カプコンが手がける初の本格音楽ゲーム「CROSS×BEATS」。プロデューサー兼ミュージックプロデューサー「NAOKI MAEDA」氏に制作秘話を聞いてきたのでお伝えしよう。
カプコンが贈る本格音楽ゲーム・iOSアプリ「CROSS×BEATS」。2013年12月2日より正式配信がスタートし、話題を集めている。1月18日には東京・銀座「Apple Store, Ginza」にて体験イベント、1月26日には大阪「CAFE Lab.」でストアイベントを開催し、そのMCを務めたゲームプロデューサー兼ミュージックプロデューサー「NAOKI MAEDA」氏にいろいろとお話を聞いてきたので紹介しよう。
NAOKI MAEDAプロフィール
ゲームプロデューサー兼ミュージックプロデューサー。音楽ゲームの革命・進化・革新を掲げ、多数の音楽ゲームを手掛ける一方で、音楽アーティストとしても多数の名曲を残す等、個性と才能を発揮しマルチに活躍中。
「CROSS×BEATS」インタビュー
――まずプロデューサーのNAOKI MAEDA氏について、これまでの経歴やカプコンに入社した経緯などを教えて下さい。
NAOKI MAEDA氏(以下、NAOKI氏):音楽ゲームに携わってから約16年になります。主にダンス系の音楽ゲームを長きに渡って手掛けていました。特に収録楽曲、音楽関係には自分の中に在るクリエイティブを最大限注いできました。
いつからか「音楽とゲーム」、この2つの文化の融合によって生まれた「音楽ゲーム」が持つエンタテインメントの可能性というものについて、自分なりに真剣に考えることが多くなり…僕はミュージシャンでもあるので音楽仲間は多いのですが、先ずはそんな仲間達、音楽は大好きだけど音楽ゲームには興味が無い、そんな彼らでも心から楽しめるような、音楽ゲームコンテンツ制作をしたい気持ちが強まり、この思いを実現するために現在の選択に至りました。
それぞれ会社や個体としてのパフォーマンスの違いはありますが、少なくとも音楽ゲームをプロデュースするということは、お金や環境だけではなく「クリエイティブな部分」も全て見るということが、自分のプロデューススタイルになっています。
そして長年音楽ゲームを開発していく中である時、自分が描く音楽ゲームのビジョンを形にするため、「自分自身ですべてをプロデュースし、自分で旗を振りたい」と思うようになりました。当時勤めていた会社のトップに直訴してプロデューサーとなったんです。自分は「モノを作らないプロデューサーはプロデューサーではない」という考えを持っており、ものを作る気持ちを実感し。「プレイアブル」でなければならないと考えています。
――2013年9月4日に開催された新作ゲームアプリ発表会でCROSS×BEATSの初お披露目となる訳ですが、当日の反応はいかがでしたか?
前田氏:先ずはiOSで展開されるオリジナルタイトルであること、ダンス系のタイトルで無かったこと、そしてカプコンからリリースされることがちょっとしたサプライズになったようですね。カプコンとしては、初の本格音楽ゲームタイトルになりますので。
――TGSなど試遊台での反応はどうでしたか?
NAOKI氏:カプコンによる本格音楽ゲームとして、まずはより多くの方々に認知して頂くことが大事だと考えましたので、出展ブースを設けさせて頂きました。結果は想定以上にお客様が集まってくれまして、試遊台も拡張して、待ち時間も発生するという状況になったのは嬉しかったですね。それとお客様あってのタイトルですので、出来る限りブースに張り付き、お客様と触れ合って、ダイレクトな意見や感想をかせて頂きました。TGSで、カプコン第1弾の本格音楽ゲームとして相応の認知はしてもらえたと思っています。
――正式配信後のユーザーの反応はどうですか?
NAOKI氏:本作の開発に関しては、音楽ゲームとしての「イノベーション(INNOVATION)」というキーワードを掲げました。「既存のものをより適切と思われるものに変更すること」が僕は革新の意味として捉えており、ゲームを一度でもプレイして頂ければ、その意図を何かしら感じて頂けるではなかろうか、と感じています。
また、常時通信出来得る端末によるゲームアプリの可能性に着眼を置きました。僕は過去に渡り長年、アーケードゲームの制作に携わってましたが、日本全国で開催されたゲームイベントに出演した際に、場所によっては大きな筐体を置けるゲームセンターが少なく、わざわざ車で行ってプレイしなければならないシチュエーションが大いにあることに気付かされました。「うちの県のゲームセンターには筐体が5台しかないんです…」というユーザーさんの声も実際聞かせて頂きました。
時を経て現在、急速に普及しているスマートフォンやタブレットは常時通信可能な端末でもあり、このデバイスを用いて、アーケードゲームシーンのような疑似体験が表現できるのではなかろうか?と考え、現在の仕様に至ってます。
例えば、ゲーム内に実装している「チャット機能」によって、アーケードでプレイしているときのコミュニケーションも疑似体験できるようになっており、攻略だけでなく雑談やフレンド登録など活発な交流ができます。――開発の期間、人数はどのくらいですか?
NAOKI氏:おおよそ一年ですかね。人数は開発状況によっては増減しましたが、限り無く少数精鋭ですね。
――現在の「CROSS×BEATS」の形として決定するまでどのようなアイデアが出ていましたか?
