バンダイナムコエンターテインメントより発売中のPS3用ソフト「アイドルマスター ワンフォーオール」で、6月24日に「シンデレラガールズ」の作品内ユニット・new generationsが歌う「お願い!シンデレラ」がダウンロードコンテンツとして配信された。new generationsの面々への連続インタビュー第二弾として、渋谷凛役を演じる福原綾香さんへのインタビューをお届けする。

福原さんは鹿児島県出身で、ヴィムス所属。大学で管理栄養士の勉強をする傍ら、日本ナレーション演技研究所で声優の勉強を続け、2012年に「アイドルマスター シンデレラガールズ」渋谷凛役でデビューを果たした。

「シンデレラガールズ」では初期から「デレラジ」(現・「デレラジA」)のパーソナリティを務める。初期はしっかりもののまとめ役の要素が強かったが、徐々に中二病的な気質や「貧乳川柳」「メール投稿職人・道玄坂登」といった独自路線をオープンにし始め、最近は別番組「CINDERELLA PARTY!」などでも活躍している。この秋(10月3日)公開の「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- Cadenza」では霧の生徒会・ミョウコウ役を務めるなど、今後の活躍がさらに注目される若手声優の一人だ。

福原さんの個性を育んだ少女時代と、「凛ちゃんが私をいろんなところに連れて行ってくれた」と語る初めてのパートナー・渋谷凛のこと、7月から2nd SEASONがスタートするTVアニメ「シンデレラガールズ」のことまで、たっぷりと語ってもらった。

――最近は「シンデレラガールズ」も海外でのイベントなどが増えてきましたね。

福原綾香さん

福原さん:しばらく前に香港に行ったんですが、現地に行く前は香港のプロデューサーが喜んでくれるかな、そもそも私たちのことを知っているかなと心配もあったんですが、ステージに立った瞬間の反応を見て、これは大丈夫だと思いました。現地の皆さんは作品を通して日本語にも慣れているのか、私たちが「プロデューサー!」と呼びかけるとちゃんと答えてくれるし。客席が日本と変わらない暖かさと熱さで、曲に入れるコールも覚えていてくれるんです。

――福原さんは、海外のファンにはなんて呼びかけられるんですか?

福原さん:「ふーりん」が多いですね。あちらの女性の方に「アヤカちゃーん」って呼ばれて、今回ははっしー(島村卯月役の大橋彩香さん)はいないからたぶん私のことだなとは思ったんですが、なんだか新鮮でした。その方に手を振ったらすごく喜んでくれてうれしかったですね。

――香港でおいしいものは食べましたか?

福原さん:結構食べました(笑)。テーブルが回る中華料理屋さんで食べた麻婆豆腐がすごくおいしかったです。辛さと山椒の感じのバランスがすごくいいんです。(城ヶ崎莉嘉役の山本)希望さんがそれをすごく気に入って「これは! 一皿いける!」って言ってました。私は向こうで飲んだお茶の味がすごく濃いのが印象に残っていて、プーアル茶を飲むとなんだか土を溶かしたような味がするんです。深い感じがして、慣れると飲めるんですけど、かなり個性的な味でした。あ、あと北京ダックも食べました!

――香港では、イベントで共演した皆さんと一緒に行動したんですか?

福原さん:一緒でした。ご飯を食べに行ったレストランは高台にあったんですが、帰り道は二階建てのバスに乗ることにしたんです。でもそれが予想以上に揺れてジェットコースターというか、インディージョーンズみたいでした。揺れに酔わないようにしようとテンションを上げていたら、希望さんがミュージカルを始めたりして。私たちもそれに乗っかって騒いでいたので、うるさい日本人だなと思われていたと思います(笑)。みんなお酒は一滴も飲んでなかったんですけど、道中はずっとそんなテンションで、すごく楽しかったです。

頑張ったのは、鹿児島のアニメイトに連れて行ってもらうため

――さて、今日は福原さんのルーツ的な部分から伺っていければと思います。出身は鹿児島とのことですが、育ったのはどんな場所?

福原さん:ほんっとーに田舎で、最寄りの駅はどこ? と聞かれても、最寄りの駅がないんです。全然もよってない。一番近い駅まで車で40分かかるような場所でした。移動手段は車と、数時間に一本のバス。だからアニメやエンターテイメントというものに触れる機会が少ない子供時代でした。

――そういう土地でどんな風に過ごしてたんですか?

福原さん:私は本が大好きだったので、児童書のレーベルを端から読んでいくのにハマってました。「夢水清志郎」シリーズ(講談社青い鳥文庫)とか、「帝都<少年少女>探偵団」シリーズ(ポプラ社)とかが好きで、ずーっと読んでいました。それから読書感想文コンクールとかにも「絶対入賞してやるぞ!」と燃えながら書いていました。実はそういうコンクールでいい賞をもらったりすると、両親が鹿児島市内に遊びに連れて行ってくれるんです。それをモチベーションにして頑張っていました。

――読書感想文で入賞もされてたんですね。入賞する作品作りって、コンテスト向けの技巧的なことを考えるんですか、それとも素直な感性勝負?

福原さん:賞が取れたのは素直に書いたもののほうが多かったですね。先生と一緒に「賞をとるぞ!」と頑張ると何か狙った感じになるというか、子供らしい感性が薄れてしまうんだと思います。

――なるほど! 賞を取って鹿児島市内に遊びに行くと、どんな場所に行くんですか?

福原さん:アニメイト鹿児島店!

