アークシステムワークスが発売したPS3用ソフト「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late」の2D対戦格闘ゲームとしての特徴・魅力と、新規参戦キャラクター「ナナセ」および「ビャクヤ」の性能の一端を、プレイレビューとして紹介する。

目次
  1. 「UNI」の2D対戦型格闘ゲームとしてのタイプ
  2. 多彩なシステムが初心者を襲う…
  3. 「GRDゲージ」が織り成す知的戦略
  4. 「チェインシフト」ってなんなんだー?
  5. ハイドを付け狙う謎の少女「ナナセ」が参戦!
  6. お次は、姉と共に街を彷徨う謎の少年「ビャクヤ」!
  7. 家庭用版の魅力

「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late(アンダーナイト インヴァース エクセレイト/通称:UNI)」は、対戦格闘「MELTY BLOOD」シリーズを手がけたフランスパンによって生み出され、現在アーケードでも稼動中の2D対戦型格闘ゲームだ。

本作では伝奇ライトノベル風で描かれる超常的+スタイリッシュな世界を舞台に、爽快な連続技やスリル溢れる攻防など、スピーディ&洗練された競技性の魅力を体感することができる。

また、今回発売された家庭用版には、新規参戦キャラクター「ナナセ」「ビャクヤ」に加え、ネットワーク対戦、ギャラリーモード、プレイヤー情報のカスタマイズなど、家庭用ならではの要素も搭載。

本記事では「2D対戦型格闘ゲームとしてのタイプ」や、特徴的なシステム「GRDゲージ」の概要に加え、「ナナセ」「ビャクヤ」の特徴にフォーカスした個人的見解を掲載していくぞ。

「UNI」の2D対戦型格闘ゲームとしてのタイプ

2D対戦型格闘としてUNIは、攻守の切り替わりがハッキリとしており、テンポの速い展開を制しながら、如何にコンボによるダメージレースで打ち勝っていくかがポイントのタイトルと言える。ゲームデザインとしては、開発・フランスパンが展開していた前シリーズ「MELTY BLOOD Act Cadenza」および「MELTY BLOOD Actress Again」のように、いわゆる“中二病”的なアクセントが作品を形作っており、それらはストーリー、キャラクター、技名にシステム名称と、さまざまな所に散見しているため、一見するだけでその空気を感じ取ることができるだろう。

操作性については、空中機動(空中ダッシュ・一部2段ジャンプ)が備わっているものの、「メルブラ」ほど上下前後に対する自由な制動が制御できるわけでなく、一つ一つの動作の動きがしっかりと区別されていることから、悪い意味ではなくなんとなしの固さを感じ取ってしまう。また、画面に対するキャラクターの比率も改められた結果、“地上でけん制・差し合い、跳ぶ相手をガード不能の地上攻撃で落とす”といったある種、普遍的な格闘ゲームらしい駆け引きが成立するゲームとなっている。

ただし、キャラが所持している武器の大小、各キャラ固有の特殊能力/特殊技能がゲーム性に落とし込まれたことで、「画面の半分?それはジャブだ」と言わんばかりの初見ではビックリすること請け合いな長大なリーチや、試合展開を左右する特殊ゲージの取り合い、前後に対するスピーディな挙動など、どれをとっても云わば古典的な格ゲーには成りない新機軸が編み込まれているのが特徴だ。

稼働初期こそコンセプトから外れた「コンボゲーらしいコンボゲー」としての側面を押し出てしまったUNIであるものの、昨年より稼働を開始した新バージョン「Exe:Late」以降はダメージバランスの変化、コンボ時間の短縮、起き攻めに対する調整、各キャラの突出していた点が鳴りを潜めるなど、いわゆるマイルド調整が加えられた結果、触り易く遊びやすい作品にブラッシュアップされた。人によっては十分コンボゲーと呼べる範疇であろうが、コンボはあくまでダメージを算出する手段でしかないので、余りこういったタイプの格ゲーをプレイしたことがないという人は、前段階で忌避せずに挑戦してみてほしい。

