アメリカ・ロサンゼルスにて6月16日(現地時間)より開催されている「Electronic Entertainment Expo(E3) 2015」。ここでは、スクウェア・エニックスのIo-Interactiveスタジオが開発しているPS4/Xbox One/PC用ソフト「HITMAN」のゲーム概要とインタビューをお届けする。なお、日本発売および配信は現在未定。
「HITMAN」は、これまでのシリーズ作品のイイトコだけを凝縮した、新たな心持ちで送り出される暗殺TPSシリーズの最新作。プレイヤーはプロの暗殺者として全盛期を迎えた「エージェント47」を操作し、美しきパリ、情熱のイタリア、世界遺産マケラシュなど、世界中のさまざまなロケーションで時の権力者たちを仕留めていく。
ターゲットの暗殺方法は、どこへ行き、いつ行動し、どう始末するか、全てプレイヤーの考えで決まる。銃器に身を任せて突破するも、華麗な計画を打ち立てるも、踊り場のガスヒーターにドライバーで穴を開けてタバコの火で爆発を起こすも、仕事中の誰かの工具入に凶器を忍ばせて生身で侵入するも、たまたま落ちてしまったシャンデリアがたまたまターゲットに当たるも、全ては自身の行いを演出する花道。
サンドボックスを称する本作でプレイヤーに与えられるのは、“数えきれない選択肢と、その答えを導き出すことのできる環境”だけである。
ただし、与えられる暗殺のチャンスはたったの1度限り。暗殺対象に逃げられてしまえば、ゲーム中にその人物が姿を現すことは2度とない。これにより、後に誰かが描いた計画図を試すこともできないので、新たな暗殺任務に出会うたび、プレイヤーは各々の美しき暗殺を練り上げる幸せに出会えるのだ。
また、マップがシリーズ最大の広さになったのはもちろん、そこで生活するNPCたちも大幅に増加し、すべてのキャラクターに名前がつけられているため、パーソナリティがより明確に把握できるようになった。
加えて、本作では新たなロケーション、任務、ターゲットが随時配信されるほか、ゲームバランスの調整、ユーザー作成コントラクトの体験により、「やることがなくなる」こととは無縁のタイトルである。
さて、今回は開発・Io-Interactiveのスタジオクリエイティブディレクター・Christian Elerdam氏に先んじて一部ゲームプレイを見せてもらえたので、装いも新たに生まれ変わったポイントなど、気になる質問と合わせて紹介していこう。
Chirstian Elerdam氏へのインタビュー
――今回の「HITMAN」のコンセプトは何ですか?
Elerdam氏:本作は、過去に出てる「HITMAN」シリーズの「サイレントアサシン」「ブラッドマネー」「アブソリューション」などの良かった要素を全て抽出したうえで、最新の技術で組み込むことがメインコンセプトです。本作は一つのサンドボックスといえるレベルで、過去作に比べてもはるかに大きく広いマップが特徴です。そしてチェックポイントシステムは今回存在せず、任意にセーブ&ロードを行うことができます。
また、暗殺のアプローチはすべてプレイヤーに任せるのが今回のスタイルです。ただ、サンドボックスの中(ステージの中)に入るまでに段取りは必要ないので、サンドボックスの中に入ってからが暗殺の本番という感じです。
ゲームプレイの様子:舞台はパリ、ファッションショーが執り行われている宮殿に、エージェント47が降り立つところからミッションスタート。入り口すぐの大広場にある噴水の前では、レポーターの女性が撮影中のようだ。
――過去作の良いところは、具体的にどのように組み込みましたか?
Elerdam氏:「ヒットマン: アブソリューション」の良かったところは、NPCである人たちが多彩な会話をしていて、その中で小さな物語が生まれていた点です。本作でもそれはもちろん取り入れていて、例えばこのレポーターの女性の話をずっと聞いていると、ターゲットであるスーツの男性のもとに取材に行くことがわかります。
ここで取材の時間と場所を把握しておけば、暗殺の機会もそれによって分かることになるのです。
――このステージにはどんな特徴がありますか?