――地方出身でアニメが好きな声優さんの青春には必ずアニメイトが登場しますね!

福原さん:(笑)。なんせ最寄り駅がない環境なので、アニメのグッズとかキャラソン、ドラマCDなんて普段は絶対手に入らないんです。その頃は今ほどネット通販も充実してなかったので。なのでおこずかいを貯めに貯めて、今から考えるとえっと思うぐらいの額を一気にアニメイトで使ってました(笑)。

――今がチャンスだと使うわけですね。アニメにハマったきっかけは?

福原さん:作品としては「HUNTER×HUNTER」の、古い方のアニメです。

――1999年~2001年に放送された、竹内順子さんがゴン、三橋加奈子さんがキルアを演じたTVシリーズですね。

福原さん:それですそれです。普通に楽しく見ていたんですが、ある時友達が竹内さんと三橋さんがやっているラジオ(「HUNTER×HUNTER R」)のCDを貸してくれて、それがすごく面白かったんです。私は(「HUNTER×HUNTER」に登場する)クラピカが大好きなんですが、クラピカを演じている甲斐田ゆきさんはクラピカとは別の人物なんだけど、トークがすごくうまくて、英語も堪能な頼れるお姉さんで、すごく魅力的だったんです。声優さんの演技以外の一面を知ったことで、アニメを見ることがもっと楽しくなって、それから声優になりたい、という気持ちを持つようになりました。

――その後の福原さんは部活の選択などでも、声優という目標を意識していたんですよね。

福原さん:私は元々の性格が引っ込み思案だったので、何か目立ったことをすると何か言われるんじゃなんか、私なんかが前に出ていいんだろうかという気持ちが強かったんです。そういうところをなんとかしようと思ったのと、声を使った活動をしたかったので放送部に入りました。それから絵が好きだから美術部に入って、歌うのも好きだから合唱部にも入って。声優さんはアニメの声も担当するし、外画(海外の実写作品の吹き替え)も担当するし、歌やラジオのお仕事もある多面的な職業だと思うんです。だから、いろいろなことを同時にこなす経験は声優さんを目指すのにも役立つと思っていました。

――すごく現実的に考えて声優を目指していたんですね。プロフィールを見ると資格に書道五段、英検2級とありますし、才女ですよね。

福原さん:いえいえ、とんでもないです(笑)。書道は結構長くやっていたんですが、私の祖父が書道や絵画が好きだったんです。祖父の家に遊びに行った時は、暇さえあれば筆を握っている生活だったので、小学校入学から10年近くは書道をやっていました。

――おばあちゃんはご自分で蕎麦打ちとかされるんですよね。料理上手なおばあちゃんなんですか?

福原さん:すごく得意なんです! 見ていると分量なんかは目分量で適当なんですが、できあがった料理はプロ並みで。

――福原さんも料理上手ですが、おばあちゃんに習った料理とかはありますか?

福原さん:おばあちゃんは煮込み料理がすごく上手なのでよく教えてもらうのですが、おばあちゃんはものすごく大きな鍋でドンと作るんです。煮込み料理はたくさん一度に作るからこそおいしくなるところがあるので、同じ分量で作っても微妙に濃さや味が違って、あの味は出せないですね。

薔薇棘鞭刃(ローズ・ウィップ)は心のコスプレ

――福原さんのルーツといえば、もうひとつ「中二病」も忘れられないところです。中二病の目覚めはいつ頃?

福原さん:最近よく聞かれるので考えているんですけど、うーん、いつだろ? やっぱり「HUNTER×HUNTER」の影響かな? 本当にクラピカが大好きだったので、(クラピカの念能力の)“束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)”を見て、私もやってみたい! と思ったんです。私にもあんな力があったらいいな、もしあるとしたら何系の能力だろう、操作系かな? とか想像するようになったんです。

――福原綾香中二病伝説の中に「トゲを取った薔薇を、身を守る武器として隠し持っていた」という、「幽☆遊☆白書」の蔵馬をリスペクトしたエピソードもありますよね。

福原さん:そうなんです。まず「HUNTER×HUNTER」が好きになって、そこから原作者の冨樫義博先生つながりでさかのぼって「幽☆遊☆白書」にも興味を持ったんです。そこで蔵馬に出会ってすごくハマってしまい、「私も背中に(蔵馬が武器として使う)薔薇を入れるわ…」となりました(笑)。

――背中に薔薇を入れるのは、蔵馬になりたかったんですか?

福原さん:なりたかったんですかね…? きっとコスプレ的な感覚だったんだと思います。好きなものになりたい、近づきたい。でもピンクの学ランに赤い髪って、街中でするのはちょっと難しい恰好なので、薔薇を持って心は蔵馬だと。今考えたらちょっとおかしいなって思います(笑)。

――今はどんな役柄でも演じられる声優になったわけですが、能力者的な役柄はやってみたいですか?

福原さん:やってみたいですね…! やってみたいです!

――「シンデレラガールズ」と同じCygames開発の「グランブルーファンタジー」では、コラボとして凛が異世界に行ったりしてますね。

福原さん:すごく楽しく収録させて頂いて、収録が終わったら「今日の福原さんは本当にいきいきしてるね!」と言われたんです。「普段の(「シンデレラガールズ」の)凛ちゃんも楽しくいきいきやってます!」と思わず言い返しました(笑)。

――さて、高校時代までを振り返ってきましたが、上京後の福原さんは大学で管理栄養士を目指しながら、ダブルスクールで日本ナレーション演技研究所でも勉強されています。管理栄養士を目指した理由はあるんでしょうか?