多彩なシステムが初心者を襲う…

UNIはその戦うだけなら分かりやすいゲーム展開に対して、それらを上の次元で成立させるための面を喰らうほどの多彩すぎるシステムが用意されている。下記は筆者なりに要所だけをピックアップし、まとめたものだが、

パッシングリンク A→B→Cなど攻撃ボタンを順次入力するだけで連続攻撃可能
スマートステア Aボタン(弱攻撃)をA→A→A→…とA入力だけで連続技に
必殺技 コマンド入力で各キャラ固有の強力な攻撃を繰り出す
EX必殺技 EXSゲージ100%使用で強力な必殺技を発動
インフィニットワース ヴェールオフ中orEXSゲージ200%時に超必殺技が発動可能
インフィニットワースイグジスト 特定条件を満たした後に、最大級に強力な超必殺技を発動
ヴェールオフ EXSゲージ100%時にA+B+C入力で一定時間パワーアップ
アサルト 鋭い前ジャンプで相手に接近、中段攻撃を仕掛けられる
ダッシュ攻撃 ダッシュ状態から特殊モーションの攻撃を繰り出す
インクリース 性能が変化する溜め攻撃。キャラ毎に対応技を搭載
フォースファンクション 各キャラ固有の特殊技。用途・性能は個々で異なる。
コンセントレーション 戦況に影響を与えるGRDゲージの増加行動
チェインシフト GRDをEXSに変換。同時にモーションをキャンセル
シールド 強力なガード行動。成功するとGRDゲージが増加
ガードシールド 相手を大きく後退させるシールドの応用的な使用法
ガードスラスト ガード状態から無敵攻撃で反撃。いわゆるガーキャン

とまぁ、この通りズラリズラリと勢揃い。格ゲーに馴染みがある人は一見すれば「ああ、アレの事か」と分かるシステムも羅列されていると思うが、その独特な用語と相まってどれがそのアレを指しているかが最初の内はピンと来ないかもしれない。ものによっては共通システムというより使用キャラに準拠するのもチラホラあり、また最初から全部を使いこなす気概でいるのもそれはそれで難儀だと思われるので、今回は比較的に重要性が高いであろうものを、さらに詳しくピックアップしていく。

自由に攻撃を繋げられるシステム「パッシングリンク」

まずは一番上の「パッシングリンク」。これはA→B→Cなど攻撃ボタンを順に入力するだけで連続攻撃が繋がるというもの。また、一度使ったボタンは地上・空中状態をリセットしなければ再度コンボに使用できないという制限があるだけで、このボタンの次はアレとアレしか押せないといったチェーンルートなども一切無い。ヒット時にはC→A→2Cなどと自由にボタンの行き来が可能となっている。攻撃レベルの大きいCで相手の硬直時間を延ばし、Aですかさず繋いでコンボ時間を最大限に利用するなど、コンボルートの構築に加え、地上固めで利用していけばアドリブ次第で思わぬ中下段を刺せたり、暴れを狩ったりできるので、自分なりの手癖で突き詰めていこう。

なお、基本的に重すぎる攻撃を振らなければ攻撃側が微有利~5分に立ちやすいこのゲーム。キャンセルの利く地上中段でも上段・下段の通常コンボと同等のダメージを出せるため、一度の固めで相手を逃がさないよう、固め直しのルートを構築していくことが真っ当に勝ちやすい戦術の1つだ。

初心者でもスタイリッシュに連撃できる「スマートステア」

お次は「スマートステア」。これは初心者でも簡単&爽快に楽しめるよう用意されたシステム。格ゲーは苦手だけどストーリーを楽しみたい…などといった人でも、A攻撃を当てた後にAボタンを連打するだけでスタイリッシュなコンボを決めることができる。コンボのダメージも最終段だけゲージ依存になってしまうが、対人戦においても十分な火力を発揮できるので、この安定感を真っ向から使わないと考えるのも勿体ない話だ。

また、中級者であっても忘れていけないのが“連続攻撃で使用した同モーションの攻撃もスマートステアでは再度使用できる”という点。これにより、B→C→A→A(Bと同モーション)→A(Cと同モーション)→…など、失敗したくない時や地上でリソースを稼いでおきたい時に安定感のある応用コンボを放てる。ただし、あくまで地上ルートなのでキャラによってはC攻撃のヒットバックで次が当たらない! なんてことも起こったりするので注意。

