人でも気軽にプレイできるだろう。発売は2013年12月15日予定だ。

James Spafford氏にインタビュー

――プレイヤーと主人公を別の人格にした理由を教えて下さい。

James氏:メインコンセプトである「指で地面を突き破る」という動作から、このゲームは発展していったので、主人公とプレイヤーを違うキャラクターとして表現することになりました。開発のある段階では突き破る指に顔を貼ったりしてキャラクターとして表現することもしてみたのですが、あまりいいものではなかったですね。結果としてプレイヤーの力を借りないと主人公が進めないという形になったわけですが、これが面白い関係性を作っていると思います。

――ゲーム中でプレイヤーは主人公の友達であり、神様であるということでしょうか?

James氏:プレイヤーは宗教的な神様というわけではなくて、紙の世界にとって謎に満ちた大きな存在であるということです。

――台北ゲームショウやE3でも見せていただいたのですが、かなりゲームガイドが充実したと思います。そのほかの部分で、どのようなところをブラッシュアップされましたか?

James氏:今まさに行っていることですが、今回のバージョンでもドラムの操作が少し難しいところがあるので、そういったところもよりスムーズにプレイできるよう磨きをかけていきたいと思っています。ただ、今は東京に来てしまっているので現場で何が起こっているかは分かっていないですけどね(笑)。

――主人公であるイオタとアトイの名前の由来を教えてもらえますか?

James氏:イオタはラテン語で「小さいもの」という意味がありまして、アルファベット(IOTA)で書くと、なんとなくPSのボタンである「□○△×」に似ているなとも思ってこの名前にしました。アトイはアルファベットで書くとイオタの反転なんですね(ATOI)。また、フランス語読みの「アトワ」は「あなたに」という意味がありまして、そういったメッセージも込めてあります。

――キャラクターやカメラのレンズ以外にもカスタマイズ要素はありますか?

James氏:イオタやアトイは顔以外にも、いろいろカスタマイズできます。ペーパークロフトのテンプレートも白で出力して、自分の好きな色をつけるなどしてカスタマイズしてもらえればと思います。

――ペーパークロフトのテンプレートはゲーム中で入手するとサーバーからダウンロードできるのですか?

James氏:ゲーム中でテンプレートを入手するとサーバーに同期されて、ユーザーのアカウントからアンロックされたものをダウンロードしてくる仕組みになっています。PS Vitaではプリントアウトできないので、パソコンを使ってもらうことになりますけどね(笑)。

――さきほどプレイさせてもらったバージョンでは何度でも復活できましたが、製品版でも同じですか?

James氏:そうですね。このゲームは物語を主体にしたものなので、ミスの回数に制限を設けないようにしました。

――ジャンプ以外にどういったアクションが使えますか?

James氏:小さな紙の玉になって転がったり、アコーディオンのような動きで大きな風を生み出すといったスキルを習得できます。

――かなり歯応えがありましたが、後半になるほど難易度はアップするのでしょうか。

James氏:今回のバージョンは少し古いものでして、製品版ではもっと進みやすくなります。ただ、上級者の方でも楽しめるようサイドミッションは難易度を上げようかと思っています。

――ありがとうございました。

最後にJames氏が主人公のイオタとアトイのデザインの変遷を見せてくれた。最初は四角の積み木を積んだようなキャラクターだったのだが、コンセプトが固まるにつれて、現在のような封筒を模した形に進化していったそうだ。ここで見せてもらったアートデザインを1枚いただいので最後に掲載しておこう。

Tearaway ~はがれた世界の大冒険~

ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア

PSVitaダウンロード

  • 発売日:2013年12月5日
  • 全年齢対象
  • PS Storeダウンロード版

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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