福原さん:私の父が獣医師で、母が保健師だったので、師業士業の資格がとても役立つということを自然に知っていたんです。高校を卒業して声優を目指すことは決めていたんですが、大きく言えば芸能界のような世界じゃないですか。両親は私のような普通の人間がそういう世界を目指すことをしても心配していたようで、管理栄養士の資格であれば栄養バランスとか自己管理にも役立つし、もしいつか結婚したら旦那さんや子供においしいご飯を作ってあげられるだろうから、とアドバイスしてくれたんです。それで、じゃあやってみようとなりました。

――管理栄養士は実習も多いと聞きますし、資格試験もあるし、かなり大変だったのでは?

福原さん:実習だと給食を作る実習があって、まず予算を決めて、その中で給食を提供するんです。実習で生徒がやることなので利益を出してはいけないという縛りの中で、自分たちで仕入れをして、レシピを考えて、調理をやって、食券を作って、そのあとの営業もするんです(笑)。そのあたりにいる女の子たちに「すごく安くて650キロカロリー以内です!」なんてアピールして食べてもらうんです。ハードだったのは病院実習で、準備して患者さんにご飯を提供したり。それ以外でもレポートレポートの日々なので、結構大変でしたね。

――それをこなしながら、声優としての勉強、訓練も受けていたんですよね。

福原さん:そうですね。大変でしたが、どちらも私には大好きなことだったので苦ではなかったです! 良かったのは管理栄養士の勉強と声優のレッスンは、使う脳みそが全く違うんです。頭を使う大学の勉強と、頭もですが心を使って、感性に正直に演じるレッスンと。互いが気分転換になっていて、大学の勉強で行き詰まったらお芝居の勉強をしようとか、逆もそうで。

――管理栄養士としての勉強を生かして、「(福原さんの)下積み時代を支えた美容にいいレシピブック」を出版したいと以前話されていました。当時はどんな料理を作っていたんですか?

福原さん:今も下積みだと思っておりますが…よく作っていたのは鶏ハムを使った料理ですね。下味をつけて袋に入れて、熱湯につけて放置すると熱が勝手に入るんです。それを使った奄美大島の名物料理の鶏飯をよく作っていました。なんでも適当にお野菜を浅漬にしちゃって、鶏ハムは胸肉だから安いし、鶏ハムを作った袋の中には鶏のいい出汁が出てるんですね。それを合わせて、あとは適当にゼラチンパウダーを入れるとコラーゲンも取れちゃうので。栄養学的には、コラーゲンをそうやって取って吸収されるかはちょっと微妙なところなんですが(笑)、ぷるんと固まってくれるとタッパーに入れて保存がしやすくなるんです。

――カロリーも低くておいしそうです。管理栄養士の資格は無事取られたんですか?

福原さん:はい、取りました。

――管理栄養士の試験ってどんな内容なんですか?

福原さん:結構医学的な内容が入ってるんです。腎臓病になると何値が高くなりますか? とか、代謝系でピルビン酸とケトン体があって、栄養をとった時にどのように代謝が行なわれるか、とか。持病であったり、人に合わせて栄養バランスを考えるには医学的なことも知らないと駄目なんですね。世の中の人には給食のおばちゃんとかのイメージが強いかもしれないんですが、実はものすごく勉強が必要なんです。私の母は保健師の資格を持っているんですが、たとえば病理学とかで私が使っている教科書が保健師の勉強で使うものと同じで、「(管理栄養士は)こんなことまで勉強するの?」と驚かれたりします。そんな結構大変な資格なので、全く関係のない仕事についている私が言うのもなんなんですが、世の中の管理栄養士さんがもっときちんとした扱いをされるようになるといいなと思っています。

一世一代の「一人名場面劇場」が道を開いた

――ダブルスクールのもう一方、日ナレの生徒としての福原さんはどんな生徒でしたか?

福原さん:私は「恥ずかしい」ということをあまり思わないタイプでした。みんなは失敗したらどうしようと悩んだり、怒られてものすごく落ちこんだりしていたんですね。私は今思うと、これでいいのだろうかと思うぐらい、叱られても「これも勉強だしね!」と思って溜めこまない子でした。それから「ここで演技の勉強をしている時は何をしても大丈夫!」というくらいに思っていたので、結構大胆なことをして、講師の先生にちょっと落ち着いてって言われることもありました。

――大胆なこと、というと?

福原さん:エチュード(即興劇)でお芝居をつないで行く時って、結構暗闇で車を運転しているような感覚なので、動かなくなっちゃう人も多いんですね。私はいろんな玉をどんどん投げて、とにかく場を動かしたくて仕方ないタイプなんです。それで怒られることもあるんですが、動き出すことは大事だし、それによって周りも動いてくれることもあったので、エチュードは大好きな授業です。

――大胆といえば、今の事務所のヴィムスの所属オーディションの時に、特技である「一人名場面劇場」をやったんですよね。

福原さん:はい。面接で「特技欄に一人名場面劇場とあるけど、これは何、と聞かれたんですね。

――それは聞かれますね。

福原さん:よし、聞かれたぞ! と思ったので「では、やってよろしいでしょうか!」と言って、始めました。

――「エヴァ」の名シーンを一人で演じたそうですね。

福原さん:はい。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」で、ゼルエルに閉じ込められる綾波レイを、碇シンジくんが乗った初号機が助けるシーンをやりました。

――また説明がいるシーンをやりましたね! 面接官の方の反応はどうでしたか?