攻撃力上昇+システム有利を引き出す強化行動「ヴェールオフ」

「ヴェールオフ」はEXSゲージ(必殺技ゲージ)が100%以上溜まっている際に発動できるパワーアップ行動。バトル中に条件を満たし、A+B+Cを同時入力すると、発動後に一定時間「GRDゲージの上昇率増加」「攻撃力の上昇」「インフィニットワース(IW)の使用権」などを獲得することができる。発動中はEXSゲージが時限式に減少していくが、ゲージが残存している限りは残量に関係なくEX必殺技&IWを使用できるので、出し得の技さえ備わっていれば最後に無理矢理出しておくのも一つの手だ。

また、発動まで無敵状態&発動時の衝撃波で相手を吹き飛ばせる性質を兼ね備えていることから、固め&起き攻めに対する拒否行動としても最適だ。ただし、読まれたら確定で反撃を受ける覚悟が必要なので、安易な選択として連打するのは止めておこう。

その他沢山のシステム

空中ダッシュがそれほど鋭角でない本作では、地上で「アサルト」を使用することにより素早く前方向にジャンプ移動しながら中段攻撃を放てるようになっている。また、昨今の格ゲーでは比較的珍しいダッシュ攻撃も搭載。当てればリターンが大きく、確定反撃が痛い技などいずれも子粒揃い。インクリース(対応技の溜め攻撃)による攻撃性能の変化(中段化・攻撃範囲増など)や、シールドを利用した攻勢の拒否などもなるべく活用していきたい。

…このように、大変多くのシステムが用意されているため、初心者は手始めに全部を覚えようとするより、持ちキャラに対応・便利なシステムから覚え、徐々に加味していくのが良いだろう。対戦を繰り返すことがあれば、そこから学習し、より良く対応していけるので、実感も伴うしオススメだ。

アサルトで上下前後を揺さぶる! ダッシュ攻撃で性能変化!確反も注意!
インクリース対応技は個々で違う。 シールドでGRDゲージを優位に!

「GRDゲージ」が織り成す知的戦略

本作のバトル画面/システムの中でも一際目立つ点が、特殊ゲージの1つ「GRDゲージ(グラインドグリッド)&TSゲージ(GRDトランスファーステイト)」だ。これはいわゆる「ヴァイタルヴェセル(体力ゲージ)」「イグジスエンハンス(EXSゲージ:必殺技ゲージ)」とは別に設けられており、従来の格ゲーにはあまり備えられていなかった点を可視化できるようにしたものである。

GRDゲージは“戦況の優劣を現すゲージ”として画面中央に備わった赤・青の升目状のものを指している。これは各プレイヤーの行動に合わせた蓄積/減少をみせ、「前進した・ダメージを与えた・コンセントレーションを行った」などでゲージが増え、反対に「後退した・ダメージを受けた」などで減少する。中央に備わっている円形のTSゲージが1週経過した時点で判定が行われ、より多くのゲージを所有していた方がエフェクトと共に「ヴォーパル」状態に突入。次の判定時まで攻撃力のボーナス、特殊システムの使用権を獲得することができる。基本的に攻めた側を有利にするシステムであるため、不利側は正しく不利になるものの、値の低下/行動の制限などペナルティがシステム的に課せられることは一切ない

ただし、ヴォーパルが発動した際の一番の恩恵ともいえる「チェインシフト(後述)」の使用権は、その後の立ち回りに大きなメリットをもたらすため、プレイヤーは殴って殴られての格ゲーの展開に加え、GRDゲージで優位に立つための選択・行動という観点からの盤上戦をも展開していくこととなる。

ヴォーパル状態では青色のオーラがキャラクター周囲に展開

GRDゲージはただ攻撃して相手を固めていくだけ、といった戦法だけではもぎ取ることができない。攻撃側は漫然としたけん制を振っているだけでダメージを与えられなければ、防御側はガードしているだけでGRDゲージを獲得できるからだ。また、攻撃を読んでシールドに成功すればGRDゲージを1マス分獲得できるので、安易な飛び道具などを積極的に吸っていくのも重要な行動だ。

