カプコンは、4月29日から5月10日にかけて、「逆転裁判」の舞台第2弾「逆転裁判2~さらば、逆転~」を東京・六本木の俳優座劇場で上演する。ここでは、そのゲネプロ(公開リハーサル)の模様についてお伝えする。
「逆転裁判」は、弁護士と検事の熱い戦いが繰り広げられる「法廷バトル」を主軸としたアドベンチャーゲーム。宝塚歌劇や実写映画化、オーケストラコンサートをはじめ、ゲームに留まらず幅広い展開をみせている人気作だ。
本作は、2013年に公演され、再演されるほどの人気を集めた舞台「逆転裁判~逆転のスポットライト~」から続く舞台化の第2弾。ゲームをプレイしたファンならお気づきだろうが、今回はオリジナルストーリーではなく「逆転裁判2」の第4話をベースとしている。
今回から初参加となる成歩堂龍一役・渡辺大輔さんは、若干のプレッシャーを感じつつも、自分なりのナルホドくんを見せられたらとコメント。セットや音楽、映像にも注目してほしいと語った。
3度目となる御剣怜侍役・和田琢磨さんはゲームの良さに舞台ならではをプラスし、ここだけの作品になったと自信をみせる。見どころに弁護士対検事の法廷シーンを挙げ、御剣らしい優美な一礼も見せてくれた。
同じく3度目の綾里真宵役・荻野可鈴さんは、初めて演じてから2年が経ったことを感慨深げにし、稽古を重ねる間にマヨイちゃんの元気さや純粋さを取り戻せたという。舞台ではすでにお馴染みのメンバーや、新キャストも力強い意気込みを感じる挨拶をした。
メインとなるのは、やはり「待った!」「異議あり!」などの手に汗握る法廷バトルだが、今回はナルホドくんの苦悩ぶりも見どころだろう。普段は被告人の無罪のためにがむしゃらに戦うナルホドくんだが、ここではマヨイちゃんの運命も背負うこととなる。弁護士としての正義、大切な人を守りたいと思う気持ち、その狭間でナルホドくんは大いに悩み、苦しむ。
重々しい雰囲気もありつつ、「逆転裁判」の濃すぎるキャラクターが織りなすコミカルな演出も健在だ。とくに「事件の影にヤッパリ矢張」といわれるほどのトラブルメーカー・矢張政志や、オバチャンこと大場カオルとのやり取りは凄まじい。マシンガントークはさることながら、こんなにアグレッシブなオバチャンは初めて見たと思ったほど。かと思えばイトノコ刑事も負けじと張り合い、びっくりしつつも笑ってしまった。
また、なんといっても狩魔冥、メイちゃんのムチさばきに触れずにはいられない。会場に響き渡るムチの音に、身がすくみそうになりつつも「これぞメイちゃん!」と感動してしまった。ちょっとセクシーなヒール、タイトスカートもしっかり再現されており、メイちゃん好きなら必見となっている。
法廷では、ゲームさながらに緊張感ただよう「証言」「証拠」の応酬が繰り広げられる。殺人事件の犯人、そして隠された真実に近づく過程を楽しむのもポイントだが、ゲームファンには「証人」に注目していただきたい。ゲーム内では基本的にきちんと証言台に立っている証人だが、舞台ではあちこち動き回り、時には裁判長まで巻き込むほどのフリーダムぶりを見せてくれる。
ナルホドくんが資料を引っ掻き回しながら「ムジュン」に気付く演技も、個人的にオススメしておきたい。自分がプレイヤーとして証拠品を見比べていた時、ナルホドくんはこんな感じだったのかなとしみじみしてしまうはずだ。
筆者はすでにゲームを遊んでいるため、ストーリーも真犯人もすべて知っていた。それでも思わずもらい泣きしそうになったり、胸が熱くなったりする場面が度々あった。ゲームのBGMがこうした感動をさらに盛り上げ、改めて「逆転裁判って面白い!」と思えるような舞台に仕上がっている。気になる「アのキャラ」の本性も素晴らしい出来栄えだったので、ファンにはぜひ会場へ足を運んでほしい。
舞台「逆転裁判2~さらば、逆転~」公式サイト
http://www.gyakutensaiban-stage.com/