福原さん:その時は静かに雰囲気が変わったことを感じました。呆気にとられた感じもあったんですが、マネージャーさんの一人が「素晴らしい」と呟いてくださったので、それでひょっとしてこれは受かったかな? と思いました(笑)。

――合格、嬉しいですね。

福原さん:本当に嬉しかったです。実は自分でリミットを決めていて、「日ナレに通っている3年間で事務所に所属することができなかったら、その時はスッパリ諦めよう」と決めていたんです。所属が決まったのが、ちょうど3年目だったんです。本当に本当に声優になりたい気持ちが強かったので、正式に決まった時は「うわー! 所属だ!」とアニメ「シンデレラガールズ」の卯月のように喜びました。

――そうして勝ち取った事務所所属の一年目、早くも「シンデレラガールズ」のオーディションという大きな節目が訪れます。その時のことを教えて下さい。

渋谷凛

福原さん:「アイドルマスター」については、すごく素敵な作品で、大きなコンテンツで、歌がたくさんある…ということをぼんやりとは知っていました。逆に言うとそれしか知らないところに、渋谷凛役のオーディションの話を頂いたんです。その時は、アイマスというコンテンツを勉強したほうがいいのかな? とも思ったんですが、長い間続いているコンテンツについて付け焼き刃で勉強しても、半端に緊張したり、意識したりする方が大きいと思ったんです。だから、その時は渋谷凛ちゃんという女の子とせいいっぱい向きあうことだけを考えて、オーディションに臨みました。

――本番はどんなオーディションでしたか?

福原さん:オーディションの雰囲気が、オーディションとは思えないぐらい和やかだったのを覚えています。試されている感じがあまりなかったんです。私はすごく人見知りなんですけど、その時はまるで昔から一緒にいる人たちの前にいるみたいにリラックスして参加できました。

――オーディションで演じた凛の演技って、今のイメージと比べてどうでしたか?

福原さん:今は「この子に対してはもっと柔らかく話そう」「前後でこんな出来事があったからこう話そう」みたいに、ニュアンスをすごく考えて演じるんですが、その時はあまり深く考えずに演じていました。凛ちゃんならこう話すだろう、ということだけですね。

――大橋さんはオーディションであまり考えずに演じたら、後からその時の演技に苦労したと話していました。

福原さん:私の場合は自分の感性に正直に演じるのが一番しっくり来るので、演技の再現とかに悩んだことはあまりないです。あとはオーディションの時の話だと、私歌えと言われてもいないのに「歌います!」と歌い出したんですね。

――坂本真綾さんの「紅茶」を歌ったんですよね。

福原さん:そうです。でも私は言われてもいないのにでしゃばったことをして、嫌なやつだって思われたらどうしようと思っていたんですが、やる気や積極性として受け取って頂けたのか、凛ちゃんの強さに通じると思って頂けたのか、凛役に選んで頂くことができました。合格の知らせが来た時、私お風呂に入っていたんです。お風呂から上がったら携帯がピカピカしていて、なんだろうと思ったら私の一人名場面劇場に「素晴らしい」って言ってくださったマネージャーさんからの留守電が入っていたんです。それを聞いてみたら声がすごく明るくて、「受かりました、おめでとうございます!」って。もう、うわぁぁぁぁ! ってなりました。夜だったけど友達に電話して、「まだ言えないけどすごくいいことがあったの! まだ言えないけど、楽しみにしてて!」って話して。それでも夢見心地で、幸せすぎて眠れないのは初めての経験でした。

最初の一言は「アンタがプロデューサー?」

――凛としての初めての収録は?

福原さん:実はCMだったんです。「アンタがプロデューサー?」の台詞の収録で。

――あ、あの一体誰が声をやっているんだと大評判になったやつですね。

福原さん:その時で、しかも初仕事だったんです。現場にはアイマスの先輩たちがいらして、沼倉さんが挨拶してくださって。その時にはアイマスについて色々調べていて、沼倉さんがきれいな方で素晴らしいパフォーマンスをされる方ということは知っていたので、すごく失礼なんですけど「あ、存じております!」とか言ってしまいました。有名人にあった感じで、ちょっとミーハーだったなと反省しています。今まで画面の向こう側だった人たちと仕事をすることを実感したので、「アンタがプロデューサー?」の一言に、ものすごく魂をこめて演じたことを覚えています。

――歌や演技の収録で最初にがっつりスタジオに入ったのは?

福原さん:「Never say never」の歌収録ですね。

――人生初レコーディング?

福原さん:そうですね。元々歌うことが好きだったんですが、せっかく世に出すんだからうまく歌いたいと思ってたんです。全然技術もないのに、技術があるふりをしたような歌い方をしたんですね。しかもヘッドホンにはリバーブのある響きの声が返ってくるので、ちょっと歌えるように錯覚してしまったんですね。おろかでした。でもうまく歌おうとすると、15歳の、デビューしたての女の子ではなくなってしまうんです。「うまくなくてもいいんだよ」とディレクターさんに言われたのがすごく心に残っています。歌収録は準備日と本番日の二日間あって、すごく丁寧に収録して頂きました。

――できあがった自分の歌を、客観的に聞いてどうでしたか?