さらに、前進しながらの様子見といった行動で、攻めずに優勢に立つヴィジョンを持つこともできる。この辺りの駆け引きについては数年にわたるシリーズ展開の中で大いに議論された点でもあるので、この辺りについて詳しく知りたいという人や、またキャラ選択が悩ましいという人は、まず公式サイトに掲載されている「動画で始めるアンダーナイトインヴァースエクセレイト」「今から始めるアンダーナイトインヴァース エクセレイト!」や、同じく掲載されている「ワンポイントシステム攻略」などをチェックすることをオススメする。

また、如何にGRDゲージが戦況に優劣を作るといっても、格ゲーとして帰結するべき点は「相手の体力ゲージを先に0にする」ことなので、あまり重視し過ぎてしまうと結果的に目的がずれてしまうこともあるため、自分の置かれた状況(相手からの起き攻め状態、体力有利でGRD不利)と取るべき行動をなるべく擦り合わせて、勝つための方法を探ることが、やはり一番重要となってくる。

そしてもう一つ、正直な所、GRDゲージはゲームにかなり慣れなければ目に入れておくことも困難なシステムでもあるのだ。分かりやすいゲーム展開ではあるものの、ゲームスピードがそれなりに早い点から、まったくの初心者はおろか、他タイトルの慣れている格ゲーマーでも、最初の内は目を配っていくことすら結構難しい。上記でいやに戦術的に語ったことを覆してしまうようだが、もしこれから始めるという人は「どっちがヴォーパル状態なのか」だけに意識を配るだけでも十分なので、こちらもシステムと同様最初の内は深く考えなくても大丈夫だ。

左上のダメージ表記の青字部分が攻撃力ボーナス。丁度10%が加算される。

「チェインシフト」ってなんなんだー?

文中で述べている「チェインシフト」について、ここで追記しておこう。チェインシフトはGRDゲージを制し、ヴォーパル状態になったプレイヤー側だけが行使できるシステムで、条件を満たしているときにDボタン2度押しで発動することができる。発動するとその時点で所有しているGRDゲージを全てEXSゲージに変換(1マス×20%)しながら、同時にその時のキャラクターのモーションを全てキャンセルすることができる。こう書けば「コンボの繋ぎに使うのか」と思う格ゲーマーも多いと思うが、コンボに無理矢理ねじ込んでもしっかりと使うことを意識していなければ通常ルートよりも安い、なんてこともまま。初段補正の大きな必殺技を初手で当てた際にキャンセルして大ダメージ、などの応用コンボ以外ではそれほどコンボ面において経由することもないだろう(あくまで個人的に)。

大抵の使い道としてはやはり「EXSゲージを稼ぐ」「博打性のある行動のための保険」「固めに対する割り込み」の3種がオーソドックスだ。一番目は言わずもがな、安全にEX必殺技やヴェールオフを回すための貯蓄に回せるといった点から有用性が高い。二番目は画面の半分をカバーする程のリーチの長い攻撃や、本来なら確定反撃を受けてしまう必殺技をねじ込むための保険として活用できる。三番目は相手の固めの隙間でDボタンを連打し、画面ストップ時に無敵技を入力して無理矢理割り込むといったリバーサル的方法。2・3番目の手段を使っても1番目の利点はそのまま享受できるため、相手よりも1手甘えの利く選択肢を持てるという点がチェインシフトの大きな魅力であろう。ちなみに「無敵技でリバーサルしてチェインシフトすればいいんじゃないの?」と思った人は残念、無敵技の多くはチェインシフトに対応していないのだ。理不尽に荒れやすい展開を避けるためにはベストな制限だといえる。

なお、もう一つ記述しておかなければいけないのが「チェインシフトを使用した時点でヴォーパル状態・所有GRDゲージが消失」するということ。使えば利点だらけのシステムであるものの、使用時点で攻撃力ボーナスがなくなり、GRDゲージも相手の所有量問わず0になるため、次のTS判定時に相手に権利をとられてしまう可能性を考慮しなければならないのだ。チェインシフトを使わずGRD有利でいれば、こちらがヴォーパル状態を保ちながら相手にチェインシフトを使わせなくて済む、などといった戦術でバトルを展開することもできるので、ここから先は個人個人が探るべき選択と言えよう。

普段では確定反撃な大技もチェインシフトを利用してぶんぶん振り回せる。
フォローはもちろん、追撃レシピを覚えておくことも重要。

ハイドを付け狙う謎の少女「ナナセ」が参戦!