NAOKI氏:音楽ゲームとして考えられるスタンダードな内容から、超奇抜なアイデアのもの迄、日々アレでも無いコレでも無いと試行錯誤する中で、ある日、帰りの電車に揺られながら、前に貼られていたポスターからインスパイアされ、「ビリヤードや!」と思いついたんです。矢については自分とは切っても切れないマークみたいなもので、敢えて語りません(笑)
――ところで、楽曲ごとの難易度(STANDARD/HARD/MASTER)の違いはどのようなところですか?
NAOKI氏:主にシーケンス数の多さとその配置の妙になりますかね。
――アーケードの筐体と違ってスマートフォンの画面で絶対的にプレイできる範囲は狭いと思いますが、それでもトップランカーたちは攻略してくるんですか?
NAOKI氏:僕的には本作のゲームデザインとして一番体感しやすいのは実はiPadと感じているんですが……iPhoneでももちろん遊べますので。高いゲーム感を持たれているトップランカーの方達であれば、スマートフォンの画面サイズであっても、もしかするとアッという間にクリアされてしまうかもしれませんね…本当にスゴイですよね…。
蛇足になりますが、HARD譜面以降を真剣にプレイするためには、プレイ端末用に「すべり止め」を敷くことをお勧めします!車のすべり止めシートとか、とあるスマートフォンやタブレットケースなんかが結構フィットするんですよ!
――豪華なコンポーザーやアーティストなどの起用で苦労した点は?
NAOKI氏:音楽ゲームに於ける「音楽」部分は、非常に重要なファクターであり、常に心がけることは、ゲーム性に合致しつつ聴覚を良きに揺さぶる最高の音楽を準備することです。幸いなことに今回、多数のミュージシャンの方々に楽曲の部分で参画頂き、最高の音楽を多数提供頂けております。
もう1つは僕の私見になりますが、既存の音楽ゲームはどちらかと言えばゲーム業界主導型で、起用アーティストやコンポーザーの方々が音楽文化的にフューチャーされていない傾向があると感じてましたので、僕としては音楽文化へのリスペクトを可能な限りゲーム中に再現すべく、アーティストのアーティスティックな意向を汲めるような体制を構築すること、周囲に理解して頂くことに多大なるパワーを割きました。
最終イメージは、「音楽」というものがあってこのゲームが成り立っている、という「音楽」に対するリスペクトを強く感じるタイトル、メディアにしたいと思っています。
――今後他のアーティストとのタイアップの予定は?
NAOKI氏:今流行り系の旬のアーティストから、これからブレイク必至のダンスグループやバンドまで色々と予定しています!
――カプコンタイトルのミュージックとのコラボなどはありますか?
NAOKI氏:当然カプコンのタイトルですから、無い…とは言えませんよね(苦笑)すご~く期待していて頂けますと幸いです!
――19日までハイスコアランキングイベントが実施されていましたが、今後のイベントの予定を教えて下さい。
NAOKI氏:しばらくは個人戦を中心にイベント開催を想定しておりますが、近い将来にはプレイヤー同士、フレンドとの繋がりによって目的を達成していくようなイベントを開催想定でいます!
――これからどのようなペースで新楽曲の配信を予定していますか?
NAOKI氏:プレイヤーの皆さんの様々な反応を見て、配信ラインナップの内容をタイムリーに調整していきますので、ペースはプレイヤーの皆さんの動向次第となりますね。
――PS Vitaや3DSなど携帯ゲーム機への移植などは考えていますか?
NAOKI氏:タイトル的にはタッチパネル型のデバイスを持ち、かつ音楽に融和性があるゲーム機であれば、展開したい考えは「私の中」にはあります(笑)移植というよりは、そのデバイス特性にあった内容にカスタマイズした上、何らかコンバーションした内容を自分的には想定します。
――今後Androidでの配信は予定していますか?
NAOKI氏:Androidは、端末の種類が多く、その数だけタッチパネルの反応等の違いがあり、シビアな判定が要求される本格的音楽ゲームを配信展開する迄に、相応に時間が掛かりますので、先ずはiOSをしっかりやってから、ということで現在に至っております。また、プレイヤーの皆さんからAndroid展開を望む声が高まれば高まる程、配信が現実となる可能性がありますので、継続的に要望を頂けますと幸いです。
――これから「CROSS×BEATS」をプレイする人にメッセージをお願いします。
NAOKI氏:百聞は一見にしかず…ということで、先ずは「CROSS×BEATS」を実際にプレイして頂きたいと思います。iOSのスペックを最大限活用しており、収録楽曲をはじめゲーム性、デザイン、ソーシャル要素等…アーケードや家庭用音楽ゲームのクオリティーやセンスに勝るに劣らない内容になっていると思っています。
また、現在の内容はあくまで運営初動時のものであり、これからCROSS×BEATSはどんどん進化/深化していきます。プレイヤーの皆さんと共に進化/深化していく内容を目指せるのが、運営タイトルの強みと考えますので、この強みを今後最大限生かすべく、将来的にはソーシャルモデルを持った本格的音楽ゲームアプリでも、従来型の音楽ゲームアプリとは異なった「楽しい」を、より多くの方々に感じて頂けますとたいへん幸いです。
――ありがとうございました。
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※画面は開発中のものです。
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