福原さん:うわ~~! って思いました。今聞いても恥ずかしいんですが、当時はもっと恥ずかしくて、全然上手くなんかないじゃないか! と。聴いている皆さんはわかると思うんですが、「ずっとつーよく、そう“つーよく”」の2つ目のところが揺れているんです。その音があまり上手く聴こえなくて。

――ちょっと力んだ感じには聴こえるかもしれませんね。

福原さん:そうなんです…その時はなんでこのテイク使ったの! もっといいのあったんじゃないかなって思ったんですが、その力みも15歳らしいのかな、とか…。ただまとまっているテイクを使うわけではなくて、自分では恥ずかしいと思う部分を敢えて出すんだなと思って、「アイマスって怖い!」と思いました(笑)。

でも「Never say never」を聴いたファンの方からお手紙を頂いたのも本当に嬉しかったし、両親もCDが形になったことでようやく「(声優の)その道を行きなさい」と認めてくれるようになりました。両親にも、何年で事務所に入って芽が出なかったら実家に帰るとは伝えていたのが、やるなら腹をくくって頑張りなさいと言われるようになりました。だから私にとってすごくうれしくて、覚悟もできたスタートラインが「Never say never」でした。

――当時は無名の新人声優さんが歌うCDが、蓋を開けたらオリコン週間6位でしたからね。

福原さん:当時は日ナレで一緒だった子たちとはすごく仲良しで、友達の家に遊びに行った時に、「綾香オリコンおめでとう」って書いたケーキが出てきて。サプライズの割に空気でバレバレだったんですけど、なんかすごく青春してる感じでした(笑)。自分のことみたいに喜んでくれて、本当に嬉しかったです。

――その後「Never say never」は本番でも練習でも、相当歌いこんでいますよね。

福原さん:歌いこんでますね。何回歌っているか自分でもわからないです。

――今は流石に書きませんが、昔は福原さんはステージに立つたびに「Never say never」がうまくなる、CD音源よりも最新のステージがベストパフォーマンスだ、と記事に書いていた記憶があります。

福原さん:かなり歌ってます。カラオケに遊びに行っても自分で一回は必ず歌っていますから(笑)。一時期自分の声が強すぎるな、女の子らしくないなと考えて、力を出すことに抵抗がある時期もあったんですが、(総合ディレクターの)石原さんやサウンドの方から「それが渋谷凛らしさだから、セーブしちゃ駄目だ」と言って頂いたんですね。それからはこれがステージに立った凛だよ、よろしくね、聴いて! と強気で堂々とした気持ちで歌えるようになりました。

ボーカリストとしての凛は表情豊か

――それではここで「ワンフォーオール」DLCの凛の「Never say never」を見て頂きたいと思います。

福原さん:はい! (映像が流れ始める)うわ…うわー! あ、ここの振付は一緒なんですね…あーっ! あー、わーっ、うわーっ! わー、うわーっ。(「過ぎてゆく時間取り戻すように」のあたりは)歌い上げ感がありますね。わー、すごい、うわー! すごい。スタンドマイクなんですね、かっこいい…あ、歌い上げ系の表情がちゃんとあるんですね。うわー! なんだろうこの貫禄。15歳ですよね? あっ、ちょっと険しい顔をした! 私もここそういう表情をするんです! なんだか共感しますね…いいなぁ。うわぁー! どわぁー! ふわぁー! なんか…わぁぁ……ああっ、すごい凛々しさ。手の振り方がなんだか。わーってアイドルっぽく振る感じじゃないのがいいですね。これは素晴らしい…(拍手)!

――改めて感想を言葉にして頂けますか?

福原さん:ボーカリスト的なアイドルですね。アニメの6話を見た時もプロデューサーをキッと睨む表情が新鮮だったんですけど、今までに見たことのない凛ちゃんの表情が見られた気がします。ドキっとしますね。凛は一見すると表情の動きが少ないんですけど、ライブとして捉えるとすごく表情豊かな子だと思います。素敵でした。「ワンフォーオール」のプレイを友達の家で見せてもらったんですが、貴音さんは優雅で、亜美真美は元気でおしゃまで、キャラクターらしさがとても出ているので、凛はどうなるか楽しみだったんです。予想を超えた素敵な出来でした。

――負けないぐらい素晴らしい福原さんのステージについても伺っていきます。初ステージはナンジャタウンの「デレラジ」公開録音ですよね。

福原さん:ナンジャタウンのマカロニ広場ですね。今考えると小さな会場だったと思うんですが、当時の私にはあんなにたくさんの人に囲まれる経験ってなかったんです。客席がすごく近くて、たくさんの人が意思を持って自分を見ると、こんなにすごいエネルギーがあるんだな、ということを初めて実感しました。ここでまた自分を良く見せたいとか考えるのは駄目だな、緊張するだけだと思ったので、自分らしく凛らしく歌うことだけを考えました。

――「お願い!シンデレラ」もワンフェスのグッドスマイルカンパニーステージで初お披露目でしたし、規模感であるとか、「シンデレラ」や福原さんを知らない人もいたりとか、当時ならではですよね。

福原さん:ワンフェスも緊張しまくりで、結構でっかい画面に自分の顔が映されるのもやはり初体験だったので。今の顔を(カメラで)抜かないで、映さないでって思ってました(笑)。

――「お願い!シンデレラ」を初披露したミニライブのステージとしては、ワンフェス(2013年冬)はどうでしたか?