ここからは、家庭用版で新規参戦を果たした「ナナセ」の特徴を紹介していく。ナナセはそのキャラクターストーリーからして、実に面白い女の子だ。アーケードモードにあってはてんやわんや。「体をハイドに汚された!」と声高に叫び、出会う人、出会う人と大騒動。バティスタとの相対で、有るのか有らぬのかも分からないハイドの悪逆非道に対して「おのれハイド!」と怒りを燃やすその真相は、ぜひとも自身の目で確かめてもらいたい。

なお、ゲーム内の性能として、旋纏のEXS「ウィンドミル」の力である風の加護を身に纏い、身長大の剣「ゼファー」を活かしたリーチのある攻撃、突進技、対空技、飛び道具、アクセントを付けられる特殊移動と、バランスの良い見た目通りのオーソドックスさと、技量が出る一癖を備えたキャラクターとなっている。

※以降、レバー入力の表記は「テンキー表記」とします。

5B:前方範囲を風で攻撃

程よい距離をカバーする5B。けん制で振るには多少硬直の重さを感じてしまうものの、前方を広くカバーしてくれるのが魅力。続いての5Cが大きく剣を横振りしてくれるため、巧く引っかけたケースからの連携も落とさずに済む。ただし、打ち上げに該当する3Cは横へのリーチが薄いため、1~2キャラ分の広さで引っかけた場合は下記の「レーヴを追いかけて(236+ボタン)」で横に繋いでいくようなルートが必要となるだろう。

ダッシュC:くるっと回って中段攻撃

ナナセは通常攻撃における中段はダッシュCのみとなり、パッシングリンクから中段を繋げるには必殺技「レーヴを追いかけて」「アンジュの誘い(214+ボタン)」からの追加入力による単発中段となる。そのため特定のキャラと比較すると、手軽に中段を出し易いキャラとは言えない。しかし、ダッシュCは発生が若干遅いものの、前進距離の長さとモーションからして奇襲性に優れた一撃となっており、ヒットさせた場合はAや必殺技キャンセルで拾えるため、まとまったダメージをとるための中段戦術としてはやはり高めておきたい始動の1つだ。

JB:空中でゼファーをブンッ!

下記の画像は左から右に向けてジャンプし、JBを振った時の様子。見た目通りというか、感のいい人なら分かるであろう“めくり”に対応したジャンプ攻撃だ。ただし、裏側も含めてそれほどミッチリとした判定が詰まっていないため、めくりとしてしっかり当てるにはそれなりに距離を気にして振る必要がある。なお、高度をとれば追加入力で2段技となる。

236+ボタン:必殺技「レーヴを追いかけて」

レーヴは地上を滑るような突進攻撃。ゼファーの剣先が地面に向いているものの、意外にも下段判定ではない。距離と速度はABCの強弱で変わり、追加入力6Aで横吹き飛ばし派生、6Bで中段派生、6Cで切り抜け派生(相手を直上に切り上げ)となる。特に6C派生は相手ガード時に入力してしまってもそのまま相手の裏側にすり抜けていくため、相手にそれをしっかりと狩る姿勢でもなければ、仕切り直しとしての用途が光る。

しかし、距離それなりに取るものの微不利ほどの状態で仕切り直すため、画面端、無駄に乱用、とりあえずコレ、などと安易に選択していると決定権に欠けるので、イキナリ中段や一段目止めで手を出してくる相手に「風に舞うプルマージュ(623+ボタン)」を振るなど、立ち回りのアクセントとして振っていくことも考えておこう。ちなみにEX必殺技版だと物凄い速さと判定で突進するため、盤上を荒らすにはもってこいの技だ。

