フリューが2015年12月3日に発売したPS Vita用ソフト「干物妹!うまるちゃん ~干物妹!育成計画~」。同作のプレイインプレッションをお届けします。
2016年の仕事始めを迎えてからというものの、自分の頭の中には家でコーラ飲んでお菓子を食べてゴロゴロしていたいという気持ちばかりが膨れ上がってきています。
その気持ちを目覚めさせてくれたのは、2015年7月から9月まで放送されたアニメ「干物妹!うまるちゃん」。「干物妹!うまるちゃん」(原作:サンカクヘッド/「週刊ヤングジャンプ」連載)をゲーム化した本作は、外では容姿端麗・文武両道の女子高生ながらも、家に帰るとダラダラと過ごすという“干物妹(ひもうと)”土間うまるのキャラクター性が非常に特徴的で、アニメを通して作品に興味を持った人も多いのではないでしょうか。
アニメの放送から少し間を置いての12月3日、同作を題材としたゲームタイトル「干物妹!うまるちゃん ~干物妹!育成計画~」が発売されました。本作は、プレイヤーが兄のタイヘイとなり、夏休みに入って干物妹化に拍車のかかっていたうまるを成長させていく育成シミュレーションゲームとなっています。
「師匠からいろいろと学んで干物ライターに!」と、恐らく間違った方向からプレイを始めた筆者でしたが、本作の持つさまざまな魅力を経て、気がつけばうまるの友人である海老名菜々のルートを堪能していました。なぜ筆者がそこに至ったのか、順を追って紹介していきましょう。
うまるの多彩なリアクションが楽しめる育成パート
ゲームの基本的な進行は約1ヶ月という期間で、うまるを成長させていくこと。うまるには学力、家事、運動、ゲームと4種類のパラメータが設定されていて、その日ごとに行動力を消費してアイテムを使用、その効果に応じたパラメータが上昇します。そして一定の経験値を得ることにレベルアップ、行動力やHPの情報はもちろん、使えるアイテムのバリエーションも増えていきます。
ここで気をつけておきたいのが、上昇するパラメータとともに下降するパラメータもあるという点です。もしバランスよく上昇させたいと思っているのであれば、極端にアイテムの使用頻度が偏らないようにする配慮なども必要になってくるかと思います。
パラメータはうまるの機嫌やアイテムのレベルなどでも上昇具合が変わってきます。また行動力が無くなる前にHPが0になってしまうと強制的にその日の行動は終了となり、翌日の機嫌が悪くなってしまうので、まずはうまるのことを気にかけてあげるといいかと思います。
ちなみにアイテムは、育成パートでの行動やサブキャラクターとのイベントなどによって溜まる“うまるポイント”を使用することで入手可能。各パラメータに紐づくものが中心の設置アイテムと、HPや機嫌を回復させる消費アイテム、さらにうまるのパラメータの上昇率を上げる着替えアイテム(うまるスーツ)が用意されていますので、何を購入するかも大事です。
と、システムの大枠を説明したものの、どのステータスを伸ばしたいかがはっきりしていれば、基本的には素直に進めてもらって大丈夫だと思います。むしろアイテムごとに用意されたうまるのボイス付きのリアクション、そして機嫌が悪くなった時にうまるをなでなでしてあげることが、このパートの全てです(筆者の私感)。
一周目で全てのアイテムを購入するのは難しいと思いますが、二周目以降ではクリアデータからアイテムを引き継いだ「強くてニューゲーム」も選べますので、ぜひうまるのリアクションをコンプリートしてみてください。
合間のアドベンチャーパートではアニメで見えなかったキャラの新たな一面も
育成を進めていくと、そのパラメータに応じて乱入イベントが発生。そこでの選択肢に応じて該当するヒロインの親密度が変動していきます。
攻略対象となるヒロインは、「外 うまる」「家 うまる」「U・M・R」「海老名菜々」「本場切絵」「橘・シルフィンフォード」の6人(ある意味4人)。家事のパラメータであれば海老名ちゃん、運動のパラメータであれば切絵、といった具合に乱入イベントの区分けははっきり分かれていますので、育成パートと連動していると考えれば大丈夫だと思います。
また、土日には移動パートが用意されていて、好きなキャラクターとの会話も楽しむことができます。アニメでは2人きりというシチュエーションは多くはなかったので、こうしてタイヘイとキャラクターのやり取りを見ているだけでも新鮮で、キャラクターの魅力を改めて感じることができました。
そうしたやり取りを経て1ヶ月が経過すると、乱入イベントの発生回数が5回以上のヒロインとのルートに突入、最終的に親密度によってトゥルーエンドとノーマルエンド、2種類のエンディングへと進んでいきます。つまり、ヒロインルートへの分岐はパラメータ、ヒロインとのエンディングは親密度、とそれぞれ分かれているのです。ヒロインパラメータ画面で確認できるので、ヒロイン攻略の際は参考にしてみてください。
IFならではの魅力も詰め込まれたヒロインルート
育成パートが終わり、タイヘイの周辺でのとある変化から、各ヒロインへのルートに分岐していきます。
1周目では家事のパラメータを重点的に上げていったので、自然と海老名ちゃんのルートへと進んでいったのですが、そこで繰り広げられる予想外の展開の数々。筆者自身はアニメから知った身ではありますが、照れ屋で思い込みの激しい海老名ちゃんの魅力を掘り下げつつ、最後はIFならではの結末が用意されていて、満足できるエピソードが楽しめました。
同時に、エンディング後に用意されているうまるの将来もポイントのひとつ。これが実に多彩に用意されている模様で、パラメータの振り分けも大事になってくると思います。多才なうまるがどういった将来を歩むのか、見てみたいという方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
干物ライターを目指すはずが、タイヘイが社会人としてしっかりした発言を繰り返すものですから、ヒロインルートに入ってからは大人なんだからしっかりしなきゃと、なぜか身を引き締められてしまいました(汗)。改めて、真面目な兄とズボラな妹の対比が面白いと感じさせるととともに、クセの強いキャラクターたちの作り出す一コマを堪能していました。
個人的には叶課長のルートに行きたい気持ちも湧くぐらい、サブキャラクターにもしっかりとスポットが当てられて、作品の世界観が楽しめる本作。まだプレイしていないという方はこの機会にぜひプレイしてもらえればと思います!