福原さん:自分だけではなくて、みんなで歌える曲があればいいのにとずっと思っていたので、そういう曲が生まれたことは嬉しかったです。みんなの声がひとつになったらどんな感じなんだろうって思っていたのが初めて現実になって、みんなの曲ができたことを私たちとプロデューサーさんたちが一緒に喜べたことは忘れられません。

――その後本当にたくさんのライブやステージを経験しましたが、まず「765プロの先輩との共演」というテーマで、印象的だったステージや思い出があれば教えて下さい。

福原さん:直接、手取り足取り練習を教えてもらうというよりは、先輩たちが練習している姿、背中を見て、あ、ここはこうするときれいだと感じたり。あとはリハーサルの立ち位置確認とかでも、ほんの一瞬立つような場所でも、765プロの皆さんは意図を持って、もう少しこっちの方がみんなからよく見えるんじゃないか、とかこだわってらっしゃるんですね。先輩たちはステージ全体を見渡しているのがわかるんです。私はつい自分のことばかりに意識が行ってしまうタイプの人間なので、あ、周りを見ることでみんなも緊張していることがわかるんだ、頑張っている姿を見て頑張ろうと思うんだ、ステージはみんなで作るんだ、ということを先輩たちの背中から教わった感覚があります。

――2014年2月のさいたまスーパーアリーナでは同じライブに参加するだけでなく、「MUSIC♪」と「Alice or Guilty」では先輩たちと一緒に歌いました。

福原さん:「MUSIC♪」は今まで歌った曲の中で一番振付が難しかったです。なだらかで、波を打つような振付が多いので。私はどちらかというと「Alice or Guilty」のようなカチッとした動きのほうが得意…得意じゃないか、合うんですね。だから「MUSIC♪」の柔らかな感じは大変でした。今井さんと田所さんと一緒だったんですが、いかにも青属性! という曲ではなく、楽しくて伸びやかな曲なので、最初はかなり苦戦して、こんなに素晴らしいパフォーマンスの2人と一緒に立っていいのかと思いました。でもそのうち、気にしてらんない! と開き直ったし、今井さんが「大丈夫だよ!」って言って真ん中に立ってくださると、本当に大丈夫なように思えてくるんです。

――一方の「Alice or Guilty」はまさかの男性ボーカル曲です。あの歌、あの音域を歌うなら「シンデレラガールズ」代表は福原さんだな、と感じました。

福原さん:すごくかっこいい曲だなとは思っていたんですが、まさかジュピターさんの曲を歌うなんて思いもしなかったので。でもスタッフの方からは「大丈夫だから、福原さんらしく歌えば大丈夫だから」と言って頂いて。音域も合うんですが、私の声はちょっと男前寄りというか、かわいい系の曲よりはかっこいい系の方がしっくりくるのかなとは思っていたので、ここはもう私は男性アイドルだ! というぐらいの気持ちで歌いました。ビジュアル系みたいにちょっと自分に酔いしれる歌い方なんですが、それは凛の歌では絶対にしない歌い方なんです。だから楽曲に寄せて寄せて…で歌ったステージでした。

――かつて初対面で「あの有名人だ!」と思ったスーパーパフォーマンスの沼倉さん、そしてあのたかはし智秋さんと一緒に歌ったわけですよね。

福原さん:不思議とそういう緊張は少なくて、ステージがとても大きいので、あの時は四方に散ってそれぞれの方角を向きながら歌う感じだったんです。だから、横に並んで比べられることはないなと思っていたので、一人はちょっと不安だけど、この方がむしろ緊張しないかも、とも思いました(笑)。

――SSA初日で(多田李衣菜役)青木さんと福原さんが歌った「Nation Blue」は、ひょっとしたらベスト「Nation Blue」なんじゃないかと思うぐらいかっこよかったです。

福原さん:わー、ありがとうございます! るーりぃも喜びます。元々少人数のユニット曲ではあるんですが、流石に2人では馬力が足りないんじゃないかという感覚があったんです。でもそこはライブだから、私たちのクールさとかっこよさをなんとか出してカバーしていこうと話してました。その頃はまだ歌いこんでいない曲だったので、音を外さないように、2日目一緒だった(赤城みりあ役の黒沢)ともよちゃんを交えて何度も何度も練習をしました。私的には「Nation Blue」を一緒に歌ったことでるーりぃと仲良くなれたなって感覚があります。

――小さなステージを重ね、8周年やSSAで765プロの先輩たちと大ステージに立ち、去年4月には「シンデレラガールズ」単独での1stライブにたどり着きます。舞浜での1stライブはどんな体験でしたか?

福原さん:「シンデレラガールズ」のみんなは個々のスキルがあってすごく魅力があるんですけど、それまでのライブのようにこの人たちが明確なお手本! という存在がいないステージだったので、これで合っているのかな、ちゃんと成立するのかな、という不安は常にありました。そこはお互いにカバーしたり、舞台演出の浅野さんに指導してもらったりとか。自分たちで手探りでステージを作っている分、手作り感を感じた気がします。アンフィシアターというステージは、大きすぎないし、盛り上がりもすごく感じられるサイズで、客席とも程よい距離感でした。だからかかなりリラックスしてステージに立てた気がします。

――その半年後には代々木第一体育館で2ndライブを迎えます。半年間で自分で一歩進んだ感覚はありましたか?