6B派生 6C派生

空中236+ボタン:必殺技「フルールに想いを乗せて」

こちらは空中でのみ出せる飛び道具。円形を成した風がABCそれぞれ違った角度で飛んでいく。Aはナナセの位置から角度の浅い斜め下に、Bはナナセの真下を通り、地面を這って地上の画面端に、CはEX必殺技らしく画面6割程をカバーしていそうな竜巻仕様。特質するべきはBフルール。これは地面を這って相手に向かうまで多少時間がかかるため、従来の飛び道具のようにシールドをとろうとすると、距離によってはそれより早くナナセが突入してくる。

さらに、素早くジャンプし直してAフルールを撃てば、画面上下を弾で埋めることができるので面白い。ただし、小ネタとしての画面制圧にはそれなりに長けているが、相手のリーチのある攻撃を引っかけられたり、無駄に撃ってばかりで相手にシールドされGRDゲージを献上、としないためにも防御ではなく攻めの布石として用いていきたい。

上を撃っている間に下が相手に向かう。
EX必殺技らしく大幅強化。

B+C(フォースファンクション):「そよかぜのリベルテ」

ナナセのフォースファンクション「そよかぜのリベルテ」は、風の力を利用した素早いハイジャンプ行動。上方向に大きく飛んでいる間、前後に対する慣性が相当に効くため、他のキャラとは違う挙動で画面を移動することができる。ジャンプ中に利用した場合は小さくジャンプし直し、フワフワと空中浮遊することができるため、地上・空中ともにプレイヤーの空中制動の腕が試されるぞ。なお、あくまでフォースファンクションで有るため使用時にGRDゲージを1つ使用してしまう。他のキャラよりも気軽に出しやすい仕様な分、無駄に「出したいだけ―」を繰り返してしまうと自分からGRD不利を招いてしまうので注意。

大きなエフェクト共に画面上部までハイジャンプ。
空中で再度軌道を変えたい時に利用していこう。

オーソドックスさと特殊性を兼ね備えたバランス型

ナナセは上記のほかにも、自身の前方に大きな竜巻を作る「アンジュの誘い」、風を纏って自身直上に飛び上がる対空技「風に舞うプルマージュ」と、使いやすそうなパーツも盛りだくさん。A攻撃などもしっかりとしたリーチを備えながら軽く触れられるし、ジャンプCに至ってはJC、J8C、J2Cと用途もさまざま。これらが如何に使用されていくのか、これからの環境に期待がかかる。

お次は、姉と共に街を彷徨う謎の少年「ビャクヤ」!

もう一人の新規参戦キャラクター「ビャクヤ」は、クラシカルな様相の姉・ツクヨミと共に「虚ろの夜」の下で行動する謎の少年。姉の人使いに対しては皮肉交じりにブラックだと答えるものの、姉の願いを叶えるためには、恐らく躊躇など欠片も感じないのであろう狂気を孕んだキャラクターだ。

ビャクヤの能力は闇鉤のEXS「ケリケラータ」。背面に備わる蜘蛛の足のような武器「八裂の八脚」から繰り出される斬撃・刺突は、長さと広さを両立したバランスのいい攻撃に仕上がっている。そこに加え、ゴルドーの3段技のような「どう料理しよう?(236+ボタン)」を使えば地上で手軽にダメージがまとまり、蜘蛛の巣を画面内に張って相手の動きを制限する「この辺に仕掛けておこうかな?(214+ボタン)」で画面を制限しながら、追加派生で表裏に奇襲したりと、「ナナセに対してのテクニカルキャラかな?」といった印象を持っていたのだが、正直なところ筆者としてはビャクヤの方がより手軽に扱いやすいキャラクターであると感じられた。

2B:前方に八脚を振り下ろす

見た目通りの範囲をカバーしてくれる2B。けん制にコンボにと、距離さえ合えばアサルトの浮きも潰せそうな汎用性の高い攻撃。これについては他に書くことがないくらい、見た目通りの良い2Bだ。

5C:前方向を大きくザシュッ!