Elerdam氏:車の駐車場がありますので遮蔽物としては最適ですが、警備もいるので油断はいけません。また、今回はあらゆる場所に、暗殺に使えるものがあります。例えば踊り場のヒーターにドライバーで穴を開ければ、そこからガスが漏れだすので、その横でたばこを使えば爆発で暗殺することが可能です。
ほかにもシャンデリアを落としたり、プロパンガスを爆発させたり、秘密の通路を通って狙撃地点へと向かったり、さらにバーテンダーに変装して毒入りのカクテルを提供すれば、トレーラーに収録されていたような事になります。さらに、ファッションショーのステージ真上に設置されている荘厳なオブジェを落下させれば、こちらもトレーラーの目玉で使っていた場面にたどり着けます。プレイヤーの皆さんには色々と試していただきたいです。
ゲームプレイの様子 2:ファッションショーが行われる前の楽屋に潜入。トレーラーにも登場していた”奇抜な髪型”をしているショーのデザイナーの姿も見られる。しかし、スーツの男性とデザイナーが口論している様子。何やら「センスが無い!」とか言われているらしい。もちろん、この場面も暗殺のための情報として使える。
――ヴィクターはいろんな場所で暗殺できそうですね。
Elerdam氏:実はターゲットはスーツの男性だけでなく、彼のビジネスパートナーである女性も対象になっています。スーツの男性は色々な場所を歩きまわっていますが、女性は“とある事”が行われている厳重な一室から殆ど動くことがないのです。こうやって、ターゲットにも色々な種類を用意することで、バラエティを豊かにしていきます。
――コントラクトモード(オリジナルミッションの作成・配信をするモード)はありますか?
Elerdam氏:「ヒットマン: アブソリューション」では最大40人くらいのターゲットを指定することができたのですが、本作では今回紹介したマップであれば、最大300人程度をターゲットとして指定し、オリジナルのコントラクトを作成することが可能です。そのため、広大なマップには色々なギミックを用意しているのです。
ゲームプレイの様子 3:次はところ変わって、AIの動きを見せてくれることに。エージェント47は入り口の広場にいる、2人の警備員の近くにやってきた。
――AIの動きも進化していると?
Elerdam氏:本作ではいろいろな場所に爆弾を仕掛けることができます。普通なら暗殺するために爆弾を設置するのですが、今回は爆弾を近くに設置し、コインを使ってそちらに気をそらしてみましょう。
基本的に爆弾は見えない場所にしかけるものですが、こうやって警備員に爆弾の存在を知らせてみると、彼は爆弾を解除し、物を保管する場所に置いてこようと、その場を離れます。これは警備が手薄になること、保管場所に武器を運ばせる行動としても利用できます。
――暗殺対象になる人は、基本的に悪い人なんでしょうか?
Elerdam氏:例えば今回お見せしたターゲット2人は権力者です。ターゲットとしてデザインされているのは基本的にそういった人物なのですが、完全に正義と悪のような区分けはしていません。そのため、人物をよく探っていくと二面性を持っている姿を見受けられることもあります。ステレオタイプの悪者というわけではないです。
――今回のマップを作るのは今まで以上に大変でしたか?
Elerdam氏:次世代機でやることによって、今までできなかったことができるようになりました。それによってアーティストの方々は緻密なデザインを盛り込めるようになりましたが、“盛り込めるようになった”からこそ、やはり大変な思いをしています。
――本作ではパリのほかに、どのような場所が登場しますか?
Elerdam氏:今の段階ですと、イタリアの海岸沿いであったり、アフリカであったり、モロッコであったりと公開しましたが、現時点では秘密です。
――最後に、日本のファンに一言お願いします。
Elerdam氏:日本のファンの皆さんにプレイしてもらえることを、開発陣全員でとても楽しみにしています。前回も日本のファンの方々には大変支持されたので、今回もそれ以上に期待してくださると嬉しいです。