福原さん:2ndはそれぞれの曲数もすごく増えたので、本当に怒涛のように準備が進んでいく感じでした。だから個々のトレーニングをしたり、他の人のパフォーマンスを余裕を持って見たりはなかなかできなかったんですが、その分ものすごく集中して、この一瞬を私は絶対無駄にしないと思って、ちょっとの時間でも楽曲を聴いたりダンスを振り返ったりに当てていて、すごく濃密な時間を過ごせたと思います。「Never say never」も、二番のAメロで花道を歩くところがあるんですね。

――凛はそこで一人一人に手を振って歩くようなことはしない、とこだわっていたところですね。

福原さん:しないんです! あとでモニターでチェックしたら自分がちょっと怖く感じて大丈夫かなと思ったんですが、凛も一見すると怖くも見える子だし、それが私にとっての渋谷凛なんだから、自信を持って行こうと思いました。だから凛としての動き方に選択肢があって、自分で迷わず「こっちだ!」と選んで進むことができました。どうしようかな、とつい人に相談したくなることが多い私が、確信を持ってこれが凛だと選ぶことができたのは、一歩進めた気がします。

――時期的に、代々木の2ndライブのタイミングでは、アニメの収録は始まっていると思います。第1話で楓さんたちが参加していたライブって、なんとなく代々木の2ndを思い出す雰囲気でしたよね。

福原さん:それはすごく感じます。客席の感じをモデルにしているところもあると思いますし、私たちのわからないところでも色々とこだわっているからこそ、そういう空気を画面からも感じるんだと思います。そういう表側の似ている部分もありますし、裏側のスタッフさんの本番が迫ってちょっと余裕がない感じとか裏側の部分も含めて、自分たちが知っているライブの世界だな、と感じました。

――そうやって自分たちでのステージを体験して、今度また765プロと「シンデレラガールズ」「ミリオンライブ!」が揃い踏みする西武ドームライブという大舞台が待っています。

福原さん:西武ドームって言うと、個人的には水樹奈々さんのライブが浮かぶんです。そういうスターが立つ場所であり、海外アーティストが来日公演をするようなそんな場所にアイドルがたくさん立つというのが、なんだかイメージが難しくて、意外でした(笑)。あの会場でやること自体すごいですよね。暑いし…とあるアイドルのライブに行った友達が、お水を何リットルも飲んだって言うんです。客席で4リットル飲むなら、私は何リットル用意したらいいんだろうと思います(笑)。

――そもそもさいたまスーパーアリーナより大きい会場、客席って、イメージできますか?

福原さん:できないです! 私はさいたまスーパーアリーナという空間がもう、宇宙だと思っているので。ということはもう西武ドームは、銀河ですよね。でもあっつい銀河だと思えばそんなに怖くもないかな(笑)? 当日になってみないとわからないんですが、ものすごく緊張するか、全く緊張しないかのどちらかだと思います。

――アイマスが今年“10周年”であることって、どう感じてますか?

福原さん:なんでも物事が10年続くって、すごいことですよね。私が15歳の時から皆さんが頑張って、だんだんコンテンツを大きくしてきた10年間。私たちはその先輩たちが敷いてくれた道を走ってくることができたんですが、765プロの皆さんは初めての不安の中積み上げてきたんですよね。言葉にならないぐらいすごい10年だと思いますし、私たちにはわからないほどのつらさや悩みがあって、喜びがあって、全てが詰まった10年だと思うんです。その10年間の中に私たちがちょっとでもいることができることが、すごく嬉しいです。本当にありがとうございます、そしてこれからももし一緒に歩くことができるなら、よろしくお願いします! ……という、そんな心境です。

劇場版に凛が登場して、映画館でびっくり!

――今年は1月から、そして7月から「シンデレラガールズ」のTVアニメが放送されています。ちょっとさかのぼって、凛は去年1月に公開された「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」のラストにワンカットだけ登場していますよね。

福原さん:渋谷にいる凛ちゃんが映ってましたね! 劇場版を見て、いい作品だったな、ふわー……ええっ!? って感じでした。

――あ、出演はご存じなかった。

福原さん:知らなかったです(笑)。後から、あ、もしかして765プロさんのアニメの世界と私たちの「シンデレラガールズ」の世界はつながっているのかな? とか考える余裕ができましたけど、その時はええっ!? しかなくて、周りのプロデューサーさんもえっえってなっていたので、つい「なんで凛が出たんだろうね!」と話しかけたくなったぐらいでした(笑)。本当にびっくりしました。

――そのびっくりから約一年後、「シンデレラガールズ」がTVアニメに。TVアニメでこれだけメインクラスの役は初めてですよね?

福原さん:そうですね。まずアフレコに参加して、ものすごく丁寧なことにびっくりしました。何気ない台詞であっても、そこにその子らしさが出るなら何度でもこだわって収録するんです。わりと体育会系な妥協を許さない現場です。アニメを作るってことは生半可じゃないんだ、すごく大変な作業なんだということを改めて感じました。いろんな現場で妥協を許さない中でたくさんの素敵な作品が生まれてるんだと思うんですが、きっと「シンデレラガールズ」はどこにだって負けないんじゃないかと思うぐらい、情熱がある現場だと思います。

――アフレコスタジオで定番の並びってありますか?

福原さん:誰かのお当番回の時は、その人が真ん中になるんですけど、基本はニュージェネが真ん中のマイクに近い所に座ります。その横にプロデューサー役の武内くんがいて。最近は私の隣に、新田美波役の洲崎綾ちゃんがいることが多いです。洲崎綾ちゃんがとてもユニークな子なので…。

――武内さんに「体操服着たりするの」とかいじったりするんですよね(笑)。

福原さん:私も一緒になって「ゼッケンつけたりするの」とか(笑)。アフレコ中は演出をどうするか、スタッフさんが作戦会議をする時間が結構あるんですね。その時間にご飯を食べたり、お味噌汁を飲んだり、飲み物を買いに行ったり。そういう時間に談笑したりしているので。やる時はとても集中していますが、それ意外は楽しくやっている、メリハリがある現場ですね。

――アフレコ現場で印象的だった出来事とかってありますか?