こちらも見たまんまの5C。5Cとしては本作の丁度中間位に位置するような程よい攻撃。先端気味で当てても「どう料理しよう?」で拾え、固めで距離が離れても「この辺に仕掛けておこうかな?」を張ってそこから奇襲したりと、距離に応じた必殺技を有しているため、経由先としても扱いやすい一品。

3C:前方から上部まで広くカバー

画面はインクリースから出した状態。低い姿勢から溜めに入るため、対空にはもってこい。こちらも広い範囲をカバーしてくれることから前方向へのけん制としても光る。ただし、これをものともしない遠くからのユズリハの抜刀や、「え?いつ来たの?おかえり」と思わず言ってしまいそうなリンネのダッシュ力など、相手次第では穴もたくさんある。狙い所は考えよう。

J2C:フワッと浮いて触れるもの皆切り刻む

空中でフワッと浮いた後に自身の全周囲を八脚で切り刻むJ2C。発生までに若干のタメがあるものの、空中における挙動の変化、上下前後関係ない全身判定、連続ヒットの特性に有用性が光る。モッサリしてしまうところを狙われなければ飛び込みでも十分使えるので、曲線的なアプローチをかける際に振っていきたい。

236+ボタン:必殺技「どう料理しよう?」

「どう料理しよう?」は236+ボタン後、同コマンドの追加入力を2回受け付ける3段必殺技。地上から適当に繋げるだけでもダメージがまとまってくれるため、コンボの手癖などが身についていない時期にはお世話になりそう。さらにEX必殺技版までキャンセルすればさらに伸びそう。結果、いつまでも頼れる技の1つとなりそう。

214+ボタン:必殺技「この辺に仕掛けておこうかな?」

「この辺に仕掛けておこうかな?」はABC毎にそれぞれ異なる位置に蜘蛛の巣を張る必殺技。画面内に設置できる数は1つで、EX必殺技にも対応していない。画面内に設置された蜘蛛の巣に引っかかった相手は、蜘蛛の巣状態で一定時間身動きが取れなくなる。引っかかった相手にコンボをいれたり、タイミングによっては欲張らず単発攻撃で繋げたりとアドリブが重要。また、この技を出した後に3種類の奇襲技を追加入力することができるので、距離感と連携を高めていけば、実に滞りのない起き攻めも可能になるかも?

派生A 派生B

意外や意外にとても素直に使いやすいテクニカルキャラ

再度伝えておきたいのは、ビャクヤは見た目に反してとても使いやすいキャラクターだ。潜在的に考えればもちろん筆者程度のプレイ時間では到底先が見えないものの、本作でも屈指の分かりやすい技構成だといえる。ビャクヤのテクニカルさというのは、その使いやすい必殺技の使い方を駆使した先に見える技量面であると考えられるので、まずは新規プレイヤーも既存プレイヤーも触ってみることを第1にオススメしたい。

家庭用版の魅力

タイトル画面でスタートを押し、モード選択画面で気付いたのだが、本作は正直なところ「一人用に充実したタイトル」ではないと思われる。アーケード、スコアアタック、タイムアタック、サバイバルモードと備わっているものの、トレーニングモードだけで1日が終わったという人でもなければ充実さを感じるのは難しいだろう。また、ゲームを始める上でのチュートリアル、自分にとっての新しいキャラを触る上でどういうコンボがあるのか知りたいチャレンジ系なども用意されていないことから、実践あるのみの系統であることが察せられる。

ただし、ネットワーク対戦がポピュラーになった昨今にあっては、一人用の充実とは違う方面であるものの需要としてはそれ程デメリットではないのだろう。ガチに対戦したい人、気軽に対戦したい人、やはりどのような形をとっても“対戦”に収束する格闘ゲームであればこそなのだ。

格闘ゲーム面に惹かれた人、キャラクターに惹かれた人、世界観に惹かれた人、どうぞこの機会に挑戦してみるのはいかがだろう?

UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late

アークシステムワークス

PS3ダウンロード

  • 発売日:2014年7月24日
  • 12歳以上対象
  • PS Store ダウンロード版

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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