福原さん:アフレコでものすごくエネルギーを使う現場なんですね。だから、差し入れで喜ばれるのが「焼き菓子」とかではないんです。あたたかいおにぎりが差し入れで来た時のメンバーのテンションの上がりようは凄かったです!

――全く同じ話を「デレパ」コンビ(WEBラジオ「CINDERELLA PARTY」。主宰(パーソナリティ)の青木瑠璃子さんと原紗友里さん)もしてましたよ!

福原さん:やっぱりおにぎりなんですよ! お菓子とかじゃなくて米なんです(笑)。

――魂込めた作品が放送されて、どうでしたか?

福原さん:もう…言葉にならないですよね。凛ちゃんは私のデビューのきっかけになった存在で、私をいろんなステージに連れて行ってくれて。そんな凛ちゃんが画面の向こうにいて、きっともの凄い数の人が見てくれていて。「凛ちゃん良かったね」という想いが一番でした。凛ちゃん良かったね、「シンデレラガールズ」良かったねといろんな人を祝福した最後に、自分よくやったな、頑張ったな、粘ったねって気持ちがあふれてきました。感謝と幸せにまみれていました。

――周囲の反応はどうでしたか?

福原さん:家族には「「セーラームーン」みたいなアニメ?」って聞かれて、「セーラームーン」ではないかな…もっと女の子たちが挫折しながらも頑張って、成長して夢を叶えていくような…って答えたら、「ああ、「スチュワーデス物語」みたいな?」って言われて(笑)。

――……80年代の大映ドラマの中では一番近いかもしれません!

福原さん:実際に見た両親も、なんだかドラマを見ているみたいな感覚だって言ってました。声優を目指す前からの友達は、素直に私の夢がかなったことを喜んでくれて。凛ちゃんが一番かわいいって身内の欲目で言ってくれます(笑)。「おめでとう」「見てるよ」の声は本当にたくさんの人に頂きました。

道玄坂登、メールの極意を語る

――最後に少し脱線として、ラジオにまつわる色々を聞いていきたいと思います。初期からずっと一緒の「デレラジ」パーソナリティの3人(福原さん、大橋彩香さん、佳村はるかさん)がどういう関係かを教えてください。

福原さん:2人は本当に頼りになる存在です。2人とも別方向でふわふわしているので、そういう印象の方もいると思うんですが、私なんかよりはるかに頼もしいんです。にこにこしてるんだけど、きちんと場を見ていたり、面白くしながらもちゃんと誤解されない言葉遣いをしていたり、2人ともすごく頭がいいんじゃないかと思います。

――最近は3人でのトークもすっかり滑らかで息もぴったりになりましたね。

福原さん:流石に昔みたいな謎の間はないですね(笑)。最初はディレクターさんのトークバック(ラジオ放送におけるコントロールルームからの連絡)をみんなが聞いちゃったりするんです。

――最近は福原さんの秘めた個性が爆発している感じですが、そういう自由な自分を出すようになったことに、心境の変化はあるんですか?

福原さん:私って真面目に見られがちなところがあるんですね。だからか変なキャラを立てようとしているんじゃないかと心配されることもあるんですけど(笑)、私としては、それまで出しちゃ駄目なんだと思っていたユニークなところや、想像力が豊かすぎる自分を出していいんだと思うようになりました。道玄坂登もそうですね。「デレパ」の2人が暖かく、面白いものとしていじってくれるので、すごく幸せです。

――最近メール職人の道玄坂登さんが「デレパ」に映像進出したりと、存在感を増しています。

福原さん:あれはいわゆるコントキャラみたいなものなんですが、モデルはいないです。私の中にいる文豪や、番組の構成作家さんに持っているぼんやりしたイメージをかき集めて出来上がりました。

――道玄坂登さんは、「デレパ」などに普通にメールを出しているんですか?

福原さん:はい、普通にメールを出しています! メールをよく出してくださる皆さんなら、たとえば直近であったイベントや告知内容に上手に触れたり、よく読まれるメールの特徴はなんとなくわかると思います。その上で読みたくなる、読まれるメールって、なんとなくその人のカラーがあると思うんです。時々、イベントとか旬の話題とは全く関係ないのに、この人のことが猛烈に気になる、というようなメールをくださる人がいるんです。そういう経験を通して、道玄坂登としては「なんだこいつ!?」と思うような何かをメールの中に混ぜるようにしているのが、自分なりのラジオメールのコツですね。

――ありがとうございました。最後に福原さんから読者の皆さんへのメッセージをお願いします。

福原さん:今年はTVアニメが放送されて、色々な方が「シンデレラガールズ」を知ってくださったり、前から知っていた方がさらに好きになってくださったりしていると思います。作品がものすごく大きくなっていることを肌で感じています。ですが「シンデレラガールズ」、そして私福原綾香はそれで変わったり驕ったりすることなく、アイドルたちをどう育てていけばいいのか、自分のパフォーマンスを磨けばいいのかをクールに考えながら、ハートはパッションで熱い心でライブを楽しんで、収録に全力を尽くして、キュートな笑顔で頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします!

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